セルメチニブ、米国において神経線維腫症I型(NF1)の画期的治療薬として指定

本資料はアストラゼネカ英国本社が2019年4月1日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

NF1に関連する叢状神経線維種(PNs)の症状を有する小児患者さんを対象とした
第II相SPRINT試験に基づいた指定

セルメチニブはMEK1/2阻害剤であり、
アストラゼネカとMSDによる共同開発が進行中

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)とメルク・アンド・カンパニー(本社:米国ニュージャージー、以下「メルク(北米以外ではMSD)」)は、2019年4月1日、MEK 1/2阻害剤であるセルメチニブが、米国食品医薬品局 (FDA) より神経線維腫症I型に対する画期的治療薬に指定されましたので、お知らせいたします。

今回の指定は、神経線維腫症に関連する進行・手術不能な叢状神経線維腫(以下、PNs)を有する3歳以上の神経線維腫症I型(以下、NF1)患者さんを対象としています。NF1は難治性の遺伝性希少疾患です。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselga は、「現在、有効な治療薬がない希少性および重篤な疾患であるNF1 に関連するPNsに対する治療薬としてのセルメチニブの可能性を示すことができました。画期的治療薬としての指定は、この疾患に罹患した患者さんのアンメットニーズが認識され、セルメチニブの潜在的なベネフィットが評価された結果であると言えます」と、述べています。

MSDリサーチラボラトリーズのシニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発の責任者兼チーフメディカルオフィサーであるRoy Baynesは次のように述べています。「今回の新たに付与された画期的治療薬の指定は、開発中であるセルメチニブの価値を立証するものです。指定を受けたことにより、審査が迅速におこなわれ、この薬が患者さんへ1日も早く届けられることを願っています」。

今回の指定は、3歳以上のNF1に関連する進行・手術不能なPNsを有する小児患者を対象にセルメチニブ単剤の経口投与を行った、第II相SPRINT試験のデータに基づいています。この試験結果は、米国国立がん研究所(NCI)が2018年の米国臨床腫瘍学会年次総会において発表しています。

アストラゼネカが付与された画期的治療薬の指定としては、2014年以降において9回目の指定となります。画期的治療薬指定は、重篤な症状の治療を目的とした治療薬や、臨床上重要となる評価項目を既存治療よりも大幅に改善する治療結果を示した医薬品の開発及び規制当局による審査を迅速化することを目的としています。

なお、セルメチニブは希少疾病用医薬品としても2018年2月に米国食品医薬品局(FDA)から、同年8月に欧州医薬品庁からNF1の治療薬として指定を付与されています。

セルメチニブはMEK 1/2阻害剤であり、2003年にArray BioPharma Inc.からアストラゼネカに導出された薬剤です。2017年にアストラゼネカとMSDは、セルメチニブの共同開発・共同商業化契約を締結しました。

NF1遺伝子はニューロフィブロミンと呼ばれる、RAS/MAPK経路を抑制的にコントロールして、細胞の増殖や分化、生存機能を制御する働きをするタンパク質の形成に関係しています。NF1遺伝子の変異によりRAS/RAF/MEK/ERKシグナル伝達に異常がおこり、細胞が過剰に増殖、分裂してしまい、腫瘍の増殖につながります。セルメチニブはこの経路で機能するMEK酵素を阻害することで腫瘍の増殖を抑える可能性があります。

現在、セルメチニブの単独投与及び他の治療との併用で評価する試験が進行中です。
※セルメチニブは本邦未承認薬です。

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SPRINT試験について
SPRINT試験は、米国国立がん研究所(NCI)の米国癌治療効果判定プログラム(CTEP)によって行われている第I/II相試験です。第I相試験は、最適な第II相投与レジメンを特定する目的でデザインされ、その結果はNew England Journal of Medicineに掲載されています1

神経線維腫症I型(NF1)について
神経線維腫症I型(NF1)は、3,000から4,000人に1人の割合で罹患する難治性の遺伝性疾患です2,3。NF1遺伝子の自発的あるいは遺伝的変異により発症し、皮膚上下の柔らかい塊(皮下神経線維腫)、皮膚色素沈着(カフェ・オ・レ斑)、および患者さんの20-25%にみられる神経鞘の腫瘍(叢状神経線維腫)を含む多くの症状を伴います。これらの叢状神経線維腫は、疼痛、運動機能障害、気道機能不全、腸や膀胱の機能不全や閉塞などの病的状態を引き起こすとともに、悪性腫瘍(悪性末梢神経鞘腫瘍)に転換する可能性があります。

NF1患者さんは、学習障害、視覚障害、脊椎の捻転および湾曲、高血圧およびてんかん等の多くの他の合併症を発症する可能性もあります。また、NF1患者さんは、悪性脳腫瘍および悪性末梢神経腫瘍、および白血病を含む他のがんを発症するリスクが増加しています。症状は様々な重症度において幼少期に始まり、平均余命を最長15年短縮する可能性があります4

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、アストラゼネカとメルク・アンド・カンパニー(本社:米国ニュージャージー州ケニルワース、北米以外ではMSD)は、アストラゼネカの世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブの複数のがん種における共同開発・商業化に関するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社はリムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。また、単独で、各社は各々のPD-L1およびPD-1薬との併用でリムパーザおよびセルメチニブを開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたNew Oncologyをアストラゼネカの5つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

 

References
1.Dombi E, et al. Activity of Selumetinib in Neurofibromatosis Type 1–Related Plexiform Neurofibromas. N Engl J Med. 2016; 375:2550-2560.
2.NHS Choices. Neurofibromatosis Type 1. Available at https://www.nhs.uk/conditions/neurofibromatosis-type-1/. Accessed March 2019.
3.Johnson KJ, et al. Development of an International Internet-based Neurofibromatosis Type 1 Patient Registry. Contemporary Clinical Trials. 2013;34:305–311.
4.Evans DGR, et al. Reduced Life Expectancy Seen in Hereditary Diseases Which Predispose to Early-Onset Tumors. Appl Clin Genet. 2013; 6:53–61