本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2025年5月9日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。なお、本リリースで発表されているイミフィンジの適応症は国内の承認状況と異なります。
Bacillus Calmette-Guérin(BCG)導入療法および維持療法に
イミフィンジを1年間併用した患者さんは、BCG単独療法と比較して
高リスクの疾患再発または進行なしの生存を有意に延長
第Ⅲ相POTOMAC試験の良好な結果概要から、アストラゼネカのイミフィンジ®(デュルバルマブ)の1年間の投与と標準治療であるBCG導入療法および維持療法による併用療法が、BCG導入療法および維持療法の単独治療と比較して、高リスク筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)患者さんの無病生存期間(DFS)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したことが明らかになりました。
本試験では、全生存期間(OS)を正式に検証するための統計学的な検出力はありませんでしたが、記述的分析において悪影響は示されませんでした。
膀胱がん患者さんの70%以上がNMIBCと診断されます。これは、早期のがんであり、腫瘍が膀胱内の表面を覆う組織に存在するものの、筋層には浸潤していない状態を言います1,2。NMIBC患者さんの約半数は、腫瘍のグレード、ステージ、特定の腫瘍の特徴などといった、その患者さんのがんの性質により、病勢進行または再発について高リスクと分類されます3。
ドイツ、シャリテ・ベルリン医科大学泌尿器腫瘍学部門長であり、POTOMAC試験の治験責任医師でもあるMaria De Santis医学博士は、次のように述べています。「これらの興味深いデータは、現在の標準治療にデュルバルマブによる治療を1年間追加することで、患者さんの、高リスクの再発や進行を伴わない生存期間(無病生存期間)を有意に延長することを示しています。筋層非浸潤性膀胱がんの患者さんのほとんどは根治目的の治療を受けますが、それらの患者さんの80%は再発を経験し、そのうちほぼ半数の患者さんは膀胱全摘除術という生活が変わるような手術が必要になる可能性があることから、治療の改善が喫緊に求められていることが浮き彫りとなっています」。
アストラゼネカのチーフ・メディカルオフィサー兼オンコロジー・チーフ・ディベロップメントオフィサーであるCristian Massacesiは次のように述べています。「POTOMAC試験におけるイミフィンジの良好な結果は大きな進歩であり、この重要ながん免疫療法の恩恵をより多くの早期膀胱がんの患者さんに提供できる可能性を示しています。今回の結果は、長期的なベネフィットが最も期待できる早期ステージの患者さんに革新的な治療法を届けるという当社の戦略を実証するものです」。
イミフィンジとBCG導入療法および維持療法の併用療法における安全性および忍容性は、それぞれの薬剤の既知の安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性上の懸念は認められませんでした。イミフィンジの追加により、BCG導入療法および維持療法の完了が妨げられることはありませんでした。
イミフィンジとBCG導入療法のみの併用療法を行ったもう一つの試験治療群とBCG導入療法および維持療法の単独治療との比較においては、DFSのエンドポイントを達成しませんでした。
これらのデータは今後開催される医学会議で発表され、各国の規制当局と共有される予定です。
イミフィンジは、第Ⅲ相NIAGARA試験の結果に基づき、米国およびその他の国々で筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)の患者さんに対して承認されており、シスプラチンの投与が不適格もしくは拒否したMIBC患者さん(VOLGA試験)や局所進行または転移性疾患(NILE試験)を含め、さまざまな治療薬との併用で、早期および後期膀胱がんに対する検討を継続しています。
※MIBC患者さんへのイミフィンジの適応は、本邦未承認です。
注釈
膀胱がん
膀胱がんは世界で9番目に多いがんであり、毎年61万4000人以上が診断されています4。膀胱がんで最も多いのは、尿路上皮細胞から発生する尿路上皮がんです2。
2024年には、推定12万5000人の患者さんが高リスクNMIBCの治療を受けました。現在の標準治療は、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)に続いて膀胱内にBCGを直接投与することです5,6。患者さんのおよそ80%が5年以内に病気の再発を経験し、高リスク患者さんの病勢進行が認められる割合は45%にも達することがあります2。この根治目的の治療において、治療選択肢の必要性は極めて高いとされています。
POTOMAC試験
POTOMAC試験は、第Ⅲ相国際多施設共同ランダム化非盲検試験であり、割付け前にTURBTを受けたBCG未治療の高リスクNMIBC患者さん1,018人を対象に、イミフィンジとBCG療法による併用療法を評価するものです。患者さんは、イミフィンジとBCG導入療法および維持療法の併用群、またはイミフィンジとBCG導入療法のみの併用群、もしくは標準治療であるBCG導入療法および維持療法群に1:1:1の割合でランダム化割付けされました。
本試験は、カナダと欧州、アジアにわたる12カ国、120以上の施設で実施されました。主要評価項目は、無作為化から高リスクの初回再発またはあらゆる原因による死亡までの期間と定義されるDFSで、イミフィンジとBCGの導入療法および維持療法の併用療法をBCG導入療法および維持療法の単独療法と比較しました。副次評価項目は、イミフィンジとBCGの導入療法のみとの併用療法を対照群と比較したDFS、5年時点の全生存期間、および2つの試験治療群における安全性でした。
イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ)はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
MIBCにおける適応に加え、イミフィンジは、化学放射線療法(CRT)後に病勢進行していない切除不能なステージIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんに対する治癒目的の治療における全生存期間(OS)に基づいた、世界的な標準治療です。また、イミフィンジは切除可能な非小細胞肺がんにおける術前化学療法と併用した周術期治療、また、転移性のNSCLCの治療においても短期間のイジュドおよび化学療法との併用療法として承認されています。イミフィンジは、白金製剤を含む同時CRT後に病勢進行が認められていない限局型小細胞肺がん(SCLC)にも承認されており、化学療法との併用療法で進展型SCLCの治療薬としても承認されています。
イミフィンジは局所進行または転移性の胆道がんに対する化学療法との併用療法、および切除不能な肝細胞がん(HCC)に対するイジュドとの併用療法が承認されています。また、イミフィンジは、日本および欧州連合(EU)では切除不能な肝細胞がんに対する単剤療法としても承認されています。
2025年3月には、切除可能な胃がんおよび食道胃接合部がんを対象とした第Ⅲ相MATTERHORN試験において、標準化学療法にイミフィンジを加えた周術期治療が主要評価項目である無イベント生存期間を達成しました。
イミフィンジと化学療法の併用およびその後のイミフィンジ単剤療法は、原発性進行または再発子宮体がん(米国およびEUにおいては、ミスマッチ修復機能欠損疾患のみ)の第一選択治療薬として承認されています。イミフィンジと化学療法の併用およびその後のリムパーザ(オラパリブ)およびイミフィンジの併用療法は、EUおよび日本で、ミスマッチ修復機能が正常な進行または再発子宮体がんの患者さんに対して承認されています。
2017年5月に世界で初めて承認されて以来、37万4千人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、数種類の消化器がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても臨床試験が実施されています。
アストラゼネカのがん免疫治療(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。
また、アストラゼネカは、がん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法や、イジュドやその他の新規の免疫療法や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、二重特異性抗体や、細胞治療やT細胞エンゲージャーを含む、標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬などの次世代免疫療法の研究も行っています。
アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を追求しています。当社は、治療耐性を防ぎ、より長い免疫反応を促すために、新しい併用療法アプローチの探索に力を注いでいます。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性を最大化できる、より早期の疾患ステージにおける免疫治療薬の使用も支持しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカは、がん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
References
- Fuge O, et al. Immunotherapy for bladder cancer. Res Rep Urol. 2015;7:65-79.
- American Cancer Society. What Is Bladder Cancer? Available at: https://www.cancer.org/cancer/bladder-cancer/about/what-is-bladder-cancer.html. Accessed May 2025.
- Porten SP, Cooperberg MR. High-risk nonmuscle invasive bladder cancer: definition and epidemiology. Curr Opin Urol. 2012;22:385-389.
- World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Bladder Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/30-bladder-fact-sheet.pdf. Accessed May 2025.
- AstraZeneca PLC. Investor Relations Epidemiology Spreadsheet. Available at: https://www.astrazeneca.com/investor-relations.html. Accessed May 2025.
- Gontero P, et al. EAU Guidelines on Non-muscle-invasive Bladder Cancer (TaT1 and CIS). 2025. Edn. presented at the EAU Annual Congress Madrid 2025. ISBN 978-94-92671-29-5.