選択的SGLT2阻害剤フォシーガ、日本において慢性心不全に対する効能又は効果の追加承認を取得

2型糖尿病合併の有無に関わらず、
慢性心不全治療薬として国内で最初に承認されたSGLT2阻害剤

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)と小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁)は、選択的SGLT2阻害剤「フォシーガ®錠5mg、10mg(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物、以下、フォシーガ)」について、標準治療を受けている慢性心不全(以下、心不全)に対する効能又は効果*の追加承認を、2020年11月27日、厚生労働省より取得しましたのでお知らせします。

心不全は、心臓が十分な血液を体全体へ送り出すことができない、命に関わる病気です。世界で約6,400万人が罹患しており、そのうち少なくとも半数は左室駆出率が低下した心不全であると推定されています1-3

本承認は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した心不全を対象とした第Ⅲ相DAPA-HF試験の良好な結果に基づいています。同試験の結果は、2019年11月、The New England Journal of Medicine4に掲載されました。

第Ⅲ相DAPA-HF試験の治験担当医師であり、阪和第二泉北病院 院長 / 大阪大学医学研究科 招へい教授である北風 政史医師は次のように述べています。「心不全とは、すべての心臓病の共通した臨床像であり、我が国では約130万人が罹患しております。心不全に罹患する多くの患者さんは左室駆出率など心機能がかなり低下しており、その5年生存率は約50%と、がんより不良な悪性疾患といえます。心不全は、いろいろな薬物治療を行いますが、心不全治療に反応しないときは、心臓移植をする以外に根本治療がありません。現在の標準治療に追加で使うことのできる新しい効果的な治療選択肢があれば、心不全に苦しむ人々の福音になりますが、今回、フォシーガが心不全での適応を取れたことは、我々循環器医が心不全に対する大きな武器を手に入れたことになります。」

バイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは次のように述べています。「心血管死や心不全悪化のリスクを低下させるフォシーガの効果は、日本の多くの慢性心不全患者さんの生命予後を改善する可能性を有しています。今回の承認は、転帰や症状の改善を喫緊に必要とする慢性心不全患者さんに新たな治療選択肢を提供し、慢性心不全を管理する治療へと進歩させることになると考えています。」

フォシーガは、心血管死または心不全による入院を含む心不全の悪化による複合リスクを統計学的に有意に低下させた初めてのSGLT2阻害剤です。第Ⅲ相DAPA-HF試験においてフォシーガは、標準治療との併用で、主要複合評価項目をプラセボと比べて26%低下させました。また、主要複合評価項目の構成項目である心血管死および心不全の悪化の両方において、全体的にリスクを低下しました。試験期間中、フォシーガ投与群では、患者21例ごとに、1件の心血管死、心不全による入院、または静脈注射による心不全治療につながる緊急受診を回避しました。本試験におけるフォシーガの安全性プロファイルは、本剤のこれまでの安全性プロファイルと一致していました。

フォシーガは、米国食品医薬品局欧州医薬品庁およびいくつかの国で、左室駆出率が低下した心不全の治療薬として承認されています。

フォシーガは、心臓、腎臓、膵臓の基本的な関連性をさらに明らかにするという科学としての心腎保護効果というものを発展させています。DAPA-HF試験は、フォシーガの心血管および腎に対する効果を評価する“DapaCare”という臨床プログラムの一部です。このプログラムではまた、第Ⅲ相DAPA-CKD試験において慢性腎臓病患者の治療を検証しています。さらに、第Ⅲ相DELIVER試験において左室駆出率が保持された心不全患者の治療についても検証中であり、2021年後半に結果が出ると見込んでいます。

アストラゼネカの子会社であるアストラゼネカ株式会社は、2013年、フォシーガに関して、小野薬品工業株式会社と日本におけるコ・プロモーション契約を締結しました。本契約に基づき、小野薬品工業株式会社は、フォシーガ錠の日本における流通および販売を担い、アストラゼネカ株式会社と2型糖尿病および1型糖尿病においてコ・プロモーションを実施しています。両社は慢性心不全においてもコ・プロモーションを実施します。

*添付文書における記載は次の通りです。
効能又は効果
慢性心不全
ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
効能又は効果に関連する注意
左室駆出率が保たれた慢性心不全における本薬の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。
「臨床成績」の項の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療、左室駆出率等)を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。

以上

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心不全について
心不全の患者数は、日本における130万人、欧州における1,500万人、米国における600万人を含む世界で約6,400万人(少なくとも半数は左室駆出率低下を有する)と推定されています2,3,7,8。心不全は、患者の半数が診断されてから5年以内に死亡する慢性の疾患です9。左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)と左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)は、収縮ごとに送り出される血液量を、心臓が拡張したときの左室容積で割った割合を指標とした左室駆出率に関する2つのカテゴリーです 4。HFrEFは左室筋が十分に収縮することができず、体内に酸素を十分に含んだ血液を送り出すことができなくなることによって生じます5,6。また心不全は65歳以上で入院する方の理由として最も多い疾患で、臨床的および経済的に大きな負担となっています10

DAPA-HF試験について
DAPA-HF(Dapagliflozin And Prevention of Adverse-outcomes in Heart Failure)試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した(LVEF40%以下)心不全患者4,744例を対象に、フォシーガ(10mg、1日1回) を心不全の標準治療に追加投与した場合の効果を、プラセボと比較評価した国際多施設共同並行群間無作為化二重盲検比較試験です。主要複合評価項目は、入院または緊急受診と定義される心不全の悪化、あるいは心血管疾患を原因とする死亡でした。追跡期間中央値は18.2カ月でした。

フォシーガについて
フォシーガ(ダパグリフロジン)は、経口1日1回投与で単剤療法および併用療法の一環として使われる、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。成人2型糖尿病患者の食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応とし、体重減少と血圧低下の副次的作用を有しています。

フォシーガは第Ⅲ相DAPA-CKD試験において慢性腎臓病患者に対する治療として検討されており、2020年8月、フォシーガは想定を上回る有効性を示し、全ての主要および副次評価項目を達成したことを報告しています。現在フォシーガでは、心不全患者を対象としたDELIVER試験(左室駆出率が保持された心不全:HFpEF)およびDETERMINE試験 (HFrEFおよびHFpEF)が進行中です。また、急性心筋梗塞(MI)または心臓発作発症後の非2型糖尿病患者を対象としたDAPA-MI試験が進行中です。DAPA-MI試験は、この種の試験では初めてとなる適応症追加を目的としたレジストリに基づく無作為化比較対照試験です。フォシーガの強固な臨床プログラムは、終了済みの試験を含め35,000例以上の患者を対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されています。

アストラゼネカの循環器・腎・代謝 (CVRM) 領域について
循環器・腎・代謝 (CVRM)  はアストラゼネカの主要治療領域のひとつであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝 疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

小野薬品工業株式会社について
小野薬品工業株式会社は、日本の大阪市に本社を置き、特定領域における革新的な医薬品の創製に取り組む研究開発型の製薬企業です。当社は、特に医療ニーズの高いがんや免疫疾患、中枢神経疾患およびスペシャリティ領域を創薬の重点研究領域として活動しています。詳細については、https://www.ono.co.jpをご覧ください。

References
1. Mayo Clinic. Heart failure; 29 May 2020 [cited 21 October 2020]. Available from: URL: https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/heart-failure/symptoms-causes/syc-20373142.
2. Vos T et al. Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 328 diseases and injuries for 195 countries, 1990–2016: A systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. The Lancet 2017; 390(10100):1211–59.
3. Travessa AMR, Menezes Falcão LF de. Treatment of Heart Failure With Reduced Ejection Fraction-Recent Developments. Am J Ther 2016; 23(2):e531-49.
4. McMurray JJV et al. Dapagliflozin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction. N Engl J Med 2019.
5. Ponikowski P et al. 2016 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure: The Task Force for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure of the European Society of Cardiology (ESC) Developed with the special contribution of the Heart Failure Association (HFA) of the ESC. Eur Heart J 2016; 37(27):2129–200.
6. National Guideline Centre (UK). Chronic Heart Failure in Adults: Diagnosis and Management. London: National Institute for Health and Care Excellence (UK); 2018 Sep. (NICE Guideline, No. 106.) 13, Glossary.
7. AstraZeneca. Data on File. November 2020.
8. Dickstein K, et al. ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure 2008: the Task Force for the Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure 2008 of the European Society of Cardiology. Developed in collaboration with the Heart Failure Association of the ESC (HFA) and endorsed by the European Society of Intensive Care Medicine (ESICM). Eur Heart J 2008; 29:2388-2442.
9. Mozaffarian D et al. Circulation. 26 January 2016;133(4):e38-360 and the CDC: https://www.cdc.gov/dhdsp/data_statistics/fact_sheets/fs_heart_failure.htm.
10. Azad N, Lemay G. Management of chronic heart failure in the older population. J Geriatr Cardiol 2014; 11(4):329–37.

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