アストラゼネカのセルメチニブ(Koselugo)、米国において神経線維腫症1型の小児患者さんを対象に承認取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年4月13日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

希少かつ難治性の遺伝子疾患を対象に承認された初の治療薬

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、2020年4月13日、米国食品医薬品局 (FDA)がMEK阻害剤であるKoselugo(一般名:セルメチニブ、以下、セルメチニブ)を症候性の手術不能な叢状神経線維腫(以下、PN)を有する2歳以上の小児の神経線維腫症1型(以下、NF1)を適応症とする治療薬として承認したことを発表しました1

FDAによる今回の承認は、米国国立がん研究所(NCI)の米国癌治療評価プログラムから支援を受け、NCI小児腫瘍科よって実施されたSPRINT第Ⅱ相試験のStratum 1の結果に基づいています。なお、セルメチニブは、PNを有するNF1に対して世界で初めて承認された治療薬となります1

NF1は、希少かつ難治性の遺伝子疾患です2。NF1患者さんの30~50%は腫瘍が神経鞘内に発生、増殖するPNを有しています。これらのPNは、外見の変化、疼痛、運動機能障害、気道機能不全、腸や膀胱の機能不全や変形などの病的状態を引き起こします2,3

SPRINT試験における客観的奏効率(ORR)は、セルメチニブ単剤を経口投与(1日2回)したPNを有するNF1小児患者群において66%(50例中33例、部分奏効を含む)を示しました。ORRは完全奏効または20%以上の腫瘍縮小を評価基準とする部分奏効が確認された患者数から算出しています。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニットの責任者であるデイヴィド・フレドリクソンは次のように述べています。「この度初めて、患者さん・ご家族に大きな影響を与えてきたPNを有するNF1という難治性の遺伝子疾患に対する治療薬が承認されました。SPRINT試験を支援してくださったNCI、神経線維腫症治療促進プログラム、小児腫瘍財団、NF1の患者団体、そして、この試験に参加くださった患児さんとその親御さん、医師の皆さんに大変感謝申し上げます」。

MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynesは次のように述べています。「これまでこの疾患に対する治療薬は存在していませんでした。今回の承認は、症候性の手術不能なPNを有するNF1の治療を変革する可能性と患者さんの新たな希望となるものであると言えます」。

SPRINT試験の責任医師であり、NCI小児腫瘍科チーフの医学博士・Brigitte C. Widemann氏は次のように述べています。「セルメチニブは治験に参加した子どもたちに大きな変化をもたらしており、今回の承認は患児さんおよび家族にとって重要な治療の進歩であると言えます」。

アストラゼネカとMSDは、セルメチニブを世界的に共同開発・製品化する戦略的提携契約を締結しており、2020年の第1四半期には欧州医薬品庁に対して同様の適応症で承認申請を提出しています。なお、その他の地域における承認申請も検討中です。

※ セルメチニブは本邦では未承認です。

以上

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優先審査バウチャー
アストラゼネカは、希少小児疾患に対する新薬開発を奨励することを目的とした「希少小児疾患指定プログラム」の小児希少疾患優先審査バウチャー(PRV)を取得しました。PRVにより、新薬承認申請1件、またはバイオ製剤承認申請1件についてFDA優先審査の権利を得られるため、審査期間の短縮および迅速な承認につながります。

財務上の考慮事項
MSDとの契約条件に基づき、承認および上市後、アストラゼネカは総利益の半分をMSDへ支払い、その支払いを売上原価とすることでセルメチニブ単剤療法における製品売上の全てを計上します。また、将来見込まれる販売マイルストーン達成に対する支払いは、共同収益として計上します。なお、セルメチニブの製造はアストラゼネカが行います

神経線維腫症1型(NF1)について
神経線維腫症1型(NF1)は、3,000から4,000人に1人の割合で罹患する難治性の遺伝性疾患です。NF1遺伝子の自発的あるいは遺伝的変異により発症し、皮膚あるいは皮下の柔らかい塊(皮膚の神経線維腫)、皮膚色素斑(カフェ・オ・レ斑)2、および患者さんの30~50%にみられる神経鞘の腫瘍(叢状神経線維腫)を含む多くの症状を伴います。これらの叢状神経線維腫は、運動機能障害、疼痛、気道機能不全、視覚障害、腸や膀胱の機能不全および変形などの病的状態を引き起こす可能性があります。

PNは幼少期に始まり、重症度は多岐にわたります。また、この疾患よって平均余命を最長15年短縮する可能性があります2,4

SPRINT試験について
SPRINT第Ⅰ/Ⅱ相試験は、手術不能なPNを有するNF1小児患者さんを対象にセルメチニブ単剤療法を行い、客観的奏効率や患者報告アウトカム(PRO: Patient-Reported Outcome)および機能転機への影響を評価するものです1。本試験の結果はThe New England Journal of Medicine誌に掲載されています5。なお、米国国立がん研究所の米国癌治療評価プログラムによる本試験は、NCIとアストラゼネカとの共同研究開発契約に基づき、神経線維腫症治療促進プログラムからの追加支援を得て実施されました。

セルメチニブについて
セルメチニブ(米国における製品名:Koselugo)は、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1/2阻害剤)です。MEK1/2タンパクは、細胞外シグナル関連キナーゼ(ERK)経路の上流調節因子です。MEKとERKはともに、RASによって調節されるRAF-MEK-ERK経路の重要な構成要素であり、さまざまな種類のがんで活性化されることが多いです。

セルメチニブはPNを有するNF1の治療薬として、2018年2月に希少疾病用医薬品、2019年4月には画期的治療薬、同年12月には小児希少疾患用医薬品として米国FDAから指定を付与、欧州では2018年8月、同年12月にスイス当局(Swissmedic)から希少疾病用医薬品として指定を付与されています。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブについて、複数のがん種において共同開発・商業化する世界的な戦略的提携を発表しました。両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保有しています。2014年から2020年までの期間に少なくとも6つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Koselugo (selumetinib) [prescribing information]. Wilmington, DE: AstraZeneca Pharmaceuticals LP; 2020.
2. National Institute of Neurological Disorders and Stroke. Neurofibromatosis Fact Sheet. “What is NF1?”. Available at: www.ninds.nih.gov/disorders/patient-caregiver-education/fact-sheets/neurofibromatosis-fact-sheet #3162_2 Accessed February 2020.
3. Dombi E, Baldwin A, Marcus LJ, et al. Activity of selumetinib in neurofibromatosis type 1-related plexiform neurofibromas. N Engl J Med. 2016;375:2550-2560. DOI: 10.1056/NEJMoa1605943.
4. Rasmussen SA, Yang Q, Friedman JM. Mortality in neurofibromatosis 1: an analysis using U.S. death certificates. Am J Hum Genet. 2001;68:1110-1118.
5. Gross A, Wolters P, Dombi E, et al. Selumetinib in Children with Inoperable Plexiform Neurofibromas. N Engl J Med. 2020;382: DOI: 10.1056/NEJMoa11912735.