本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2025年2月26日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。なお、本リリースには、本邦未承認であるカミゼストラント、saruparibの情報を含みます。
広く承認されているCDK4/6阻害薬との併用療法で一次治療のベネフィットを示した
最初で唯一の次世代経口SERDおよびERに対する完全拮抗薬
第Ⅲ相SERENA-6試験の予定された中間解析の結果、アストラゼネカのカミゼストラントとサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬(パルボシクリブ、ribociclib(本邦未承認)、またはアベマシクリブ)との併用療法が、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)において、統計学的に高度に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました。この試験では、ホルモン受容体(HR)陽性、HER2陰性の進行乳がん患者さんのうち、腫瘍にESR1遺伝子変異が現れた患者さんの一次治療において、CDK4/6阻害薬とアロマターゼ阻害薬(AI)(アナストロゾールまたはレトロゾール)との併用療法を続ける標準治療に対して、カミゼストラントとの併用療法に切り替えた場合の評価を行いました。
中間解析時点では、重要な副次評価項目である2回目の進行または死亡までの期間(PFS2)および全生存期間(OS)についてはイベント数が不十分でした。しかし、 カミゼストラントによる併用療法はPFS2の延長傾向を示しました。この試験は、重要な副次評価項目をさらに評価するために予定通り継続されます。
SERENA-6は、循環腫瘍DNA(ctDNA)によって内分泌療法抵抗性の出現を検出し、病勢進行前に治療の切り替えを実施するアプローチを使用した初の第Ⅲ相国際二重盲検試験です。この新しい試験デザインでは、定期的な腫瘍の画像検査時にctDNAモニタリングを行い、内分泌療法抵抗性の初期兆候およびESR1遺伝子変異の出現を示した患者さんを特定しました。病勢進行がなくESR1遺伝子変異が検出された場合、患者さんの内分泌療法を、それまでのAIを用いた治療からカミゼストラントに切り替え、同じCDK4/6阻害薬との併用を続けました。
フランスのキュリー研究所およびパリ=サクレ大学の医学腫瘍学教授であり、本試験の共同国際調整医師であるFrançois-Clément Bidard博士は次のように述べています。「患者さんは、一次治療の内分泌療法において病勢進行を遅らせる新しい治療法を切実に求めています。SERENA-6試験の結果は、ESR1遺伝子変異の出現後に3つのCDK4/6阻害薬のいずれかとの併用療法において既存のアロマターゼ阻害薬から カミゼストラント へと切り替えることで、病勢進行を遅らせ、一次治療のベネフィットを延長することを示しており、患者さんにとっては重要な前進であるとともに、臨床プラクティスを転換する可能性があります」。
アストラゼネカのオンコロジー・ヘマトロジー研究開発エグゼクティブ・バイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「これらの優れた結果は、広く承認されたCDK4/6阻害薬の全てと併用した場合のカミゼストラントの汎用性を示し、アロマターゼ阻害薬とCDK4/6阻害薬の併用療法で治療中に腫瘍がESR1遺伝子変異を発現したHR陽性、HER2陰性進行乳がん患者さんの3人に1人に対して、忍容性の高い新たな一次治療の治療選択肢を提供する可能性を示しています。この重要な結果は、私たちが、HR陽性乳がんにおける治療パラダイムを転換し、この新しい内分泌療法の基盤の確立を目指す中で、カミゼストラントが新しい標準治療になる可能性の実現に一歩近づきました」。
SERENA-6試験におけるパルボシクリブ、ribociclib、またはアベマシクリブとの併用療法におけるカミゼストラントの安全性プロファイルは、各薬剤の既知の安全性プロファイルと一致していました。新たな安全性の懸念は確認されておらず、両群において中止率は非常に低く、同等でした。
世界中で約20万人のHR陽性乳がん患者さんが一次治療を受けています。最も頻繁に実施されるものはエストロゲン受容体(ER)が関与する疾患を標的とした内分泌療法であり、多くの場合CDK4/6阻害薬と併用されます1-3。しかし、多くの進行がん患者さんでCDK4/6阻害薬と現行の内分泌療法との併用療法に対する抵抗性が出現します3。
ESR1遺伝子の変異は内分泌療法抵抗性の主な要因であり、臨床現場で広く検討が行われています4,5。これらの変異は、疾患の治療中に発現し、病勢進行に伴ってより広まり、予後不良につながります。内分泌療法感受性HR陽性疾患の約30%の患者さんにおいて、一次治療中に病勢進行なしにESR1遺伝子変異が出現します1。
データは、今後開催される医学学会で発表され、世界の規制当局と共有される予定です。
注釈
ホルモン受容体(HR)陽性乳がんについて
乳がんは世界で2番目に多いがんであり、がん関連死の主要な原因の1つとなっています6。2022年には200万人以上の患者さんが乳がんと診断され、世界中で66万5000人以上が亡くなりました6。早期乳がんと診断された患者さんの生存率は高いものの、転移を有する疾患と診断された患者さんや転移を有する疾患に進行した患者さんのうち、診断後5年間生存するのは約30%にすぎないと推定されています7。
HR陽性乳がんは、エストロゲン受容体またはプロゲステロン受容体、またはその両方の発現を特徴とし、最も一般的な乳がんのサブタイプであり、腫瘍の70%がHR陽性かつHER2陰性であると考えられています7。ERは、多くの場合、HR陽性の乳がん細胞の増殖を促進します8。
HR陽性乳がんでCDK4/6阻害薬および現在の内分泌療法による治療に対する抵抗性が生じると、治療の選択肢は限られ、診断後5年以上生存する患者さんは35%と推定され生存率は低下します3,7,9。内分泌療法の最適化と耐性の克服により患者さんがこれらの治療による恩恵を受け続けることができるようにすること、および恩恵を受けにくい患者さんのための新しい治療法を見つけることは、乳がん研究において重点的に取り組まれている分野です。
SERENA-6について
SERENA-6 は、腫瘍にESR1遺伝子変異が出現したHR陽性、HER2陰性の進行乳がん患者さん(局所進行疾患または転移疾患のいずれかの患者さん)を対象に、カミゼストラントとCDK4/6阻害薬(パルボシクリブ、ribociclib、またはアベマシクリブ)の併用と、AI(アナストロゾールまたはレトロゾール)とCDK4/6阻害薬(パルボシクリブ、ribociclib、またはアベマシクリブ)の併用について、有効性および安全性を比較評価する、第Ⅲ相二重盲検ランダム化試験です。
この国際共同試験には、組織学的にHR陽性、HER2陰性の進行乳がんと診断され、一次治療としてAIとCDK4/6阻害薬の併用療法を受けている成人患者さん315人が登録されました。SERENA-6試験の主要評価項目は治験責任(分担)医師の評価によるPFSであり、副次評価項目にはOSと治験責任(分担)医師の評価によるPFS2が含まれます。
カミゼストラントについて
カミゼストラントは、開発段階にある強力な次世代経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)および完全ER拮抗薬であり、現在 HR 陽性乳がんの治療を目的とした第Ⅲ相試験が行われています。
アストラゼネカの広範かつ強力で革新的な臨床開発プログラム(SERENA-6試験、SERENA-4試験、CAMBRIA-1試験、CAMBRIA-2試験を含む)では、この特定のタイプの乳がんにおけるアンメットニーズの多くの分野に対応するために、カミゼストラントを単剤療法として使用した場合、または他の薬剤と併用した場合の安全性と有効性を評価しています。
カミゼストラントは、ER活性化変異を含むさまざまな前臨床モデルで抗がん活性を実証しています。第Ⅱ相SERENA-2試験では、内分泌療法既治療のER陽性局所進行性または転移性乳がん患者さんにおいて、ESR1遺伝子変異の状態やCDK4/6阻害薬による前治療に関係なく、カミゼストラントはフェソロデックス(フルベストラント)と比較してPFSベネフィットを示しました。第Ⅰ相SERENA-1試験では、カミゼストラントは単独、または広く使用されている3つのCDK4/6阻害剤であるパルボシクリブ、ribociclib、アベマシクリブとの併用療法において、忍容性が良好で、有望な抗腫瘍プロファイルを示すことが実証されました。SERENA-1試験では、他の薬剤との併用療法が進行中です。
アストラゼネカにおける乳がん領域について
アストラゼネカは、乳がんの生物学的な理解が深まってきていることから、より効果的な治療を患者さんに提供するべく、乳がんの分類や治療に対する現在の臨床的パラダイムへの挑戦、再定義を行っており、乳がんによる死亡をなくすことを目標に掲げています。
アストラゼネカは、生物学的に多様な乳がんの腫瘍環境に対応するべく、異なる作用機序の既承認および開発中の有望な化合物からなる包括的なポートフォリオを有しています。
PARP阻害剤リムパーザ(オラパリブ)は、BRCA遺伝子変異を有する早期および転移乳がん患者さんに対する標的治療薬です。アストラゼネカとMSD(北米およびカナダではMerck & Co., Inc.)は、これらの状況におけるリムパーザの研究と早期がんにおけるその可能性の探索を継続しています。アストラゼネカはまた、BRCA遺伝子変異陽性、HR陽性、HER2陰性の進行性乳がんにおいて、PARP1の強力かつ選択的な阻害薬であるsaruparibとカミゼストラントの併用療法の有効性と安全性についても研究しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカは、がん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
References
- Cerner CancerMPact database. Accessed February 2025.
- Lin M, et al. Comparative Overall Survival of CDK4/6 Inhibitors Plus Endocrine Therapy vs. Endocrine Therapy Alone for Hormone receptor-positive, HER2-negative metastatic breast cancer. J Cancer. 2020; 10.7150/jca.48944.
- Lloyd M R, et al. Mechanisms of Resistance to CDK4/6 Blockade in Advanced Hormone Receptor–positive, HER2-negative Breast Cancer and Emerging Therapeutic Opportunities. Clin Cancer Res. 2022; 28(5):821-30.
- Brett O, et al. ESR1 mutation as an emerging clinical biomarker in metastatic hormone receptor‑positive breast cancer. Breast Cancer Res. 2021; 23:85.
- Zundelevich, A, et al. ESR1 mutations are frequent in newly diagnosed metastatic and loco-regional recurrence of endocrine-treated breast cancer and carry worse prognosis. Breast Cancer Res. 2020; 22:16.
- Bray F, et al. Global cancer statistics 2022: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA Cancer J Clin. 2024 Apr 4. doi: 10.3322/caac.21834.
- National Cancer Institute. Cancer Stat facts: Female breast cancer subtypes. Available at: https://seer.cancer.gov/statfacts/html/breast-subtypes.html. Accessed February 2025.
- Scabia V, et al. Estrogen receptor positive breast cancers have patient specific hormone sensitivities and rely on progesterone receptor. Nat Commun. 2022; 10.1038/s41467-022-30898-0.
- National Comprehensive Cancer Network. Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines). Available at: https://www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/breast.pdf. Accessed February 2025.