本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2024年9月16日に発信したプレスリリースを抜粋して日本語に翻訳し、参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。なお、本リリースで発表されているイミフィンジとイジュドの適応症は国内の承認状況と異なります。
進行肝がん患者さんを対象とした第Ⅲ相免疫療法試験として
最長期間の生存追跡データ
第Ⅲ相HIMALAYA試験の最新の結果において、アストラゼネカのイミフィンジ®(デュルバルマブ)とイジュド®(トレメリムマブ)の併用療法は、全身療法の治療歴がなく、局所療法の適応とならない切除不能な肝細胞がん(HCC)患者さんに対し、持続的で臨床的に意義のある5年経過時点の全生存率の上昇効果を示しました。
HIMALAYA試験のこれらの結果は、スペイン・バルセロナで開催された2024年欧州臨床腫瘍学会 (ESMO)(presentation 947MO)で発表されました。
5年間の追跡において、この最新の探索的解析では、イミフィンジにイジュドのプライミング単回投与を追加したSTRIDE(Single Tremelimumab Regular Interval Durvalumab)レジメンが、ソラフェニブと比較して死亡リスクを24%低下させたことが示されました(ハザード比[HR]0.76;95%信頼区間[CI]0.65-0.89)。STRIDEレジメン群の患者さんの推定5年生存率は19.6%で、ソラフェニブ群の患者さんでは9.4%でした。
完全または部分奏効または安定と定義される病勢制御を達成した患者さんのサブグループ解析では、ソラフェニブで治療された患者さんの5年生存率12.7%に対し、STRIDEレジメンで治療された患者さんでは28.7%でした。加えて、奏効の深さ(DpR)の探索的解析では、ソラフェニブ群と比較して、STRIDEレジメンで治療された患者さんの方が、生存期間の延長につながる深い奏効を経験することが示されました。
イタリア、ミラノのフマニタス大学およびIRCCS認定フマニタス研究病院腫瘍内科准教授であり、HIMALAYA試験の治験責任医師であるLorenza Rimassa医学博士は次のように述べています。「進行肝がんの患者さんに対するデュルバルマブとトレメリムマブの併用による治療は、5年経過時点の全生存率を2倍にし、ソラフェニブを上回る有意な生存率の優位性は時を経るごとにも顕著になりました。これらのデータは、この新規の2剤併用免疫療法レジメンの使用を後押しし、この深刻な病気の患者さんにとって重大なマイルストーンとなります」。
世界肝臓研究所の肝がんプログラム責任者であるSarah Manes氏は次のように述べています。「5年生存のマイルストーンに達することは、進行肝がん患者さんとその家族にとって、臨床的に重要であり、情緒的にも意味のあることです。私たちは、新しい治療選択肢により転帰が改善する進歩を目の当たりにし、社会の患者さんに長期の生存に関する新しい希望をもたらすことができることを嬉しく思います」。
アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブ・バイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「これまでの5年生存率わずか約7%に比べて、STRIDEレジメンによる治療を受けた進行肝がんの患者さんの20%近くが5年経過時点で生存していることは注目に値します。これは新たな生存率の基準を設定するうえで大きな前進です。このことは、PD-L1遮断に抗CTLA-4抗体を加えたこの革新的なプライミングアプローチの持続的な臨床的有効性をよりよく特徴づけるために、患者さんを長期間追跡するという私たちのコミットメントを裏付けています」。
最新の生存率結果概要: HIMALAYA試験

STRIDEレジメンの安全性プロファイルは各薬剤の既知のプロファイルと一致しており、追跡期間を延長しても新たな安全性シグナルは観察されませんでした。グレード3または4と、死亡を含む重篤な治療関連有害事象は、ソラフェニブ群の9.9%に対し、STRIDEレジメン群では17.5%でしたが、STRIDEレジメン群では主要解析後に新たな事象は発生していません。
イジュドとの併用療法におけるイミフィンジは、米国、EU(一次治療)、日本およびその他の数カ国で、進行性または切除不能なHCCの成人患者さんに対する治療薬として承認されています。本邦においてはイミフィンジ単剤療法もこの適応で承認されています。
注釈
肝がんについて
肝がんは、世界でがんによる死因の第3位であり、世界で毎年90万人近くが診断され、アジアの特定の地域では高い有病率を示します1,2。肝がんの中では肝細胞がん(HCC)が最も多くを占めます。また、すべてのHCC患者さんの80~90%は肝硬変を併発しています。肝硬変をはじめとした慢性肝疾患は、関連する炎症が時間の経過とともに免疫抑制をもたらし、HCCを発症する可能性があります3。
進行期HCCの予後は悪く、5年生存率はわずか7%です4。患者の半数以上が進行した段階で診断され、多くの場合、最初に症状が現れたときに診断されます5。肝がんの特異な免疫環境は、肝細胞がんを治療するために免疫系の力を利用する薬剤を研究する明確な根拠となります5。
HIMALAYA試験について
HIMALAYA試験は、イミフィンジ単剤療法およびイミフィンジ1,500 mgに加えて、免疫誘導(プライミング)を目的にイジュド300 mgを初回単回追加投与し、その後4週間ごとにイミフィンジを投与するレジメンと、マルチキナーゼ阻害薬である標準治療薬のソラフェニブを比較した第Ⅲ相無作為化非盲検国際多施設共同試験です。
本試験は、米国、カナダ、欧州、南米、アジアなど16カ国181施設で実施されました。主要評価項目は、併用療法群のソラフェニブ群に対する全生存期間(OS)、重要な副次評価項目群はイミフィンジ群のソラフェニブ群に対するOS、併用療法群とイミフィンジ単剤療法群の客観的奏効率と無増悪生存期間(PFS)でした。
イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ)はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
イミフィンジは、局所進行性または転移性の胆道がん(BTC)に対する化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン)との併用に加え、切除不能な肝細胞がん(HCC)に対するイジュドとの併用で承認されています。
また、イミフィンジは、日本およびEUでは切除不能な肝細胞がんに対する単剤療法として、米国ではミスマッチ修復機能欠損を有する原発性進行・再発子宮体がんに対する化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)との併用療法後のイミフィンジ単剤療法が承認されています。
消化器がん領域でのこの適応に加え、イミフィンジは、化学放射線療法後に病勢進行していない切除不能なステージIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんに対する治癒目的の治療における世界的な標準治療です。また、イミフィンジは進展型小細胞肺がん(SCLC)の治療薬として、そして、転移性のNSCLCの治療においても短期間のイジュドおよび化学療法との併用療法として承認されています。イミフィンジは、ADRIATIC第Ⅲ相試験において、標準治療の同時化学放射線療法後に進行しなかった限局型SCLC患者さんにおいて、プラセボと比較して、2つの主要評価項目であるOSとPFSの統計的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。
イミフィンジは、上皮成長因子受容体遺伝子変異または未分化リンパ腫キナーゼ融合遺伝子が確認されていない切除可能なNSCLCの成人患者さんを対象に、白金製剤を含む術前化学療法との併用療法および術後療法として、米国をはじめとする数カ国で承認されています。
イミフィンジと化学療法の併用療法後にイミフィンジを単独投与するレジメンは、最近米国で、ミスマッチ修復機能欠損を有する原発性進行・再発子宮体がんに対して承認されました。このレジメンはEUでも承認されており、ミスマッチ修復機能が正常な患者に対しては、イミフィンジと化学療法の併用療法後のイミフィンジとリムパーザ(オラパリブ)の併用療法も承認されています。
筋層浸潤性膀胱がんにおいては、第Ⅲ相NIAGARA試験で術前化学療法と比較してイミフィンジと化学療法の併用療法が主要評価項目である無イベント生存期間、および重要な副次評価項目である全生存期間の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。
2017年5月に世界で初めて承認されて以来、22万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、SCLC、NSCLC、膀胱がん、乳がん、数種類の消化器がん、婦人科がん、その他の固形がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても臨床試験が実施されています。
イジュドについて
イジュド(トレメリムマブ)は、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強し、がん細胞死を引き起こします。承認された肝がんおよび肺がんの適応に加えて、イジュドは、HIMALAYA試験以外にも、局所HCC(EMERALD-3試験)、SCLC(ADRIATIC試験)および膀胱がん(VOLGA試験およびNILE試験)などの様々ながん種を対象にイミフィンジとの併用療法が検討されています。
消化器がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、様々な腫瘍タイプや病期における消化器がんの治療に対して、複数の医薬品による広範な開発プログラムを展開しています。2022年、約490万人が新規に消化器がんと診断され、約330万人が死亡しました6。
このプログラムにおいて、当社は胃がん、HCC、BTC、食道がん、膵がんおよび結腸直腸がんの転帰の改善に全力で取り組んでいます。
イミフィンジは、BTCやイジュドとの併用におけるHCCなどで既に承認された適応に加え、現在、イジュド(トレメリムマブ)などとの併用療法に関しても、早期から進行がんまでを対象とした広範な開発プログラムの中で、HCC、食道がん、胃がんの治療薬としての評価が行われています。
また、PD-1/TIGIT二重特異性抗体であるrilvegostomig(AZD2936)は、BTCにおける術後補助療法として、またHER2陰性の切除不能または転移性の局所進行性食道胃接合部がん患者さんにおける1次治療として、化学療法との併用で評価中です。
リムパーザはファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA遺伝子変異陽性の転移性膵がんの患者さんを対象に米国、EUをはじめとする数カ国で承認されています。リムパーザは、MSD(米国およびカナダではMerck & Co., Inc.)と共同で開発と商業化を行っています。
アストラゼネカは、胃がんの有望な治療ターゲットであるClaudin 18.2を標的とする複数の治療法を開発しています。これには、現在第Ⅲ相開発中でKYM Biosciences Inc.からライセンス供与されているファーストインクラスの抗体薬物複合体候補であるAZD0901、第Ⅰ相開発中でHarbour Biomed社からライセンス供与されている新規Claudin 18.2/CD3 T細胞受容体二重特異抗体AZD5863、および現在、中国AbelZeta社と共同で治験責任医師主導試験(IIT)で評価中のClaudin 18.2を標的とする自家キメラ抗原受容体T細胞(armoured CAR-T)療法であるAZD6422などがあります。
初期開発段階として、当社はHCCにおいて2つのグリピカン3(GPC3)を標的とするCAR-Tを開発中です。現在第Ⅰ相の開発段階にあるAZD5851は世界各国で開発が進められており、また、C-CAR031 / AZD7003は、中国のAbelZeta社と共同開発を進めており、現在、IITで評価中です。
アストラゼネカのがん免疫治療(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。
また、アストラゼネカは、がん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法や、イジュドやその他の新規の免疫療法薬や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、二重特異性抗体や、細胞治療やT細胞エンゲージャーを含む、標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬などの次世代免疫療法の研究も行っています。
アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を追求しています。当社は、治療耐性を防ぎ、より長い免疫反応を促すために、新しい併用療法アプローチの探索に力を注いでいます。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性を最大化できる、より早期の疾患ステージにおける免疫治療薬の使用も支持しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカは、がん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
References
- World Health Organization. Liver Cancer Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/11-liver-and-intrahepatic-bile-ducts-fact-sheet.pdf. Accessed September 2024.
- Liu Y, et al. Changes in the Epidemiology of Hepatocellular Carcinoma in Asia. Cancers (Basel). 2022;14(18):4473.
- Tarao K, et al. Real impact of liver cirrhosis on the development of hepatocellular carcinoma in various liver diseases—meta‐analytic assessment. Cancer Med. 2019;8(3):1054-1065.
- Sayiner M, et al. Disease Burden of Hepatocellular Carcinoma: A Global Perspective. Digestive Diseases and Sciences. 2019;64: 910-917.
- Colagrande S, et al. Challenges of advanced hepatocellular carcinoma. World J Gastroenterol. 2016;22(34):7645-7659.
- World Health Organization. Cancer factsheets: Digestive organs (oesophagus, anus, stomach, colon, rectum, liver and intrahepatic bile ducts, pancreas, gallbladder). Available at: https://gco.iarc.fr/today/en/fact-sheets-cancers. Accessed September 2024.