アストラゼネカのリムパーザ、転移性去勢抵抗性前立腺がんの一次治療におけるリムパーザとアビラテロンの併用療法に関する第Ⅲ相PROpel試験の良好な結果がNew England Journal of Medicine Evidenceに掲載

本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年6月21日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

併用療法は、標準治療との比較で相同組換え修復関連遺伝子変異の
有無にかかわらず病勢進行のリスクを34%低下

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD、以下MSD)は、第Ⅲ相PROpel試験で良好な結果が示されたと発表しました。本試験において、アストラゼネカとMSDが共同開発したリムパーザ®(一般名:オラパリブ、以下、リムパーザ)とアビラテロンの併用療法が、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者さんに対する一次治療として、アビラテロン単独療法との比較において、相同組換え修復(HRR)関連遺伝子変異の有無にかかわらず、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)を有意に延長したことが示されました。併用療法がアビラテロン単独療法との比較で病勢進行または死亡のリスクを34%低下させた(ハザード比[HR]0.66、95%信頼区間[CI]0.54-0.81、p<0.0001)ことを示したこの結果が、このたびNew England Journal of Medicine (NEJM) Evidenceに掲載されました1

全世界で前立腺がんは男性では2番目に多いがんであり、2020年には約37万5,000人が死亡しています1。mCRPC患者さんの全生存期間は、臨床試験では約3年とされていますが、実臨床ではそれよりも短い期間であると報告されています2-5。mCRPC患者さんの約半数は、積極的治療として一次治療しか受けられず、その後の治療効果は低下します6-10。HRR関連遺伝子変異は、mCRPC患者さんの約20~30%で発現しています3,11

PROpel試験の共同治験責任医師およびNEJM Evidenceに投稿した論文の共同筆頭著者である、クリスティ/サルフォード・ロイヤル病院の泌尿器外科医でマンチェスター大学の泌尿器腫瘍学教授のNoel Clarke氏は次のように述べています。「転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんの新たな一次治療の選択肢を提示することは極めて重要です。NEJM Evidenceに掲載されたデータは、リムパーザとアビラテロンおよびPrednisoneの併用療法の治療効果の可能性を強調し、DNA修復の欠損が認められている患者さんだけでなく、さらに幅広い患者さんにおいて有効性が期待されています」。

アストラゼネカのチーフメディカルオフィサー兼オンコロジーチーフデベロップメントオフィサーであるCristian Massacesiは次のように述べています。「これらのデータは、リムパーザとアビラテロンおよびPrednisoneの併用療法により、バイオマーカーの状態にかかわらず、患者さんの画像診断に基づく無増悪生存期間が中央値で24.8カ月となったことを示しています。この併用療法が承認されれば、これまで強く待ち望まれていた、患者さんのHRR関連遺伝子変異の有無にかかわらず使用できる新たな治療選択肢となるでしょう」。

MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント兼グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのEliav Barrは次のように述べています。「NEJM EvidenceにおけるPROpel試験データの掲載は、転移性去勢抵抗性前立腺がんの一次治療におけるリムパーザとアビラテロンおよびPrednisoneの併用療法で認められた有用性を反映しています。これらのデータがこの新たな医学誌の掲載論文の1つに選ばれたことを嬉しく思います」。

2021年9月には、予定されていた中間解析において、独立データモニタリング委員会がPROpel試験は主要評価項目であるrPFSにおいて事前に設定した基準を満たしたと結論付けました。この結果は2022年2月の米国臨床腫瘍学会泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO GU)で発表され、安全性および忍容性薬物動態に関する追加データが米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO)(2022年6月6日)で発表されました。

第Ⅲ相PROpel試験では、主要評価項目であるrPFSの中央値(治験責任[分担]医師判定)が、アビラテロン単独療法では16.6カ月に対し、リムパーザとアビラテロンの併用療法では24.8カ月でした。また、BICR(盲検下での独立中央判定)によるrPFSでの感度解析においてもリムパーザとアビラテロンの併用療法がrPFSの中央値をほぼ1年延長したと示され、併用療法では27.6カ月、アビラテロン単独療法では16.4カ月でした。全生存期間(OS)については、このデータカットオフ時点では統計学的有意差に達していませんでしたが、リムパーザとアビラテロンの併用療法では、アビラテロン単独療法との比較で延長傾向がみられました(イベント発現割合28.6%時点での解析、HR 0.86、95% CI 0.66-1.12、P=0.29)。初回の後治療までの期間(TFST)(HR 0.74、95% CI 0.61-0.90)および2回目の病勢進行までの期間(PFS2)(HR 0.69、95% CI 0.51-0.94)といった有効性の副次評価項目、ならびに客観的奏効率(ORR)(オッズ比1.60、95% CI 1.02-2.53)、PSA再発までの期間(HR 0.55、95% CI 0.45-0.68)などの探索的評価項目に関する追加データは、全体集団において、アビラテロン単独療法と比較したリムパーザとアビラテロンの併用療法の治療効果を裏付けるものでした。

リムパーザとアビラテロンの併用療法の安全性および忍容性は、過去の臨床試験で観察されたものおよび個々の医薬品の既知のプロファイルと一貫していました。リムパーザとアビラテロン併用療法による治療を受けた患者さんでは、アビラテロンの投与中止割合の上昇は認められず、アビラテロン単独療法による治療と比較して、健康関連QOL(前立腺がん治療の機能的評価[FACT-P]質問票)への悪影響は認められませんでした。

リムパーザは、エンザルタミドまたはアビラテロンによる治療後に病勢進行した、HRR関連遺伝子変異を有するmCRPC患者さん(BRCA遺伝子変異陽性および他のHRR関連遺伝子変異)に対して米国で承認されており、EU、日本、および中国では、新規ホルモン製剤(NHA)を含む治療後に病勢進行した、BRCA遺伝子変異を有するmCRPC患者さんに対して承認されています。

※転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の一次治療に対するリムパーザの適応およびPrednisoneは、本邦未承認です。

以上

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転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
転移性前立腺がんは死亡率の高いがんです12。前立腺がんの進展は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます13

男性ホルモンの作用を阻害するアンドロゲン除去療法を行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した場合、mCRPCと診断されます6。進行性前立腺がんの患者さんの約10~20%は5年以内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行し、そのうち84%以上の患者さんはCRPC診断時に転移を有しています6

また、CRPC診断時に転移のない患者さんであっても、そのうちの33%は2年以内に転移が確認されます5。タキサン系抗癌剤と新規ホルモン製剤(NHA)治療により、この10年間でmCRPC治療は進歩していますが、一次治療で奏効しない場合、二次治療で抗がん剤療法を行っても治療効果は著しく減少するため、この集団におけるアンメット・メディカル・ニーズは高いと考えられます6,8,9,14

PROpel試験について
PROpel試験は、一次治療として化学療法またはNHAによる治療歴のないmCRPC患者さんを対象に、アビラテロンに加えてリムパーザを投与した場合の有効性、安全性、忍容性をプラセボおよびアビラテロンとの併用と比較検討する無作為化二重盲検多施設共同第Ⅲ相試験です。

両治療群の患者さんには、Prednisoneまたはプレドニゾロンのいずれかを1日2回投与します。主要評価項目はrPFSであり、副次評価項目には全生存期間(OS)、2回目の病勢進行または死亡までの期間(PFS2)、および初回の後治療または死亡までの期間(TFST)が含まれます。

さらなる情報については、ClinicalTrials.gov.をご覧ください。

リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異など、あるいは他の薬剤(NHAなど)により誘発される相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。

リムパーザによるPARP阻害は、DNA一本鎖切断に結合するPARPと結合し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。第Ⅲ相PROpel試験では、リムパーザはアンドロゲン受容体(AR)経路を標的とするNHAであるアビラテロンと併用されました。

アンドロゲン受容体シグナル伝達は、前立腺がんにおける腫瘍細胞の増殖と生き残りにかかわる転写プログラムに関与しています15,16。前臨床試験では、PARPシグナル伝達とAR経路との相互作用が確認されており、HRR欠損前立腺がんでもHRR欠損のない前立腺がんでも、アビラテロンと同様に、リムパーザとNHAの併用による抗腫瘍作用が報告されています17-19

PARP1タンパク質は、アンドロゲン受容体の転写活性に必要であることが報告されています。したがって、リムパーザでPARPを阻害すると、アンドロゲン受容体の標的遺伝子の発現が損なわれ、NHAの活性が高まる可能性があります15,18,20。また、アビラテロンは、HRR欠損を誘発し、PARP阻害に対する感受性を高める可能性のある一部のHRR遺伝子の転写を変化/阻害する可能性があると考えられています17,19,21,22

リムパーザは現在、DDR経路に欠陥や依存性があるPARP依存性の腫瘍タイプの治療薬として、多くの国で承認されており、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法を含め、BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)および相同組換え欠損症(HRD)陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として、単独療法およびベバシズマブとの併用療法がそれぞれ用いられています。さらに、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性転移性乳がん(EUおよび日本では局所進行乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がん(米国のみ)、生殖細胞系列BRCAm転移性膵がん、およびHRR関連遺伝子変異陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(EUおよび日本ではBRCAmのみ)に対しても承認されています。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、がん細胞のDDRを標的治療とした薬剤であり、アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。

なお、本リリースに記載の効能・効果(適応症)については本邦で承認されている記載と異なる場合があります。本邦における承認状況については、こちらをご確認ください。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害薬であるKoselugo(セルメチニブ)について、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。

両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については
https://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
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