本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が2023年10月20日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
本試験では引き続き無イベント生存期間を評価していく予定
AstraZeneca PLC(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、第Ⅲ相MATTERHORN試験の良好な中間解析結果を発表しました。この解析では、切除可能な局所進行性(II、III、IVA期)である胃がん/食道胃接合部がんの患者さんを対象に、NCCNガイドラインの標準治療であるFLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)による術前補助化学療法にイミフィンジ®(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])を追加投与した場合と、術前補助化学療法を単独で行った場合との比較において、重要な副次評価項目である病理学的完全奏効(pCR)率に、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示されました。
これらの結果は、10月20日にスペイン・マドリッドで開催された2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)の年次総会で発表されました(抄録 #LBA73)。
盲検下での独立中央判定(BICR)の評価では、FLOTによる術前補助化学療法単独で治療された患者群のpCR率は7%であったのに対し、術前補助化学療法にイミフィンジを追加投与した患者群のpCR率は19%でした(pCR率の差12%;オッズ比[OR]3.08; p<0.00001)。完全奏効または、ほぼ完全奏効(near pCR)*いずれかの割合は、イミフィンジ併用療法群で27%、術前補助化学療法単独群で14%でした。
*modified Ryan基準による、切除時にがん細胞が単一またはまれにしか認められない場合
周術期治療(術前術後)としてFLOTによる化学療法にイミフィンジを追加した併用療法を評価する本試験は、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)および重要な副次評価項目である全生存期間(OS)を評価するため、二重盲検下で継続します。
ニューヨークにあるSloan Kettering記念がんセンターの消化器腫瘍内科主任医師であり、同試験の治験責任医師であるYelena Janjigian氏は次のように述べています。「切除可能な胃がん/食道胃接合部がん患者さんにおいて、治癒目的に手術を行ったとしても多くが再発します。今回のMATTERHORN試験の中間解析結果で示された病理学的完全奏効率は、FLOT療法にイミフィンジを追加することが、周術期に必要とされている新たな治療法となり得るという希望につながります」。
アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「今回発表されたMATTERHORN試験の結果は、胃がん/食道胃接合部がん患者さんに対する早期治療としての免疫治療薬と化学療法の併用療法の可能性を裏付けるものです。これらの知見は、アンメットニーズが高く治療選択肢が限られている消化器がんの転帰を改善するという我々の取り組みを強化するものです」。
本試験におけるイミフィンジの忍容性は全般的に良好で、術前補助化学療法にイミフィンジを追加した場合の安全性および忍容性は、この併用療法の既知のプロファイルと一貫していました。全ての原因によるグレード3以上の有害事象は両投与群でほぼ同じであり、FLOTによる術前補助化学療法単独での発現割合は68%であったのに対し、イミフィンジを追加したレジメンで治療された患者さんの発現割合は69%でした。
MATTERHORN試験結果の概要
a.BICR審査は、modified Ryan基準を用いてスコア化
手術を完了した患者さんの割合は、FLOTによる術前補助化学療法単独群では84%、イミフィンジを追加したレジメン群では87%でした。手術を受けた患者さん(手術を試みたが完了できなかった患者さんも含む)において、手術後に肉眼的または顕微鏡的残存腫瘍が認められなかった患者さん(R0切除)の割合は両群で86%でした。なお、原発腫瘍を認めなかった患者さん(T0)の割合は、術前補助化学療法単独群では11%であったのに対し、イミフィンジを追加したレジメン群では23%でした。がん細胞を含むリンパ節を認めなかった患者さん(N0)の割合は、術前補助化学療法単独群では52%であったのに対し、イミフィンジを追加したレジメン群では36%でした。
※イミフィンジの胃がん/食道胃接合部がんへの適応は、本邦未承認です。
以上
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胃がん/食道胃接合部がんについて
胃がんは世界的に5番目に多いがんであり、がんによる死因の中では4番目に多いとされています1 。2020年には約100万人が新たに胃がんと診断され、76万8000の死亡例が世界で報告されています1。
食道胃接合部がんは胃がんの一種であり、食道と胃の結合部で発生し、広がっていきます2。
2030年までに、米国、EUおよび日本で約7万人の患者さんがII~III期の胃または食道胃接合部がんと新たに診断されると予想されています3。切除可能な胃がん患者さんでは、疾患再発がよく認められます4。治癒を目的とした手術を受けた胃がんの患者さんの約4人に1人が、1年以内に再発しており、そこには高いアンメットメディカルニーズがあります4。5年生存率も依然として不良であり、5年間生存している患者さんは3分の1に過ぎません5,6。
MATTERHORN試験について
MATTERHORN試験は、切除可能な、II~IVA期の胃がん/食道胃接合部がんの患者さんに対する周術期治療としてイミフィンジを評価する、第Ⅲ相ランダム化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験です。周術期治療には、術前補助化学療法/術後補助化学療法とも呼ばれる、術前術後の治療が含まれます。本試験では、患者さんはランダム化され、術前にはFLOTによる化学療法と1500mg固定用量のイミフィンジを併用投与、またはFLOTによる化学療法とプラセボ併用投与を4週間ごとに2サイクル受け、続いて術後にはイミフィンジまたはプラセボの投与を4週間ごとに最長で12サイクル受けました(これには、イミフィンジまたはプラセボに加え、FLOTによる化学療法を受ける2サイクルと、イミフィンジまたはプラセボだけの単剤療法を受ける追加の10サイクルが含まれます)。
MATTERHORN試験の主要評価項目はEFSです。EFSは、RECISTガイドライン第1.1版に基づくBICR評価および/または実施医療機関の病理学的検査を用いて評価され、ランダム化の時点から以下に該当する時点までの期間と定義されます。
- 手術適応外または治験実施計画書に記載された以外の治療を必要とする病勢進行、局所または遠隔の再発または病勢進行、死因を問わない死亡までの期間
重要な副次評価項目には、pCR(術前補助化学療法後に切除した腫瘍組織に検出可能ながん細胞が認められなかった患者さんの割合と定義)、およびOSが含まれます。本試験は、米国、カナダ、欧州、南米、アジアを含めた20カ国、176施設において、948例の患者さんが無作為に割り付けされました。
イミフィンジについて
イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
イミフィンジは、第Ⅲ相試験であるTOPAZ-1試験とHIMALAYA試験に基づき、米国、EU、日本、その他数カ国で、局所進行性または転移性の胆道がん(BTC)に対する化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン)との併用に加え、切除不能な肝細胞がん(HCC)に対するイミフィンジ単剤(HCCに対するイミフィンジ単剤での承認は日本のみ)あるいはイジュド(トレメリムマブ)との併用で承認されています。
消化器がん領域でのこの適応に加え、イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、化学放射線療法後に進行が認められていない患者さんを対象に、切除不能なIII期の局所進行非小細胞肺癌(NSCLC)における根治目的の治療薬として唯一承認されたがん免疫治療薬であり、世界的な標準治療となっています。
また、本剤は、第Ⅲ相CASPIAN試験に基づき、進展型小細胞肺がん(SCLC)の治療薬として、米国、EU、日本、中国をはじめ多くの国々でも承認されています。さらに、第Ⅲ相POSEIDON試験に基づき、イミフィンジと化学療法の併用療法にイジュド(トレメリムマブ)を定められた回数のみ追加投与する治療法が、米国、EUおよび日本で承認されています。数カ国では、進行膀胱がんの治療歴のある患者さんの治療薬としてイミフィンジは承認されています。
2017年5月に初めて国際承認されて以来、20万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。
広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、SCLC、NSCLC、膀胱がん、数種類の消化器がん、その他の固形がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても検討されています。
特に消化器がん領域において、アストラゼネカでは、複数の肝細胞がん(EMERALD-1試験、EMERALD-2試験、EMERALD-3試験)や局所進行性食道がん(KUNLUN試験)に対してイミフィンジを検討する様々な臨床試験が進行中です。
なお、本リリースに記載の効能又は効果(適応症)については本邦で承認されている記載と異なる場合があります。本邦における承認状況については、最新の電子化された添付文書をご確認ください。
消化管がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、様々な腫瘍タイプや病期における消化器がんの治療に対して、複数の医薬品による広範な開発プログラムを展開しています。2020年、約510万人が新規に消化器がんと診断され、約360万人が死亡しました7。
このプログラムにおいて、当社は胃がん、肝細胞がん、胆道がん、食道がん、膵がんおよび結腸直腸がんの転帰の改善に全力で取り組んでいます。
イミフィンジは、BTCやHCCなどで既に承認された適応に加え、現在、イジュド(トレメリムマブ)などとの併用療法に関しても、早期から進行がんまでを対象とした広範な開発プログラムの中で、HCC、食道がん、胃がんの治療薬としての評価が行われています。
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA遺伝子変異陽性の転移性膵がんの患者さんを対象に承認されています。リムパーザは、MSD(米国およびカナダではMerck & Co., Inc.)と共同で開発と商業化を行っています。
このほどアストラゼネカは、KYM Biosciences Inc.とCMG901に関して独占的なグローバルライセンス契約を締結しました。CMG901は、胃がんの有望な治療ターゲットであるClaudin 18.2を標的とするファーストインクラスの抗体薬物複合体です。
アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。
また、アストラゼネカは、がん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法や、トレメリムマブやその他の新規の免疫療法薬や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、バイスペシフィック抗体や標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬など、次世代免疫療法の探索も行っています。
アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を大胆に追求しています。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性が非常に高いより早期の疾患におけるIO治療薬の使用も支持しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカは、がん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
References
- World Health Organisation. International Agency for Research on Cancer. Stomach Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/7-Stomach-fact-sheet.pdf. Accessed October 2023.
- National Cancer Institute. Gastroesophageal junction. Available at: https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/gastroesophageal-junction. Accessed October 2023.
- Kantar Health, validated with SEER stage at diagnosis and Cabasag et al. and Kuzuu et al. 2021
- Li Y, et al. Postoperative recurrence of gastric cancer depends on whether the chemotherapy cycle was more than 9 cycles. Medicine. 2022;101(5):e28620.
- American Cancer Society. Stomach Cancer Survival Rates. Available at: https://www.cancer.org/cancer/types/stomach-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-rates.html. Accessed October 2023.
- Cancer Research UK. Survival for stomach cancer. Available at: https://www.cancerresearchuk.org/about-cancer/stomach-cancer/survival. Accessed October 2023.
- World Health Organisation. World Cancer Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf. Accessed October 2023.