アストラゼネカのセルメチニブ、日本において、神経線維腫症1型の治療薬として、希少疾病用医薬品の指定を取得

米国の製造販売承認に続き、その他地域でも承認申請を検討中

第Ⅱ相SPRINT試験において、セルメチニブは叢状神経線維腫を有する
NF1小児患者さんの腫瘍縮小効果を示す

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム、以下、アストラゼネカ)は、6月22日、セルメチニブ硫酸塩(以下、セルメチニブ)が希少遺伝性疾患1である神経線維腫症1型(NF1)の治療薬として、日本における希少疾病用医薬品指定を取得いたしましたのでお知らせいたします。

NF1患者さんの約30~50%は、神経鞘で増殖する腫瘍である叢状神経線維腫(PN)を有しています2。これらのPNは、外見の変化、運動機能障害、疼痛、気道機能不全、視覚障害、腸や膀胱の機能不全および変形などの病的状態を引き起こす可能性があります3

厚生労働省は、患者数が5万人未満で、アンメットメディカルニーズが高い疾病の治療を目的とした医薬品に対して、希少疾病用医薬品指定を行っています。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselga は次のように述べています。「NF1は子供たちに甚大な影響を及ぼす可能性があり、NF1の症状であるPNおよび関連する臨床的問題に対する新たな治療薬が緊急に必要とされています。しかしながら、ほとんどの国でその治療選択肢は限られており、今回の指定は、NF1に対する初の治療薬を日本の小児患者さんに提供できる重要な一歩となります」。

米国国立がん研究所(NCI)の米国癌治療評価プログラム(CTEP)によるSPRINT試験の第Ⅰ相および第Ⅱ相のStratum1における客観的奏効率(ORR)は、セルメチニブ単剤を経口投与(1日2回)したPNを有するNF1の小児患者さんにおいて66%(50例中33例、部分奏効を含む)を示しました。ORRは、完全奏効または20%以上の腫瘍縮小を評価基準とする部分奏効が確認された患者数から算出しています。

セルメチニブは、アストラゼネカとMSDが共同開発、商業化を進めている薬剤で、2020年4月に、症候性かつ手術不能なPNを有する2歳以上のNF1小児患者さんに対する治療薬として米国で承認されました。また、PNを有するNF1を適応症とする承認申請が欧州医薬品庁によって受理・審査中であり、その他の地域においても承認申請を検討しています。

※ セルメチニブは本邦では未承認です。

以上

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神経線維腫症1型(NF1)について
NF1は3000~4000人に1人が罹患する遺伝性疾患です1。NF1遺伝子の自発的あるいは遺伝的変異により発症し、皮膚あるいは皮下の柔らかい塊(皮膚の神経線維腫)、皮膚色素沈着(カフェ・オ・レ斑)1、および患者さんの30~50%にみられる神経鞘の腫瘍(叢状神経線維腫[PN])を含む多くの症状を伴います2。これらのPNは、外見の変化、運動機能障害、疼痛、気道機能不全、視覚障害、腸や膀胱の機能不全および変形などの病的状態を引き起こす可能性があります3。PNは幼児期に始まり、重症度は多岐にわたります。また、この疾患によって平均余命が8~15年短縮する可能性があります1,4,5

SPRINT試験について
SPRINT試験の第Ⅰ相および第Ⅱ相のStratum1は、手術不能なPNを有するNF1小児患者さんを対象にセルメチニブ単剤療法を行い、客観的奏効率や患者報告アウトカムおよび機能転機への影響を評価するものです6。本試験の結果はThe New England Journal of Medicine誌に掲載されています7。なお、米国国立がん研究所(NCI)の米国癌治療評価プログラム(CTEP)による本試験は、NCIとアストラゼネカとの共同研究開発契約に基づき、神経線維腫症治療促進プログラム(NTAP)からの追加支援を得て実施されました。

セルメチニブについて
セルメチニブ、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1/2阻害剤)です6。MEK1/2タンパクは、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)経路の上流調節因子です。MEKとERKはともに、RASによって調節されるRAF-MEK-ERK経路の重要な構成要素であり、さまざまな種類のがんで活性化されることが多いです。

セルメチニブはPNを有するNF1の治療薬として、2018年2月に希少疾病用医薬品、2019年4月には画期的治療薬、同年12月には希少小児疾患治療薬として米国FDAから指定を付与されました。さらに、欧州では2018年8月、スイス当局からは同年12月に希少疾病用医薬品として指定を付与されています。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブについて、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを数多く保有しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたOncologyを成長基盤として進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca.(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器疾患を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社については http://www.astrazeneca.co.jp をご覧ください。

References
1. National Institute of Neurological Disorders and Stroke. Neurofibromatosis Fact Sheet. “What is NF1?”. Available at: https://www.ninds.nih.gov/disorders/patient-caregiver-education/fact-sheets/neurofibromatosis-fact-sheet #3162_2 Accessed February 2020.
2. Hirbe AC, Gutmann DH. Neurofibromatosis type 1: a multidisciplinary approach to care. The Lancet Neurology. 2014;13:834–43. DOI: 10.1016/S1474-4422(14)70063-8.
3. Dombi E, Baldwin A, Marcus LJ, et al. Activity of selumetinib in neurofibromatosis type 1-related plexiform neurofibromas. N Engl J Med. 2016;375:2550-2560. DOI: 10.1056/NEJMoa1605943.
4. Rasmussen SA, Yang Q, Friedman JM. Mortality in neurofibromatosis 1: an analysis using U.S. death certificates. Am J Hum Genet. 2001;68:1110-1118.
5. Evans DGR, O'Hara C, Wilding A, et al. Mortality in neurofibromatosis 1: in North West England: an assessment of actuarial survival in a region of the UK since 1989. Eur J Hum Genet. 2011;19:1187-1191. DOI: 10.1038/ejhg.2011.113.
6. Koselugo (selumetinib) [prescribing information]. Wilmington, DE: AstraZeneca Pharmaceuticals LP; 2020.
7. Gross A, Wolters P, Dombi E, et al.  Selumetinib in Children with Inoperable Plexiform Neurofibromas. N Engl J Med. 2020;382: DOI: 10.1056/NEJMoa11912735.

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