リムパーザとアビラテロンの併用療法、転移性去勢抵抗性前立腺がんの一次治療を対象とした第Ⅲ相PROpel試験で、全体集団において病勢進行を有意に遅延

本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年9月24日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

新規ホルモン製剤との併用で臨床的有効性を示した初めてのPARP阻害剤

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、第Ⅲ相PROpel試験の良好な結果を発表しました。この試験では、相同組換え修復(HRR)関連遺伝子変異の有無にかかわらず転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)を患う男性に対する一次治療としてリムパーザ(一般名:オラパリブ、以下「リムパーザ」)とアビラテロンの併用療法を行った結果、標準治療であるアビラテロン単独療法との比較で、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の統計的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました。

独立データモニタリング委員会(IDMC)は、計画に基づく中間解析において、新規ホルモン製剤(NHA)または化学療法による一次治療を受けていないmCRPC患者さんを対象とした試験で、主要評価項目であるrPFSの延長を達成したと結論づけました。

試験では、本中間解析において、全生存期間(OS)の改善につながる傾向が示されました。しかしながら、データはまだ不十分であり、重要な副次評価項目としてOSの評価を継続する予定です。安全性および忍容性は、各薬剤の既知のプロファイルと一致していました。

前立腺がんは男性では2番目に多いがんであり、mCRPCに対する利用可能な治療法の数が増加しているにもかかわらず、5年生存率は依然として低いままです1

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&Dの責任者であるSusan Galbraithは次のように述べています。「現在、転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者さんに対する一次治療の選択肢は限られており、標準治療による一次治療を行っても残念ながら疾患が進行してしまうことが多いのが現状です。第Ⅲ相PROpel試験の良好な結果は、リムパーザとアビラテロンの併用療法が、バイオマーカーの状態にかかわらず患者さんの新たな一次治療の選択肢となり、この進行の速いがんを患う幅広い患者さんに対して使えるようになる可能性を示しています。この結果について、できるだけ早く世界の規制当局と話し合いたいと思っています」。

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.研究開発本部シニアバイスプレジデント兼グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynes博士は次のように述べています。「PROpel試験の良好な結果によりリムパーザとアビラテロンの併用療法がアビラテロン単独療法との比較において臨床的有用性が認められたことは心強いことであり、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんの一次治療の選択肢として期待できるだろうと考えます。これらのデータは、MSDとアストラゼネカがリムパーザをより治療の早い段階に、そしてより多くの進行前立腺がん患者さんに提供していく取り組みにつながるものです」。

PROpel試験のデータは、今後の医学学会で発表される予定です。

以上

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転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
転移性前立腺がんは死亡率の高いがんです2。前立腺がんの進展は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます3。男性ホルモンの作用を阻害するアンドロゲン除去療法を行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した場合、mCRPCと診断されます3

進行前立腺がん患者さんの約10~20%は5年以内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行し、そのうち84%以上の患者さんはCRPC診断時に転移を有しています4。また、CRPC診断時に転移のない患者さんであっても、そのうちの33%は2年以内に転移が確認されます4

mCRPCに対する治療選択肢は増えてきていますが、依然として5年生存率は低く、生存期間を延長させることが、引き続き主要な治療目標となっています4

PROpel試験について
PROpel試験は、一次治療として化学療法またはNHAによる治療歴のないmCRPC患者さんを対象に、アビラテロンに加えてリムパーザを投与した場合の有効性、安全性、忍容性をプラセボおよびアビラテロンとの併用と比較検討する無作為化二重盲検多施設共同第Ⅲ相試験です。両治療群の患者さんには、プレドニゾンまたはプレドニゾロンのいずれかを1日2回投与します。主要評価項目はrPFSであり、副次評価項目にはOS、およびその後最初の抗がん剤治療を受けるまで、または死亡までの期間が含まれます。

この試験の患者さんは、HRR関連遺伝子変異の有無にかかわらず登録されました。これまでの病期でドセタキセルによる治療歴がある患者さんも含まれます。アビラテロンによる治療歴のある患者さんは除外されました。また、他のNHAによる治療を無作為割付けの1年以上前に中止している必要があります。

さらに、患者さんはEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)の規準で定義されている全身状態が0~1であり、進行性疾患であると実証されているアビラテロン治療の適合者でなければなりません。

前立腺がんを対象とした前臨床試験では、PARP阻害薬とNHAを併用投与した場合に抗腫瘍効果が複合的に認められることが報告されています。PARP-1は、アンドロゲン受容体(AR)経路の共調節に関与しており、ARシグナル伝達の遮断におけるPARP阻害剤とNHA間の協調につながる可能性があります5

PARP阻害とアンドロゲン除去により、HRR関連遺伝子の状態にかかわらず前立腺がん細胞の増殖を有意に低下させることができました。他の試験では、NHAによる治療が一部のHRR関連遺伝子の転写を阻害することから、非遺伝的機序を介してHRR欠損を誘発し、PARP阻害剤に対する感受性を増加させることが明らかになりました6

リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異など、あるいは他の薬剤(NHAなど)により誘発される相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害は、DNA一本鎖切断に結合するPARPと結合し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のPARP依存性の腫瘍タイプにおいて試験が進行中です。

リムパーザは、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法として、現在EU諸国を含む多くの国で承認されており、白金製剤ベースの化学療法に奏効後のBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としても米国、EU、日本、中国およびその他数カ国において承認されています。米国においては、HRR機能不全陽性進行卵巣がん(BRCA遺伝子変異陽性および/またはゲノム不安定性)患者さんに対するベバシズマブとの併用療法が初回治療後の維持療法としても承認されました。また、化学療法による治療歴のある生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がんの適応症でも米国、日本を含む多くの国において承認されており、EUにおいては、局所進行乳がんも含まれます。さらに、米国、欧州、日本、およびその他数カ国においては、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性転移性膵がんの治療薬としても承認されています。また、米国においては、HRR関連遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(BRCA遺伝子変異陽性およびその他のHRR関連遺伝子変異陽性)の治療薬として承認されており、EUおよび日本においてはBRCA遺伝子変異陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんに対して承認されています。加えて、卵巣がん、乳がん、膵がんおよび前立腺がんに関する薬事承認審査が他の国において進行中です。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、全世界で4万人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザはPARP阻害剤として最も広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは、さまざまながん種にわたり、リムパーザが単剤療法および他の薬剤との併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するために協業しています。リムパーザはDDRを標的治療とした薬剤であり、アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。

なお、本リリースに記載の効能・効果(適応症)については本邦で承認されている記載と異なる場合があります。本邦における承認状況については、こちらをご確認ください。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブについて、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. IARC. Cancer Today – Estimated number of new cases in 2020, worldwide, both sexes, all ages. Available at: https://gco.iarc.fr/today/home. Accessed September 2021.
2. Bray et al. Global cancer statistics 2018: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA: A Cancer Journal for Clinicians. 2018;68(6),pp394-424.
3. Cancer.Net. Treatment of metastatic castration-resistant prostate cancer. Available at: www.cancer.net/research-and-advocacy/asco-care-and-treatment-recommendations-patients/treatment-metastatic-castration-resistant-prostate-cancer. Accessed September 2021.
4. Kirby, M., et al. Characterising the castration-resistant prostate cancer population: a systematic review. International Journal of Clinical Practice, 2021;65(11),pp1180-1192.
5. Schiewer, M., et al. Dual roles of PARP-1 promote cancer growth and progression. Cancer Discov. 2012;2(12),pp 1134-49
6. Polkinghorn, W., et al. Androgen receptor signaling regulates DNA repair in prostate cancers. Cancer Discov. 2013;3(11):1245-53

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