アストラゼネカのオラパリブ、BRCA遺伝子変異陽性の転移乳がん患者さんの病勢進行または死亡のリスクを有意に低減

本資料はアストラゼネカ英国本社が2017年6月4日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

~OlympiAD試験は、卵巣がん以外の適応症におけるPARP阻害剤の有効性および安全性を評価し、
良好な結果が得られた初めての第III相試験~

~オラパリブ錠は病勢進行または死亡のリスクを42%低減~

~過去のオラパリブ試験と概ね一貫した安全性プロファイル~

アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、第III相OlympiAD試験において、オラパリブ錠(300mg 1日2回投与)による治療を受けた患者さんの無増悪生存期間(PFS)が、医師が選択した標準的な化学療法と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に有意義な延長を示したことを発表しました。オラパリブ投与群は化学療法群(カペシタビン、ビノレルビン、エリブリン)に比べて、盲検下での独立中央判定(BICR)により評価された本試験の主要評価項目であるPFS延長を達成し、病勢進行または死亡のリスクを42%減少したことが示されました(ハザード比 0.58; 95% 信頼性区間 0.43-0.80; p=0.0009; 中央値 7.0ヵ月 対 4.2ヵ月)。

本データは、シカゴで開催中の2017年米国癌治療学会議(ASCO)年次集会の全体集会において、6月4日米中央部夏時間15:00-15:25に発表されました(抄録LBA4)。さらに、本試験は“Best of ASCO”に選ばれ、患者さんおよび医師にとってのこれらの結果の重要性が明示されました。

ニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの臨床遺伝子サービスのクリニックディレクターおよびOlympiAD試験の治験統括医師であるMark E. Robsonは次のように述べました。「本日発表されたOlympiAD試験のデータは、BRCA遺伝子変異陽性進行乳がんの病勢進行を遅らせるオラパリブの有効性を証明しています。代替治療が殆ど無いなか、これまでの化学療法とは異なるこの経口分子標的治療薬は、患者さんにとって有益な選択肢となることでしょう」。

アストラゼネカのグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohenは次のように述べました。「本日発表されたOlympiAD試験の結果は、HER2陰性かつgBRCA遺伝子変異陽性の転移乳がん患者さんにおいて、標的治療薬が、現在の標準治療を超えるベネフィットを有していることを初めて示したものです。同時に、PARP阻害剤が卵巣がん患者さん以外においても有意なベネフィットを示した最初の第III相試験であることから、オラパリブにとっても重要なマイルストーンとなりました」。

本試験の被験者はHER2陰性の生殖細胞系BRCA1またはBRCA2遺伝子変異陽性乳がんの患者さんで、転移がんの1次、2次または3次治療としてオラパリブの投与を受けました。本試験の登録前に、患者さんはアントラサイクリン(禁忌の場合を除く)とタキサンによる治療歴がありました。ホルモン受容体陽性患者さんは、少なくとも一次治療以上の内分泌療法を受けているか内分泌療法が不適切とされた対象患者さんでした。

副次的評価項目では、オラパリブ投与群は化学療法群と比較して二次進行(または死亡)までの期間(PFS2)の改善が見られました(HR 0.57; 95% CI: 0.40-0.83)。さらに、化学療法群の客観的奏効率(ORR)が28.8%であったのに対し、オラパリブ投与群では59.5%であり、2倍以上のORRを示しました。

OlympiAD試験におけるオラパリブの安全性データを評価した結果、新たな安全性に関するシグナルは特定されず、全体的な安全性プロファイルはオラパリブの過去の試験から得られているものと一貫していました。オラパリブ投与群は化学療法群に比べCTCAEグレード3以上の有害事象の発現率が低く(それぞれ36.6% 対 50.5%)、有害事象によって投与を中止した患者さんの割合も低かったことが示されました(それぞれ4.9%と7.7%)。

以上

 

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OlympiAD試験について
OlympiAD試験は302例の病的変異または病的変異疑いに分類される生殖細胞系BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有するHER2陰性転移乳がん患者さんにおけるオラパリブ(300 mg 1日2回投与)の有効性および安全性を医師の選択した化学療法(カペシタビン、ビノレルビンもしくはエリブリンのいずれか1つ)と比較検討した非盲検、無作為化、多施設共同第III相試験です。本国際共同試験は欧州、アジア、北米および南米の19カ国において実施されました。

対象となった患者集団において、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)およびホルモン受容体陽性(ER+および・またはPR+)の患者さんの割合は1対1でした。

本試験の主要評価項目は、盲検下での独立中央判定(BICR)による評価に基づく、無増悪生存期間(PFS)でした。副次的評価項目は全生存期間(OS)、二次進行(または死亡)までの期間(PFS2)、客観的奏効率(ORR)および健康関連の生活の質(HRQoL)でした1

オラパリブについて
オラパリブは、革新的なファースト・イン・クラスの経口ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導します。オラパリブは、業界トップクラスのアストラゼネカのがん細胞のDNA損傷応答(DDR)メカニズムを標的とする既存薬および新薬候補からなる業界有数のポートフォリオの基盤となる薬剤です。

オラパリブは、現在、プラチナ製剤ベースの化学療法に奏効している(完全奏効または部分奏効)プラチナ製剤感受性再発BRCA遺伝子変異(生殖細胞系/体細胞系)高悪性度上皮卵巣がん、卵管がんあるいは原発性腹膜がんの成人患者さんの維持療法として単剤使用がEUで薬事承認されています2。同剤はまた、3回以上の化学療法による前治療歴のある、生殖細胞系BRCA遺伝子に病的変異あるいはその疑いのある変異を有する(FDAより承認された検査で検出)、進行卵巣がん患者さんの単剤療法として米国で承認されています3*。

現在、オラパリブは原発乳がんに対する術後補助療法を検討する第III相試験(OlympiA)が行われています。本試験の患者登録は未だ受け付けており、世界中で患者さんを登録中です。

*オラパリブは、本邦では未承認です。

転移乳がんについて
米国では女性の約8人に1人が乳がんと診断されています4。これら患者さんのうち、約3分の1の患者さんは転移性乳がんと診断されるか転移ステージに病勢が進行しています5。過去30年間に治療選択肢は増加しましたが、転移乳がんと診断された患者さんを治癒する方法は現在ありません。したがって、治療の第一義的な目的は出来る限り長く病勢の進行を遅らせ、患者さんのクオリティ・オブ・ライフを改善あるいは最低限維持することにあります。

生殖細胞系BRCA遺伝子変異について
BRCA1およびBRCA2は損傷したDNAの修復に関わるタンパク質を生成する遺伝子であり、細胞内遺伝子の安定性維持に重要な役割を果たします。これらの遺伝子のいずれかが変異あるいは変化すると、BRCAタンパクが生成しないまたは正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されない可能性があります。その結果、細胞のがん化につながるさらなる遺伝子変化を起こす可能性が高くなります6

BRCA1およびBRCA2の特定の遺伝的変異は女性の乳がんおよび卵巣がんのリスクを高めるとともに、その他の複数種類のがんのリスク上昇と関連するとされてきました。BRCA1およびBRCA2遺伝子変異を合わせると遺伝性乳がんの約20-25%を占めており7、すべての乳がんの約5-10%を占めています8。更に、BRCA1およびBRCA2の遺伝子変異は卵巣がん全体の約15%を占めています5BRCA1およびBRCA2遺伝子変異に関連する乳がんならびに卵巣がんは、非遺伝性の患者さんに比べ若年期に発症する傾向があります。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたNew Oncologyをアストラゼネカの6つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

 

  1. Robson M., Im SA., Senkus E., et al, OlympiAD: Phase III trial of olaparib monotherapy versus chemotherapy for patients (pts) with HER2-negative metastatic breast cancer (mBC) and a germline BRCA mutation (gBRCAm), Presented at the American Society of Clinical Oncology Annual Meeting, Chicago; June 2-6, 2017. http://abstracts.asco.org/199/AbstView_199_186720.html. Last accessed June 2017.
  2. Committee for Medicinal Products for Human Use (CHMP). CHMP summary of positive opinion for Lynparza. Available at: http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Summary_of_opinion_-_Initial_authorisation/human/003726/WC500176336.pdf. Last accessed April 2017.
  3. US Food and Drug Administration (FDA). Lynparza Highlights of Prescribing Information. Available at: http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2014/206162lbl.pdf Last accessed April 2017.
  4. National Cancer Institute. Breast Cancer Fact Sheet. Available at: https://www.cancer.gov/types/breast/risk-fact-sheet Last accessed April 2017.
  5. Dr Joyce O’Shaughnessy; Extending Survival with Chemotherapy in MBC” The Oncologist 2005:10
  6. NCI website – BRCA Fact-sheet … https://www.cancer.gov/about-cancer/causes-prevention/genetics/brca-fact-sheet
  7. Easton DF. How many more breast cancer predisposition genes are there? Breast Cancer Research 1999; 1(1):14–17.
  8. Campeau PM, Foulkes WD, Tischkowitz MD. Hereditary breast cancer: New genetic developments, new therapeutic avenues. Human Genetics 2008; 124(1):31–42.