アストラゼネカのイミフィンジ、化学療法との併用療法で、進行胆道がんの一次治療として死亡リスクを20%低下

本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年1月18日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

TOPAZ-1試験は本疾患を対象とした免疫併用療法により
生存期間の延長が示された初めての第Ⅲ相試験

化学療法との併用療法では化学療法単独と比較して
有害事象による投与中止は増加しなかった

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、第Ⅲ相TOPAZ-1試験の良好な結果から、進行胆道がん(BTC)患者さんの一次治療薬として、アストラゼネカのイミフィンジ®(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])と標準化学療法の併用療法が、化学療法単独と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の延長を示したことを発表しました。

これらの結果は、2022年1月21日に米国臨床腫瘍学会(ASCO)消化器癌シンポジウムで発表されました。

胆道がん(BTC)は胆管や胆嚢にできる希少で悪性度の高いがんです1,2。米国、欧州および日本で約5万人、世界では約21万人が毎年BTCと診断されています3-5。BTCの患者さんの予後は不良で、全患者さんの5年生存率は5%から15%です6

ソウル国立大学病院の内科腫瘍専門医兼ソウル国立大学医学部の教授であり、第Ⅲ相TOPAZ-1試験の治験責任医師でもあるDo-Youn Oh氏は次のように述べています。「進行胆道がんの治療は10年以上もの間大きな進展がなく、今回のTOPAZ-1試験の結果は患者さんにとって非常に大きな進歩です。イミフィンジと化学療法の併用療法は、良好な安全性プロファイルが示されたとともに標準療法と比べて生存期間延長が示されました。現状、予後が非常に不良な進行胆道がん治療において、この併用療法はこれまでの治療を変えうる新たな治療選択肢となる可能性があります」。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「TOPAZ-1試験の結果は、進行胆道がんにおける治療へのこれまでの期待値に挑むものであり、長期生存が可能であることの有力なエビデンスを示すものです。全生存期間は経時的に延長され、2年後の生存は、イミフィンジと化学療法の併用療法を受けた患者さんでは4人に1人と推定されるのに対し、化学療法単独の投与を受けた患者さんでは10人に1人です。これは、この疾患における患者さんの新たな標準療法となる可能性を示しています。私たちは引き続きアンメットニーズの高い消化器がんの治療の進歩に尽力して参ります」。

事前に規定された中間解析において、イミフィンジと標準化学療法の併用療法を受けた患者さんでは、化学療法単独の投与を受けた患者さんと比較して死亡リスクが20%低下しました(ハザード比[HR]0.80、95%信頼区間[CI]0.66-0.97、両側検定によるp=0.021)。OSの中央値は、イミフィンジと化学療法の併用療法では12.8カ月であったのに対し、化学療法単独では11.5カ月でした。治療開始から2年後の時点での患者さんの生存率は、イミフィンジと化学療法の併用療法では推定25%、化学療法単独では10%でした。

解析結果からは、イミフィンジと化学療法の併用療法により、病勢進行または死亡のリスクが25%低下したことも示されました(HR 0.75、95%CI 0.64-0.89、両側検定によるp=0.001)。PFSの中央値は、イミフィンジと化学療法の併用療法では7.2カ月であったのに対し、化学療法単独では5.7カ月でした。イミフィンジと化学療法の併用療法を受けた患者さんは、奏効率(ORR)26.7%であったのに対し、化学療法単独の投与を受けた患者さんのORRは18.7%でした。

イミフィンジと化学療法の併用療法では、化学療法単独と比較して、有害事象(AE)を原因とする投与中止率の上昇は認められませんでした。グレード3または4の治療に関連するAEが、イミフィンジと化学療法の併用療法を受けた患者さんの62.7%および化学療法単独の投与を受けた患者さんの64.9%で認められました。投与中止に至った治療に関連のあるAEは、イミフィンジと化学療法の併用療法を受けた患者さんの8.9%で認められたのに対し、化学療法単独の投与を受けた患者さんでは11.4%でした。

2020年12月、米国において、イミフィンジはBTCの治療薬として希少疾病用医薬品の指定を受けました。2021年10月には、独立データモニタリング委員会が、イミフィンジと化学療法の併用療法における有効性のエビデンスが明確に示されたことから、第Ⅲ相TOPAZ-1試験を中間解析時に非盲検とするよう勧告しました。

ASCO消化器癌シンポジウムでは、切除不能な肝がんの治療におけるイミフィンジの可能性を示した第Ⅲ相HIMALAYA試験のデータも紹介されました。

なお、進行胆道がんの一次治療としてのイミフィンジの化学療法との併用療法は、本邦未承認です。

以上

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胆道がんについて
胆道がん(BTC)は、胆管、胆嚢またはファーター乳頭部(胆管と膵管が小腸に結合する部分)から発生する希少で進行の早い消化器(GI)がんです1,2。胆管がんは中国やタイで多くみられますが、欧米諸国でも罹患率が増加しています1,6。胆嚢がんは南米の一部の地域、インドおよび日本で多く見られます7

乳頭部がんを除いて、BTCは早期では無症状のことが多く、新規患者さんのほとんどが、進行期になってから診断されます。進行期のBTCでは治療選択肢が限られており、予後も不良です8-10

TOPAZ-1試験について
TOPAZ-1試験は、肝内胆管がん、肝外胆管がんおよび胆嚢がん(乳頭部がんを除く)などの切除不能な進行または転移BTC患者さん685例を対象とした、第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験です。本試験では、BTCの一次療法として、イミフィンジと化学療法(ゲムシタビンおよびシスプラチン)の併用療法と、プラセボと化学療法の併用療法を比較しました。

主要評価項目は全生存期間(OS)であり、主要な副次評価項目は無増悪生存期間、全奏効率および安全性でした。この試験は、米国、欧州、南米、さらに韓国、タイ、日本や中国などのアジアの数カ国を含む17カ国105施設で実施されました。

イミフィンジについて
イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。

イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、化学放射線療法後に進行が認められていない患者を対象として、切除不能な局所進行(ステージIII)の非小細胞肺がん(NSCLC)における根治目的の治療薬として承認された免疫療法です。

また、イミフィンジは、第Ⅲ相CASPIAN試験に基づき、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の治療薬として、米国、欧州、日本、中国およびその他の世界中の多くの国々で承認されています。

さらに、前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても複数の国々で承認されています。2017年5月に初めて承認されて以来、10万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。

広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、小細胞肺がん(SCLC)、膀胱がん、数種類の消化器がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、その他の固形がんの治療として、単独療法ならびに併用療法においても検討されています。

消化器がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、様々な腫瘍タイプや病期における消化器がんの治療に対して、複数の医薬品による広範な開発プログラムを展開しています。2020年、約510万人が新規に消化器がんと診断され、約360万人が死亡しました11

このプログラムにおいて、当社は胃がん、肝がん、胆道がん、食道がん、膵がんおよび結腸直腸がんの転帰の改善に全力で取り組んでいます。

イミフィンジは、現在、トレメリムマブなどとの併用療法で、早期から後期がんまでを対象とした広範な開発プログラムにおいて、HCC、胆道がん、食道がんおよび胃がんの治療薬として評価が行われています。

リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、膵がんや結腸直腸がんなど、様々な消化器がんの治療薬として、広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを実施しています。リムパーザは、MSD(米国およびカナダではMerck & Co., Inc.)と共同で開発と商業化を行っています。

アストラゼネカのがん免疫療法(IO)への取り組み
がん免疫療法(IO)はヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療によって支えられています。当社は、がん種を問わず、より多くのがん患者さんの長期的な生存に貢献するべく、IOに基づく治療アプローチに投資をしています。

また、イミフィンジの単剤療法およびトレメリムマブやその他新規抗体薬との併用療法に対しては、様々ながん種、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。

さらに、当社のIOポートフォリオをアストラゼネカオンコロジー全パイプラインあるいは研究パートナーの放射線療法、化学療法、標的低分子化合物と併用することにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については
http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Marcano-Bonilla L, et al. Biliary tract cancers: epidemiology, molecular pathogenesis and genetic risk associations. CCO. 2016;5(5).
2. ESMO. What is Biliary Tract Cancer. Available at:
https://www.esmo.org/content/download/266801/5310983/1/EN-Biliary-Tract-Cancer-Guide-for-Patients.pdf. Accessed January 2022.
3. Siegel R, et al. Cancer Statistics. CA Cancer J Clin. 2020; 70: 7-30.
4. Nakachi K, et al. A randomized Phase III trial of adjuvant S1 therapy vs. observation alone in resected biliary tract cancer: Japan Clinical Oncology Group Study (JCOG1202, ASCOT). Japanese Journal of Clinical Oncology. 2018; 48(4): 392-395.
5. GBD 2017 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators. Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 354 diseases and injuries for 195 countries and territories, 1990-2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet. 2018;392(10159):1789-1858.
6. Turkes F, et al. Contemporary Tailored Oncology Treatment of Biliary Tract Cancers. Gastroenterol Res Pract. 2019; 2019:7698786.
7. Rawla P, et al. Epidemiology of gallbladder cancer. Clin Exp Hepatol. 2019; 5(2): 93-102.
8. Banales JM, et al. Cholangiocarcinoma 2020: the next horizon in mechanisms and management. Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology. 2020; 17: 557-588.
9. Mehrotra B. Gallbladder cancer: Epidemiology, risk factors, clinical features, and diagnosis. Available at:
https://www.uptodate.com/contents/gallbladder-cancer-epidemiology-risk-factors-clinical-features-and-diagnosis.  Accessed January 2022.
10. He XD, et al. Association of metabolic syndromes and risk factors with ampullary tumors development: A case-control study in China. World J Gastroenterol. 2014; 20(28): 9541–9548.
11. WHO. World Cancer Fact Sheet. Available at:
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf. Accessed January 2022.

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