カミゼストラント、第Ⅲ相SERENA-6試験において、ESR1遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性進行乳がん患者さんにおける、病勢進行または死亡のリスクを56%低減

本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2025年6月1日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。なお、本リリースには、本邦未承認であるカミゼストラント、saruparibの情報を含みます。

乳がんの病勢進行前に、一次治療における耐性の出現を検出し治療するため
血中循環腫瘍DNAをモニタリングする臨床的意義を実証する初のピボタル試験

進行乳がんの一次治療で広く承認されているCDK4/6阻害剤との併用療法で
一貫した無増悪生存期間のベネフィットを示した
最初で唯一の次世代経口SERDおよびERに対する完全拮抗薬

第Ⅲ相SERENA-6試験の結果、アストラゼネカのカミゼストラントとサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤(パルボシクリブ、ribociclib(本邦未承認)、またはアベマシクリブ)との併用療法が、無増悪生存期間(PFS)において、統計学的に高度に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました。この試験では、ホルモン受容体(HR)陽性、HER2陰性の進行乳がん患者さんのうち、腫瘍にESR1遺伝子変異が発現した患者さんの一次治療において、アロマターゼ阻害剤(AI)(アナストロゾールまたはレトロゾール)とCDK4/6阻害剤との併用療法を続ける標準治療に対して、カミゼストラントとの併用療法に切り替えた場合の評価を行いました。

これらの結果は、イリノイ州シカゴで開催された2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のプレナリーセッション(抄録番号#LBA4)で発表され、同時にThe New England Journal of Medicine誌に掲載されました。

本結果では、カミゼストラント併用療法が、標準治療と比較して、治験担当医師の評価により病勢進行または死亡のリスクを56%低減したことが示されました(ハザード比[HR]0.44;95%信頼区間[CI]0.31~0.60;p<0.00001)。PFS中央値は、対照群では9.2カ月であったのに対し、カミゼストラント併用療法に切り替えた群では16.0カ月でした。重要な点として、年齢、人種、地域、ESR1遺伝子変異検出時期、およびESR1変異の種類別の解析を含め、本試験のすべてのCDK4/6阻害剤および臨床的に関連するサブグループにおいて、一貫したPFSの延長が認められました。

また、カミゼストラント併用療法群は、探索的評価項目である生活の質(QOL)の悪化までの期間においても有意な延長を示しており、カミゼストラント併用療法群は、Global health statusおよびQOLの悪化リスクをAI併用療法群と比較して47%低減しました(HR 0.53;95% CI, 0.33~0.82;名目上のp値<0.001)。Global health status悪化までの期間の中央値は、AI併用療法群での6.4カ月に対し、カミゼストラント併用療法群では23.0カ月でした(EORTC QLQ-C30)。また、カミゼストラント併用療法群では、AI併用療法群と比較して、疼痛悪化までの期間も延長しました。

重要な副次評価項目である2回目の進行または死亡までの期間(PFS2)および全生存期間(OS)のデータは、中間解析時点でイベント数が不十分でした。しかし、カミゼストラントによる併用療法では、PFS2において治療効果の延長傾向が観察されました(HR 0.52;95% CI 0.33~0.81;p=0.0038[中間解析時有意水準p=0.0001])。本試験では、OS、PFS2、およびその他の重要な副次評価項目を継続して評価する予定です。

英国、ロンドン大学がん研究所およびロイヤル・マースデンNHS財団トラストの分子腫瘍学教授であり、本試験の国際治験調整医師であるNicholas Turner医学博士は、次のように述べています。「本発表は乳がん治療における極めて重要な節目であり、この種の乳がんにおける薬剤耐性に対する考え方を再定義するものです。革新的なSERENA-6試験の結果は、ESR1遺伝子変異の出現後における3種類のCDK4/6阻害剤のいずれかとの併用療法において、アロマターゼ阻害剤からカミゼストラントへの切り替えにより、病勢進行または死亡リスクが半分以下に低下し、生活の質の悪化までの期間を約18カ月延長することを示しています。この積極的なアプローチは、腫瘍学における新たな治療戦略を例示しており、病勢進行や生活の質の低下を引き起こす前に耐性の発現を治療することで、一次治療のベネフィットを延長し、患者さんの転帰を最適化することができます」。

アストラゼネカのオンコロジー・ヘマトロジー研究開発エグゼクティブ・バイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「SERENA-6試験は、耐性の出現を検出し早期に治療を変更するために循環腫瘍DNAをモニタリングする臨床的意義を実証した初のピボタル試験であり、乳がんにおける臨床パラダイムを再定義するものです。カミゼストラントは、この適応症の一次治療として広く承認されているCDK4/6阻害剤との併用でベネフィットを示した、最初で唯一の次世代経口選択的エストロゲン受容体分解薬および完全エストロゲン受容体拮抗薬であり、これらの結果は、HR陽性乳がん治療における新しい標準的な内分泌療法の根幹となる可能性を示唆しています」。

結果の概要:SERENA-6

 
カミゼストラント+CDK4/6阻害剤(n=155) AI+CDK4/6阻害剤
(n=155)
PFSi
 PFS中央値(カ月) 16.0 (12.7-18.2) 9.2 (7.2-9.5)
 ハザード比(95%信頼区間) 0.44 (0.31-0.60)
 p値 p<0.00001
Global health status / 生活の質の悪化までの期間ii
 平均TTD(カ月) 23.0 (13.8-NC) 6.4 (2.8, 14.0)
 ハザード比(95%信頼区間) 0.53 (0.33-0.82)
 名目上のp値 p<0.001
PFS2iii
 イベント数 38 47
 ハザード比(95%信頼区間) 0.52 (0.33-0.81)
 p値[中間解析時有意水準 p=0.0001] P=0.0038

SERENA-6試験におけるパルボシクリブ、ribociclib、またはアベマシクリブとの併用療法におけるカミゼストラントの安全性プロファイルは、各薬剤の既知の安全性プロファイルと一致していました。本試験ではカミゼストラントとCDK4/6阻害剤の併用投与期間が長かったため、あらゆる原因によるグレード3またはそれ以上の有害事象は、AI群の患者さんでは46%に発現したのに対し、カミゼストラント群では60%に発現しました。その大部分はCDK4/6阻害剤による治療に伴う主な血液学的事象で、好中球減少症(45%vs.34%)、貧血(5%vs.5%)、白血球減少症(10%vs.3%)でした。周辺視野での短い閃光として報告される光視症は、経験したとしても、試験に参加した患者さんの日常活動には影響せず、可逆的でした。眼の構造変化や視力の変化は認められませんでした。新たな安全性シグナルは認められず、また、中止率は非常に低く、両群とも同程度でした。カミゼストラントを中止した患者さんの割合は1%、AIを中止した患者さんでは2%でした。CDK4/6阻害剤の投与中止率は、本試験の両群の患者さんにおいて1%でした。

SERENA-6は、循環腫瘍DNA(ctDNA)によって内分泌療法抵抗性の出現を検出し、病勢進行前に治療の切り替えを実施するアプローチを採用した初の第Ⅲ相国際二重盲検試験です。この新しい試験デザインでは、定期的な腫瘍の画像検査時にctDNAモニタリングを行い、内分泌療法抵抗性の初期兆候およびESR1遺伝子変異の出現を示した患者さんを特定しました。病勢進行がなくESR1遺伝子変異が検出された場合、患者さんの内分泌療法を、それまでのAIを用いた治療からカミゼストラントに切り替え、同じCDK4/6阻害薬の併用を続けました。

第Ⅲ相SERENA-6試験の結果に基づき、カミゼストラントとCDK4/6阻害剤(パルボシクリブ、ribociclib、またはアベマシクリブ)の併用療法は、一次治療における内分泌療法中にESR1変異が発現したHR陽性、HER2陰性、局所進行または転移性乳がんの成人患者さんの治療薬として、米国食品医薬品局により画期的治療薬指定(BTD)を受けました。

注釈

ホルモン受容体(HR)陽性乳がんについて
乳がんは世界で2番目に多いがんであり、がん関連死の主要な原因の1つとなっています1。2022年には200万人以上の患者さんが乳がんと診断され、世界中で66万5000人以上が亡くなりました1。早期乳がんと診断された患者さんの生存率は高いものの、転移を有する疾患と診断された患者さんや転移を有する疾患に進行した患者さんのうち、診断後5年間生存するのは約30%にすぎないと推定されています2

HR陽性乳がんは、エストロゲン受容体またはプロゲステロン受容体、またはその両方の発現を特徴とし、最も一般的な乳がんのサブタイプであり、腫瘍の70%がHR陽性かつHER2陰性であると考えられています2。ERは、多くの場合、HR陽性の乳がん細胞の増殖を促進します3

世界中で約20万人のHR陽性の乳がん患者さんが一次治療として薬物療法を受けており、最も多く行われているのはエストロゲン受容体(ER)を標的とした内分泌療法で、CKD4/6阻害剤と主に併用されます4-6。しかしながら、進行がん患者さんの多くはCDK4/6阻害剤および現在の内分泌療法に対する抵抗性が生じます6。一度そうなると、治療の選択肢は限られ、診断後5年以上生存する患者さんは35%と推定され生存率は低下します2,6,7

ESR1遺伝子の変異は内分泌抵抗性の主な要因であり、臨床現場では、一次治療中に病勢進行した時点で広く検査されています8,9。これらの変異はがんの治療中に発現し、病勢進行とともに増加し、転帰不良と関連しています8,9。ホルモン感受性HR陽性疾患の患者さんの約30%は、病勢進行は伴わず一次治療中にESR1変異を発現します4

内分泌療法の最適化と耐性の克服により患者さんがこれらの治療による恩恵を受け続けることができるようにすること、および恩恵を受けにくい患者さんのための新しい治療法を見つけることは、乳がん研究において重点的に取り組まれている分野です。

SERENA-6について
SERENA-6は、腫瘍にESR1遺伝子変異が出現したHR陽性、HER2陰性の進行乳がん患者さん(局所進行疾患または転移疾患のいずれかの患者さん)を対象に、カミゼストラントとCDK4/6阻害剤(パルボシクリブ、ribociclib、またはアベマシクリブ)の併用と、AI(アナストロゾールまたはレトロゾール)とCDK4/6阻害剤(パルボシクリブ、ribociclib、またはアベマシクリブ)の併用について、有効性および安全性を比較評価する、第Ⅲ相二重盲検ランダム化試験です。

この国際共同試験には、組織学的にHR陽性、HER2陰性の進行乳がんと診断され、一次治療としてAIとCDK4/6阻害剤の併用療法を受けている成人患者さん315人が登録されました。SERENA-6試験の主要評価項目は治験責任(分担)医師の評価によるPFSであり、副次評価項目にはOSと治験責任(分担)医師の評価によるPFS2が含まれます。

カミゼストラントについて
カミゼストラントは、開発段階にある強力な次世代経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)および完全ER拮抗薬であり、現在HR陽性乳がんの治療を目的とした複数の第Ⅲ相試験が行われています。

アストラゼネカの広範かつ強力で革新的な臨床開発プログラム(SERENA-6試験、SERENA-4試験、CAMBRIA-1試験、CAMBRIA-2試験を含む)では、HR陽性HER2陰性乳がんにおけるアンメットニーズの多くの分野に対応するために、カミゼストラントを単剤療法として使用した場合、またはCDK4/6阻害剤と併用した場合の安全性と有効性を評価しています。

カミゼストラントは、ER活性化変異を含むさまざまな前臨床モデルで抗がん活性を実証しています。第Ⅱ相SERENA-2試験では、内分泌療法既治療のER陽性局所進行または転移性乳がん患者さんにおいて、ESR1遺伝子変異の状態やCDK4/6阻害薬による前治療に関係なく、カミゼストラントはフェソロデックス(フルベストラント)と比較してPFSでベネフィットを示しました。第Ⅰ相SERENA-1試験では、カミゼストラントは単独、または広く使用されている3つのCDK4/6阻害剤であるパルボシクリブ、ribociclib、アベマシクリブとの併用療法において、忍容性が良好で、有望な抗腫瘍プロファイルを示すことが実証されました。

アストラゼネカにおける乳がん領域について
アストラゼネカは、乳がんの生物学的な理解が深まってきていることから、より効果的な治療を患者さんに提供するべく、乳がんの分類や治療に対する現在の臨床的パラダイムへの挑戦、再定義を行っており、乳がんによる死亡をなくすことを目標に掲げています。

アストラゼネカは、生物学的に多様な乳がんの腫瘍環境に対応するべく、異なる作用機序の既承認および開発中の有望な化合物からなる包括的なポートフォリオを有しています。

PARP阻害剤リムパーザ(オラパリブ)は、BRCA遺伝子変異を有する早期および転移乳がん患者さんに対する標的治療薬です。アストラゼネカとMSD(北米およびカナダではMerck & Co., Inc.)は、これらの状況におけるリムパーザの研究と早期がんにおけるその可能性の探索を継続しています。アストラゼネカはまた、BRCA遺伝子変異陽性、HR陽性、HER2陰性の進行性乳がんにおいて、PARP1の強力かつ選択的な阻害薬であるsaruparibとカミゼストラントの併用療法の可能性についても研究しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカは、がん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。

References

  1. Bray F, et al. Global cancer statistics 2022: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA Cancer J Clin. 2024 Apr 4. doi: 10.3322/caac.21834.
  2. National Cancer Institute. Cancer Stat facts: Female breast cancer subtypes. Available at: https://seer.cancer.gov/statfacts/html/breast-subtypes.html. Accessed June 2025.
  3. Scabia V, et al. Estrogen receptor positive breast cancers have patient specific hormone sensitivities and rely on progesterone receptor. Nat Commun. 2022; 10.1038/s41467-022-30898-0.
  4. Cerner CancerMPact database. Accessed June 2025.
  5. Lin M, et al. Comparative Overall Survival of CDK4/6 Inhibitors Plus Endocrine Therapy vs. Endocrine Therapy Alone for Hormone receptor-positive, HER2-negative metastatic breast cancer. J Cancer. 2020; 10.7150/jca.48944.
  6. Lloyd M R, et al. Mechanisms of Resistance to CDK4/6 Blockade in Advanced Hormone Receptor–positive, HER2-negative Breast Cancer and Emerging Therapeutic Opportunities. Clin Cancer Res. 2022; 28(5):821-30.
  7. National Comprehensive Cancer Network. Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines). Available at: https://www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/breast.pdf. Accessed June 2025.
  8. Brett O, et al. ESR1 mutation as an emerging clinical biomarker in metastatic hormone receptor‑positive breast cancer. Breast Cancer Res. 2021; 23:85.
  9. Zundelevich, A, et al. ESR1 mutations are frequent in newly diagnosed metastatic and loco-regional recurrence of endocrine-treated breast cancer and carry worse prognosis. Breast Cancer Res. 2020; 22:16.

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