~健康な新生児および乳児を対象とする日本初・唯一の
RSウイルス感染症予防薬~
サノフィ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:岩屋 孝彦、以下、サノフィ)とアストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)は、長期間作用型モノクローナル抗体であるベイフォータス®筋注50mgシリンジおよび同100mgシリンジ(一般名:ニルセビマブ(遺伝子組換え)、以下、ベイフォータス®)を本日発売することをお伝えします。
ベイフォータス®は「生後初回又は2回目のRS(Respiratory Syncytial)ウイルス感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児及び幼児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制」ならびに「生後初回のRSウイルス感染流行期の前出以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防」1を適応として、2024年3月26日に日本で承認されました。2017年3月にアストラゼネカ及びサノフィのそれぞれのグローバル本社同士が締結したベイフォータス®の開発および商業化に関する契約に基づき、サノフィが商業化を主導し、サノフィとアストラゼネカがコ・プロモーションを実施します。
ベイフォータス®は、重症化リスクの高い、早産児、特定の疾患を有する新生児、乳幼児におけるRSウイルス感染による下気道疾患(LRTD)の発症抑制に加え、世界で初めて健康な新生児または乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防を効能・効果とする医薬品です。承認をサポートする3つの主要な後期臨床試験のすべての臨床評価項目において、ベイフォータス®の単回投与は一般的なRSウイルス感染流行期間とされる5ヵ月間にわたり、RSウイルス感染によるLRTDに対して一貫した有効性を示しました1-4。
RSウイルスは一般的によく見られるウイルスで、感染力が強く季節的流行を引き起こします。RSウイルスによる下気道感染は、肺胞および細気管支の感染、炎症を特徴とする重篤で生命を脅かす可能性のある疾患です。正期産の健康な乳幼児を含め、日本の定点医療機関からは、年間10万人以上の乳幼児の感染例が報告されています5。
千葉大学真菌医学研究センター 感染症制御分野 教授 石和田 稔彦先生は次のように述べています。「新生児および乳幼児のRSウイルス感染症による下気道疾患の発症を抑制する新たな選択肢となるベイフォータス®が発売されたことをうれしく思います。一回の投与で最低5ヵ月間は効果が持続し、コンプライアンスに優れたベイフォータス®は特に罹患・重症化のリスクの高いお子さんにとって有益な薬剤です。また、毎年のRSウイルス感染症流行期には小児医療現場に多大な負担がかかりますが、ベイフォータス®の登場により、これらが軽減されることを期待しています」。
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 小児科学 教授 森内 浩幸先生は次のように述べています。「2歳までにほぼすべての子どもがRSウイルス感染症に罹患し、その数十%は細気管支炎や肺炎を起こしますので、元々健康な子を含むすべての乳児がRSウイルスのリスクに曝されていると考えられます。RSウイルス感染症の重症化を防ぐ新たな選択肢であるベイフォータス®について、公的な枠組みの中ですべての乳児へのアクセスが可能になる日が一日でも早く来ることを願っています」。
サノフィの執行役員ワクチンビジネスユニット ジェネラルマネジャーのデイビッド・ティックは、次のように述べています。「アストラゼネカと協業して開発を進めてきたベイフォータス®を本日から提供することで、日本の乳幼児の健康、公衆衛生のみならず、感染症による小児医療の負担軽減に貢献できることを誇りに思います。この真に革新的な製品は、主要な入院原因であるRSウイルス感染症からすべての新生児・乳児を守るために、世界各地で導入されています」。
【ベイフォータス®筋注50mgシリンジおよび同100mgシリンジ製品概要】
| 販売名 | ベイフォータス®筋注50mgシリンジおよび同100mgシリンジ |
| 一般名 | ニルセビマブ(遺伝子組換え) |
| 効能又は効果 |
|
| 用法及び用量 | 生後初回のRSウイルス感染流行期には、通常、体重5kg未満の新生児及び乳児は50mg、体重5kg以上の新生児及び乳児は100mgを1回、筋肉内注射する。 生後2回目のRSウイルス感染流行期には、通常、200mgを1回、筋肉内注射する。 |
| 国内製造販売承認取得日 | 2024年3月26日 |
| 薬価収載日* | 2024年5月22日 |
| 発売日 | 2024年5月22日 |
*効能又は効果1.のみ保険適用
ベイフォータス®は、2022年10月に欧州連合(EU)においてRSウイルス感染流行期を初めて迎えるすべてすべての新生児および乳児のRSウイルスによるLRTDの予防薬として承認され、米国においてRSウイルス感染症流行期を初めて迎えるすべての新生児と乳児ならびに生後2回目のRSウイルス感染流行期を迎えるRSウイルス感染による重症化リスクの高い乳幼児を対象に2023年6月の抗菌薬諮問委員会による全会一致の勧告を受け、2023年7月に米国食品医薬品局から承認されました。2024年1月には中国で承認されています。
以上
*****
RSウイルスについて
RSウイルスは、新生児、乳幼児および低年齢の小児の下気道感染の最も一般的な原因とされており、世界的には2019年に5歳未満の小児のうち3,300万人がRSウイルスによる下気道感染を発症し、360万人が入院したと推定されています8。日本においても乳幼児のRSウイルス感染症の報告数は年々増加しており、年問10万例以上が報告されています9。RSウイルスによる下気道感染は、肺胞および細気管支の感染、炎症を特徴とする重篤で生命を脅かす可能性のある疾患であり10、RSウイルス感染症の重要なリスク因子として早産児、慢性肺疾患、ダウン症候群、先天性心疾患(CHD)および免疫不全症等の基礎疾患が挙げられています。しかしRSウイルス感染症による入院の大多数を占めているのは基礎疾患を有さない健康な乳幼児であることから、RSウイルス感染症は基礎疾患の有無にかかわらず、幅広い小児にとって深刻な健康被害をもたらしうる重篤な疾患であり、すべての新生児および乳幼児でRSウイルス感染症の発症を予防することは、公衆衛生上の重要な優先事項と考えられます11。
国際共同ピボタル臨床試験
第IIb相試験(03試験)は、投与後150日間、受診を要した(MA)下気道感染(LRTI)に対するベイフォータス®の有効性を評価するためにデザインされた無作為化プラセボ対照試験です。在胎期間29週以上35週未満の健康な早産児を体重にかかわらず、ベイフォータス®の筋肉内注射による50mg単回与投与群またはプラセボ投与群に2:1の割合で無作為に割り付けました4,8。
ベイフォータス®の投与レジメンは、第IIb相試験データのさらなる探索に基づいて決定され、その後の試験では、体重5kg未満の児に対する50mgの単回投与または体重5kg以上の児に対する100mgの単回投与が使用されました4,6。
第III相MELODY試験(04試験)は、RSウイルス感染流行期を初めて迎えた健康な正期産児および後期早産児(在胎35週以上)を対象として21ヵ国で実施された無作為化プラセボ対照二重盲検試験です。受診を要したRSウイルスによるLRTIに対するベイフォータス®の有効性をプラセボと比較して投与後150日間評価するデザインとなっています2,3,6。
第II/III相MEDLEY試験(05試験)は、無作為化シナジス(一般名:パリビズマブ)対照二重盲検試験で、シナジスの投与対象となる在胎期間35週未満の早産児、先天性心疾患(CHD)または未熟児慢性肺疾患(CLD)を有する乳幼児を対象に、ベイフォータス®の安全性、忍容性を評価することを主な目的としています。2019年7月から2021年5月の間に、生後初めてRSウイルス感染流行期を迎えた合計925例の乳児がベイフォータス®投与群またはシナジス投与群に無作為に割り付けられました。安全性は、投与後360日間の有害事象の発現をモニタリングすることによって評価しました。本試験における投与後151日目のベイフォータス®の血清中濃度は、第III相MELODY試験で観察された値と同程度であり、この集団における予防効果が健康な正期産児および後期早産児と同様である可能性が高いことを示しています。データは2022年3月、New England Journal of Medicine (NEJM)誌に掲載されました6.7。
ベイフォータス®の安全性プロファイルは、第II/III相MEDLEY試験においてシナジスと同様であり、MELODY試験および第IIb相試験で検討された健康な正期産児および早産児における安全性プロファイルと一致していました。もっとも多く報告された副反応は、投与後14日以内の発疹(大半は軽度から中等度)および投与後7日以内の非重篤な注射部位反応でした2,3,5,6。
MELODY試験、第II/III相MEDLEY試験および第IIb相試験の結果から、ベイフォータス®の単回投与は、初めてRSウイルス感染流行期を経験する乳幼児のRSウイルスによる疾患の予防および発症抑制に有効であることが示されています。この広範な乳幼児集団には、健康な正期産児、後期早産児および早産児のほか、RSウイルス感染症の重症化リスクの高い特定の疾患を有する乳幼児が含まれます2-6。
これらの試験の結果をもとに、各国規制当局への申請を2022年に開始しました。
第III相MELODY試験(04試験)の結果
第III相MELODY試験では主要評価項目を達成し、細気管支炎や肺炎など、受診を要したRSウイルスによるLRTIの発現率が、プラセボと比較して74.9%低下しました(95%信頼区間[CI]:50.6, 87.3;p<0.001)3。観察されたイベントの発現率は、ベイフォータス®群で1.2%、プラセボ群で5%でした。副次評価項目である入院に対するベイフォータス®の有効性は、60.2%(95% CI:-14.6, 86.2)でした。観察されたイベントの発現率は、ベイフォータス®群で0.6%、プラセボ群で1.6%でした。2019年7月から2020年3月の間に、乳幼児1,490例がRSウイルス感染流行期の当初にベイフォータス®群またはプラセボ群に無作為に割り付けられました。MELODY試験のPrimaryコホートから得られた初期のデータは2022年3月にNEJM誌に掲載されました3。
第IIb相試験(03試験)の結果
第IIb相試験では主要評価項目を達成し、受診を要したRSウイルスによるLRTIの発現率が、プラセボと比較して70.1%低下しました(95% CI:52.3, 81.2)。観察されたイベントの発現率は、ベイフォータス®群で2.6%、プラセボ群で9.5%でした。2016年11月から2017年12月の間に、乳幼児1,453例がRSウイルス感染流行初期に無作為に割り付けられました(ベイフォータス®群969例、プラセボ群484例)。試験は、北半球と南半球の23ヵ国における164の医療機関でアストラゼネカが実施しました。データは2020年7月にNEJM誌に掲載されました4。
事前に規定した副次評価項目において、ベイフォータス®群では、プラセボ群と比較して入院を伴うRSウイルスによるLRTIが78.4%(95% CI:51.9, 90.3)低下しました。観察されたイベントの発現率は、ベイフォータス®群で0.8%、プラセボ群で4.1%でした。5kg未満の乳児のサブグループにおける推奨用量である50mgを適用した第IIb相試験の事後解析では、受診を要したRSウイルスによるLRTIおよび入院を伴うRSウイルスによるLRTIに対するベイフォータス®の有効性は、それぞれ86.2%(95% CI:68.0, 94.0)および86.5%(95% CI:53.5, 96.1)であり、ベイフォータス®の良好な有効性が示されました4。
ベイフォータス®筋注50mg/100mgシリンジ(一般名:ニルセビマブ(遺伝子組換え))
ベイフォータス®は、アストラゼネカ独自の半減期延長(YTE)技術を利用し、アストラゼネカとサノフィが共同で開発およびコ・プロモーションする、単回投与の長期間作用型抗体です。RSウイルス感染流行期に出生した、または生後初めてRSウイルス感染流行期を迎える新生児と乳児、および生後2回目のRSウイルス感染流行期を迎える、RSウイルス感染症による重症化リスクの高い生後24ヵ月齢までの乳幼児に対して効果を発揮する抗体薬としてデザインされています。ベイフォータス®は新生児や乳幼児に抗体を単回で直接投与することにより、RSウイルスによるLRTDに対して免疫系の活性化を必要とせず抗体を介した迅速な疾患の予防および発症抑制を可能にします。
ベイフォータス®は、RSウイルス感染流行期開始にタイミングを合わせて使用することができます8。
ベイフォータス®は、世界中のいくつかの主要な規制当局により、迅速に開発を行うための指定を受けています。これには、中国国家薬品監督管理局の医薬品審査センターの画期的治療薬指定および優先審査指定、米国食品医薬品局の画期的治療薬指定、欧州医薬品庁(EMA)の PRIority MEdicines(PRIME)指定が含まれます。日本においては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が「小児領域における新薬開発促進のための医薬品選定等に関する研究」において、「優先的に開発すべき医薬品」としています。
ベイフォータス®の効能又は効果に関連する注意には、重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児および幼児に使用する場合、以下のいずれかに該当することを確認した上で投与することが記載されています。
〇生後初回のRSウイルス感染流行期の、流行初期において
- 在胎期間28週以下の早産で、12ヵ月齢以下の新生児および乳児
- 在胎期間29~35週の早産で、6ヵ月齢以下の新生児および乳児
〇生後初回および生後2回目のRSウイルス感染流行期の、流行初期において
- 過去6ヵ月以内に慢性肺疾患の治療を受けた24ヵ月齢以下の新生児、乳児および幼児
- 24ヵ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児および幼児
- 24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児、乳児および幼児
- 24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児、乳児および幼児
アストラゼネカとサノフィの提携
2017年3月、アストラゼネカ及びサノフィのそれぞれのグローバル本社同士はニルセビマブの開発および商業化に関する契約締結を発表しました。本契約に基づき、アストラゼネカは開発業務および製造を主導し、サノフィは商業化活動を主導し、収益を計上します。両社は米国を除くすべての地域でコストと利益を折半します。
米国におけるニルセビマブの開発および商業化に関連する、アストラゼネカグローバル本社、サノフィグローバル本社およびSobi間の利益配分契約の改定を受け、2018年11月に締結したアストラゼネカとの以前の契約に代えて、Sobiがサノフィと直接提携関係を結びました。
サノフィについて
サノフィは、人々の暮らしをより良くするため、科学のもたらす奇跡を追求する、というゆるぎない使命を原動力に進み続ける革新的でグローバルなヘルスケア企業です。約100ヵ国の社員は、医療を変革し、不可能を可能に変えるため、日々研鑽に努めています。私たちは、社会的責任と持続可能性を企業の本質とし、画期的な医薬品や生命を守るワクチンを開発し、世界何百万もの人々に届けていきます。
日本法人であるサノフィ株式会社の詳細は、https://www.sanofi.co.jp/をご参照ください。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。フェイスブックAstraZeneca.Japan とインスタグラム AstraZeneca / アストラゼネカもフォローしてご覧ください。
References
- Muller WJ, et al. Nirsevimab for Prevention of RSV in Term and Late-Preterm Infants. N Engl J Med. April 5, 2023. DOI: 10.1056/NEJMc2214773
- Hammitt LL, et al. Nirsevimab for Prevention of RSV in Healthy Late-Preterm and Term Infants. N Engl J Med. 2022;386 (9): 837-846. Doi: 10.1056/NEJMoa2110275
- Griffin P, MD et al. Single-Dose Nirsevimab for Prevention of RSV in Preterm Infants. N Engl J Med. 2020;383: 415-425. DOI: 10.1056/NEJMoa1913556
- Domachowske J, MD et al. Safety of Nirsevimab for RSV in Infants with Heart or Lung Disease or Prematurity. N Engl J Med. 2022; 386 (9)
- Guidelines for management of RS virus respiratory infectious diseases in children, 2021
- Domachowske J, MD et al. Safety of Nirsevimab for RSV in Infants with Heart or Lung Disease or Prematurity. N Engl J Med. 2022; 386 (9)
- Centers for Disease Control and Prevention. Vaccines & Immunizations. August 18, 2017. https://www.cdc.gov/vaccines/vac-gen/immunity-types.htm. Accessed December 2023.
- Li Y, Wang X,et al. Lancet. 2022;399(10340):2047-64.
- 堤裕幸.感染症学雑誌. 2005; 79(11): 857-63.
- Hall CB. N Engl J Med. 2001;344(25):1917-28.
- Giersing BK,et al.Vaccine.2019;37(50):7355-62.