アストラゼネカのイミフィンジ、非小細胞肺がんにおける、術前・術後補助療法として日本で承認取得

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)は、イミフィンジ®点滴静注120mgおよびイミフィンジ®点滴静注500mg(一般名:デュルバルマブ(遺伝子組換え)、以下、イミフィンジ)について、「非小細胞肺癌における術前・術後補助療法」を効能又は効果として、2025年9月19日付で承認を厚生労働省より取得しましたことをお知らせいたします。

厚生労働省による本承認は、The New England Journal of Medicineに掲載されたピボタル試験であるAEGEAN試験の結果に基づくものです。

日本では、毎年12万人以上が肺がんと診断されています1。肺がんの約80~85%は非小細胞肺がん(NSCLC)であり2,3、そのうち約20%~25%は切除可能で、根治目的の手術が可能という報告もあります4。この割合は喫煙年数が長く、喫煙する量も多い重喫煙者における肺がんスクリーニング検査の普及に伴って上昇することが予想されます5,6。しかしながら、これら患者さんの多くは再発し、診断後5年生存率は、ステージIIで56%~65%、ステージIIIで24%~41%7ともいわれており、新たな治療選択肢が求められてきました。

本試験では、計画されていた無イベント生存期間(EFS)に関する中間解析において、イミフィンジベースの周術期レジメンで治療した患者さんでは術前補助化学療法単独の場合と比較して、再発、進行または死亡イベントの発現リスクが32%低下したという統計学的に有意かつ臨床的に意義のある結果が認められました(イベント発現割合32%;EFSハザード比[HR]0.68;95%信頼区間[CI]0.53-0.88;p=0.003902)。病理学的完全奏効(pCR)の最終解析において、イミフィンジと化学療法を併用した術前補助療法で治療した患者さんのpCR達成割合は、術前補助化学療法単独の場合の4.28%に対し、17.21%という結果でした(pCR達成割合の差12.96%;95%CI 8.67-17.57)。

さらに、2024年の世界肺がん学会で発表された全生存期間(OS)の中間結果では、イミフィンジベースの周術期レジメンで良好な傾向が示されました(イベント発現割合35.3%;OS中央値:術前補助化学療法単独の場合の53.2カ月に対し、イミフィンジと化学療法を併用した術前補助療法及びイミフィンジによる術後補助療法では未到達[NR];HR=0.89;95% CI 0.70-1.14)。この中間解析でOSデータは統計学的有意性の評価はされておらず、最終解析で主要な副次評価項目として引き続き評価されます。

和泉市立総合医療センター総長 / 近畿大学医学部教授で、この試験のSteering Committeeのメンバーでもある光冨徹哉氏は、次のように述べています。「ステージII~IIIの肺がんは切除可能なことが多いといえども、いまだにその治療成績は満足すべきものではありません。このたびAEGEAN試験において、EFSの有意な延長が示され、デュルバルマブの適応拡大がされたことは極めて意義深く、これらの肺がん患者さんに対する新たな治療オプションとなることが期待されます」。

和歌山県立医科大学 内科学第三講座の教授で、日本肺癌学会の理事長である山本信之氏は、次のように述べています。「白金製剤を含む化学療法および手術を施行した後も依然として高い再発率に直面する切除可能な非小細胞肺がん患者さんに対し、デュルバルマブの化学療法併用による術前補助療法ならびに単剤による術後補助療法は、全生存期間における良好な傾向とともに再発抑制効果を示しました。これにより、これらの患者さんにおけるアンメットニーズを充足し得る、新たな治療選択肢となる可能性が示唆されます」。

アストラゼネカの取締役 研究開発本部長の大津智子は次のように述べています。「本承認は、日本における切除可能な非小細胞肺がん患者さんの転帰改善に向けた重要な一歩であり、より多くの患者さんがこの重要な免疫療法に基づくレジメンを利用できるようになります。この新しい適応症は、治癒の可能性が最も高い、早期肺がんにおける治療を変革する、という当社の取り組みを強調するものであり、今後もAEGEANレジメンのような新しいアプローチをもたらすことに注力していきます」。

<イミフィンジの製品概要>

   
製品名 イミフィンジ®点滴静注120mg、イミフィンジ®点滴静注500mg
英語表記: IMFINZI® Injection 120mg, IMFINZI® Injection 500mg
一般名 デュルバルマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果
  • 切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
  • 非小細胞肺癌における術前・術後補助療法
  • 進展型小細胞肺癌
  • 限局型小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法
  • 切除不能な肝細胞癌
  • 治癒切除不能な胆道癌
  • 進行・再発の子宮体癌
  • 膀胱癌における術前・術後補助療法
用法及び用量 〈非小細胞肺癌における術前・術後補助療法〉
術前補助療法では、他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを3週間間隔で4回まで、60分間以上かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で12回まで、60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。
製造 販売元 アストラゼネカ株式会社

※イミフィンジ電子添文より一部抜粋

イミフィンジの忍容性はおおむね良好で、術前および術後補助療法において新たな安全性シグナルは認められませんでした。さらに、イミフィンジを術前補助化学療法に追加した場合、この併用療法の既知の安全性プロファイルと一致しており、術前補助化学療法単独と比較して患者さんの手術完遂を損なうことはありませんでした。

イミフィンジの本治療法はAEGEAN試験の結果に基づき、米国、中国、EUおよびその他数カ国において、承認されています。また、現在、その他数カ国においてこの適応症について審査中です。

イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、化学放射線療法後に進行が認められていない切除不能なステージIIIのNSCLCにおける根治目的の治療薬として、OSの結果に基づいて、世界的な標準治療となっています。

以上

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肺がんについて
肺がんは、世界中で男女共にがんによる死因の第1位であり、すべてのがんによる死亡の約5分の1を占めています8,9

早期肺がんは、偶発的に撮像された画像で発見され、診断されることがほとんどです10,11。切除可能な病変をもつ患者さんの大部分は、腫瘍の完全切除と術後補助化学療法にもかかわらず、最終的には再発します12

AEGEAN試験について
AEGEAN試験は、PD-L1発現の有無を問わず、切除可能なステージIIAからIIIB(AJCC Cancer Staging Manual第8版における定義)の非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんに対する周術期治療としてのイミフィンジを評価する、第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験です。周術期療法には、術前および術後の治療が含まれ、ネオアジュバント/アジュバント療法とも呼ばれます。本試験では、802人の患者さんがランダム化され、手術前に3週間ごとに1,500mgの固定用量のイミフィンジと化学療法、またはプラセボと化学療法を4サイクル受け、さらに手術後にイミフィンジまたはプラセボを4週間ごとに(最大12サイクル)投与されました。EGFR遺伝子変異またはALK転座が明らかな患者さんは、有効性の主要解析の対象から除外しました。

主要評価項目は、pCR(術前治療後にリンパ節を含めてがん細胞の残存が認められない状態)と、EFS(ランダム化からがんの再発、根治的手術が不可能な進行、死亡などの事象までの期間)です。主要な副次評価項目は、mPR(術前補助療法後のがん細胞の残存率が10%以下)、無病生存期間(DFS)、OS、安全性およびQOLです。最終的な病理学的効果の解析は、全患者さんが試験プロトコルに従って、手術および病理診断を受けた後に実施しました。本試験は、米国、カナダ、欧州、南米、アジアなど25カ国以上の264施設で実施されています。

イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ)はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。

切除可能な早期ステージ(IIA-IIIB)のNSCLCおよび切除不能なステージIIIのNSCLC患者さんにおける適応に加え、イミフィンジは、転移性のNSCLCの治療においても短期間のイジュド(トレメリムマブ)および化学療法との併用療法として承認されています。イミフィンジは、白金製剤を含む同時化学放射線療法(CRT)後に病勢進行が認められていない限局型小細胞肺がん(SCLC)にも承認されており、化学療法(エトポシド+カルボプラチン/シスプラチン)との併用療法で進展型SCLCの治療薬としても承認されています。

イミフィンジは、局所進行または転移性の胆道がんに対する化学療法との併用療法、および切除不能な肝細胞がん(HCC)に対するイジュドとの併用療法としても承認されています。また、イミフィンジは、日本およびEUでは切除不能な肝細胞がんに対する単剤療法として承認されています。

2025年3月には、切除可能な胃がんおよび食道胃接合部がんを対象とした第Ⅲ相MATTERHORN試験において、標準化学療法にイミフィンジを加えた周術期治療が主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)を達成しました
※切除可能な胃がんおよび食道胃接合部がんに対するイミフィンジの適応は、本邦含む全世界で未承認です。

イミフィンジは、米国、欧州、日本およびその他の国々において、筋層浸潤性膀胱がんに対する、術前補助療法と併用した周術期治療薬としても承認されています。また、2025年5月には、第Ⅲ相POTOMAC試験において、高リスク筋層非浸潤性膀胱がんに対し、標準治療であるBacillus Calmette-Guérin(BCG)導入療法および維持療法とのイミフィンジ併用療法が、主要評価項目である無病生存期間を達成しました
※高リスク筋層非浸潤性膀胱がんに対するイミフィンジの適応は、本邦を含む全世界で未承認です。

イミフィンジと化学療法の併用およびその後のイミフィンジ単剤療法は、原発性進行または再発子宮体がん(ミスマッチ修復機能欠損は米国およびEUのみ)の第一選択治療薬として承認されています。イミフィンジと化学療法の併用およびその後のリムパーザ(オラパリブ)およびイミフィンジの併用療法は、日本で、ミスマッチ修復機能が正常な進行または再発子宮体がんの患者さんに対して承認されています。

イミフィンジは世界97カ国で承認されており、2017年5月に世界で初めて承認されて以来、41万4千人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、膀胱がん、乳がん、卵巣がんと数種類の消化器がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても臨床試験が実施されています。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。

アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、治療および治療を超えて肺がんを抱える人々に意義のある改善を提供するために取り組んでいます。

アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。

また、アストラゼネカは、がん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法や、イジュドやその他の新規の免疫療法や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、二重特異性抗体や、細胞治療やT細胞エンゲージャーを含む、標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬などの次世代免疫療法の研究も行っています。

アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を追求しています。当社は、治療耐性を防ぎ、より長い免疫反応を促すために、新しい併用療法アプローチの探索に力を注いでいます。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性を最大化できる、より早期の疾患ステージにおけるIO治療薬の使用も支持しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。アストラゼネカのFacebookInstagramYouTubeもフォローしてご覧ください。

References

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  10. Sethi S, et al. Incidental Nodule Management – Should There Be a Formal Process? J Thorac Dis. 2016:8(Suppl 6);S494-S497.
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