特定の遺伝子変異(PIK3CA、AKT1またはPTEN)を有する
進行再発乳がん患者さんを対象に承認された、唯一のAKT阻害薬
遺伝子変異を有する患者集団において、フェソロデックス単独療法との比較で
トルカプとフェソロデックスの併用療法が病勢進行または死亡リスクの50%低減を示した
CAPItello-291試験に基づく承認
アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)は、日本において、「トルカプ®錠」(一般名:カピバセルチブ、以下、トルカプ)について、2024年3月26日付で、フェソロデックス®(一般名:フルベストラント、以下、フェソロデックス)との併用療法で、「内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術切除不能又は再発乳癌」を効能又は効果として、承認を取得しましたことをお知らせいたします。
(本件に関するグローバルの発表は、こちらをご覧ください。
https://www.astrazeneca.com/media-centre/press-releases/2024/truqap-plus-faslodex-approved-in-japan-for-patients-with-advanced-hr-positive-breast-cancer.html)
厚生労働省による本承認は、昨年The New England Journal of Medicineで発表された第Ⅲ相CAPItello-291試験の結果に基づくものです1。本試験では、PI3K/AKT経路の遺伝子変異を有する乳がん患者さんにおいて、トルカプとフェソロデックスの併用療法が、フェソロデックス単剤療法との比較で病勢進行または死亡のリスクを50%低下させたことが示されました(ハザード比0.50;95%信頼区間0.38-0.65;p<0.001;無増悪生存期間(PFS)中央値7.3カ月対3.1カ月)。
2022年に日本で新たに診断された乳がん患者さんは9万人以上で、死亡者は1万7千人以上にのぼります2。 HR陽性乳がん(エストロゲン受容体またはプロゲステロン受容体を発現、またはその両方を発現)は最も一般的な乳がんのサブタイプであり、乳がんの65%以上はHR陽性かつHER2低発現または陰性と考えられています3。また、PIK3CA、AKT1およびPTENの遺伝子変異が高頻度で認められ、HR陽性進行乳がん患者さんの最大50%がこれらの遺伝子変異を有します4-6。HR陽性乳がんの治療には内分泌療法が広く用いられていますが、進行乳がん患者さんは一次治療のCDK4/6阻害薬とエストロゲン受容体標的薬の併用療法に対する耐性を獲得することがあるため、さらなる内分泌療法に基づく治療選択肢が必要です7。
地方独立行政法人東京都立病院機構 がん・感染症センター 都立駒込病院 院長 戸井 雅和先生は次のように述べています。「この度のトルカプとフェソロデックスの併用療法の承認によって、ホルモン受容体(HR)陽性進行乳がんの半数となるPIK3CA、AKT1またはPTENの変異を有する患者さんに待ち望まれていた新たな治療選択肢を提供できるようになり、日本におけるHR陽性進行乳がん治療が進展しました。これらの遺伝子変異の検索は、内分泌療法をベースとする治療の効果を拡大し病勢進行を遅らせるこの併用療法の恩恵を患者さんにもたらすことになり、臨床現場において極めて重要です」。
アストラゼネカの執行役員 研究開発本部長の大津 智子は次のように述べています。「乳がんは、日本の女性において最も罹患率の高いがんであり、新しい革新的な治療選択肢が早急に求められています。このたび、ファーストインクラスのAKT阻害薬であるトルカプが承認されたことは、乳がん患者さんの治療を向上させる重要な一歩となると期待しています」。

CAPItello-291試験において、トルカプとフェソロデックスの併用療法の安全性プロファイルは、この併用療法を評価した過去の試験で確認されたものと類似していました1。
2023年11月、トルカプは1つ以上の遺伝子変異(PIK3CA、AKT1またはPTEN)を有するホルモン受容体(HR)陽性、HER2陰性の局所進行性または転移性乳がんの成人患者さんの治療薬として米国で承認されました。
以上
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財務上の考慮事項
今回の日本での承認を受けて、Astex Therapeutics社は、両社間の合意に沿った将来の販売に関するロイヤルティとともに、日本での同製剤の最初の商業販売に関し、アストラゼネカからのマイルストーンの支払いを受領します。
ホルモン受容体(HR)陽性乳がんについて
乳がんは世界中で2番目に多く診断されているがんであり、がん関連死の主要な原因の1つです8。2022年には世界中で220万人以上が乳がんと診断され、66万6000人以上が死亡しました8。日本では、2022年には9万人以上の患者さんが診断され、死亡者数は1万7000人以上にのぼります2。
HR陽性乳がん(エストロゲン受容体またはプロゲステロン受容体を発現、またはその両方を発現)は、最も一般的な乳がんのサブタイプであり、乳がんの65%以上がHR陽性かつHER2低発現または陰性と考えられます3。また、PIK3CA、AKT1、およびPTENの遺伝子変異は頻繁に起こり、HR陽性進行乳がん患者さんの最大50%に認められます4-6。
HR陽性乳がん細胞の増殖は、多くの場合、エストロゲン受容体(ER)によって促進され、ホルモン療法に感受性を有する乳がん(ER-driven disease)を標的とする内分泌療法は、進行乳がんに対する一次治療として広く実施されており、しばしばCDK4/6阻害薬と併用されます7,9,10。しかし、一部の進行乳がん患者さんでは、CDK4/6阻害薬や既存の内分泌療法に対する耐性が生じます9。一旦耐性が生じると、治療選択肢は制限され、現在CDK4/6阻害薬+内分泌療法による治療後の最適な治療は確立されていません。なお、遠隔転移のあるHR陽性HER2陰性乳がんの5年生存率は34.0%と報告されています3,9,11。
ホルモン療法に感受性を有する乳がん患者さんに対する内分泌療法の最適化と耐性の克服ならびにホルモン療法に抵抗性が生じた乳がん患者さんに対する新たな治療の特定は、盛んに研究が行われている領域です。
CAPItello-291試験について
CAPItello-291試験は、二重盲検、無作為化第Ⅲ相試験です。局所進行性(手術不能)または転移性HR陽性、HER2低発現または陰性(免疫組織化学検査(IHC)0または1+、またはIHC2+in situハイブリダイゼーション(ISH)陰性)の乳がんを対象に、カピバセルチブとフェソロデックスの併用療法の有効性をプラセボとフェソロデックスの併用療法との比較で評価しています。
本試験には、組織学的に確認されたHR陽性、HER2低発現または陰性の乳がん患者さんのうち、CDK4/6阻害薬併用の有無にかかわらず、アロマターゼ阻害薬による治療中または治療後に再発または進行した成人患者さん、進行がんに関しては化学療法一次治療までの患者さん計708人が登録されました。試験には、全患者集団におけるPFS、およびPI3K/AKT経路(PIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子)に変異が認められる腫瘍を有する患者集団におけるPFSの2つの主要評価項目が設定されています。本試験では、腫瘍の約40%にPIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子変異が認められました。また、約70%の患者さんがCDK4/6阻害薬による前治療を受けていました。
※PIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子変異のない患者さんへのトルカプの適応は、本邦未承認です。
トルカプについて
トルカプは、ファーストインクラスの、セリン/スレオニンキナーゼであるAKTの3種類のアイソフォーム(AKT1、AKT2 およびAKT3)の全てを強力かつ選択的に阻害する経口阻害薬です。本剤は、400mgを1日2回、4日間の投与と3日間の休薬からなる間欠投与スケジュールに従って投与されます。この投与スケジュールは、忍容性および標的阻害の程度に基づいて、初期の試験段階で採用されました。
トルカプは、CAPItello-291試験の結果に基づき、1つ以上の遺伝子変異(PIK3CA、AKT1またはPTEN)を有するHR陽性、HER2陰性の局所進行性または転移性乳がんの成人患者さんに対する治療薬として、米国、日本、およびその他数カ国で承認されています。
トルカプは現在、複数の乳がんサブタイプおよび他の腫瘍タイプの治療薬として、単剤療法または確立された治療との併用療法として、第Ⅲ相試験において評価されています。現在進行中の臨床研究プログラムは、PI3K/AKT経路を介したシグナル伝達に依存する腫瘍、およびこの経路に遺伝子変異を有する腫瘍に焦点を当てています。
トルカプは、Astex Therapeutics社との共同研究(およびInstitute of Cancer Research ならびにCancer Research Technology Limited社との共同研究)を経て、アストラゼネカにより創製されました。
フェソロデックスについて
フェソロデックスは、内分泌療法による治療歴がないか、術後抗エストロゲン補助療法中もしくは終了後に再発した再発乳がんや抗エストロゲン療法中に病勢進行した進行性乳がんを対象として、エストロゲン受容体陽性の局所進行性または転移性乳がんの患者さんに対して適応される内分泌療法です。
米国、欧州および日本では、フェソロデックスはCDK4/6阻害薬との併用療法で、内分泌療法後にがんが進行したHR陽性かつHER2陰性の進行性または転移性乳がん患者さんの治療薬としても承認されています。フェソロデックスは、病勢進行のキードライバーであるエストロゲン受容体を遮断し、分解することにより、腫瘍の増殖を遅らせるのに役立つホルモン療法です。
フェソロデックスは、HR陽性進行乳がんの治療薬として単剤療法、またはCDK4/6、PI3K、AKT阻害薬を含む様々な薬剤クラスとの併用療法で承認されており、その他薬剤クラスの医薬品との併用療法で検討されています。
※フェソロデックスのPI3K阻害薬との併用療法は本邦未承認です。
アストラゼネカにおける乳がん領域について
アストラゼネカは、乳がんの生物学的な理解が深まってきていることから、より効果的な治療を患者さんに提供するべく、乳がんの分類や治療に対する現在の臨床的パラダイムへの挑戦、再定義を始めており、乳がんによる死亡をなくすことを目標に掲げています。
アストラゼネカは、生物学的に多様な乳がんの腫瘍環境に対応するべく、異なる作用機序の既承認および開発中の有望な化合物からなる包括的なポートフォリオを有しています。
アストラゼネカは、フェソロデックスおよびゾラデックス(ゴセレリン)による治療成績を継続的に改善し、ファーストインクラスのAKT阻害薬であるカピバセルチブのみならず、次世代の経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であり新薬候補であるカミゼストラントによって、HR陽性乳がん領域の変革を目指しています。
PARP阻害剤リムパーザ(一般名:オラパリブ)は、BRCA遺伝子変異を有する早期および転移性乳がん患者さんに対する標的治療薬です。アストラゼネカとMSD(北米およびカナダではMerck & Co., Inc.)は、これらの状況におけるリムパーザの研究と早期がんにおけるその可能性の探索を継続しています。
悪性度の高い乳がんであるトリプルネガティブ乳がん患者さんに必要な治療選択肢を提供するために、アストラゼネカはトルカプと化学療法の併用療法、イミフィンジとリムパーザを含む他のがん治療薬との併用試験を行います。
※トルカプ、カミゼストラント、乳がんに対するイミフィンジおよびリムパーザを含む他のがん治療薬との併用は本邦未承認です。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカは、がん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。フェイスブックAstraZeneca.Japan とインスタグラム AstraZeneca / アストラゼネカもフォローしてご覧ください。
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