| 本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年12月21日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。 |
新規ホルモン製剤との併用で臨床的に意義のある有用性を示し、承認された初のPARP阻害剤
リムパーザとアビラテロンの併用療法はこの対象疾患において
画像診断に基づく無増悪生存期間中央値を2年超に延長
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、化学療法が臨床上適応とならない転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の成人患者さんに対する治療薬として、リムパーザ(一般名:オラパリブ)とアビラテロンおよびPrednisone/プレドニゾロンとの併用療法が欧州連合での販売承認を取得したことを発表しました。
欧州委員会による今回の承認は第Ⅲ相PROpel試験の結果に基づくものであり、2022年11月の欧州医薬品評価委員会による欧州連合での肯定的な勧告に従っています。
本試験において、リムパーザとアビラテロンおよびPrednisone/プレドニゾロンの併用療法は、アビラテロンとPrednisone/プレドニゾロンの併用療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを34%低下させました(ハザード比0.66、95%信頼区間0.54-0.81、p<0.0001)。また。画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値は、アビラテロン単独群の16.6カ月に対し、リムパーザとアビラテロン併用群では24.8カ月でした。さらに、事前に規定されていた盲検下での独立中央判定(BICR)によるrPFS解析では、rPFS中央値は、アビラテロン単独群の16.4カ月に対し、リムパーザとアビラテロン併用群では27.6カ月となり、rPFS中央値をほぼ1年間延長させたことが示されました。
なお、ESMO 2022で発表された事前に規定された2回目の解析から得られた最新の結果からは、リムパーザとアビラテロンの併用療法は、アビラテロン単剤療法との比較において全生存期間の延長傾向が示されましたが(ハザード比0.83、95%信頼区間0.66-1.03、p=0.11)、データカットオフ時点(イベント発現割合が40%時点での解析)では、統計学的に有意な差は認められませんでした。
欧州において、前立腺がんは男性では最も多いがんであり、2020年には推定473,000人の患者さんが診断され、108,000人が死亡しました1,2。mCRPC患者さんの全生存期間は、臨床試験では約3年で、実臨床ではさらに短くなることが報告されています3。mCRPC患者さんの約半数は、積極的治療として一次治療しか受けられず、後治療の効果は低下します4-9。
英国マンチェスターにあるChristie/Salford Royal Hospitalsおよびマンチェスター大学の泌尿器外科医および泌尿器腫瘍学教授であり、PROpel試験の上級治験担当医師であるNoel Clarke医師は次のように述べています。「第Ⅲ相PROpel試験の結果は、一次治療としてのオラパリブとアビラテロンの併用療法が転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者さんに大きな臨床的有用性をもたらす可能性があることを示しています。欧州連合におけるこの疾患の患者さんに、今初めてこの新たな併用療法から効果を得る機会が訪れます」。
アストラゼネカのエグセクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニットの責任者であるDave Fredricksonは次のように述べています。「多くの転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんは、病勢進行が速く、積極的治療として一次治療しか受けられない可能性があります。PROpel試験において、リムパーザとアビラテロンの併用療法は、標準治療と比較して、病勢進行のリスクを34%低下させたことが示されました。さらに、一次治療としてのリムパーザとアビラテロンの併用療法は、リムパーザ単剤療法による二次治療としてのPROfound試験における患者さんの対象より、さらに幅広い転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者さんに対するリムパーザの使用が可能になります。本日の承認は、欧州連合における転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんのアンメットニーズへの対処に向けての大幅な進歩を示しています」。
MSD研究開発本部のグローバルクリニカルディベロップメント責任者兼チーフメディカルオフィサーであるEliav Barr氏は次のように述べています。「MSDは、より多くの治療を緊急に必要とする複雑な疾患である転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者さんのための新たな治療選択肢を開発することに取り組んでいきます。欧州委員会による今回の承認は、その取り組みを果たすことへの新たな一歩を示しており、リムパーザの効果が欧州連合におけるより多くの転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんに拡大されることを期待しています」。
PROpel試験におけるリムパーザとアビラテロンの併用療法の安全性および忍容性は、過去の臨床試験で観察されたものおよび個々の医薬品の既知のプロファイルと一貫していました。リムパーザとアビラテロンの併用療法を受けた患者さんでは、アビラテロンの投与中止割合の上昇は認められず、アビラテロン単剤療法と比較して健康関連の生活の質(前立腺がん治療の機能的評価[FACT-P]質問票)への悪影響は認められませんでした。
8月に、米国で成人のmCRPC患者さんに対するリムパーザとアビラテロンおよびPrednisone/プレドニゾロンの併用療法る医薬品承認事項変更申請(sNDA)が受理されました。処方箋医薬品ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査結果は、2023年第1四半期中になる見込みです。
リムパーザは、第Ⅲ相PROfound試験の結果に基づき、エンザルタミドまたはアビラテロンによる前治療後に進行した相同組換え修復(HRR)遺伝子変異を有するmCRPC(BRCA遺伝子変異陽性および他のHRR遺伝子変異陽性)患者さんに対する単剤療法として米国で承認されており、欧州、日本および中国では、新規ホルモン製剤治療を含む前治療後に進行したBRCA遺伝子変異陽性mCRPC患者さんに対する治療として承認されています。
※転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)のアビラテロンとの併用療法におけるリムパーザの適応およびPrednisoneは、本邦未承認です。
財務上の考慮事項
リムパーザのEUでの承認を受けて、アストラゼネカはMSDからマイルストーンの支払いとして1億500万ドルを受領し、2022年第4四半期に共同収益として計上します。
以上
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転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
転移性前立腺がんは死亡率の高いがんです10。前立腺がんの進展は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます11。
男性ホルモンの作用を阻害するアンドロゲン除去療法を行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した場合、mCRPCと診断されます12。進行性前立腺がんの患者さんの約10~20%は5年以内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行し、そのうち84%以上の患者さんはCRPC診断時に転移を有しています12。また、CRPC診断時に転移のない患者さんであっても、そのうちの33%は2年以内に転移が確認されます12。
タキサン系抗がん剤と新規ホルモン製剤(NHA)による治療により、この10年間でmCRPC治療は進歩していますが、この集団におけるアンメットニーズは高いと考えられます12-15。
PROpel試験について
PROpel試験は、化学療法またはNHAによる治療歴のないmCRPC患者さんを対象に、アビラテロンおよびPrednisone/プレドニゾロンに加えてリムパーザを投与した場合の有効性、安全性、忍容性をプラセボおよびアビラテロンとの併用と比較検討する無作為化二重盲検多施設共同第Ⅲ相試験です。
主要評価項目はrPFSであり、副次評価項目には全生存期間(OS)、2回目の病勢進行または死亡までの期間(PFS2)および初回の後治療までの期間(TFST)が含まれます。
第Ⅲ相PROpel試験では、リムパーザはアンドロゲン受容体(AR)経路を標的とするNHAであるアビラテロンと併用されました。
ARシグナル伝達は、前立腺がんにおける腫瘍細胞の増殖と生き残りに重要な転写プログラムに関与しています16,17。前臨床試験では、PARPシグナル伝達とAR経路との相互作用が確認されており、HRR欠損を有する前立腺がんでもHRR欠損のない前立腺がんでも、リムパーザとアビラテロンのようなNHAの併用による抗腫瘍作用が報告されています18-20。
PARP1タンパク質は、アンドロゲン受容体の転写活性に必要であることが報告されています。したがって、リムパーザでPARPを阻害すると、アンドロゲン受容体の標的遺伝子の発現が損なわれ、NHAの活性が高まると考えられています16,19,21。また、アビラテロンは、HRR欠損表現型を誘発し、これによりPARP阻害に対する感受性を高めると考えられる一部のHRR遺伝子の転写を変化/阻害する可能性があると考えられています18,20,22,23。
さらなる情報については、ClinicalTrials.gov.をご覧ください。
リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異など、あるいは他の薬剤(NHAなど)により誘発される相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。
リムパーザによるPARPの抑制は、DNA一本鎖切断、複製フォーク停止に結合したPARPの捕捉、それらの崩壊およびDNA二本鎖切断の生成およびがん細胞死をもたらします。
リムパーザは現在、様々ながん種を対象に多くの国で承認されており、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法を含め、BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)および相同組換え修復欠損(HRD)を有する進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として、単独療法およびベバシズマブとの併用療法がそれぞれ用いられています。さらに、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性転移性乳がん(EUおよび日本では局所進行乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がん(日本ではすべてのBRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm転移性膵がん、およびHRR関連遺伝子変異陽性mCRPC(EUおよび日本ではBRCAmのみ)に対しても承認されています。中国においては、リムパーザはBRCA遺伝子変異陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬、ならびにBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんにおける初回治療後の維持療法として承認されています。
アストラゼネカとMSDにより共同で開発、商業化が行われているリムパーザは、全世界で75,000人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザはPARP阻害剤として最も広範な臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは、さまざまながん種にわたり、リムパーザが単剤療法および他の薬剤との併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するために協業しています。リムパーザは、がん細胞におけるDDRメカニズムを標的としたアストラゼネカの業界トップクラスの新薬候補ポートフォリオの基盤となる薬剤です。
アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害薬であるKoselugo(セルメチニブ)について、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。
両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
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