本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が2026年4月2日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容と解釈については英語が優先します。なお、本リリースで発表されているイミフィンジとイジュドの適応症は国内の承認状況と異なります。
イミフィンジとイジュド、レンバチニブ、TACEの併用で
全生存期間の延長傾向も示唆
第Ⅲ相 EMERALD‑3試験の良好な結果概要において、イミフィンジ(デュルバルマブ)、イジュド(トレメリムマブ)、レンバチニブおよびTACEの併用療法は、塞栓療法対象の切除不能な肝臓がん(HCC)患者さんを対象に、TACE単独療法と比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました。
主要な副次評価項目である全生存期間(OS)の中間解析においても、本併用療法はTACE単独療法と比較して、OSの延長傾向が示されました。
本試験では、STRIDEレジメン(Single Tremelimumab Regular Interval Durvalumab:イミフィンジにイジュドのプライミング単回投与を追加)をレンバチニブとの併用又は単独でTACE前に投与し、その後もTACEと併用投与しました。
現時点では正式な検定は行なわれていませんが、STRIDEレジメン+TACE併用群とTACE単独群との比較においても、PFSおよびOSの強い延長傾向が確認されました。EMERALD‑3試験では、両試験治療群におけるOSおよびその他の主要な副次評価項目の追跡が継続されます。
HCCは肝臓がんの中で最もよく見られる種類のがんです1。塞栓療法の対象となるHCC患者は2026年に20万人以上に達すると見込まれています。塞栓療法は腫瘍への血液供給を遮断するとともに、化学療法や放射線療法を肝臓に直接届けることができる標準的治療法です2-4。しかしながら、塞栓療法を受けた多くの患者さんで、6~10か月以内に病勢進行や再発が起こります5。
Memorial Sloan Kettering Cancer Centerの指導医、内科教授であり、本試験の治験責任医師でもある、Ghassan Abou‑Alfa医学博士、法学博士、経営学修士は次のように述べています。
「現在、病勢進行や再発抑制の全身治療の選択肢は限られている状況ですが、STRIDEレジメンによるデュルバルマブとトレメリムマブの併用免疫療法は、塞栓療法適応の肝臓がん患者さんにとって意義ある前進です。EMERALD‑3は、レンバチニブおよびTACEに、免疫療法の基盤としてSTRIDEを組み合わせることで、病勢進行のリスクを有意に低減でき、全生存の延長傾向も示しました」。
アストラゼネカOncology Haematology R&D担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのSusan Galbraithは次のように述べています。
「EMERALD‑3は、併用免疫療法であるSTRIDEレジメンをより早期に、TACEおよびレンバチニブと併用することで、より早期の肝臓がんにおいても転帰の改善が可能であることを示しました。これは、切除不能なHCCの患者さんを対象とした第Ⅲ相HIMALAYA試験で、STRIDEレジメンが持続的な全生存期間の延長を示したという既存のエビデンスをさらに補強するものです。当社は主要な副次評価項目の最終結果を待ちつつ、今回の肯定的なデータについて各国規制当局と協議しています」。
各併用療法の安全性プロファイルは、それぞれの薬剤で既知のプロファイルと一貫しており、新たな安全性上の所見は認められませんでした。
これらのデータは今後開催される医学会で発表し、各国規制当局へも共有されます。
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注釈
肝臓がんについて
肝臓がんは世界でがんによる死因の第3位です1,6。2026年には、塞栓療法対象のHCCと診断される患者数は200,000人以上に到達すると見込まれています2。塞栓療法は腫瘍への血流を遮断し、肝臓へ化学療法を直接届けることができる標準治療です3-4。
免疫療法は、HCCにおいて進行または再発したがん患者さんに対する、承認された治療選択肢として確立された治療法です7。
EMERALD-3試験について
EMERALD-3試験は、TACE対象の切除不能なHCCの患者さん760名を対象として、単回のイジュド300mgをイミフィンジ1500mgに追加し、その後に4週間間隔でイミフィンジを投与するSTRIDEレジメンにレンバチニブとTACEを併用する治療群、STRIDEレジメンにTACEを追加する治療群と、TACE単独群を比較する、ランダム化、非盲検、治験依頼者盲検、国際多施設共同第Ⅲ相試験です。
患者さんは、各群が175例に達するまで、Arm A(TACE+イミフィンジ+イジュド+レンバチニブ)、Arm B(TACE+イミフィンジ+イジュド)、Arm C(TACE)のいずれかに1:1:1の比率で無作為化されました。
その後、Arm AおよびArm Cは約275例に達するまで1:1の比率で無作為化が継続されました。
患者さんはイミフィンジとイジュドとレンバチニブの投与又はイミフィンジとイジュドの投与に、必要に応じてTACEを併用し、病態進行に至るまで、レンバチニブとイミフィンジ又はイミフィンジが投与されました。
本試験は北米、欧州、南米、アジアを含む22か国の171施設で実施されました。主要評価項目は、TACE単独療法と比較したイミフィンジ、イジュド、レンバチニブおよびTACEの併用療法のPFSです。副次評価項目には、TACE単独療法と比較した、イミフィンジ、イジュド、レンバチニブ、TACE併用療法におけるOS、ならびにイミフィンジ、イジュド、TACEの併用療法のPFSおよびOSが含まれています。
イミフィンジについて
イミフィンジはヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
消化器がんにおいてイミフィンジは、局所進行性または転移性の胆道がん(BTC)では化学療法との併用、切除不能な肝細胞がん(HCC)に対するイジュドとの併用が承認されています。また、イミフィンジは日本およびEUでは切除不能なHCCに対する単剤療法としても承認されています。
消化器がんの適応に加え、イミフィンジは化学放射線療法(CRT)後に病勢進行していない切除不能なステージⅢ非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんに対する治癒目的の治療におけるOSに基づいた、世界的な標準治療です。さらに、イミフィンジは切除可能なNSCLCにおける術前化学療法と併用した周術期治療、および転移性NSCLCの治療においても短期間のイジュドおよび化学療法併用療法として承認されています。また、イミフィンジは白金製剤を含む化学放射線療法(CRT)併用後に病勢進行が認められていない限局期小細胞肺がん(SCLC)にも承認されており、化学療法との併用療法で進展型SCLCの治療薬としても承認されています。
術前化学療法との併用によるイミフィンジは、第Ⅲ相NIAGARA試験の結果に基づき、筋層浸潤性膀胱がん患者さんに対し、米国、EU、日本およびその他の国々で承認されています※。さらに2025年5月には、第Ⅲ相POTOMAC試験において、イミフィンジとBacillus Calmette-Guérin導入療法および維持療法の併用により、主要評価項目である高リスク筋層非浸潤性膀胱がん患者さんの無病生存期間を達成しました。
※日本での適応は、膀胱がんにおける術前・術後補助療法です。
イミフィンジと化学療法の併用およびその後のイミフィンジ単独療法は、原発性進行または再発子宮体がん(米国およびEUにおいては、ミスマッチ修復機能欠損のみ)の第一選択治療薬として承認されています。イミフィンジと化学療法の併用およびその後のリムパーザ(オラパリブ)およびイミフィンジは、EUおよび日本で、ミスマッチ修復機能が正常な進行または再発子宮体がんの患者さんに対して承認されています。
2017年5月に世界で初めて承認されて以来、41万4千人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、および数種類の消化器がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても臨床試験が実施されています。
※なお、本プレスリリースに記載内容は本邦で承認されている記載と異なります。本邦における承認状況については、最新の電子化された添付文書をご確認ください。
イジュドについて
イジュド(トレメリムマブ)は、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強し、がん細胞死を引き起こします。イジュドは承認された肝臓がんおよび肺がんの適応に加え、小細胞肺がん(ADRIATIC試験)や膀胱がん(VOLGA試験およびNILE試験)などの様々ながん種を対象にイミフィンジとの併用療法が検討されています。
消化器がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、様々な腫瘍タイプや病期における消化器がんの治療に対し、複数の医薬品による広範な開発プログラムを展開しています。2022年、約500万人が新規に消化器がんと診断され、約330万人が死亡しました8。
本プログラムにおいて、当社は胃がん、肝臓がん、胆道がん、食道がん、膵臓がん、および大腸がんの転帰の改善に全力で取り組んでいます。
イミフィンジは、BTCやイジュドとの併用におけるHCCなどで既に承認された適応に加え、現在、イジュド(トレメリムマブ)などとの併用療法に関しても、早期から進行がんまでを対象とした広範な開発プログラムの中で、HCC、食道がん、胃がんの治療薬としての評価が行われています。
リムパーザはファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA遺伝子変異陽性の転移性膵がんの患者さんを対象に米国をはじめとする数カ国で承認されています。リムパーザは、MSD(米国およびカナダではMerck & Co., Inc.)と共同で開発と商業化を行っています。
また、PD-1/TIGIT二重特異性抗体であるrilvegostomigは、BTCにおける術後補助療法として化学療法との併用、進行HCC患者さんにおける一次治療としてイジュドとの併用または非併用でのベバシズマブとの併用、HER2陰性の切除不能または転移性の局所進行性胃がんおよび食道胃接合部がん患者さんにおける一次治療として、化学療法との併用で評価が行われています。rilvegostomigは、未治療のHER2発現、局所進行または転移性BTCにおいて、エンハーツとの併用療法としても評価が行われています。
アストラゼネカは胃がんの有望な治療ターゲットであるClaudin 18.2を標的とする複数の治療法を開発しています。これには、現在第Ⅲ相開発中でKYM Biosciences Inc.からライセンス供与されているファーストインクラスの抗体薬物複合体候補であるsonesitatug vedotin、第Ⅰ相開発中でHarbour Biomed社からライセンス供与されている新規Claudin 18.2/CD3 T細胞受容体二重特異抗体AZD5863、および現在、進行性固形がんの患者さんを対象とした第I/II相試験で検討されているADC(AZD4360)が含まれています。
また、初期開発段階として、当社はHCCにおいてグリピカン3(GPC3)を標的とするAZD7003(CAR-T)を開発中です。
アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は包括的で多様なIOポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。
また、アストラゼネカはがん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法やイジュドやその他の新規の免疫療法や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、二重特異性抗体、細胞治療、T細胞エンゲージャーを含む、標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬などの次世代免疫療法の研究も進めています。
アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を追求しています。当社は、治療耐性を防ぎ、より長い免疫反応を促すために、新しい併用療法アプローチの探索に力を注いでいます。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性を最大化でき、より早期の疾患ステージにおけるIO治療薬の使用も支持しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。持続的なイノベーションにより、医療活動と患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと、開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
References
- American Cancer Society. What is Liver Cancer? Available at: https://www.cancer.org/cancer/types/liver-cancer/about/what-is-liver-cancer.html. Accessed April 2026.
- AstraZeneca PLC. Investor Relations Epidemiology Spreadsheet. Top 8 Countries. Available at: https://www.astrazeneca.com/investor-relations.html. Accessed April 2026.
- National Cancer Institute. Embolization. Available at: https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/embolization. Accessed April 2026.
- Kotsifa E, et al. Transarterial Chemoembolization for Hepatocellular Carcinoma: Why, When, How? J Pers Med.2022;12(3):436.
- Meyer T, et al. Sorafenib in combination with transarterial chemoembolisation in patients with unresectable hepatocellular carcinoma (TACE 2): a randomised placebo-controlled, double-blind, phase 3 trial. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2017;2(8):565-575.
- World Health Organization. Liver Cancer Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/11-Liver-fact-sheet.pdf. Accessed April 2026.
- Colagrande S, et al. Challenges of advanced hepatocellular carcinoma. World J Gastroenterol. 2016;22(34):7645-7659.
- World Health Organization. World Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/900-world-fact-sheet.pdf. Accessed April 2026.
Ghassan Abou‑Alfa博士はアストラゼネカに対しコンサルティングとアドバイザリーサービスを提供しました。