アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)は、イミフィンジ®点滴静注120mgおよびイミフィンジ®点滴静注500mg(一般名:デュルバルマブ(遺伝子組換え)、以下、イミフィンジ)について、「膀胱癌における術前・術後補助療法」を効能又は効果として、2025年9月19日付で承認を厚生労働省より取得しましたことをお知らせいたします。
厚生労働省による本承認は、2024年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のプレジデンシャル・シンポジウムで発表され、同時にThe New England Journal of Medicine誌に掲載された第Ⅲ相NIAGARA試験の結果に基づいています。
本試験において、計画された中間解析時点で、根治的膀胱全摘除術前のゲムシタビンおよびシスプラチンとの併用による術前補助療法、およびその後のイミフィンジ単独による術後補助療法から成るイミフィンジ周術期レジメンで治療された根治切除可能な筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)の成人患者さんは、根治的膀胱全摘除術をともなう術前補助化学療法単独投与を受けた患者さんに対して、病勢進行、再発、手術未施行、または死亡のリスクについて32%という統計学的に有意な低下を示しました(無イベント生存期間[EFS]ハザード比[HR]0.68、95%信頼区間[CI]0.558-0.817、p<0.0001)。EFS中央値の推定値は、対照群の46.1カ月に対し、イミフィンジ併用群では未到達でした。また、2年経過時点で対照群では59.8%が無イベントだったのに対し、イミフィンジ周術期レジメンで治療された患者さんでは67.8%が無イベントでした。
重要な副次評価項目である全生存期間(OS)から得られた結果では、イミフィンジ周術期レジメンは対照群と比較して死亡のリスクを25%低下させたことを示しました(OS HR 0.75、95% CI 0.594-0.934、p=0.0106)。生存期間中央値は、両群とも未到達でしたが、2年経過時点で対照群では75.2%が生存していたのに対し、イミフィンジ周術期レジメンを受けた患者さんでは82.2%が生存していました。
日本で2020年に膀胱がんと診断された患者さんは23,185人で1、9,168人が膀胱がんにより死亡しています2。新たに診断された膀胱がんの約25~30%を占めるMIBCでは3-5、根治を目的に治療が行われているにもかかわらず、現在の標準治療の術前補助化学療法を受けた患者さんのうち約50%が術後に再発を経験しています6。
今回の承認について、筑波大学医学医療系 腎泌尿器外科学教授、筑波大学附属病院副病院長であり、NIAGARA試験の医学専門家である西山 博之先生は次のように述べています。「デュルバルマブをベースとした周術期レジメンは、膀胱がん患者さんにとって重要な新しい治療選択肢となります。NIAGARA試験の結果からは、再発等のリスクを3分の1近く減少させるとともに、生存期間の有意な延長が示されており、現在、術前補助化学療法や根治を目的とした膀胱全摘除術を受けても、半数近くが再発を経験する筋層浸潤性膀胱がん患者さんにとって、本承認は大きな進歩です」。
アストラゼネカの取締役 研究開発本部長の大津 智子は次のように述べています。「NIAGARA試験では、イミフィンジを含むレジメンによる治療を受けた患者さんの80%以上が2年後も生存していることが明らかとなりました。イミフィンジは膀胱がんにおいて日本で初めての周術期免疫療法として、より良い治療法を求める患者さんの強いニーズに応え、今後の標準治療となる可能性を秘めています」。
<イミフィンジの製品概要>
| 製品名 | イミフィンジ®点滴静注120mg、イミフィンジ®点滴静注500mg 英語表記: IMFINZI® Injection 120mg, IMFINZI® Injection 500mg |
| 一般名 | デュルバルマブ(遺伝子組換え) |
| 効能又は効果 |
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| 用法及び用量 | 〈膀胱癌における術前・術後補助療法〉 術前補助療法では、ゲムシタビン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを3週間間隔で4回まで、60分間以上かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で8回まで、60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。 |
| 製造 販売元 | アストラゼネカ株式会社 |
※イミフィンジ電子添文より一部抜粋
イミフィンジの忍容性は全般的に良好であり、術前および術後補助療法において新たな安全性シグナルは観察されませんでした。さらに、術前補助化学療法にイミフィンジを追加する治療法は、この併用療法の既知のプロファイルと一致し、術前補助化学療法単独と比較して患者さんの手術実施を妨げることはありませんでした。免疫介在性有害事象は、イミフィンジの既知のプロファイルと一致しており、管理可能でほとんどが低グレードでした。
イミフィンジの本治療法は、NIAGARA試験の結果に基づき、米国およびEUで承認されています。また、その他数カ国においても規制当局により審査中です。
以上
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膀胱がんについて
膀胱がんは、日本で2020年時点で新たに診断されたがんの中では10番目に多いがんであり、患者さんは23,185人に上ります1。 患者さんの90%以上が50歳以上で1、罹患率は、女性に比べ、男性で約4倍高くなっています7。また、喫煙者は非喫煙者に対し、膀胱がんの罹患リスクが約2~3倍高いと報告されています7。膀胱がんで最も多いのは、尿路上皮細胞から発生する尿路上皮がんです8。膀胱がんは、腫瘍が膀胱の筋層に浸潤し、遠隔転移を伴わない場合にMIBCとみなされます8。
NIAGARA試験について
NIAGARA試験はMIBC患者さんに対する根治的膀胱全摘除術前後の周術期治療薬としてのイミフィンジを評価する、第Ⅲ相国際多施設共同ランダム化非盲検試験です。本試験では、1,063人の患者さんが、膀胱全摘除術前にイミフィンジと術前補助化学療法の併用療法を4サイクル受け、術後にイミフィンジ単剤を8サイクル受ける群と、膀胱全摘除術前に術前補助化学療法のみを受けた後、術後は追加治療を行わない群にランダム化されました。NIAGARA試験は、この適応における最大規模の国際的な第Ⅲ相試験です。
この試験は、北米、南米、欧州、オーストラリアとアジアを含む22カ国および地域の192施設で実施されています。2つの主要評価項目は、EFS、および膀胱全摘除術時の病理学的完全奏効です。重要な副次評価項目はOSと安全性です。
イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ)はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
2025年5月には、第Ⅲ相POTOMAC試験において、イミフィンジと標準治療であるBacillus Calmette-Guérin導入療法および維持療法の併用療法が、高リスクの筋層非浸潤性膀胱がん患者さんの無病生存期間という主要評価項目を達成しました※。
※高リスク筋層非浸潤性膀胱がんに対するイミフィンジの適応は、本邦を含む全世界で未承認です。
膀胱がんでの適応に加え、イミフィンジは、化学放射線療法(CRT)後に病勢進行していない切除不能なステージIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんに対する治癒目的の治療における全生存期間(OS)に基づいた、世界的な標準治療です。また、イミフィンジは切除可能なNSCLCにおける術前補助化学療法と併用した周術期治療、また、転移性のNSCLCの治療においても短期間のイジュド(トレメリムマブ)および化学療法との併用療法として承認されています。イミフィンジは、白金製剤を含む同時CRT後に病勢進行が認められていない限局型小細胞肺がん(SCLC)にも承認されており、化学療法との併用療法で進展型SCLCの治療薬としても承認されています。
イミフィンジは局所進行または転移性の胆道がんに対する化学療法との併用療法、および切除不能な肝細胞がん(HCC)に対するイジュドとの併用療法についても承認されています。また、イミフィンジは、日本およびEUでは切除不能な肝細胞がんに対する単剤療法としても承認されています。
2025年3月には、切除可能な胃がんおよび食道胃接合部がんを対象とした第Ⅲ相MATTERHORN試験において、標準化学療法にイミフィンジを加えた周術期治療が主要評価項目であるEFSを達成しました※。
※切除可能な胃がんおよび食道胃接合部がんに対するイミフィンジの適応は、本邦含む全世界で未承認です。
イミフィンジと化学療法の併用およびその後のイミフィンジ単剤療法は、原発性進行または再発子宮体がん(ミスマッチ修復機能欠損疾患は米国およびEUのみ)の第一選択治療薬として承認されています。イミフィンジと化学療法の併用およびその後のリムパーザ(オラパリブ)およびイミフィンジの併用療法は、日本で、ミスマッチ修復機能が正常な進行または再発子宮体がんの患者さんに対して承認されています。
イミフィンジは世界97カ国で承認されており、2017年5月に世界で初めて承認されて以来、41万4千人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、膀胱がん、乳がん、卵巣がんと数種類の消化器がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても臨床試験が実施されています。
アストラゼネカのがん免疫治療(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。
また、アストラゼネカは、がん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法や、イジュドやその他の新規の免疫療法や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、二重特異性抗体や、細胞治療やT細胞エンゲージャーを含む、標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬などの次世代免疫療法の研究も行っています。
アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を追求しています。当社は、治療耐性を防ぎ、より長い免疫反応を促すために、新しい併用療法アプローチの探索に力を注いでいます。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性を最大化できる、より早期の疾患ステージにおけるIO治療薬の使用も支持しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカは、がん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。アストラゼネカのFacebook、Instagram、YouTubeもフォローしてご覧ください。
References
- 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html#anchor2. Accessed July 2025.
- 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html#anchor1. Accessed July 2025.
- Babjuk M, et al. EAU Guidelines on Non-Muscle-invasive Bladder Cancer (TaT1 and Carcinoma In Situ): 2019 Update. Eur Urol. 2019;76(5):639-57.
- Boccardo F, Palmeri L. Adjuvant chemotherapy of bladder cancer. Ann Oncol. 2006;17(Supplement 5):v129-32.
- Burger M, et al. Epidemiology and Risk Factors of Urothelial Bladder Cancer. Eur Urol. 2013;63(2):234-41.
- Witjes JA, et al. EAU Guidelines on muscle-invasive and metastatic bladder cancer. Eur Urol. 2021;1-94.
- 日本泌尿器科学会 膀胱癌診療ガイドライン2019年版[増補版](2023年発行)https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/39_bladder_cancer_2019_v2.pdf. Accessed July 2025.
- American Cancer Society. What Is Bladder Cancer? Available at: https://www.cancer.org/cancer/bladder-cancer/about/what-is-bladder-cancer.html. Accessed June 2025.