本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2024年7月1日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。なお、本リリースで発表されている適応症は国内の承認状況と異なります。
イミフィンジは、ミスマッチ修復機能欠損を有する患者さんの治療薬としても承認勧告取得
いずれのレジメンも化学療法単独と比較して、無増悪生存期間について
統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示した第Ⅲ相DUO-E試験結果に基づく勧告
アストラゼネカのイミフィンジ®(デュルバルマブ)およびリムパーザ®(オラパリブ)は、原発性進行または再発子宮体がんの特定の患者さんに対する治療薬として、欧州連合(EU)で承認勧告を取得しました。イミフィンジと化学療法による一次治療後のリムパーザおよびイミフィンジの併用療法は、ミスマッチ修復機能が正常(pMMR)な患者さんに推奨されました。また、イミフィンジと化学療法の併用療法後のイミフィンジ単剤療法は、ミスマッチ修復機能欠損を有する(dMMR)患者さんに推奨されました。
欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)は、2023年10月にJournal of Clinical Oncology誌に掲載された、第Ⅲ相DUO-E試験におけるミスマッチ修復(MMR)の機能状態別の事前に規定された探索的サブグループ解析に基づき、肯定的な見解を示しました。
この解析では、pMMR患者さんにおいて、リムパーザとイミフィンジ併用療法群は対照群と比較して、病勢進行または死亡のリスクを43%低下させたことが示されました1(中央値15.0カ月対9.7カ月、ハザード比[HR]0.57;95%信頼区間[CI]0.44-0.73)。dMMR患者さんでは、イミフィンジ群は対照群と比較して、病勢進行または死亡のリスクが58%低下しました1(中央値は未到達対7.0カ月、HR 0.42; 95% CI 0.22-0.80)。
欧州では、子宮体がんは女性で4番目に多いがんであり、2022年には12万5000人近くの患者さんが新たに診断され、3万人を超す患者さんが死亡しています2,3。早期ステージで診断された患者さんの5年生存率は約80~90%ですが、進行した患者さんでは20%未満に低下します4,5。特に、子宮体がん患者の70~80%を占めるpMMR患者さんには、新たな治療選択肢に対する大きなニーズがあります5,6。今回の勧告は、十分に確立され、広く利用されている診断時点におけるMMR検査の重要性を裏付けています7,8。
ベルギーのLeuven大学病院の婦人科腫瘍医であり、治験責任医師であるEls Van Nieuwenhuysen氏は次のように述べています。「現在、進行または再発子宮体がん患者さんの予後は非常に悪く、特にpMMR患者さんでは顕著です。今回の勧告は、ミスマッチ修復機能の有無にかかわらず、患者さんに対するオラパリブとデュルバルマブの併用療法と同様に、デュルバルマブで示された有意なベネフィットを裏付けるものです。これは、欧州におけるこれらの患者さんの転帰を改善するための重要な一歩です」。
アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブ・バイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「本日のEUにおける承認勧告は、子宮体がんの患者さん、特に、現在利用可能な治療法が少ないpMMR患者さんにおいて、臨床的ベネフィットをもたらすリムパーザとイミフィンジの併用療法の可能性を示しています。承認されれば、欧州の患者さんには、免疫療法にPARP阻害のベネフィットを付加した併用療法という新たな選択肢ができます」。
両試験レジメンの安全性プロファイルは管理可能かつ忍容性は良好で、個々の薬剤の既知のプロファイルとおおむね一致していました1,9,10。
DUO-E試験の結果に基づき、イミフィンジとリムパーザの併用療法は、現在、日本、その他数カ国で承認申請中です。イミフィンジと化学療法の併用療法は、米国において、原発性進行または再発のdMMR子宮体がん患者さんの治療薬として承認されました11。
注釈
子宮体がんについて
子宮体がんは、子宮の内膜組織から発生する極めて不均一な疾患であり、診断時の平均年齢は60歳超で、すでに閉経している女性にもっとも多くみられます12-15。
子宮体がん患者さんの大部分は、がんが子宮に限局している早期段階で診断されます16。これらの患者さんは、概して手術および/または放射線療法による治療を受け、高い5年生存率(約80~90%)を示しています17。進行した病期(III~IV期)の患者さんは、通常予後はより不良で、5年生存率は約20%未満に低下します4。化学療法と併用した免疫療法は、進行子宮体がん、中でも全患者さんの約20~30%を占めるdMMR患者さんに対する新たな標準治療として浮上しています11,17-20。子宮体がん患者さんの70~80%を占めるpMMR患者さんの治療には、依然として高いアンメットニーズがあります5,6。
DUO-E試験について
DUO-E試験(GOG 3041/ENGOT-EN10)は、新たに診断された進行子宮体がんまたは再発子宮体がん患者さんを対象とした、3群無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第Ⅲ相試験であり、初回治療としてイミフィンジと白金製剤ベースの化学療法(カルボプラチンおよびパクリタキセル)の併用療法後に、イミフィンジ単剤またはイミフィンジおよびリムパーザの併用による維持療法を実施した場合と、白金製剤ベースの化学療法単独とを比較検討しました。
DUO-E試験では、新たに診断された進行上皮性子宮体がんまたは再発子宮体がんの患者さん699人がランダム化され、標準治療である白金製剤ベースの化学療法に加えて、イミフィンジ(1,120mg)またはプラセボの3週間ごとの投与を受けました。4~6サイクルの化学療法後、(病勢が進行しなかった)患者さんに維持療法として、リムパーザ(300mg、1日2回[150mg錠×2、1日2回])またはプラセボとの併用で、イミフィンジ(1,500mg)またはプラセボが、病勢進行まで4週間ごとに投与されました。
2つの主要評価項目は、各試験治療群と標準治療群の比較における無増悪生存期間(PFS)で、重要な副次評価項目は全生存期間(OS)、安全性および忍容性です。本試験では、全体集団において維持療法としてイミフィンジ単剤療法およびイミフィンジとリムパーザの併用療法の両方に対してOSの評価を継続しています。層別因子はMMRの状態、疾患の再発状態および地域でした。本試験はアストラゼネカが単独で実施し、米国、欧州、南米およびアジアを含む22カ国、253の医療施設で実施されました。
本試験の詳細情報については、ClinicalTrials.govをご確認ください。
イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ)はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
化学放射線療法後に進行が認められていない患者さんを対象として、切除不能なIII期の局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)における根治目的の治療薬として唯一承認されたがん免疫治療薬であり、世界的な標準治療となっています。また、本剤は、進展型の小細胞肺がん(SCLC)の治療薬として、さらに、イミフィンジと化学療法の併用療法にイジュド®(トレメリムマブ)を定められた回数のみ追加投与する治療法は、転移性NSCLCの治療薬として承認されています。
イミフィンジは肺がんにおける適応に加えて、局所進行または転移性胆道がんにおける化学療法(ゲムシタビンおよびシスプラチン)との併用療法、切除不能な肝細胞がん(HCC)におけるイジュドとの併用療法についても承認されています。また、日本とEUにおいては切除不能なHCCにおける単剤療法としても承認されています。
2017年5月に初めて承認されて以来、22万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、SCLC、NSCLC、膀胱がん、乳がん、数種類の消化器がん、その他の固形がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても検討されています。
リムパーザについて
リムパーザはファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異などの相同組換え修復関連(HRR)の欠損を有する、あるいは他の薬剤(NHAなど)によりHRRの欠損が誘導される細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。
リムパーザによるPARP阻害により、DNAの一本鎖切断部位上にPARPがトラップされ、複製フォークの失速と崩壊が起こり、DNAの二本鎖切断が形成されてがん細胞死をもたらします。リムパーザはまた、免疫抗原性を増強し、抗腫瘍免疫反応の影響強化に役立つ可能性があります。
リムパーザは現在、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法、BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)および相同組換え修復欠損(HRD)を有する進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としての単独療法およびベバシズマブとの併用療法を含め、様々ながん種を対象に多くの国で承認されています。さらに、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性転移性乳がん(EUおよび日本では局所進行乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がん(日本ではすべてのBRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm転移性膵がん、および化学療法が臨床的に適応とならない転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)のアビラテロンとの併用療法(EUのみ)、BRCAmのmCRPC(米国および日本)、米国においては、BRCAmのmCRPCおよびNHA治療による前治療のあと進行したHRR関連遺伝子変異陽性mCRPC(EUおよび日本ではBRCAmのみ)に対して単剤療法が承認されています。中国においては、リムパーザはBRCAm mCPRCの治療薬、ならびにHRDを有する進行卵巣がんにおけるベバシズマブとの併用療法としての初回治療後の維持療法として承認されています。
リムパーザは単剤治療薬として、また、他の候補薬との併用治療薬として、アストラゼネカとMSDにより共同で開発、商業化が行われています。両社は、リムパーザを各社が開発しているPD-L1ならびにPD-1治療薬であるイミフィンジおよびキイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ)との併用で、独自に開発しており、商業化を予定しています。リムパーザは、全世界で約14万人の患者さんの治療に使用されています。リムパーザには幅広い臨床試験開発プログラムがあり、アストラゼネカとMSDは共同で、本剤が様々ながん種にわたる複数のPARP依存性腫瘍に対し、単剤療法および併用療法として、どのように影響するのか理解を進めています。リムパーザは、がん細胞におけるDDRメカニズムを標的としたアストラゼネカの業界トップクラスの新薬候補ポートフォリオの基盤となる薬剤です。
アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。
また、アストラゼネカは、がん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法や、イジュドやその他の新規の免疫療法薬や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、バイスペシフィック抗体や標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬など、次世代免疫療法の探索も行っています。
アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を大胆に追求しています。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性が非常に高いより早期の疾患における免疫治療薬の使用も支持しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカは、がん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
References
- Westin SN, et al. Durvalumab plus carboplatin/paclitaxel followed by maintenance durvalumab with or without olaparib as first-line treatment for advanced endometrial cancer: The phase III DUO-E trial. Journal of Clinical Oncology. 2023;42(3):283-299.
- World Health Organization. IARC. Absolute numbers, Incidence, Females, in 2022. Europe. Available at: https://gco.iarc.fr/today/en/dataviz/pie?mode=cancer&cancers=24&sexes=2&group_populations=1&populations=908. Accessed June 2024.
- World Health Organization. IARC. Estimated numbers from 2022 to 2050, Females, age [0-85+]. Europe. Available at: https://gco.iarc.fr/tomorrow/en/dataviz/trends?types=0_1&sexes=2&mode=cancer&group_populations=0&multiple_populations=0&multiple_cancers=1&cancers=24&populations=908. Accessed June 2024.
- Cao SY, et al. Recurrence and survival of patients with stage III endometrial cancer after radical surgery followed by adjuvant chemo- or chemoradiotherapy: A systematic review and meta-analysis. BMC Cancer. 2023;23:31.
- Kelkar SS, et al. Treatment patterns and real-world clinical outcomes in patients with advanced endometrial cancer that are non-microsatellite instability high (Non-MSI-high) or mismatch repair proficient (pMMR) in the United States. Gynecologic Oncology Reports. 2022;42:101026.
- Yang Y, et al. Molecular subtypes of endometrial cancer: Implications for adjuvent treatment strategies. International Journal of Gynecology & Obstetrics. 2024;164:436-459.
- Abu-Rustum N, et al. Uterine neoplasms, Version 1.2023, NCCN Clinical Practice Guidelines in oncology. Journal of the National Comprehensive Cancer Network. 2023;21(2):181-209.
- Stelloo E, et al. Practical guidance for mismatch repair-deficiency testing in endometrial cancer. Annals of Oncology. 2017;28(1):96-102.
- Lynparza SmPC. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/lynparza-epar-product-information_en.pdf. Accessed June 2024.
- Imfinzi SmPC. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/imfinzi-epar-product-information_en.pdf. Accessed June 2024.
- FDA. FDA approves durvalumab with chemotherapy for mismatch repair deficient primary advanced or recurrent endometrial cancer. Available at: https://www.fda.gov/drugs/resources-information-approved-drugs/fda-approves-durvalumab-chemotherapy-mismatch-repair-deficient-primary-advanced-or-recurrent. Accessed June 2024.
- Dork T, et al. Genetic susceptibility to endometrial cancer: Risk factors and clinical management. Cancers. 2020;12(9):2407.
- Oakin A, et al. Endometrial cancer: ESMO clinical practice guidelines for diagnosis, treatment and follow-up. Annals of Oncology. 2022;33(9):860-877.
- American Cancer Society. What is endometrial cancer? Available at https://www.cancer.org/cancer/endometrial-cancer/about/what-is-endometrial-cancer.html. Accessed June 2024.
- American Cancer Society. Key statistics for endometrial cancer. Available at: https://www.cancer.org/cancer/types/endometrial-cancer/about/key-statistics.html. Accessed June 2024.
- National Cancer Institute. SEER. Cancer stat facts: Uterine cancer. Available at: https://seer.cancer.gov/statfacts/html/corp.html. Accessed June 2024.
- Hamoud BH, et al. The evolving landscape of immunotherapy in uterine cancer: A comprehensive review. Life. 2023;13:1502.
- Corr B, et al. Endometrial cancer: Molecular classification and future treatments. BMJ Medicine. 2022;1(1):e000152.
- FDA. FDA approves pembrolizumab with chemotherapy for primary advanced or recurrent endometrial carcinoma. Available at: https://www.fda.gov/drugs/resources-information-approved-drugs/fda-approves-pembrolizumab-chemotherapy-primary-advanced-or-recurrent-endometrial-carcinoma. Accessed June 2024.
- Gov.uk. MHRA authorises monoclonal antibody treatment, Jemperli, to be used with chemotherapy for endometrial cancer. Available at https://www.gov.uk/government/news/mhra-authorises-monoclonal-antibody-treatment-jemperli-to-be-used-with-chemotherapy-for-endometrial-cancer. Accessed June 2024.