本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2024年12月5日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。なお、本リリースで発表されているイミフィンジの適応症は国内の承認状況と異なります。
プラセボと比較して死亡リスクを27%低下させた第Ⅲ相ADRIATIC試験の結果に基づく
アストラゼネカのイミフィンジ®(デュルバルマブ)が、米国において、白金製剤を含む同時化学放射線療法後に病勢進行が認められていない限局型小細胞肺がん(LS-SCLC)の成人患者さんに対する治療薬として承認されました。
米国食品医薬品局(FDA)による本承認は、優先審査および画期的治療薬指定を受けたものです。この承認は、2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のプレナリーセッションで発表され、The New England Journal of Medicine誌で発表された、第Ⅲ相ADRIATIC試験の結果に基づいています。
小細胞肺がん(SCLC)は悪性度が高いタイプの肺がんです1。LS-SCLCは、標準治療である化学療法と放射線療法に対し最初は奏効するものの、大体は再発し、急速に進行します2-3。LS-SCLCの予後は特に不良で、診断後の5年生存率はわずか15~30%です4。
オランダのアムステルダム大学メディカルセンター医学部臨床実験放射線療法教授であり、本試験の国際治験調整医師であるSuresh Senan博士は次のように述べています。「デュルバルマブは、非常に悪性度の高いタイプの肺がんを患う患者さんの治癒を目的とした白金製剤ベースの化学療法後において、生存期間を延長させた、最初で唯一の全身療法です。この発見は、この疾患に対する40年ぶりの進展を意味します。ADRIATIC試験では、デュルバルマブで治療した患者さんの57%が3年後も生存しており、本剤がこの疾患における治療を変える可能性を裏付けています」。
アストラゼネカのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者であるDave Fredricksonは次のように述べています。「イミフィンジに対する今回の承認は画期的なもので、限局型小細胞肺がん患者さんが免疫療法を受けることを初めて可能にしました。ADRIATIC試験は、全生存期間中央値において22.5カ月の延長を示し、新たなベンチマークを確立しました。イミフィンジは、限局型および進展型小細胞肺がんの両方に対して承認された唯一の免疫療法であり、生存率改善に向けた私たちの取り組みを後押しするものです」。
LiveLungの創設者兼エグゼクティブディレクターであるDusty Donaldson氏は次のように述べています。「この新しい治療選択肢は、再発率の高い疾患である限局型小細胞肺がん患者さんにとってはゲームチェンジャーです。これまで、ほとんどの場合、この種のがんに対する新たな治療選択肢を同定するための臨床試験はベネフィットを示すことができませんでした。したがって、転帰を有意に改善する可能性があるこの免疫療法による治療を利用する機会をより多くの人々が得られるようになることを、私たちは非常にうれしく思っています」。
本試験において、イミフィンジはプラセボに対して死亡リスクを27%低下させました(全生存期間[OS]ハザード比[HR]0.73;95%信頼区間[CI]0.57-0.93;p=0.0104)。推定OS中央値は、プラセボ群が33.4カ月であったのに対し、イミフィンジ群は55.9カ月でした。患者さんの3年生存率は、プラセボ群では48%であったのに対し、イミフィンジ群では57%と推定されました。
イミフィンジはまた、プラセボと比較して、病勢進行または死亡のリスクを24%低下させました(無増悪生存期間[PFS]HR 0.76;95% CI 0.61-0.95;p=0.0161)。PFS中央値は、プラセボ群では9.2カ月であったのに対し、イミフィンジ群では16.6カ月でした。2年経過時点で病勢進行を認めなかった患者さんの割合は、プラセボ群では34%であったのに対し、イミフィンジ群では46%と推定されました。
イミフィンジの安全性プロファイルはおおむね管理可能であり、本剤の既知のプロファイルと一貫していました。新たな安全性シグナルは認められませんでした。
イミフィンジは、ADRIATIC試験の結果に基づき、この疾患においてスイスでも承認されています。現在、EU、日本及び他のいくつかの国において、この適応での承認申請に対する規制当局の審査が行われています。
注釈
小細胞肺がんについて
肺がんは男女ともにがん死亡の主な原因であり、がん死亡の約5分の1を占めています5,6。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大別され、約15%がSCLCに分類されます7。
LS-SCLC(ステージI~III)はSCLCの中でも一般に片側の肺または胸部のみに認められるものとして分類されます8。LS-SCLCはSCLC診断の約30%を占め、標準治療である同時化学放射線療法(cCRT)による治癒目的の治療を行っても予後は依然として不良です9。
ADRIATIC試験について
ADRIATIC試験は、無作為化二重盲検多施設国際共同第Ⅲ相プラセボ対照試験であり、cCRT後に病勢進行が認められなかったLS-SCLC患者さん730人の治療において、イミフィンジ単剤療法およびイミフィンジとイジュド®(トレメリムマブ)の併用療法をプラセボと比較評価しています。投与群では患者さんが4週間ごとにイジュド75mgとの併用または単剤療法のイミフィンジを1,500mgの固定用量でそれぞれ4回までの投薬/サイクルを受け、その後はイミフィンジを4週間ごとに最長24カ月間の投与を受けるように無作為化されました。
2つの主要評価項目は、イミフィンジ単剤療法のプラセボに対するPFSおよびOSでした。重要な副次評価項目には、イミフィンジとイジュド併用療法のプラセボに対するOSおよびPFS、安全性ならびにQOL指標が含まれました。この試験は、北米、南米、ヨーロッパおよびアジアの19カ国、164の施設で実施されました。
イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ)はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
LS-SCLCの適応に加えて、イミフィンジは、化学放射線療法後に病勢進行していない切除不能なステージIIIのNSCLC患者さんに対する治癒目的の治療において、唯一承認された免疫療法であり、世界的な標準治療です。また、イミフィンジは切除可能な非小細胞肺がんにおける術前化学療法と併用した周術期治療、化学療法(エトポシド+カルボプラチン/シスプラチン)との併用療法は、進展型SCLC(ES-SCLC)の治療薬として、また、転移性のNSCLCの治療においても短期間のイジュドおよび化学療法との併用療法として承認されています。
イミフィンジは、局所進行性または転移性の胆道がんに対する化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン)との併用に加え、切除不能な肝細胞がん(HCC)に対するイジュドとの併用で承認されています。
また、イミフィンジは、日本およびEUでは切除不能な肝細胞がんに対する単剤療法として承認されています。
イミフィンジは、米国ではミスマッチ修復機能欠損を有する(dMMR)の原発性進行または再発子宮体がんにおいて、化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)との併用療法後にイミフィンジ単剤療法を行う治療も承認されています。EUでは、ミスマッチ修復機能正常(pMMR)の進行性または再発性子宮体がん患者さんに対して、イミフィンジと化学療法の併用後にリムパーザ(オラパリブ)とイミフィンジの併用療法を行う治療、dMMRの患者さんに対しては、イミフィンジと化学療法の併用後にイミフィンジ単剤療法を行う治療が承認されています。日本では、原発性進行または再発子宮体がんの一次治療として、イミフィンジと化学療法の併用後にイミフィンジ単剤療法が承認されており、pMMR患者さんに対しては、イミフィンジと化学療法の併用後にイミフィンジとリムパーザの併用が承認されています。
イミフィンジは、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)および重要な副次評価項目である全生存期間(OS)において、術前化学療法と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示したNIAGARA第Ⅲ相試験の結果に基づき、術前化学療法と併用した周術期治療薬としても世界各国の規制当局により審査中です。
2017年5月に世界で初めて承認されて以来、37万4千人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、SCLC、NSCLC、乳がん、膀胱がん、数種類の消化器がん、婦人科がん、その他の固形がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても臨床試験が実施されています。
肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。
アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、治療および治療を超えて肺がんを抱える人々に意義のある改善を提供するために取り組んでいます。
アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。
また、アストラゼネカは、がん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法や、イジュドやその他の新規の免疫療法や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、二重特異性抗体や、細胞治療やT細胞エンゲージャーを含む、標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬などの次世代免疫療法の研究も行っています。
アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を追求しています。当社は、治療耐性を防ぎ、より長い免疫反応を促すために、新しい併用療法アプローチの探索に力を注いでいます。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性を最大化できる、より早期の疾患ステージにおけるIO治療薬の使用も支持しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
References
- National Cancer Institute. NCI Dictionary - Small Cell Lung Cancer. Available at: https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/small-cell-lung-cancer. Accessed December 2024.
- Qin A, Kalemkerian GP. Treatment Options for Relapsed Small-Cell Lung Cancer: What Progress Have We Made? J Oncol Pract. 2018;14(6):369-370.
- Cheng Y, et al. Durvalumab after Chemoradiotherapy in Limited-Stage Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2024;391(14):1313-1327.
- Bebb DG, et al. Symptoms and Experiences with Small Cell Lung Cancer: A Mixed Methods Study of Patients and Caregivers. Pulm Ther. 2023;9:435-450.
- World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Lung Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.who.int/today/en/fact-sheets-cancers. Accessed December 2024.
- World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. World Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/900-world-fact-sheet.pdf. Accessed December 2024.
- LUNGevity Foundation. Types of Lung Cancer. Available at: https://www.lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer. Accessed December 2024.
- American Cancer Society. Small Cell Lung Cancer Stages. Available at: https://www.cancer.org/cancer/types/lung-cancer/detection-diagnosis-staging/staging-sclc.html. Accessed December 2024.
- Senan S, et al. ADRIATIC: A phase III trial of durvalumab ± tremelimumab after concurrent chemoradiation for patients with limited stage small cell lung cancer. Ann Oncol. 2019;30(suppl. 2):ii25.