リムパーザとアビラテロンとの併用療法、転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として、米国で優先審査指定を取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年8月16日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

リムパーザは、相同組換え修復(HRR)遺伝子変異の有無にかかわらず
新規ホルモン製剤との併用療法で臨床的有効性を示した最初のPARP阻害薬

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、米国食品医薬品局(FDA)が、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の成人患者さんの治療薬として、リムパーザ(一般名:オラパリブ)とアビラテロンおよびprednisone/プレドニゾロンとの併用療法の追加承認申請(sNDA)を受理するとともに、同剤を優先審査品目に指定したことを発表しました。

リムパーザは、アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っています。

FDAによる優先審査は、安全性または有効性の改善、重篤な症状の予防、患者コンプライアンスの向上によって、現在使用が可能な治療選択肢よりも著しい進捗をもたらす医薬品に付与されます1。処方箋医薬品ユーザーフィー法(PDUFA)に基づくFDAが目標とする審査の判断期日は、2022年第4四半期中です。

米国において、前立腺がんは男性では2番目に多いがんであり、2022年には約3万5000人が死亡すると予測されています2。mCRPC患者さんの全生存期間は、臨床試験において約3年間であり、臨床現場ではさらに短いと予想されます3-6。また、mCRPC患者さんの約半数は積極的治療を1次治療しか受けておらず、その後の治療効果が減少しています6-11

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&Dの責任者であるSusan Galbraithは次のように述べています。「mCRPCと診断された患者さんの予後は依然として不良で、深刻なアンメットニーズが残されており、治療選択肢も限られています。今回のニュースは、この適応において、非常に必要性の高い新しい治療選択肢を前進させるさらなる一歩です。承認されれば、リムパーザとアビラテロンの併用療法は、mCRPC患者さんに対するPARP阻害薬と新規ホルモン製剤による最初の併用療法となります」。

MSD研究開発本部のグローバルクリニカルディベロップメント責任者兼チーフメディカルオフィサーであるEliav Barr氏は次のように述べています。「MSDは、さらなる治療法が早急に必要な複雑な疾患であるmCRPCの患者さんのために、新たな治療選択肢の開発に取り組んでいます。HRR遺伝子変異の有無にかかわらず、mCRPC患者さんに新たな治療選択肢をもたらすという目標に向けて、FDAと協力していけることを期待しています」。

今回の追加承認申請は、2022年米国臨床腫瘍学会泌尿生殖器がん(ASCO GU)シンポジウムで発表された第Ⅲ相PROpel試験に基づいています。なお、本試験の結果はNEJM Evidence誌に掲載されました。

第Ⅲ相PROpel試験において、リムパーザとアビラテロンの併用療法は、アビラテロン単剤療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを34%低下させたことが示されました(ハザード比0.66;95%信頼区間0.54-0.81;p<0.0001)。画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値は、アビラテロン単独群の16.6カ月に対し、リムパーザとアビラテロン併用群では24.8カ月でした。リムパーザとアビラテロンの併用療法における安全性および忍容性は、過去の臨床試験で観察されたものおよび個々の薬剤の既知のプロファイルと一貫していました12

リムパーザは、エンザルタミドまたはアビラテロンによる治療後に病勢進行した、HRR関連遺伝子変異(BRCA遺伝子変異または他のHRR関連遺伝子変異)を有するmCRPC患者さんに対して米国で承認されており、EU、日本、および中国では、新規ホルモン製剤を含む治療後に病勢進行した、BRCA遺伝子変異を有するmCRPC患者さんに対し承認されています。これらの承認は、第Ⅲ相PROfound試験の結果に基づいています。

※アビラテロンおよびprednisone/プレドニゾロンとの併用療法におけるmCRPCの一次治療に対するリムパーザの適応は、本邦未承認です。

以上

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転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
転移性前立腺がんは死亡率の高いがんです13。前立腺がんの進展は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます14

男性ホルモンの作用を阻害するアンドロゲン除去療法を行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した場合、mCRPCと診断されます7。進行性前立腺がんの患者さんの約10~20%は5年以内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行し、そのうち84%以上の患者さんはCRPC診断時に転移を有しています7
また、CRPC診断時に転移のない患者さんであっても、そのうちの33%は2年以内に転移が確認されます6

タキサン系抗癌剤とNHAによる治療により、この10年間でmCRPC治療は進歩していますが、この集団におけるアンメットニーズは高いと考えられます7,9,10,15

PROpel試験について
PROpel試験は、化学療法またはNHAによる治療歴のないmCRPC患者さんを対象に、アビラテロンに加えてリムパーザを投与した場合の有効性、安全性、忍容性をプラセボおよびアビラテロンとの併用と比較検討する無作為化二重盲検多施設共同第Ⅲ相試験です。

両治療群の患者さんには、prednisoneまたはプレドニゾロンのいずれかを1日2回投与します。主要評価項目はrPFSであり、副次評価項目には全生存期間(OS)、2回目の病勢進行または死亡までの期間(PFS2)、および初回の後治療または死亡までの期間(TFST)が含まれます。

さらなる情報については、ClinicalTrials.gov.をご覧ください。

リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異など、あるいは他の薬剤(NHAなど)により誘発されるHRRの欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。

リムパーザによるPARP阻害は、DNA一本鎖切断に結合するPARPと結合し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。第Ⅲ相PROpel試験では、リムパーザはアンドロゲン受容体(AR)経路を標的とするNHAであるアビラテロンと併用されました。

アンドロゲン受容体シグナル伝達は、前立腺がんにおける腫瘍細胞の増殖と生き残りにかかわる転写プログラムに関与しています16,17。前臨床試験では、PARPシグナル伝達とAR経路との相互作用が確認されており、HRR欠損を有する前立腺がんでもHRR欠損のない前立腺がんでも、リムパーザとアビラテロンのようなNHAの併用による抗腫瘍作用が報告されています18-20

PARP1タンパク質は、アンドロゲン受容体の転写活性に必要であることが報告されています。したがって、リムパーザでPARPを阻害すると、アンドロゲン受容体の標的遺伝子の発現が損なわれ、NHAの活性が高まると考えられています16,19,21。また、アビラテロンは、HRR欠損を誘発し、PARP阻害に対する感受性を高めると考えられる一部のHRR遺伝子の転写を変化/阻害する可能性があると考えられています18,20,22,23

リムパーザは現在、DDR経路に欠陥や依存性があるPARP依存性の腫瘍タイプの治療薬として、多くの国で承認されており、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法を含め、BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)および相同組換え修復欠損(HRD)を有する進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として、単独療法およびベバシズマブとの併用療法がそれぞれ用いられています。さらに、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性転移性乳がん(EUおよび日本では局所進行乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がん(米国・EUのみ)、生殖細胞系列BRCAm転移性膵がん、およびHRR関連遺伝子変異陽性mCRPC(EUおよび日本ではBRCAmのみ)に対しても承認されています。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。

なお、本リリースに記載の効能又は効果(適応症)については本邦で承認されている記載と異なる場合があります。本邦における承認状況については、最新の電子化された添付文書をご確認ください。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害薬であるKoselugo(セルメチニブ)について、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。

両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については
https://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
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