イミフィンジのレジメン、第Ⅲ相MATTERHORN試験において、化学療法単独群と比較し、早期胃がんの病勢進行、再発または死亡のリスクを29%低減

本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2025年6月1日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。なお、本リリースで発表されているイミフィンジの適応症は国内の承認状況と異なります。

イミフィンジをベースとする周術期レジメンで治療した患者さんの3分の2(67.4%)は
2年時点における無イベント期間を維持

本適応症における第Ⅲ相国際共同試験で、統計学的に有意な
無イベント生存期間を示した初めてかつ唯一の免疫療法

第Ⅲ相MATTERHORN試験の良好な結果から、アストラゼネカのイミフィンジ®(デュルバルマブ)と標準治療であるFLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)化学療法を併用した周術期治療が、化学療法単独と比較して、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したことが明らかになりました。患者さんは手術前にイミフィンジと化学療法の術前補助療法を受け、イミフィンジと化学療法の術後補助療法、その後イミフィンジの単剤療法を受けました。本試験では、切除可能な早期および局所進行(ステージII、III、IVA)の胃がんおよび食道胃接合部(GEJ)がん患者さんにおいて、このレジメンと周術期化学療法単独を比較評価しました。

これらの結果は、イリノイ州シカゴで開催された2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のプレナリーセッション(抄録番号#LBA5)で発表され、同時にThe New England Journal of Medicineに掲載されました。

計画された中間解析では、イミフィンジをベースとする周術期レジメンで治療された患者さんは、化学療法単独群に対して、病勢進行、再発、または死亡のリスクを29%低下させたことが示されました(EFSハザード比[HR]0.71;95%信頼区間[CI]0.58-0.86; p<0.001)。EFS中央値の推定値は、対照群の32.8カ月に対し、イミフィンジをベースとする周術期レジメン群では未到達でした。また、1年経過時点で無イベントだったのは、対照群では推定74.0%だったのに対し、イミフィンジをベースとする周術期レジメンで治療された患者さんでは推定78.2%、24カ月時点のEFS推定値はそれぞれ58.5%、67.4%で、イミフィンジをベースとしたレジメンの方が経時的にベネフィットがより大きいことが示されました。

副次評価項目である全生存期間(OS)については、イミフィンジをベースとする周術期レジメンで良好な強い傾向が観察されました(HR=0.78; 95% CI 0.62-0.97; p=0.025)。OSは最終解析で正式に評価される予定であり、本試験はOSの追跡を継続します。

ニューヨークのSloan Kettering記念がんセンター消化器腫瘍内科主任医師であり、同試験の治験責任医師であるYelena Janjigian氏は次のように述べています。「根治を目指した手術と化学療法を受けても、胃がんおよび食道胃接合部がん患者さんはしばしば再発を経験します。MATTERHORN試験の結果によると、デュルバルマブをベースとする周術期レジメンで治療を受けた患者さんの3分の2以上が、2年後も再発を経験していないか、病勢進行していませんでした。これらの結果に基づき、この新しい治療法は本適応症における新たな標準治療となることが期待されます」。

アストラゼネカのチーフ・メディカルオフィサー兼オンコロジー・チーフ・ディベロップメントオフィサーであるCristian Massacesiは次のように述べています。「この免疫療法に基づく周術期レジメンは、病勢進行、再発、または死亡のリスクを約3分の1減少させ、生存率向上に対する強い傾向から、早期の胃がんおよび食道胃接合部がんの臨床パラダイムを変革する可能性を秘めています。複数のがん種を対象としたイミフィンジによる周術期治療において3番目の良好な試験であるMATTERHORN試験は、このアプローチをさらに立証するものであり、治癒の可能性が最も高い疾患の早期ステージに新たな治療法を届けるという我々のコミットメントを強調するものです」。

結果の概要:MATTERHORN試験

     
  イミフィンジを含むレジメン
(n=474)
化学療法レジメン
(n=474)
EFSi
EFS中央値
(95%信頼区間)(月)
NR(40.7-NR) 32.8(27.9-NR)
ハザード比(95%信頼区間) 0.71
(0.58-0.86)
p値ii p<0.001
EFS率,12カ月(%) 78.2 74.0
EFS率,24カ月(%) 67.4 58.5
OS
OS中央値(月) NR 47.2
ハザード比(95%信頼区間) 0.78
(0.62-0.97)
p値iii p=0.025

イミフィンジとFLOT化学療法の安全性プロファイルは、各薬剤の既知のプロファイルと一致しており、手術を完了した患者さんの割合は、化学療法単独群と同程度でした。グレード3以上の有害事象は、原因を問わず両群で同程度でした。

主要な副次評価項目である病理学的完全奏効(pCR)について以前報告された中間解析では、イミフィンジをベースとするレジメン群は術前補助化学療法単独群と比較してpCR率が2倍超となる改善を示しました(19%対7%、オッズ比3.08、p<0.001)。

注釈

胃がん/食道胃接合部がんについて
胃がんは世界的に5番目に多いがんであり、がんによる死因の中では5番目に多いとされています1。2022年には約100万人が新たに胃がんと診断され、約66万の死亡例が世界で報告されています1。多くの地域で、50歳未満の患者さんにおける胃がんの発生率は、他の消化器(GI)悪性腫瘍とともに増加しています2。2024年には、米国、欧州連合(EU)、日本において、早期および局所進行性胃がんまたは食道胃接合部がんの薬物治療を受けている患者さんは約43,000人でした3。これらの地域では、2030年までに約62,000人の患者さんが新たにこの疾患に診断されると予想されています4

食道胃接合部がんは胃がんの一種であり、食道と胃の結合部で発生し、広がっていきます5

切除可能な胃がん患者さんでは、治癒目的で手術を受け、術前/術後補助化学療法による治療を受けたにもかかわらず、疾患再発がよく認められます。手術を受けた胃がんの患者さんの約4人に1人が、1年以内に再発し、4人に1人は2年以上生存できず、そこには高いアンメットメディカルニーズがあります6,7。5年生存率も依然として不良であり、5年間生存している患者さんは半分以下にすぎません8

MATTERHORN試験について
MATTERHORN試験は、切除可能な、II~IVA期の胃がん/食道胃接合部がんの患者さんに対する周術期治療としてイミフィンジを評価する、第Ⅲ相ランダム化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験です。周術期治療には、術前補助療法/術後補助療法とも呼ばれる、術前術後の治療が含まれます。本試験では、948人の患者さんがランダム化され、術前にはFLOTによる化学療法と1500mg固定用量のイミフィンジを併用投与、またはFLOTによる化学療法とプラセボ併用投与を4週間ごとに2サイクルを受けました。続いて術後にはイミフィンジまたはプラセボの投与を4週間ごとに最長で12サイクル受けました(これには、イミフィンジまたはプラセボに加え、FLOTによる化学療法を受ける2サイクルと、イミフィンジまたはプラセボだけの単剤療法を受ける追加の10サイクルが含まれます)。

MATTERHORN試験の主要評価項目はEFSであり、ランダム化の時点から以下のいずれかのイベント(最初に発生した方)の日付までの期間と定義されます。

 

  • RECISTガイドライン(第1.1版、盲検下独立中央評価による)に基づいた、手術適応外または術前補助療法期間中に治験実施計画書に記載された以外の治療を必要とする病勢進行
  • 術後補助療法期間中のRECISTによる病勢進行/再発
  • 手術適応外、術前補助療法期間中に治験実施計画書に記載された以外の治療を必要とする、あるいは手術中に発見される、RECISTに該当しない病勢進行
  • 手術後の生検により確認された進行/再発
  • 死因を問わない死亡

 

重要な副次評価項目には、pCR率(術前補助療法後に切除した腫瘍組織に検出可能ながん細胞が認められなかった患者さんの割合と定義)、およびOSが含まれます。本試験は、米国、カナダ、欧州、南米、アジアを含めた20カ国、176施設において患者さんが登録されました。

イミフィンジについて
イミフィンジはヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。

イミフィンジは、局所進行または転移性胆道がんでは化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン)との併用、切除不能な肝細胞がん(HCC)ではイジュド(トレメリムマブ)との併用においても承認されています。イミフィンジは、日本とEUでは切除不能なHCCに対する単剤療法としても承認されています。

消化器がんの適応症に加えて、イミフィンジは、化学放射線療法(CRT)後に病勢進行していない切除不能なステージIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんに対する治癒目的の治療におけるOSに基づいた、世界的な標準治療です。また、イミフィンジは切除可能なNSCLCにおける術前補助化学療法と併用した周術期治療、また、転移性のNSCLCの治療においても短期間のイジュドおよび化学療法との併用療法として承認されています。イミフィンジは、白金製剤を含む同時CRT後に病勢進行が認められていない限局型小細胞肺がん(SCLC)にも承認されており、化学療法との併用療法で進展型SCLCの治療薬としても承認されています。

イミフィンジは、第Ⅲ相NIAGARA試験に基づき、筋層浸潤性膀胱がんの術前補助化学療法との併用による周術期治療薬として米国とそのほかの国々で承認されています。さらに、第Ⅲ相POTOMAC試験において、イミフィンジと標準治療であるBacillus Calmette-Guérin導入療法および維持療法の併用により、高リスク筋層非浸潤性膀胱がん患者さんの無病生存期間において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したことが明らかになりました。

イミフィンジと化学療法の併用およびその後のイミフィンジ単独療法は、原発性進行または再発子宮体がん(米国およびEUにおいては、ミスマッチ修復機能欠損のみ)の第一選択治療薬として承認されています。イミフィンジと化学療法の併用およびその後のリムパーザ(オラパリブ)およびイミフィンジは、EUおよび日本で、ミスマッチ修復機能が正常な進行または再発子宮体がんの患者さんに対して承認されています。

2017年5月に世界で初めて承認されて以来、37万4千人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、および数種類の消化器がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても臨床試験が実施されています。

消化器がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、様々な腫瘍タイプや病期における消化器がんの治療に対して、複数の医薬品による広範な開発プログラムを展開しています。2022年、約500万人が新規に消化器がんと診断され、約330万人が死亡しました9

このプログラムにおいて、当社は胃がん、HCC、BTC、食道がん、膵がんおよび結腸直腸がんの転帰の改善に全力で取り組んでいます。

イミフィンジは、BTCやHCCなどで既に承認された適応に加え、現在、イジュド(トレメリムマブ)などとの併用療法に関しても、早期から進行がんまでを対象とした広範な開発プログラムの中で、HCC、食道がん、胃がんの治療薬としての評価が行われています。

リムパーザはファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA遺伝子変異陽性の転移性膵がんの患者さんを対象に米国をはじめとする数カ国で承認されています。リムパーザは、MSD(米国およびカナダではMerck & Co., Inc.)と共同で開発と商業化を行っています。

また、PD-1/TIGIT二重特異性抗体であるrilvegostomig(AZD2936)は、BTCにおける術後補助療法として化学療法との併用、進行HCC患者さんにおける一次治療としてイジュドとの併用または非併用でのベバシズマブとの併用、またHER2陰性の切除不能または転移性の局所進行性胃がんおよび食道胃接合部がん患者さんにおける一次治療として、化学療法との併用で評価が行われています。Rilvegostomigは、未治療のHER2発現、局所進行または転移性BTCにおいて、エンハーツとの併用療法としても評価が行われています。

アストラゼネカは、胃がんの有望な治療ターゲットであるClaudin 18.2を標的とする補完的なメカニズムを提供する複数の治療法を開発しています。これらの中には、現在第Ⅲ相試験実施中でKYM Biosciences Inc.からライセンス供与されているファーストインクラスの抗体薬物複合体候補であるsonesitatug vedotin、第Ⅰ相試験実施中でHarbour Biomed社からライセンス供与されている新規Claudin 18.2/CD3 T細胞受容体二重特異抗体AZD5863、および現在、中国AbelZeta社と共同で治験責任医師主導試験(IIT)にて評価中のClaudin 18.2を標的とする自家キメラ抗原受容体T細胞(armoured CAR-T)療法であるAZD6422などがあります。

また、初期開発段階として、当社はHCCにおいて2つのグリピカン3(GPC3)を標的とするCAR-Tを開発中です。現在第Ⅰ相の開発段階にあるAZD5851は世界各国で開発が進められており、また、C-CAR031 / AZD7003は、中国のAbelZeta社と共同開発を進めており、現在、IITで評価が行われています。

アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。

また、アストラゼネカは、がん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法や、イジュドやその他の新規の免疫療法や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、二重特異性抗体や、細胞治療やT細胞エンゲージャーを含む、標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬などの次世代免疫療法の研究も行っています。

アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を追求しています。当社は、治療耐性を防ぎ、より長い免疫反応を促すために、新しい併用療法アプローチの探索に力を注いでいます。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性を最大化できる、より早期の疾患ステージにおける免疫治療薬の使用も支持しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。

References

  1. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Stomach Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/7-stomach-fact-sheet.pdf. Accessed May 2025.
  2. Li Y, et al. Global burden of young-onset gastric cancer: a systematic trend analysis of the global burden of disease study 2019. Gastric Cancer. 2024;27(4):684-700.
  3. AstraZeneca PLC. Investor Relations Epidemiology Spreadsheet. Available at: https://www.astrazeneca.com/investor-relations.html. Accessed May 2025.
  4. Kantar Health, validated with SEER stage at diagnosis and Cabasag et al. and Kuzuu et al. 2021.
  5. National Cancer Institute. Gastroesophageal junction. Available at: https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/gastroesophageal-junction. Accessed May 2025.
  6. Li Y, et al. Postoperative recurrence of gastric cancer depends on whether the chemotherapy cycle was more than 9 cycles. Medicine. 2022;101(5):e28620.
  7. Ilic M, Ilic I. Epidemiology of stomach cancer. World J Gastroenterol. 2022;28(12):1187-1203.
  8. Al-Batran SE, et al. Perioperative chemotherapy with fluorouracil plus leucovorin, oxaliplatin, and docetaxel versus fluorouracil or capecitabine plus cisplatin and epirubicin for locally advanced, resectable gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (FLOT4): a randomised, phase 2/3 trial. Lancet. 2019;393(10184):1948-1957.
  9. World Health Organization. World Cancer Fact Sheet. Available at https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/900-world-fact-sheet.pdf. Accessed May 2025.

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