有意な生存期間の延長を示した3つの第Ⅲ相試験
TOPAZ-1試験、HIMALAYA試験、POSEIDON試験に基づく承認取得
アストラゼネカの免疫チェックポイント阻害薬、消化器がんを適応症とした初の承認取得
アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)は、2022年12月23日付で、イミフィンジ®(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])が「治癒切除不能な胆道癌」および「切除不能な肝細胞癌」を適応症に、また、イジュド®(一般名:トレメリムマブ[遺伝子組換え]、以下、イジュド)はイミフィンジとの併用療法が、「切除不能な肝細胞癌」および「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を適応症に厚生労働省より承認されたことをお知らせいたします。
(本件に関するグローバルの発表は、こちらをご覧ください。https://www.astrazeneca.com/media-centre/press-releases/2022/imfinzi-imjudo-approved-in-japan-for-3-cancers.html)
胆道がん(BTC)におけるイミフィンジ
イミフィンジと化学療法の併用療法が承認されたことにより、これまで10年以上にわたり限られた治療法しかなかった治癒切除不能なBTCに対して初めて免疫治療薬による治療が受けられるようになります。今回の承認は、The New England Journal of Medicine Evidence誌に掲載された第Ⅲ相TOPAZ-1試験の中間解析に基づいています。
BTCは、胆管および胆囊に発症する希少かつ悪性度が高いがんです1,2。2021年、日本では約2万3300人がBTCと診断され、女性におけるがん関連死の第6位、男性においては第7位でした3。全病期のBTC患者さんの5年生存率は約19%~31%となっていますが、進行BTC患者さんにおいては2.7%~5.6%と、予後は不良です3。
肝細胞がん(HCC)におけるイミフィンジとイジュド
切除不能な肝細胞がんに対してイミフィンジとイジュドの併用療法が承認されたことにより、2剤の免疫治療薬による治療を受けられるようになります。今回の承認はThe New England Journal of Medicine Evidence誌に掲載された第Ⅲ相HIMALAYA試験の結果に基づくものです。なお、本試験は同じくHCCに対するイミフィンジ単剤療法の承認根拠にもなっています。
日本においてHCCはがん死因の第5位であり、世界では6番目に多く診断されるがんです4,5。HCCは肝がんの最も一般的な型であり、その80%はアジア太平洋地域で発症しています4,6。日本では毎年約4万5000人がHCCと診断され、約3万2000人が死亡しています7,8。
非小細胞肺がん(NSCLC)におけるイミフィンジとイジュド
切除不能な進行・再発NSCLCに対するイミフィンジ、イジュドおよび白金製剤を含む化学療法との併用療法に対する今回の承認は、Journal of Clinical Oncology誌に掲載された第Ⅲ相POSEIDON試験の結果に基づくものです。
日本において、肺がんは最も多く診断されているがんであり、2020年には13万8000人以上の患者さんが診断を受けています4。また、日本における転移性NSCLCの予後は特に不良であり、診断後、無治療の場合、3年生存率は20%未満となっています3。
アストラゼネカの執行役員 研究開発本部長の大津 智子は次のように述べています。「日本をはじめとするアジア諸国では、他の地域と比較して肝がんおよび胆道がんと診断される患者さんの割合が高く、また肺がんに関しては、他国よりも日本の発症率が低いにもかかわらず、依然としてがんによる死因の1位となっています。今回のイミフィンジとイジュドの承認により、予後の悪い3つのがん種に対して有意な生存期間の延長効果を示した免疫チェックポイント阻害剤による治療を日本の患者さんに新たな選択肢として提供できることを大変嬉しく思います」。
以上
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TOPAZ-1試験について
TOPAZ-1試験は、肝内胆管がん、肝外胆管がんおよび胆嚢がん(乳頭部がんを除く)などの切除不能な進行または転移性BTC患者さん685例を対象とした、第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験です。本試験では、BTCの一次療法として、イミフィンジと化学療法(ゲムシタビンおよびシスプラチン)の併用療法と、プラセボと化学療法の併用療法を比較しました。
主要評価項目は全生存期間(OS)であり、主要な副次評価項目は無増悪生存期間、全奏効率および安全性でした。この試験は、米国、欧州、南米、さらに韓国、タイ、日本や中国などのアジアの数カ国を含む17カ国105施設で実施されました。
HIMALAYA試験について
HIMALAYA試験は、イミフィンジ単剤療法およびイミフィンジ1,500mgに加えて、免疫誘導(プライミング)を目的にイジュド300mgを初回単回追加投与し、その後4週間ごとにイミフィンジを投与するレジメンと、マルチキナーゼ阻害薬である標準治療薬のソラフェニブを比較した第Ⅲ相無作為化非盲検国際多施設共同試験です。
対象は、切除不能な進行HCC患者さんのうち、全身療法による治療歴がなく、局所療法(肝臓とその周辺組織の局所療法)が適さない患者さん合計1,324例でした。
この試験は、米国、カナダ、欧州、南米、アジアなど16カ国181施設で実施されました。主要評価項目は、併用療法群とソラフェニブ群の全生存期間(OS)、重要な副次評価項目はイミフィンジ群とソラフェニブ群のOS、併用療法群とイミフィンジ単剤療法群の客観的奏効率と無増悪生存期間(PFS)でした。
POSEIDON試験について
POSEIDON試験は、ステージIVの(転移性)NSCLCの一次治療として1,013名の患者さんを対象に、イミフィンジと白金製剤を含む化学療法との併用療法、またはイミフィンジ、イジュド、白金製剤を含む化学療法の併用療法と化学療法の単独療法を比較する、第Ⅲ相無作為化、非盲検、多施設共同国際試験です。本試験には、全てのPD-L1発現レベルの非扁平上皮がんまたは扁平上皮がんの患者さんが組み入れられました。なお、EGFR遺伝子変異陽性またはALK遺伝子変異陽性の患者さんは除外されていました。
化学療法との併用療法群の患者さんには、固定用量でイミフィンジ1,500mgまたはイミフィンジ1,500mgおよびイジュド75mgを3週間ごとに最大4サイクルの化学療法に加えて投与した後、4週間ごとのイミフィンジによる維持療法、または4週間ごとのイミフィンジに5回目のイジュド75mgを16週目に投与する維持療法を行いました。化学療法単独群では、6サイクルを上限に化学療法を実施しました。また、すべての治療群において、非扁平上皮がんの患者さんに対しては、化学療法としてペメトレキセドが投与されている場合は必要に応じてペメトレキセド維持療法の併用を許容していました。非扁平上皮がんの患者さんのほぼ全員(95.5%)がペメトレキセドと白金製剤の投与を受けていたのに対し、扁平上皮がんの患者さんの大半(88.3%)がゲムシタビンと白金製剤の投与を受けていました。
本試験の主要評価項目は、化学療法単独群と比較したイミフィンジと化学療法併用療法群のPFSとOSであり、加えて重要な副次評価項目はイミフィンジ、イジュド、および化学療法との併用療法群におけるPFSとOSとしています。なお、イミフィンジと化学療法の併用療法群およびイミフィンジ、イジュド、化学療法の併用療法群の両治療群ともにPFSのエンドポイントを満たしたことから、事前に規定された統計解析計画により、イミフィンジ、イジュド、化学療法の併用療法群のOSに対する有効性の検証を行いました。本試験は、米国、ヨーロッパ、南米、アジアおよび南アフリカを含む18カ国約150施設で実施されました。
イミフィンジについて
イミフィンジはヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
イミフィンジは、化学療法との併用で切除不能または転移性BTCの治療薬として承認されている唯一の免疫治療薬です。さらに切除不能なHCCでは単剤およびイジュドとの併用で承認されています。なお、イジュドと化学療法との併用療法では、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんに、またイミフィンジ単剤においては、化学放射線療法後に進行が認められていない切除不能な局所進行(ステージIII)のNSCLCにおける根治目的の治療薬としても承認されており、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、世界的な標準治療となっています。
また、イミフィンジは、第Ⅲ相CASPIAN試験に基づき進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の治療薬として、米国、欧州、日本およびその他の多くの国々で承認されています。転移性非小細胞肺がんに対するイジュドおよび化学療法との併用が米国および日本で承認されており、局所進行性または転移性胆道がんに対する化学療法との併用が、米国、日本、およびその他の複数の国々で承認されています。切除不能な肝細胞がんに対するイジュドとの併用は、米国と日本で承認されており、さらに単剤療法として、日本では切除不能な肝細胞がんを対象に、承認されています。
2017年5月に初めて承認されて以来、10万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。
広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、小細胞肺がん(SCLC)、NSCLC、膀胱がん、数種類の消化器がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、その他の固形がんの治療として、単独療法ならびに併用療法においても検討されています。
イジュドについて
イジュドは、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を誘導し、がん細胞死を引き起こします。
イジュドは、イミフィンジとの併用療法において切除不能な肝細胞がん(HCC)および進行・再発のNSCLCを対象に日本で承認され、その他にも局所HCC、SCLCおよび膀胱がんなどの様々ながん種でイミフィンジとの併用療法が検討されています。
消化器がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、様々な腫瘍タイプや病期における消化器がんの治療に対して、複数の医薬品による広範な開発プログラムを展開しています。2020年、約510万人が新規に消化器がんと診断され、約360万人が死亡しました9。
このプログラムにおいて、当社は胃がん、HCC、BTC、食道がん、膵がんおよび結腸直腸がんの転帰の改善に全力で取り組んでいます。
イミフィンジは、進行性胆道がんに対する化学療法(ゲムシタビン + シスプラチン)との併用が米国およびその他複数の国々で承認されており、切除不能なHCCに対してはイジュドとの併用療法が米国および日本で承認されています。 なお、日本ではイミフィンジ単剤療法も切除不能なHCCを適応症として承認されています。イミフィンジは、イジュドなどとの併用療法で、早期から後期がんまでを対象とした広範な開発プログラムにおいて、HCC、BTC、食道がんおよび胃がんの治療薬として評価が行われています。
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、膵がんや結腸直腸がんなど、様々な消化器がんの治療薬として、広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを実施しています。リムパーザは、MSD(米国およびカナダではMerck & Co., Inc.)と共同で開発と商業化を行っています。
肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。
当社の包括的なポートフォリオには、革新的な肺がん治療薬であるタグリッソ(オシメルチニブ)、イレッサ®(ゲフィチニブ)、免疫チェックポイント阻害剤であるイミフィンジ®(デュルバルマブ)およびイジュド®(トレメリムマブ)や第一三共と共同開発を進めているエンハーツおよびdatopotamab deruxtecan、HUTCHMEDと共同開発を進めているsavolitinibなど、新薬候補となる開発品および多様な作用機序を組み合わせた開発パイプラインが含まれます。
アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーとして、アライアンスパートナ―とともにイノベーションを促進し、肺がん患者さんの治療を含め、治療を超えた人々に意味のある改善を提供するために取り組んでいます。
アストラゼネカのがん免疫治療(IO)への取り組み
がん免疫治療(IO)はヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは主に、抗腫瘍免疫応答からの回避を克服するよう設計されたものです。当社は、がん種を問わず、より多くのがん患者さんの長期的な生存に貢献するべく、IOに基づく治療アプローチに投資をしています。
また、イミフィンジの単剤療法およびイジュドやその他新規抗体薬との併用療法に対しては、様々ながん種、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。
さらに、当社のIOポートフォリオをアストラゼネカオンコロジー全パイプラインあるいは研究パートナーの放射線療法、化学療法、標的低分子化合物と併用することにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。フェイスブックAstraZeneca.JapanとインスタグラムAstraZeneca / アストラゼネカもフォローしてご覧ください。
References
1. Marcano-Bonilla L, et al. Biliary tract cancers: epidemiology, molecular pathogenesis and genetic risk associations. CCO. 2016;5(5).
2. ESMO. What is Biliary Tract Cancer. Available at:
https://www.esmo.org/content/download/266801/5310983/1/EN-Biliary-Tract-Cancer-Guide-for-Patients.pdf.Accessed November 2022.
3. Foundation for Promotion of Cancer Research. Cancer Statistics in Japan – 2022. Available at:
https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/pdf/cancer_statistics_2022.pdf. Accessed December 2022.
4. World Health Organization. Japan Fact Sheet. Available at:
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/392-japan-fact-sheets.pdf . Accessed December 2022.
5. World Health Organization. Liver Cancer Fact Sheet. Available at:
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/11-Liver-fact-sheet.pdf. Accessed December 2022.
6. Boyle DA. Hepatocellular carcinoma: Implications for Asia-Pacific Oncology Nurses. Asia Pac J Oncol Nurs. 2017;(4)2.98-103.
7. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Estimated number of new cases in 2020, Japan, both sexes, all ages (excl. NMSC). Available at: https://gco.iarc.fr/today/online-analysis-table?v=2020&mode=cancer&mode_population=continents&population=392&populations=392&key=asr&sex=0&cancer=39&type=0&statistic=5&prevalence=0&population_group=0&ages_group%5B%5D=0&ages_group%5B%5D=17&group_cancer=1. Accessed December 2022.
8. Ikeda M, et al. Current status of hepatocellular carcinoma in Japan. Chin Clin Oncol. 2013;2(4):40.
9. World Health Organization. World Cancer Fact Sheet. Available at:
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf. Accessed December 2022.