アストラゼネカのイミフィンジ、日本において進展型小細胞肺がんの治療薬として適応拡大

選択可能な化学療法との併用療法において
有意な生存期間の延長および奏効率の改善を示した唯一のPD-1/PD-L1免疫治療薬

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム、以下、アストラゼネカ)は、イミフィンジ®(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え]、以下、イミフィンジ)について、化学療法(エトポシドおよびカルボプラチンまたはシスプラチン)との併用療法で、「進展型小細胞肺癌」(ES-SCLC)を適応症に、本日、厚生労働省より承認を取得しましたのでお知らせいたします。小細胞肺がん(SCLC)は、一般的には化学療法で奏効が認められたとしても再発し、急速に進行する、悪性度が高く増殖の速いがんです1,2

イミフィンジに対する今回の承認は、イミフィンジと化学療法との併用療法が、化学療法単独との比較において、統計学的に有意で臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示した第Ⅲ相CASPIAN試験の良好な結果に基づいています。なお、本試験の結果は2019年のLancet誌に掲載されています3

第Ⅲ相CASPIAN試験の治験担当医師であり、がん研有明病院呼吸器センター長および呼吸器内科部長である西尾 誠人氏は次のように述べています。「日本の進展型小細胞肺がん治療において、約20年間、有意に全生存期間を延長するような治療の進歩がありませんでした。今回、化学療法にイミフィンジを上乗せすることにより有意に全生存期間を延長することが示されたことで、新たに進展型小細胞肺がんがイミフィンジの適応に追加され、進展型小細胞肺がんの一次治療の選択肢を日本の患者さんに提供できるようになりました。忍容性も良好であり、患者さんの状態に応じてイミフィンジとカルボプラチンまたはシスプラチンとを併用できる新たな機会を得ることができました」。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者Dave Fredricksonは次のように述べています。「今回のイミフィンジの承認により、日本の進展型小細胞肺がん患者さんに重要な新しい免疫治療薬の選択肢を提供できることとなりました。ES-SCLC患者さんの予後は特に悪く、5年を超えて生存する割合は僅か2%です。イミフィンジと化学療法との併用療法後のイミフィンジ単独療法による維持療法期は4週間ごとの投与となる利便性の高い治療法であり、生存期間の延長と持続的な奏効をもたらします」。

CASPIAN試験において、2019年6月、イミフィンジと化学療法との併用療法が、化学療法単独との比較で主要評価項目であるOSの延長を示し、死亡リスクを27%低下させました(ハザード比0.73;95%信頼区間0.59-0.91;p値0.0047)。OS中央値は化学療法単独群の10.3ヵ月に対し、イミフィンジと化学療法との併用療法群では13.0ヵ月でした。また、イミフィンジと化学療法との併用療法群では、客観的奏効率(Confirmed)の増加(化学療法単独群58%に対して、イミフィンジと化学療法との併用療法群68%)が示され、化学療法にイミフィンジを追加することで、肺がん関連の症状が悪化するまでの期間が延長することが示されました。

最新の解析データでは、追跡期間中央値が2年を超えた時点でも、イミフィンジと化学療法との併用療法による持続的な有効性が示され(OSハザード比:0.75;95%信頼区間 0.62 -0.91;p値 0.0032(名目上))、OS中央値は化学療法単独群の10.5ヵ月に対し、イミフィンジと化学療法との併用療法群では12.9ヵ月でした。イミフィンジと化学療法との併用療法の安全性および忍容性は、これらの医薬品の既知の安全性プロファイルと一致していました。また、イミフィンジの投与に関連したイミフィンジに対する抗薬物抗体が陽性の患者さんは認められませんでした。

CASPIAN試験における日本人患者さんの有効性および安全性データは、事前に設定された解析において全体集団の結果と同様であることが確認されました。CASPIAN試験においては、化学療法との併用療法として、固定用量のイミフィンジ(1500mg)を3週間間隔で4回を投与し、その後病勢進行するまで4週間間隔で投与しました。

イミフィンジとエトポシドおよびカルボプラチンまたはシスプラチンとの併用療法は、一次治療でのES-SCLCの治療薬として、米国および世界中の数カ国で承認されており、現在その他数か国でも薬事承認審査中です。また、本適応において、先日、EUで承認勧告を取得しました。

広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、同時化学放射線療法後の限局型SCLC患者さんを対象とした第Ⅲ相ADRIATIC試験も進行中です。

以上

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小細胞肺がんについて
肺がんは男女共にがん死亡の主な原因であり、がん死亡の約5分の1を占めています4。日本では、2018年に約119,000人が肺がんと診断され、肺がんによる死亡は約82,000人にのぼりました5。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)とSCLCに大別され、約15%がSCLCに分類されます6。SCLC患者さんの約3分の2は、がんが肺の大部分または体の他の部位に広範囲に拡がっている進展型と診断されます7。SCLCの5年生存率はわずか6%であり、予後は特に不良です7

CASPIAN試験について
CASPIAN試験は、ES-SCLC患者さん805名が参加し、その一次治療を対象とした、無作為化非盲検国際多施設共同第Ⅲ相試験です。本試験では、イミフィンジと化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法、またはイミフィンジと化学療法に免疫チェックポイント阻害剤であるトレメリムマブを追加した併用療法と、化学療法を比較しました。イミフィンジを投与している2つの群においては化学療法を最長4サイクル実施しました。化学療法群においては最長6サイクルの化学療法および予防的頭蓋内照射の実施が認められていました。本試験は、米国、欧州、南米、アジア、中東の23カ国200以上の施設で実施されました。イミフィンジを投与しているどちらの群においてもOSを主要評価項目としました。2019年6月、CASPIAN試験は計画された中間解析で、イミフィンジと化学療法との併用療法において、全生存期間(OS)の延長を示し、主要評価項目の1つを達成しました。なお、2020年3月の解析において、2つ目の治験薬群であるイミフィンジとトレメリムマブとの併用療法群では、OSの主要評価項目を達成しませんでした。

イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ [遺伝子組換え])はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。

イミフィンジは、国際共同第Ⅲ相臨床試験(PACIFIC試験)に基づき、切除不能な局所進行(ステージⅢ)の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法として、米国、日本、中国、ヨーロッパ諸国をはじめ、多くの国々で承認されています。また、前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても米国を含む複数の国で承認されています。

イミフィンジは、広範な開発プログラムの一環として、NSCLC、SCLC、膀胱がん、頭頸部がん、肝がん、胆道がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮体がんおよびその他の固形腫瘍患者さんの治療薬として、単剤療法、および抗CTLA4モノクローナル抗体で新薬候補のトレメリムマブとの併用療法においても検討されています。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、さまざまな病期における異なる組織型の肺がん、治療法、作用機序に対して、承認済みおよび後期臨床開発段階の新薬候補を含め、包括的なポートフォリオを有しています。欧米では10~15%、アジアでは30~40%のNSCLC患者さんがEGFR遺伝子変異を有しており、既承認薬イレッサ®(ゲフィチニブ)およびタグリッソ®(オシメルチニブ)の提供や、現在進行中の第Ⅲ相試験であるADAURA、NeoADAURAおよびFLAURA2によって得られる新たなエビデンスを通じて、遺伝子変異を持つ患者さんのアンメットニーズに応えることを目指しています8-10

当社はまた、タグリッソとc-Met受容体チロシンキナーゼの選択的阻害薬であるサヴォリチニブ、および他の新薬候補との併用療法を評価する、現在進行中の第Ⅱ相SAVANNAHおよびORCHARD試験を通じて、耐性の腫瘍メカニズムを解き明かそうとしています。

また、当社の広範ながん免疫療法の開発プログラムは、すべての肺がん患者さんの4分の3にあたる既知の遺伝子変異を持たない患者さんを対象にしています11。免疫治療ポートフォリオには、PD-L1抗体であるイミフィンジ単剤療法、およびトレメリムマブおよび/または化学療法との併用療法が含まれ、病勢進行が認められた患者さんを対象とした第Ⅲ相試験(POSEIDONおよびPEARL)、治癒の可能性がある初期段階の患者さんを対象とした第Ⅲ相試験(MERMAID-1, AEGEAN、ADJUVANT BR.31、PACIFIC-2、PACIFIC-4、PACIFIC-5、およびADRIATIC)が現在進行中です。さらに、イミフィンジは、まだ開発パイプラインの初期段階にある新薬候補との併用療法を評価する第Ⅱ相併用投与試験(NeoCOAST、COASTおよびHUDSON)においても検討されています。

アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
免疫腫瘍学(IO)はヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療によって支えられています。当社は、がん種を問わず、より多くのがん患者さんの長期的な生存に貢献するべく、IOに基づく治療アプローチに投資をしています。

また、イミフィンジの単剤療法およびトレメリムマブとの併用療法に対しては、様々ながん腫、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保有しています。2014年から2020年までの期間に7つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。

詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。

References
1. National Cancer Institute. NCI Dictionary – Small Cell Lung Cancer. Available at https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/small-cell-lung-cancer Accessed July 2020.
2. Kalemkerian GP, et al. Treatment Options for Relapsed Small-Cell Lung Cancer: What Progress Have We Made? Journal of Oncology Practice, 2018:14;369-370.
3. Paz-Ares L, et al. Durvalumab plus platinum-etoposide versus platinum-etoposide in first-line treatment of extensive-stage small-cell lung cancer (CASPIAN): a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial. The Lancet. 2019;394(10212):1929-1939.
4. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Lung Fact Sheet. Available at http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdf. Accessed July 2020.
5. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Japan Fact Sheet. Available at https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/392-japan-fact-sheets.pdf. Accessed July 2020.
6. LUNGevity Foundation. Types of Lung Cancer. Available at https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer. Accessed July 2020.
7. Cancer.Net. Lung Cancer - Small Cell. Available at https://www.cancer.net/cancer-types/33776/view-all. Accessed July 2020.
8. Szumera-Ciećkiewicz A, et al. EGFR Mutation Testing on Cytological and Histological Samples in Non-Small Cell Lung Cancer: a Polish, Single Institution Study and Systematic Review of European Incidence. Int J Clin Exp Pathol. 2013:6;2800-12.
9. Keedy VL, et al. American Society of Clinical Oncology Provisional Clinical Opinion: Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Mutation Testing for Patients with Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer Considering First-Line EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy. J Clin Oncol. 2011:29;2121-27.
10. Ellison G, et al. EGFR Mutation Testing in Lung Cancer: a Review of Available Methods and Their Use for Analysis of Tumour Tissue and Cytology Samples. J Clin Pathol. 2013:66;79-89.
11. Pakkala, S, et al. Personalized therapy for lung cancer: striking a moving target. JCI Insight. 2018;3(15):e120858.