アストラゼネカのフォシーガ、欧州で慢性心不全治療薬として承認を取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年11月5日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した心不全の治療薬として
欧州で承認された最初のSGLT2阻害剤

アストラゼネカのフォシーガ(ダパグリフロジン)は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した症候性の慢性心不全の治療薬として欧州で承認されました。

心不全は、心臓が十分な血液を体全体へ送り出すことができない、生命を脅かす疾患です。欧州では1,500万人が罹患しており、そのうちの少なくとも半数は左室駆出率が低下した心不全であると推定されています1-3。左室駆出率が低下した心不全は、左室筋が十分に収縮することができず、体内に酸素を豊富に含んだ血液を送り出すことができなくなることによって生じます4-6

欧州委員会による本承認は、The New England Journal of Medicine7に掲載された第Ⅲ相DAPA-HF試験における良好な結果に基づいています。欧州医薬品庁の医薬品委員会の承認勧告に続き、承認されました。

英国グラスゴー大学循環器医学研究所心血管研究センターのJohn McMurray医師は次のように述べています。「今回の承認は、症状を改善し入院を減少させるだけでなく、生命予後を改善するという、左室駆出率が低下した心不全に対する全く新しい治療法を医師に提供することになります」。

バイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは次のように述べています。「フォシーガの今回の承認により、心不全に罹患する欧州の何百万人もの人々の標準治療を再定義することができるようになります。心血管死や入院を減らすことができる治療を提供することにより、心不全を予防または治療するという当社の目標の達成にまた一歩近づきました」。

フォシーガは、心血管死または心不全の悪化(心不全による入院を含む)による複合評価項目が、プラセボと比較して統計学的に有意に低下したことを示した最初のSGLT2阻害剤です。第Ⅲ相DAPA-HF試験において、フォシーガは、標準治療への追加投与により、複合評価項目を、プラセボに対して26%低下させました。また、複合評価項目の構成項目である心血管死および心不全の悪化の両方が、全体的なリスク低下に貢献していました。第Ⅲ相DAPA-HF試験におけるフォシーガの安全性プロファイルは、本剤のこれまでの安全性プロファイルと一致していました。試験期間中、フォシーガ投与群では、患者さん21例ごとに、1件の心血管死または心不全による入院/緊急受診を回避しました。

フォシーガは、米国で左室駆出率が低下した心不全の治療薬として承認され、現在、日本を含む世界のいくつかの国で審査が進行中です。

フォシーガは心臓、腎臓、膵臓の潜在的な関連性を解明し続けるという科学的な観点からも心腎保護効果というものを推進させています。DAPA-HF試験は、フォシーガの心血管および腎に対する効果を評価する“DapaCare”という臨床プログラムの一部で、このプログラムは2型糖尿病患者さんの心不全による入院および心血管リスク因子へのフォシーガの効果を初めて評価したDECLARE-TIMI 58試験を含んでいます。このプログラムではまた、第Ⅲ相DAPA-CKD試験において慢性腎臓病患者さんの治療を検証しています。さらに、第Ⅲ相DELIVER試験において左室駆出率が保たれた心不全患者さんの治療についても検証中であり、2021年後半に結果が出ると見込んでいます。

なお、本邦における、フォシーガの承認された適応症は「2型糖尿病」および「1型糖尿病」であり、左室駆出率が低下した心不全、慢性腎臓病、および左室駆出率が維持された心不全に対する適応は取得していません。

以上

*****

心不全について
心不全の患者数は、欧州における1,500万人、米国における600万人を含む世界で約6,400万人(少なくとも半数は左室駆出率低下を有する)と推定されています2-3,8。心不全は、患者さんの半数は、診断されてから5年以内に死亡する慢性の疾患です9。心不全には、収縮ごとに送り出される血液量を心臓が拡張したときの左室容積で割った割合を指標とした左室駆出率に関する2つのカテゴリー:左室駆出率が低下した心不全 (HFrEF) と左室駆出率が保持された心不全 (HFpEF) 7があります。HFrEFは左室筋が十分に収縮することができず、体内に酸素を十分に含んだ血液を送り出すことができなくなることによって生じます5,6。心不全は罹患率が最も高い男性のがん(前立腺がん、膀胱がん)や女性 のがん(乳がん)と同様に致死的な疾患として知られています10。また心不全は65歳以上で入院する方の理由として最も多い疾患で、臨床的および経済的に大きな負担となっています11

DAPA-HF試験について
DAPA-HF(Dapagliflozin And Prevention of Adverse-outcomes in Heart Failure)試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した(LVEF40%以下)心不全患者さん4,744例を対象に、フォシーガ(10mg、1日1回) を心不全の標準治療に追加投与した場合の効果を、プラセボと比較評価した国際多施設共同並行群間無作為化二重盲検比較試験です。主要複合評価項目は、入院または緊急受診と定義される心不全の悪化、あるいは心血管疾患を原因とする死亡でした。追跡期間中央値は18.2カ月でした。

フォシーガについて
フォシーガ(ダパグリフロジン)は、経口1日1回投与で単剤療法および併用療法の一環として使われる、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。成人2型糖尿病患者さんの食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応とし、体重減少と血圧低下の副次的作用を有しています。

フォシーガは第Ⅲ相DAPA-CKD試験において慢性腎臓病患者さんに対する治療として検討されており、2020年8月、フォシーガは想定を上回る有効性を示し、全ての主要および副次的評価項目を達成したことを報告しています。現在フォシーガでは、心不全患者さんを対象としたDELIVER試験(左室駆出率が保持された心不全:HFpEF)およびDETERMINE試験 (HFrEFおよびHFpEF)が進行中です。また、急性心筋梗塞(MI)または心臓発作発症後の非2型糖尿病患者さんを対象としたDAPA-MI試験が進行中です。DAPA-MI試験は、この種の試験では初めてとなる適応症追加を目的としたレジストリに基づく無作為化比較対照試験です。フォシーガの強固な臨床プログラムは、終了済みの試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されています。

アストラゼネカの循環器・腎・代謝 (CVRM) 領域について
循環器・腎・代謝 (CVRM)  はアストラゼネカの三大主要治療領域の一つであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝 疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Mayo Clinic. Heart failure; 29 May 2020 [cited 21 October 2020]. Available from: URL: https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/heart-failure/symptoms-causes/syc-20373142.
2. Dickstein K, et al. ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure 2008: the Task Force for the Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure 2008 of the European Society of Cardiology. Developed in collaboration with the Heart Failure Association of the ESC (HFA) and endorsed by the European Society of Intensive Care Medicine (ESICM). Eur Heart J 2008; 29:2388-2442.
3. Travessa AMR, Menezes Falcão LF de. Treatment of Heart Failure With Reduced Ejection Fraction-Recent Developments. Am J Ther 2016; 23(2):e531-49.
4. American Heart Association. Ejection Fraction Heart Failure Measurement; 2017 [cited 2 Nov 2020]. Available from: URL: https://www.heart.org/en/health-topics/heart-failure/diagnosing-heart-failure/ejection-fraction-heart-failure-measurement.
5. Ponikowski P et al. 2016 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure: The Task Force for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure of the European Society of Cardiology (ESC) Developed with the special contribution of the Heart Failure Association (HFA) of the ESC. Eur Heart J 2016; 37(27):2129–200.).
6. National Guideline Centre (UK). Chronic Heart Failure in Adults: Diagnosis and Management. London: National Institute for Health and Care Excellence (UK); 2018 Sep. (NICE Guideline, No. 106.) 13, Glossary.
7. McMurray JJV et al. Dapagliflozin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction. N Engl J Med 2019.
8. Vos T et al. Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 328 diseases and injuries for 195 countries, 1990–2016: A systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. The Lancet 2017; 390(10100):1211–59.
9. Mozaffarian D et al. Heart Disease and Stroke Statistics-2016 Update: A Report From the American Heart Association. Circulation 2016; 133(4):e38-360.
10. Mamas MA et al. Do patients have worse outcomes in heart failure than in cancer? A primary care-based cohort study with 10-year follow-up in Scotland. Eur J Heart Fail 2017; 19(9):1095–104.
11. Azad N, Lemay G. Management of chronic heart failure in the older population. J Geriatr Cardiol 2014; 11(4):329–37.

tags

  • 循環器・腎・代謝