アストラゼネカ、日本呼吸器学会・
日本肺癌学会と、三者初となる共同研究「TSUBAKI試験」を開始

実臨床における限局型小細胞肺がんのデュルバルマブ治療を評価する
レジストリー研究の共同研究契約を締結

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)は、一般社団法人日本呼吸器学会(理事長:髙橋 和久、以下、日本呼吸器学会)、特定非営利活動法人日本肺癌学会(理事長:山本 信之、以下、日本肺癌学会)と共同で、限局型小細胞肺がん(LS-SCLC)に対する根治的化学放射線療法(CRT)後のデュルバルマブ治療の有効性・安全性を評価するレジストリー研究「TSUBAKI試験」を開始します。本研究は、両学会とアストラゼネカの三者による初の共同研究であり、日本における実臨床のエビデンス創出に資する先駆的なレジストリーデータベースを構築・運用する取り組みです。

日本で2020年に肺がんと診断された患者さんは約12万人と報告されています1。小細胞肺がん(SCLC)は肺がんのなかでも悪性度が高いタイプ2として非小細胞肺がんと区別されており、肺がんの約15%3,4を占めると報告されています。SCLCのうち片側の肺または胸部に病変がとどまっているLS-SCLCの割合は約30%5とされることから、国内におけるLS-SCLCの罹患数は約5千人と推定されます。LS-SCLCは標準治療であるCRTに対して最初は奏効するものの、ほとんどの患者さんで最終的に疾患進行が認められます6,7。そのため、LS-SCLCの診断後の5年生存率は15~30%と予後不良です8。こうした医療ニーズの高い領域において患者さんの治療成績を向上させていくためには、日本の実情に応じた課題を同定することが重要であり、日本の実臨床データを継続的かつ高品質に収集し、解析できるレジストリー基盤が不可欠です。

アストラゼネカのイミフィンジ®点滴静注120mgおよびイミフィンジ®点滴静注500mg(一般名:デュルバルマブ(遺伝子組換え))は、第Ⅲ相ADRIATIC試験の結果に基づき、「限局型小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」を効能又は効果として、2025年3月27日付で厚生労働省より承認を取得しています。同承認により、長年大きな進展のなかったLS-SCLC治療に数十年ぶりに、根治を目指すレジメンとして新たな治療選択肢がもたらされました。

TSUBAKI試験は、日本におけるLS-SCLC患者さんのデータベース構築と治療課題の特定を目指し、日本呼吸器学会、日本肺癌学会とアストラゼネカが実施する共同研究です。主な組入対象は2025年3月27日以降にLS-SCLCと診断され、CRT(同時もしくは逐次)を開始された患者さんとし、登録数は225例、追跡期間2.5年を予定しています。また、約40施設の参加を予定しており、臨床データは、日本の医療機関で電子カルテ等から標準化された診療情報を相互利用するための標準化ストレージであるSS-MIX2*(Standardized Structured Medical Information eXchange2)を活用して収集される予定です。
*厚生労働省電子的診療情報交換推進事業により、すべての医療機関を対象とした医療情報の交換・共有による医療の質の向上を目的とし開発された、データ保存・交換仕様(標準化ストレージ)

和歌山県立医科大学 内科学第三講座の教授で、日本肺癌学会の理事長兼日本呼吸器学会データベースワーキンググループ長である山本信之氏は、次のように述べています。「昨年11月に更新した『肺癌診療ガイドライン2025年版』では、LS-SCLCに対し、同時CRT後のデュルバルマブによる地固め療法の実施が強く推奨されました4。TSUBAKI試験は、同領域における重要なエビデンスギャップを日本の実臨床データで補完し、治療最適化に資する知見を創出することを目指しています。それによって、LS-SCLC治療に約30年ぶりにもたらされたこの新規治療が医療者・患者さんにとってより価値の高いものとなることが期待されます」。

順天堂大学大学院 医学研究科 呼吸器内科学 教授で、日本呼吸器学会の理事長である髙橋和久氏は、次のように述べています。「TSUBAKI試験では、ADRIATIC試験で示された新たな治療パラダイムを、日本の臨床現場で適切に実装するうえで不可欠となるレジストリーデータを解析します。日本呼吸器学会が導入を推進するSS-MIX2を活用し、患者数が少ない限局型小細胞肺がんのデータ収集もスムーズに進むと考えられます。アカデミアと製薬企業が協働してデータベースを築くことで、LS-SCLCの治療選択と診療体制の進化に資する成果の創出が見込まれます」。

アストラゼネカ メディカル本部 オンコロジー領域統括部 統括部長 北川 洋は、次のように述べています。「ADRIATIC試験では、デュルバルマブ群がプラセボ群に対して2つの主要評価項目である全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示し、日本人サブ解析においても良好なベネフィット/リスクプロファイルを示しました9。その結果、国内においても免疫療法がLS-SCLC患者さんのCRT後の地固め療法として新たな選択肢となりました。この産学連携によるTSUBAKI試験から創出するエビデンスを通じて、日本の患者さんへADRIATIC試験で得られた治療の進歩を適切に届ける一助となることを目指します」。

研究概要

 
研究名称 TSUBAKI試験
実施事業者 日本呼吸器学会、日本肺癌学会、アストラゼネカ
目的 日本の実臨床における、LS-SCLCにおける根治的CRT後のデュルバルマブの有効性および安全性の評価
利用データ SS-MIX2(Standardized Structured Medical Information eXchange2)の活用や電子カルテ、画像データなどから、データ収集を行う
研究対象 2025年3月27日以降にLS-SCLCと診断され、CRT(同時もしくは逐次)を開始された肺がん患者さん(予定登録数:225例、追跡期間:2.5年、参加予定施設数:約40施設)
UMIN試験ID UMIN000060353
https://center6.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000068994

以上

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小細胞肺がんについて
肺がんは男女ともにがん死亡の主な原因であり、がん死亡の約5分の1を占めています10,11。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大別され、約15%がSCLCに分類されます12
限局型小細胞肺がん(LS-SCLC。ステージI~III)は一般に片側の肺または胸部のみに認められます13。LS-SCLCはSCLC診断の約30%を占めています14。標準治療である化学放射線療法(CRT)による治癒目的の治療を行っても、LS-SCLC患者さんの予後は依然として不良です14

ADRIATIC試験について
ADRIATIC試験は、無作為化二重盲検多施設国際共同第Ⅲ相プラセボ対照試験であり、同時化学放射線療法後に疾患進行が認められなかったLS-SCLC患者さん730人の治療において、イミフィンジ単剤療法およびイミフィンジとイジュド®(トレメリムマブ)の併用療法をプラセボと比較評価しています。被験薬群では患者さんが4週間ごとにイジュド75mgとの併用または単剤療法のイミフィンジを1,500mgの固定用量でそれぞれ4回までの投薬/サイクルを受け、その後はイミフィンジを4週間ごとに最長24カ月間の投与を受けるようにランダム化されました。

2つの主要評価項目は、イミフィンジ単剤療法とプラセボの比較におけるPFSおよびOSでした。副次評価項目には、イミフィンジとイジュド併用療法とプラセボの比較におけるOSおよびPFS、安全性ならびにQOL指標が含まれました。この試験は、北米、南米、欧州およびアジアの19カ国、164の施設で実施されました。

イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ)はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。

LS-SCLCの適応に加えて、イミフィンジは、化学放射線療法(CRT)後に疾患進行していない切除不能なステージIIIのNSCLC患者さんに対する治癒目的の治療における、OSに基づいた世界的な標準治療です。また、イミフィンジは切除可能なNSCLCにおける術前補助化学療法と併用した周術期治療、また、転移性のNSCLCの治療においても短期間のイジュドおよび化学療法との併用療法として承認されています。化学療法との併用療法で進展型SCLCの治療薬としても承認されています。

イミフィンジは、局所進行性または転移性の胆道がんに対する化学療法との併用療法、および切除不能な肝細胞がん(HCC)に対するイジュドとの併用療法としても承認されています。
また、イミフィンジは、日本およびEUでは切除不能なHCCに対する単剤療法としても承認されています。

2025年3月には、切除可能な胃がんおよび食道胃接合部がんを対象とした第Ⅲ相MATTERHORN試験において、標準化学療法にイミフィンジを加えた周術期治療が主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)を達成しました(※)。
※切除可能な胃がんおよび食道胃接合部がんに対するイミフィンジの適応は、本邦未承認です。

イミフィンジは、米国、欧州、日本およびその他の国々において、筋層浸潤性膀胱がんに対する、術前補助療法と併用した周術期治療薬としても承認されています(※)。また、2025年5月には、第Ⅲ相POTOMAC試験において、高リスク筋層非浸潤性膀胱がんに対し、標準治療であるBacillus Calmette-Guérin(BCG)導入療法および維持療法とのイミフィンジ併用療法が、主要評価項目である無病生存期間を達成しました。
※日本での適応は、膀胱がんにおける術前・術後補助療法です。

イミフィンジと化学療法の併用およびその後のイミフィンジ単剤療法は、原発性進行または再発子宮体がん(米国およびEUにおいては、ミスマッチ修復機能欠損のみ)の第一選択治療薬として承認されています。イミフィンジと化学療法の併用およびその後のリムパーザ(オラパリブ)およびイミフィンジの併用療法は、EUおよび日本で、ミスマッチ修復機能が正常な進行または再発子宮体がんの患者さんに対して承認されています。

2017年5月に世界で初めて承認されて以来、41万4千人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、および数種類の消化器がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても臨床試験が実施されています。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や疾患進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。

アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、治療および治療を超えて肺がんを抱える人々に意義のある改善を提供するために取り組んでいます。

アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。

また、アストラゼネカは、がん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法や、イジュドやその他の新規の免疫療法や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、二重特異性抗体や、細胞治療やT細胞エンゲージャーを含む、標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬などの次世代免疫療法の研究も行っています。

アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を追求しています。当社は、治療耐性を防ぎ、より長い免疫反応を促すために、新しい併用療法アプローチの探索に力を注いでいます。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性を最大化できる、より早期の疾患ステージにおけるIO治療薬の使用も支持しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。アストラゼネカのFacebookInstagramYouTubeもフォローしてご覧ください。

References

  1. 国立がん研究センターがん情報サービス がん統計https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/patients.html  Accessed February 2026.
  2. National Cancer Institute. NCI Dictionary - Small Cell Lung Cancer. Available at: https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/small-cell-lung-cancer. Accessed February 2026.
  3. Rudin CM, Brambilla E, Faivre-Finn C, Sage J. Small-cell lung cancer. Nat Rev Dis Primers. 2021;7(1):3.
  4. 肺癌診療ガイドライン―胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む2025年版https://www.haigan.gr.jp/publication/guideline/examination/2025/ Accessed February 2026.
  5. Sabari JK et al., Unravelling the biology of SCLC: implications for therapy. Nat Rev Clin Oncol. 2017;14(9): 549-61.
  6. Qin A, Kalemkerian GP. Treatment Options for Relapsed Small-Cell Lung Cancer: What Progress Have We Made? J Oncol Pract. 2018;14(6):369-370.
  7. Cheng Y, et al. Durvalumab after Chemoradiotherapy in Limited-Stage Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2024;391(14):1313-1327.
  8. Bebb DG, et al. Symptoms and Experiences with Small Cell Lung Cancer: A Mixed Methods Study of Patients and Caregivers. Pulm Ther. 2023;9:435-450.
  9. Zenke Y et al., Durvalumab Post Concurrent Chemoradiotherapy in Japanese Patients With Limited-Stage Small-Cell Lung Cancer in the Phase 3 ADRIATIC Trial. Cancer Sci. 2025; 116(11):3171-3184.
  10. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Lung Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/15-trachea-bronchus-and-lung-fact-sheet.pdf. Accessed February 2026.
  11. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. World Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/900-world-fact-sheet.pdf. Accessed February 2026.
  12. LUNGevity Foundation. Types of Lung Cancer. Available at: https://www.lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer. Accessed February 2026.
  13. American Cancer Society. Small Cell Lung Cancer Stages. Available at: https://www.cancer.org/cancer/types/lung-cancer/detection-diagnosis-staging/staging-sclc.html. Accessed February 2026.
  14. Senan S, et al. ADRIATIC: A phase III trial of durvalumab ± tremelimumab after concurrent chemoradiation for patients with limited stage small cell lung cancer. Ann Oncol. 2019;30(suppl. 2):ii25.

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