国際共同第Ⅲ相試験において、限局型小細胞肺がんの生存期間に対し
有用性を示した最初の免疫治療
アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)は、本日、イミフィンジ®(一般名:デュルバルマブ(遺伝子組換え)、以下、イミフィンジ)が根治的化学放射線療法後に疾患進行が認められない限局型小細胞肺がん(LS-SCLC)の治療薬として、希少疾病用医薬品の指定を取得いたしましたのでお知らせいたします。
厚生労働省は、日本国内での患者さんが5万人未満で、アンメットニーズが高い疾病の治療を目的とした医薬品等に対して、希少疾病用医薬品指定を行っています。
今回の希少疾病用医薬品の指定は、イミフィンジが同時化学放射線療法後のLS-SCLC患者さんにおいて、プラセボに対し、2つの主要評価項目である全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した第Ⅲ相ADRIATIC試験の良好な結果に基づくものです。
本試験の最新データは2024年のASCO(米国臨床腫瘍学会)にて発表されており、イミフィンジ群は、プラセボ群と比較して死亡リスクを27%低下させたことが示され、(OSハザード比 [HR] 0.73;95%信頼区間 [CI]0.57~0.93;p=0.0104)OSの推定中央値はプラセボ群の33.4カ月に対し、イミフィンジ群は55.9カ月でした。3年生存率は、プラセボ群の推定48%に対し、イミフィンジ群は57%でした。また、病勢進行または死亡のリスクはプラセボ群と比較して24%低下し(PFS HR 0.76;95%CI 0.61~0.95;p=0.0161)、PFSの推定中央値はプラセボ群では9.2カ月であったのに対し、イミフィンジ群では16.6カ月でした。2年後に病勢進行を認めなかった患者さんの割合は、プラセボ群では推定34%であったのに対し、イミフィンジ群では46%でした。
小細胞肺がん(SCLC)は肺がんの中でも非常に悪性度が高い形態であり、LS-SCLC患者さんにおいては化学療法および放射線療法が最初は奏効しても再発し、急速に進行することが一般的です1,2。LS-SCLCの予後は不良で、これらの患者さんの診断後の5年生存率はわずか15~30%です3-5。
アストラゼネカは、根治的化学放射線療法後に疾患進行が認められないLS-SCLC患者さんへ新たな治療薬を一日でも早く提供できるよう、国内における承認申請に向けた準備を進めてまいります。
※根治的化学放射線療法後に疾患進行が認められないLS-SCLCに対するイミフィンジの適応は、本邦未承認です。
以上
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小細胞肺がんについて
肺がんは男女共にがん死亡の主な原因であり、がん死亡の約5分の1を占めています6。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大別され、約15%がSCLCに分類されます7。
LS-SCLC(ステージI~III)はSCLCに分類され、一般に片側の肺または胸部のみに認められます8。LS-SCLCはSCLC診断の約30%を占め、標準治療である化学放射線療法(CRT)による治癒目的の治療を行っても、予後は依然として不良です9。
ADRIATIC試験について
ADRIATIC試験は、無作為化二重盲検多施設国際共同第Ⅲ相プラセボ対照試験であり、同時化学放射線療法(cCRT)後に増悪しなかったLS-SCLC患者さん730人の治療において、イミフィンジ単剤療法およびイミフィンジとイジュドの併用療法とプラセボを比較評価しています。単剤投与群では、患者さんは4週間ごとにイミフィンジ1500mgの固定用量またはプラセボを最長24カ月間の投与、イミフィンジとイジュドを併用する群は4週間おきにイジュド75㎎またはプラセボを最長で4サイクルまでの投与を受けるように無作為化されました。
2つの主要評価項目は、イミフィンジ単剤療法のプラセボに対する無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)です。重要な副次評価項目には、イミフィンジとイジュド併用療法のプラセボに対するOSおよびPFS、安全性並びにQOL指標が含まれました。この試験は、北米、南米、ヨーロッパおよびアジアの19の国と地域、179の施設で実施されました。
※LS-SCLCに対するイミフィンジおよびイジュドの適応は、本邦未承認です。
イミフィンジについて
イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ(遺伝子組換え))はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
イミフィンジは、切除不能なステージIIIのNSCLCおよびES-SCLCにおける適応に加えて、第Ⅲ相POSEIDON試験に基づき、イミフィンジと化学療法の併用療法にイジュド®(トレメリムマブ)を定められた回数のみ追加投与する治療法が、米国、EUおよび日本で転移性NSCLCの治療薬として承認されています。
また、肺がんにおける適応に加えて、局所進行または転移性胆道がんに対する化学療法(ゲムシタビンおよびシスプラチン)との併用療法、切除不能な肝細胞がんにおけるイジュドとの併用療法についてもそれぞれ第Ⅲ相TOPAZ-1試験およびHIMALAYA試験に基づき、米国、EU、日本および複数の国で承認されています。
イミフィンジは、広範な開発プログラムの一環として、SCLC、NSCLC、膀胱がん、数種類の消化器がん、その他の固形がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても検討されています。
肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。
アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、治療および治療を超えて肺がんを抱える人々に意味のある改善を提供するために取り組んでいます。
アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。
当社では、広範ながん種において長期生存を達成することのできるIOベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を追求しており、治療耐性を防ぎ、より長い免疫反応を促すために、新しい併用療法アプローチの探索に力を注いでいます。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性を最大化できる、より早期の疾患ステージにおけるIO治療薬の使用も支持しています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。フェイスブックAstraZeneca.Japanとインスタグラム AstraZeneca / アストラゼネカもフォローしてご覧ください。
References
- National Cancer Institute. NCI Dictionary – Small Cell Lung Cancer. Available at: https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/small-cell-lung-cancer. (2024年5月アクセス時).
- Qin A and Kalemkerian GP. Treatment Options for Relapsed Small-Cell Lung Cancer: What Progress Have We Made? J Oncol Pract. 2018;14(6):369-370.
- Basumallik N, Agarwal M. Small cell lung cancer. Treasure Island: StatPearls Publishing; 2022.
- Pillai RN, Owonikoko TK. Small cell lung cancer: therapies and targets. Semin Oncol. 2014;41:133–142.
- Faivre-Finn C, Snee M, Ashcroft L, et al. Concurrent once-daily versus twice-daily chemoradiotherapy in patients with limited-stage small-cell lung cancer (CONVERT): an open-label, phase 3, randomised, superiority trial. Lancet Oncol. 2017;18:1116–1125.
- World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Lung Fact Sheet. Available at:https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/15-trachea-bronchus-and-lung-fact-sheet.pdf. (2024年5月アクセス時)
- LUNGevity Foundation. Types of Lung Cancer. Available at:https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer. (2024年5月アクセス時)
- American Cancer Society. Treatment Choices by Stage for Small Cell Lung Cancer. Available at: https://www.cancer.org/cancer/lung-cancer/treating-small-cell/by-stage.html. (2024年5月アクセス時)
- Senan S, et al. ADRIATIC: A phase III trial of durvalumab ± tremelimumab after concurrent chemoradiation for patients with limited stage small cell lung cancer. Ann Oncol. 2019;30(suppl. 2):ii25.