アストラゼネカのPARP阻害剤「オラパリブ」、BRCA遺伝子変異陽性乳癌におけるファースト・イン・クラスの治療薬として、希少疾病用医薬品に指定

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ)は、現在開発中のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤Olaparib(以降、オラパリブ)が、「BRCA遺伝子変異陽性の手術不能または再発乳癌」を予定される効能・効果として、2017年9月29日、厚生労働大臣より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けましたのでお知らせします。

本指定は、アストラゼネカが生殖細胞系列のBRCA遺伝子(BRCA1又はBRCA2遺伝子)に変異を有するHER2陰性転移性乳癌患者さんを対象として行った国際共同第Ⅲ相試験(OlympiAD試験)の結果に基づくものです。同試験において、オラパリブ(300 mg 1日2回投与)による治療を受けた患者さんの無増悪生存期間(PFS)は、医師が選択した化学療法(カペシタビン、エリブリン又はビノレルビンのいずれかを選択)との比較において、統計学的に有意かつ臨床的に有意義な延長を示しました1(ハザード比 0.58; 95% 信頼性区間 0.43-0.80; p=0.0009; 中央値 7.0カ月 対 4.2カ月)。また、安全性についても、過去の試験と概ね一貫した許容可能な安全性プロファイルを示していたことから、オラパリブがBRCA遺伝子変異陽性のHER2陰性転移性乳癌患者さんの病勢進行を遅延させる新たな治療選択肢になり得る可能性があります。

BRCA遺伝子変異陽性乳癌の推定患者数は、本邦において約6,000~10,000人2と極めて稀ながら、散発性の乳癌とは異なる病態的特性を持つことから、HBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome:遺伝性乳癌・卵巣癌症候群)という確立された疾患概念の一部として認識されています。

BRCA遺伝子変異陽性乳癌は、悪性度が高く予後が不良である可能性が示唆されており、その分子生物学上の特性を考慮した治療薬が求められています。特に、延命とQOLの改善が主な治療目的となる進行・再発性のBRCA遺伝子変異陽性乳癌においては、現在の標準治療では効果が限定的で副作用も大きな負担となることから、効果と忍容性の高い薬剤が必要とされていますが、本邦においては、まだ承認されておりません。

乳癌治療領域の第一人者のおひとりである愛知県がんセンター中央病院副院長兼乳腺科部長の岩田広治先生は次のように述べています。「BRCA変異陽性転移乳癌に対し、オラパリブが希少疾病用医薬品の指定を受けたことは、個別化医療を目指している現代医療の観点からも、重要な一歩であると言えます。オラパリブは、ターゲティング治療薬のなかったBRCA変異陽性転移乳癌患者さんに希望を与える薬剤として、私自身も大きな期待を寄せています」。

アストラゼネカ研究開発本部長の谷口忠明は、次のように述べています。
「この度のオラパリブ希少疾病用医薬品指定は、日本のBRCA遺伝子変異陽性の乳癌患者さんに対するオラパリブの医療上の必要性の高さを示すものです。国際共同第III相試験(OlympiAD試験)の結果により、オラパリブがBRCA遺伝子変異陽性の乳癌患者さんの新たな治療選択肢となることを期待しています。アストラゼネカは患者さんにこの画期的な薬剤をいち早くお届けできるよう、引き続き尽力していきます」。

アストラゼネカは、今後もサイエンスの限界に挑戦し続け、患者さんの人生を変える革新的な医薬品の開発と提供に注力してまいります。

以上

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オラパリブについて
オラパリブは、革新的なファースト・イン・クラスのポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導します。本剤はBRCA遺伝子変異陽性卵巣がん患者さんの治療薬としてEUおよび米国の規制当局により承認されています。

オラパリブは、アストラゼネカの業界を主導するがん細胞のDNA損傷応答(DDR)メカニズムを標的とする新薬候補のポートフォリオの基盤となる化合物です。オラパリブ錠は現在乳がん、前立腺がん、膵臓がんを含む一連のがん種において併用治療において検討されています。
*オラパリブは、本邦では未承認です。

BRCA遺伝子変異陽性乳癌について
乳癌は、本邦においては年間約74,000人3が罹患しており、2014年の患者数はおよそ206,000人4と報告されています。このうち、BRCA遺伝子変異陽性乳癌は、推定患者数が約6,000~10,000人2と極めて稀ですが、散発性の乳癌とは異なる病態的特性を持つことから、HBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome:遺伝性乳癌・卵巣癌症候群)という確立された疾患概念の一部として認識されています。

希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)について
希少疾病用医薬品指定制度は、医療上の必要性が高いにもかかわらず、本邦における患者数が少ないことから十分な研究開発が進みにくい医薬品の開発を支援・促進する目的で実施されています。

希少疾病医薬品とは、医薬品医療機器等法に基づき厚生労働大臣から希少疾病用医薬品として指定を受け、優先的に審査される医薬品です。指定には、当該医薬品の用途に係る対象者数が本邦において5万人未満であること、代替する適切な医薬品または治療法がないこと、既存の医薬品と比較して著しく高い有効性または安全性が期待される等の医療上特に優れた使用価値を有すること、対象疾病に対して当該医薬品を使用する理論的根拠があるとともに、その開発に係る計画が妥当であると認められることが必要とされています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間にグローバルにおいて発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたNew Oncologyをアストラゼネカの5つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、呼吸器疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・代謝/消化器疾患、呼吸器疾患を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社についてはhttp://www.astrazeneca.co.jpをご覧ください。

1. アストラゼネカ株式会社 2017年6月6日プレスリリース https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2017/20170606.html
2. 竹井淳子, 山内英子. 家族性乳癌の頻度・診断と治療. 腫瘍内科2015; 16(3): 211-218.
3. 国立がん研究センターがん対策情報センター、地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975~2012年)http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html
4. 厚生労働省 患者調査(2014年)http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/xls/hyo.xls