進行または転移性トリプルネガティブ乳がんに対するトルカプと化学療法の併用療法を評価する第Ⅲ相CAPItello-290試験の最新情報

本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2024年6月18日に発信したプレスリリースを抜粋し、日本語に翻訳したものです。
本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
なお、本リリースで発表されている適応症は国内の承認状況と異なります。

第Ⅲ相CAPItello-290試験において、局所進行(手術不能)または転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者さんに対するトルカプ®(一般名:カピバセルチブ、以下、トルカプ)とパクリタキセルの併用療法は、パクリタキセルとプラセボの併用療法と比較して、全患者集団における全生存期間(OS)の改善、または特定の遺伝子変異(PIK3CA、AKT1またはPTEN)を有する患者さんのサブグループにおけるOSの改善という2つの主要評価項目を達成しませんでした。

乳がんは世界で2番目に多いがんであり、がん関連死の主要な原因の1つとなっています1。エストロゲン受容体陽性、プロゲステロン受容体陽性またはヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)過剰発現の可能性のある乳がんがある一方、TNBCはこの3つ全てに陰性を示すがんと定義されます2。一次治療では、約5万9000人のTNBC患者さんが薬物治療を受けます3。全体としてみると、PIK3CA、AKT1遺伝子の変異およびPTENの変化はTNBC患者さんの約35%で認められます4

本試験の治験責任医師であるBarts Cancer Institute(英国・ロンドン)のPeter Schmid氏は次のように述べています。「中等度の進行であっても、TNBCは既知の反応が期待できる遺伝子標的がないために、依然としてもっとも治療困難な疾患の1つであり、化学療法の実施が治療の頼みの綱という状況に変わりありません。CAPItello-290試験の結果は私たちが期待していたとおりにはなりませんでしたが、患者さんが早急に新たな治療法を必要としているこの悪性度の高い乳がんに対する理解を深めるために重要な情報をもたらしてくれました」。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブ・バイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「私たちは、この乳がんの不均一なサブタイプを含め、いくつかのもっとも治療困難ながんに苦しむ患者さんのため、科学を発展させることに全力で取り組んでいます。CAPItello-290試験は残念な結果となりましたが、ここで得られた結果は、トルカプの臨床開発プログラムや私たちのパイプライン全体において臨床研究を続けていくなかで、乳がんにおけるPI3K/AKT経路の役割について理解を深めることにつながります」。

CAPItello-290試験においてトルカプとパクリタキセルの併用療法の安全性プロファイルは、それぞれの薬剤について明らかになっている安全性プロファイルとおおむね一貫しており、新たな安全性に関する懸念事項は特定されませんでした。データは今後公開いたします。

トルカプは現在、確立された治療法との併用で乳がん治療(CAPItello-292)および前立腺がん治療(CAPItello-280およびCAPItello-281)の第Ⅲ相試験での評価が行われています。

注釈

トリプルネガティブ乳がんについて
進行または転移性TNBCの一次治療は、通常、化学療法単独または免疫療法との併用療法であり、これらの治療選択肢の奏効率は30~50%です2,5,6。初回治療が奏効した腫瘍を有する患者さんにおいても、病勢進行は一般的でまたその進行も速く、2年以内に多く認められます2,6-8。進行または転移性TNBC患者さんのOSの平均値は12~18カ月で、診断後に5年生存した患者さんは約14%に過ぎません9,10

CAPItello-290試験について
CAPItello-290試験は、二重盲検、無作為化第Ⅲ相試験です。局所進行(手術不能)または転移性TNBCの患者さんを対象に、トルカプとパクリタキセルの併用療法の有効性および安全性をプラセボとパクリタキセルの併用療法との比較で評価しています。

本試験には、組織学的に確認された局所進行または転移性TNBCの成人患者さん計923人が登録されました。試験には、全患者集団におけるOS、およびPI3K/AKT経路(PIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子)に変異が認められる腫瘍を有する患者集団におけるOSの2つの主要評価項目が設定されています。

トルカプについて
トルカプは、ファーストインクラスの、AKTの3種類のアイソフォーム(AKT1、AKT2およびAKT3)の全てを強力に阻害するアデノシン三リン酸(ATP)競合阻害薬です。本剤は、400mgを1日2回、4日間の投与と3日間の休薬からなる間欠投与スケジュールに従って投与されます。この投与スケジュールは、忍容性および標的阻害の程度に基づいて、初期の試験段階で採用されました。

トルカプは、CAPItello-291試験の結果に基づき、1つ以上の遺伝子変異(PIK3CA、AKT1またはPTEN)を有するHR陽性、HER2陰性の局所進行または転移性乳がんの成人患者さんに対する治療薬として、米国、日本、およびその他数カ国で承認されています。トルカプはこれらの試験結果に基づき、内分泌療法実施中あるいは実施後に再発または病勢進行が認められた、HR陽性、HER2陰性の局所進行または転移性乳がんの成人患者さんに対する治療薬として、オーストラリアでも承認されています。

トルカプは現在、乳がん(CAPItello-292)および前立腺がん(CAPItello-280およびCAPItello-281)の治療薬として、確立された治療との併用療法として、第Ⅲ相試験において評価中です。

トルカプは、Astex Therapeutics社との共同研究(およびInstitute of Cancer ResearchならびにCancer Research Technology Limited社との共同研究)を経て、アストラゼネカにより創製されました。

アストラゼネカにおける乳がん領域について
アストラゼネカは、乳がんの生物学的な理解が深まってきていることから、より効果的な治療を患者さんに提供するべく、乳がんの分類や治療に対する現在の臨床的パラダイムへの挑戦、再定義を始めており、乳がんによる死亡をなくすことを目標に掲げています。

アストラゼネカは、生物学的に多様な乳がんの腫瘍環境に対応するべく、異なる作用機序の既承認および開発中の有望な化合物からなる包括的なポートフォリオを有しています。

アストラゼネカは、基礎治療薬であるフェソロデックスおよびゾラデックス(ゴセレリン)による治療成績を継続的に改善し、ファーストインクラスのAKT阻害薬であるトルカプのみならず、次世代の経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であり新薬候補であるカミゼストラントによって、HR陽性乳がん領域の変革を目指しています。

PARP阻害剤リムパーザ(一般名:オラパリブ)は、BRCA遺伝子変異を有する早期および転移乳がん患者さんに対する標的治療薬です。アストラゼネカとMSD(北米およびカナダではMerck & Co., Inc.)は、これらの状況におけるリムパーザの研究と早期がんにおけるその可能性の探索を継続しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカは、がん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。

References

  1. Bray F, et al. Global cancer statistics 2022: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA Cancer J Clin. 2024 Apr 4. doi: 10.3322/caac.21834.
  2. O’Reilly D, et al. Overview of recent advances in metastatic triple negative breast cancer. World J Clin Oncol. 2021; 12(3):164-182.
  3. Cerner CancerMPact database. Accessed May 2024.
  4. Cocco S, et al. Biomarkers in Triple-Negative Breast Cancer: State-of-the-Art and Future Perspectives. Int J Mol Sci. 2020; 21(13): 4579.
  5. Bergin A, et al. Triple-negative breast cancer: recent treatment advances. F1000Res. 2019; 8:10.12688/f1000research.18888.1.
  6. Zhang Y, et al. Genomic features of rapid versus late relapse in triple negative breast cancer. BMC Cancer. 2021; 21(568).
  7. Cortes J, et al. Pembrolizumab plus Chemotherapy in Advanced Triple -Negative Breast Cancer. N Engl J Med. 2022; 387:217-226. 10.1056/NEJMoa2202809.
  8. Emans L, et al. Atezolizumab and nab-Paclitaxel in Advanced Triple-Negative Breast Cancer: Biomarker Evaluation of the IMpassion130 Study. J Natl Cancer Inst. 2021; 113(8): Djab004.
  9. National Cancer Institute. Surveillance, Epidemiology and End Results Program. Available at: https://seer.cancer.gov/statfacts/html/breast-subtypes.html. Accessed June 2024.
  10. Sharma P, et al. Biology and Management of Patients with Triple-Negative Breast Cancer. Oncologist. 2016; 21(9);1050-62. 10.1634/theoncologist.2016-0067.

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