本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2025年4月29日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。なお、本リリースで発表されているカルケンスの適応症は国内の承認状況と異なります。
カルケンスの併用療法が、免疫化学療法と比較して
無増悪生存期間における統計学的に有意かつ臨床的に意義ある改善を示した
第Ⅲ相AMPLIFY試験の結果に基づく勧告
アストラゼネカのカルケンス®(アカラブルチニブ)とベネトクラクスの固定期間併用療法が、オビヌツズマブ併用投与の有の場合、無の場合ともに、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)の成人患者さんの治療薬として、欧州連合(EU)において承認勧告を受けました。
欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)の肯定的な見解は、米国血液学会(ASH)2024年年次総会で発表され、The New England Journal of Medicine誌に掲載された、第Ⅲ相AMPLIFY試験の結果に基づくものです1。
本試験の結果で、カルケンスとベネトクラクスの併用療法は、標準治療である免疫化学療法(治験責任医師が選択したフルダラビン・シクロホスファミド・リツキシマブまたはベンダムスチン・リツキシマブのいずれか)と比較して、病勢進行または死亡のリスクを35%低減しました(ハザード比[HR]0.65;95%信頼区間[CI]0.49~0.87;p=0.0038)。カルケンスとベネトクラクスおよびオビヌツズマブの併用療法は、標準治療である免疫化学療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを58%低減しました(ハザード比[HR]0.42;95%信頼区間[CI]0.30~0.59;p<0.0001)2。
3年時点で、免疫化学療法を受けた患者さんでは67%で病勢進行がみられなかったのに対し、カルケンスとベネトクラクスの併用療法を受けた患者さんでは77%、カルケンスとベネトクラクスおよびオビヌツズマブの併用療法を受けた患者さんでは83%で病勢進行がみられませんでした1。無増悪生存期間(PFS)の中央値は、どちらの試験群でも未到達でしたが、免疫化学療法群では47.6カ月でした1。
ポーランド・クラクフにあるマリア・スクウォドフスカ・キュリー国立腫瘍学研究所の医学博士であり、本試験の治験責任医師であるWojciech Jurczak氏は、次のように述べています。「慢性リンパ性白血病は治癒困難ながんであるため、患者さんは病気とともに生きながら何年も治療を続けることになり、長期的な影響を受ける可能性があります。固定期間で投与するカルケンス療法は、患者さんの治療の休止を可能にし、長期的な有害事象や薬剤耐性のリスクを軽減します」。
アストラゼネカのオンコロジー・ヘマトロジー研究開発エグゼクティブ・バイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「本勧告により、カルケンスとベネトクラクスの併用療法は、未治療の慢性リンパ性白血病患者さんに対して欧州で承認される、唯一の経口第二世代BTK阻害剤となる可能性があります。カルケンスは、固定期間投与および病勢進行まで継続する治療において有効性と安全性を実証しており、患者さんと医師に柔軟な治療を提供します」。
CLLは成人における最も一般的な白血病であり、2024年には英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリアで推定27,000人の患者さんが診断されています3。
カルケンスの安全性と忍容性は既知の安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。
AMPLIFY試験の結果に基づき、この適応症についてオビヌツズマブの有無にかかわらず、カルケンスとベネトクラクスの併用療法に関する申請が現在、いくつかの国で審査中です。
注釈
慢性リンパ性白血病(CLL)について
CLLは成人における最も一般的な白血病の一種であり、2021年には世界中で117,000以上の新規症例がありました4。CLL患者さんにおいては、診断時に症状がまったく現れない場合もありますが、脱力感、疲労感、体重減少、悪寒、発熱、寝汗、リンパ節の腫れ、腹痛などの症状が現れる場合もあります5。CLLでは、異常なリンパ球が血液、骨髄およびリンパ節に蓄積します。異常細胞数が増えるに従い、骨髄内で正常な白血球、赤血球および血小板を産生するためのスペースが減ります6。これにより、感染、貧血および出血を引き起こす可能性があります。ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)を介するB細胞受容体のシグナル伝達は、CLLにおいて異常細胞が増加する基本的な経路の一つです。
AMPLIFY試験について
AMPLIFY試験は、染色体17p欠失(del(17p))変異およびTP53変異を含まない未治療の成人CLL患者さんを対象に、カルケンスとベネトクラクスとの併用にオビヌツズマブ投与を含めた場合と含めなかった場合の有効性および安全性を、治験責任医師が選択した免疫化学療法(フルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブまたはベンダムスチン+リツキシマブ)と比較評価する、無作為化、国際共同、多施設共同、非盲検第Ⅲ相試験です7。患者さんには、カルケンスとベネトクラクスとの固定期間併用療法、カルケンスとベネトクラクスとオビヌツズマブとの固定期間併用療法、または標準治療である免疫化学療法のいずれかが、1:1:1の割合で無作為に割り当てられました7。カルケンスを含む両群は14サイクル(各28日間)の固定期間にわたって投与され、標準治療の免疫化学療法は6サイクルにわたって投与されました7。
主要評価項目は、カルケンス+ベネトクラクス群における、独立審査委員会の判定に基づくPFSで、カルケンス+ベネトクラクス+オビヌツズマブ群におけるPFSを主な副次評価項目として評価しました7。その他の主な副次評価項目には、OS、微小残存病変の陰性です7。同試験は北米、南米、欧州、アジア、オセアニアにわたる27カ国で実施されました7。
AMPLIFY試験には、2019年から2021年にかけ、COVID-19パンデミック中でも継続して患者さんが登録されました7。血液がん患者さんは、COVID-19による入院や死亡などの重大な転帰のリスクが、一般集団と比較して相変わらず極端に高くなっています8。
カルケンスについて
カルケンス(一般名:アカラブルチニブ)は、第二世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤です。カルケンスはBTKに共有結合することでその阻害作用を発揮します9。B細胞内においてBTKシグナル伝達は、B細胞の増殖、輸送、走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られています。
カルケンスは、米国と日本、中国では慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療薬として、EUをはじめとする世界各国ではCLLの治療薬として承認されています。カルケンスは米国とその他の国においては未治療のMCL成人患者さんの治療薬として承認されています。また、中国、その他数カ国においては、少なくとも1回の前治療歴を有する成人MCL患者さんの治療薬として承認されています。なお現在、カルケンスは日本ではMCLの治療薬としては承認されていません。
広範な臨床開発プログラムの一環として、現在、カルケンスについて、CLL、MCL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含む複数のB細胞性の血液腫瘍に対する治療薬として、カルケンス単独療法と標準治療である免疫化学療法との併用療法を評価しています。
アストラゼネカにおける血液腫瘍領域について
アストラゼネカは、血液腫瘍領域における治療を再定義するため、サイエンスの限界に挑戦しています。また、患者さんや介護者の方々、医師からの知見によって形作られる革新的な医薬品とアプローチを通じて、悪性、希少を含む血液疾患患者さんの生活に変革をもたらすことを目指しています。
販売中の製品に加え、当社は複数の科学的プラットフォームにわたり、疾患の根本的な原因を標的とする新規治療法の開発を主導しています。希少な非悪性血液疾患の専門知識を有するアレクシオン社と、自家細胞療法のパイオニアであるGracell Biotechnologies Inc.を買収したことで、当社の血液疾患パイプラインを拡大し、全面的な治療法の探索、開発、提供を通じて、より多くの患者さんの高いアンメットニーズに応えることができるようになりました。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
References
- Brown J, et al. Fixed-Duration Acalabrutinib Combinations in Untreated Chronic Lymphocytic Leukemia. NEJM. 2025;392:748-762.
- Brown, J et al. Fixed-Duration Acalabrutinib plus Venetoclax with or without Obinutuzumab versus Chemoimmunotherapy for First-Line Treatment of Chronic Lymphocytic Leukemia: Interim Analysis of the Multicenter, Open-label, Randomized, Phase 3 AMPLIFY Trial. Presented at ASH 2024. Abstract 1009. 2024.
- AstraZeneca 2024. Full Year and Q4 2024 Financial Results Epidemiology Spreadsheet. Available at: https://www.astrazeneca.com/investor-relations.html. Accessed April 2025.
- Global Burden of Disease Collaborative Network's "Global Burden of Disease Study 2021 (GBD 2021)" published by the Institute for Health Metrics and Evaluation (IHME) in Seattle, United States, in 2024. Accessed April 2025.
- American Cancer Society. Signs and Symptoms of Chronic Lymphocytic Leukemia. Available at: https://www.cancer.org/cancer/types/chronic-lymphocytic-leukemia/detection-diagnosis-staging/signs-symptoms.html. Accessed April 2025.
- National Cancer Institute. Chronic lymphocytic leukemia treatment (PDQ®)–Patient version. Available at: https://www.cancer.gov/types/leukemia/patient/cll-treatment-pdq. Accessed April 2025.
- ClinicalTrials.gov. Study of Acalabrutinib (ACP-196) in Combination With Venetoclax (ABT-199), With and Without Obinutuzumab (GA101) Versus Chemoimmunotherapy for Previously Untreated CLL (AMPLIFY). Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT03836261. Accessed April 2025.
- Dube S, et al. Continued Increased Risk of COVID-19 Hospitalisation and Death in Immunocompromised Individuals Despite Receipt of ≥4 Vaccine Doses: Updated 2023 Results from INFORM, a Retrospective Health Database Study in England. Poster P0409 at ECCMID 2024.
- Wu J, et al. Acalabrutinib (ACP-196): a selective second-generation BTK inhibitor. J Hematol Oncol. 2016;9(21).