西尾 美則
Yoshinori Nishio
呼吸器事業本部(2007年新卒入社)
毎日打たなければいけない注射と、週に1回打つだけの注射。みなさんならどちらを選ぶでしょう。治療効果が変わらないのであれば、おそらくたいていの方が後者を選ばれるのではないでしょうか。けれど、必ずしもそうならないのが現実なのです。
糖尿病は血液中のブドウ糖が多くなる疾患であり、進行すると全身の血管や神経が傷つきさまざまな合併症を引き起こします。糖尿病の患者さんはこれまで、インスリンの分泌を促して血糖値を正常化するため、毎日注射を打たなくてはなりませんでした。当時、西尾が新たに扱うことになったのは、2型糖尿病治療薬として世界初となる週1回投与型の注射剤。これによって注射を打つ苦痛が減るという、患者さんにとっては喜ばしい新薬であるはずなのですが…ここにこの仕事の難しさがあるのです。
医療用医薬品はテレビCMなどによるPRができません。つまり、製薬会社が患者さんに医薬品情報を直接お届けすることができないのです。患者さんに新しい医薬品の情報を伝えるかどうかは、診察を行う医師の判断に委ねられるわけですが、新しい薬を使うということに医師は少なからずリスクを感じるもの。西尾は、新薬を採用していただいた医師の感想を集め、担当する病院の医師一人ひとりに丁寧に伝えていきましたが、思うような結果は得られません。
「一度使ってもらえれば、この医薬品の良さを必ず分かっていただけるはず…」「どうすれば医師がもっと積極的に勧めてくださるだろうか…」そう悩んでいた西尾でしたが、粘り強く医師との関係性を築いていくなかで、「入院パスのプログラムで、患者さんに医薬品を紹介できないか」と医師から相談をいただいたのです。入院パス(クリニカルパス入院)とは、栄養指導や血糖自己測定の手技について学ぶことを目的とした入院プログラムのこと。インスリン投与が必要な重度の患者さんを対象としたプログラムは以前から存在していましたが、今回はその前段階の患者さんを対象にした初めての取り組みでした。医師としては、担当する患者さんの症状が悪くなる前に治療を行い、生活習慣の見直しなど根本的な部分にも手を打てた方が良いはず。西尾は医師からの相談を受け、すぐに準備に取り掛かりました。
その結果、入院パスは病院内で大好評。患者さんに喜んでいただけたことはもちろん、これを機に新規採用数も順調に増え続け、治療選択肢の多い糖尿病治療薬の領域においてアストラゼネカの製品を必要とする患者さんに確実に届けられる環境を整えることに成功しました。どうすれば患者さんに医薬品を届けることができるかを考え、医師から相談を受けるまでの関係性を築き上げた、西尾の粘りが功を奏したと言えるでしょう。
※記事内容及び社員の所属は取材当時のものです。