本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2024年6月25日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、参考資料として提供するものです。
本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
なお、本リリースで発表されている適応症は国内の承認状況と異なります。
膀胱がんにおいて生存期間を延長した、最初の術前術後免疫療法
第Ⅲ相NIAGARA試験のポジティブな結果概要で、術前化学療法と比較して化学療法とアストラゼネカのイミフィンジ®(デュルバルマブ)による併用療法が、筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者さんにおいて、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)、および重要な副次評価項目である全生存期間(OS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。患者さんは、根治的膀胱全摘除術(膀胱を摘出する手術)前にイミフィンジと化学療法の併用療法を受け、術後にイミフィンジの単剤療法を実施されました。
膀胱がん患者さんのおよそ4人に1人は、腫瘍が膀胱の筋層に浸潤した状態(遠隔転移を伴わない)であり、これをMIBCといいます1,2。MIBCにおいては約11万7000人の患者さんが、現在の標準治療を受けています3。標準治療には、術前化学療法および根治的膀胱全摘除術があります4。しかし、膀胱全摘除術を実施した患者さんにおいても再発率は高く、予後は不良です4。
英国ロンドンにある、Bartsがんセンター(QMUL)所長であり、本試験の治験責任医師であるThomas Powles教授は次のように述べています。「標準治療を受けている筋層浸潤性膀胱がん患者さんの半数近くが、依然として疾患の再発または進行を経験しています。今回のNIAGARA試験のデータは、術前化学療法にデュルバルマブを追加し、術後にデュルバルマブを投与する治療による患者さんの延命効果を初めて示しました」。
アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブ・バイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「NIAGARA試験の結果は、免疫療法を膀胱がん治療の初期段階に導入するという我われの治療戦略を支持するものです。イミフィンジを併用する周術期レジメンは、患者さんの生存期間を改善し、疾患の再発または進行を経験する割合を低下させました。我われは、標準治療を変える可能性のあるこのレジメンを、できるだけ早く患者さんにお届けしたいと考えています」。
イミフィンジの忍容性は全般的に良好であり、術前術後のいずれにおいても新たな安全性の懸念は認められませんでした。イミフィンジおよび術前化学療法の安全性プロファイルは、個々の医薬品の既知のプロファイルと一貫しており、イミフィンジを追加しても、術前化学療法単独と比較して有害事象による投与中止率は上昇せず、患者さんの手術への影響は認められませんでした。これらのデータは、今後の医学学会で発表され、世界の規制当局とも共有される予定です。
注釈
筋層浸潤性膀胱がんについて
膀胱がんは世界中で9番目に多いがんであり、毎年61万4000人以上の患者さんが診断されています5。膀胱がんで最も多いのは、尿路上皮細胞から発生する尿路上皮がんです6。
筋層浸潤性膀胱がんは、膀胱筋層内へ増殖することから名づけられ、全膀胱がん症例の約4分の1を占めます1,2。膀胱全摘除術を受けた患者さんの約50%が再発に至ります4。そのため、手術後の再発を予防する治療選択肢が喫緊に必要です。
NIAGARA試験について
NIAGARA試験はMIBC患者さんに対する根治的膀胱全摘除術前後の治療薬としてのイミフィンジを評価する、第Ⅲ相国際多施設共同無作為化非盲検試験です。本試験では、1,063人の患者さんが、膀胱全摘除術前にイミフィンジと化学療法の併用療法を受け、術後にイミフィンジを投与する群と化学療法単独を受けた後、術後に追加治療を行わない群に無作為化されました。
この試験は、北米、南米、欧州、オーストラリアとアジアを含む22カ国および地域の192施設で実施されています。2つの主要評価項目は、治療無作為化から腫瘍の再発または進行などのイベントまでの期間と定義されたEFS、および病理学的完全奏効率です。重要な副次評価項目はOSと安全性です。
イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ)はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
イミフィンジは、化学放射線療法後に進行が認められていない患者さんを対象に、切除不能なステージIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)における根治目的の治療薬として唯一承認されたがん免疫治療薬であり、世界的な標準治療となっています。また、本剤は、進展型小細胞肺がん(SCLC)の治療薬として、また、イミフィンジと化学療法の併用療法にイジュド®(トレメリムマブ)を定められた回数のみ追加投与する治療法が転移性NSCLCの治療薬として承認されています。
また、本剤は、白金製剤を含む術前補助化学療法との併用、および術後補助療法としての単剤療法が、切除可能でEGFR遺伝子変異またはALK遺伝子再構成のないNSCLC成人患者さんの治療薬としてスイスで承認されています。
肺がんにおける適応に加えて、イミフィンジは局所進行性または転移性の胆道がんにおける化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン)との併用療法、および切除不能な肝細胞がん(HCC)におけるイジュドとの併用療法において承認されています。また、本剤は、切除不能なHCCに対する単剤療法として日本および欧州で承認されており、米国では、ミスマッチ修復機能欠損を有する原発性進行・再発子宮体がんに対し、イミフィンジと化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)の併用療法後にイミフィンジ単剤療法を行う治療が承認されています。
2017年5月に世界で初めて承認されて以来、22万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、SCLC、NSCLC、乳がん、数種類の消化器がん、婦人科がん、その他の固形がんの治療薬として、単剤療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても臨床試験が実施されています。
イミフィンジは、早期および進行期の膀胱がんにおいて、非筋層浸潤性膀胱がん対象のPOTOMAC試験、シスプラチン不適格もしくは拒否したMIBC患者さん対象のVOLGA試験、および局所進行または転移性膀胱がん対象のNILE試験を含む様々な治療薬との併用で検討されています。
アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。
また、アストラゼネカは、がん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法や、イジュドやその他の新規の免疫療法薬や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、二重特異性抗体や、細胞治療やT細胞エンゲージャーを含む、標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬などの次世代免疫療法の研究も行っています。
アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を追求しています。当社は、治療耐性を防ぎ、より長い免疫反応を促すために、新しい併用療法アプローチの探索に力を注いでいます。治癒の可能性を最大化できる、より早期の疾患ステージにおける免疫治療薬の使用も支持しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
References
- Burger M, et al. Epidemiology and Risk Factors of Urothelial Bladder Cancer. Eur Urol. 2013;63(2):234-241.
- National Collaborating Centre for Cancer. Bladder Cancer: Diagnosis and Management. London: National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Available at: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK356289/.Accessed June 2024.
- Cerner CancerMPact database. Accessed June 2024. Reflects epidemiology estimates across G8 countries (US, EU, Japan, China).
- Witjes JA, et al. EAU Guidelines on muscle-invasive and metastatic bladder cancer. Eur Urol. 2021;1-94.
- World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Bladder Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/30-bladder-fact-sheet.pdf. Accessed June 2024.
- American Cancer Society. What Is Bladder Cancer? Available at: https://www.cancer.org/cancer/bladder-cancer/about/what-is-bladder-cancer.html. Accessed June 2024