本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2024年5月2日に発信したプレスリリースを抜粋し、日本語に翻訳したものです。
本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
なお、本リリースで発表されている適応症は国内の承認状況と異なります。
この対象患者さんにおいて、標準治療である化学免疫療法と比較して、
全生存期間で良好な傾向を示した初のBTK阻害剤
第Ⅲ相ECHO試験の中間解析で、アストラゼネカのカルケンス®(一般名:アカラブルチニブ、以下、カルケンス)と標準治療の化学免疫療法であるベンダムスチンおよびリツキシマブとの併用療法は、前治療歴のない成人のマントル細胞リンパ腫(MCL)患者において、標準治療と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間(PFS)の改善を示しました。
副次評価項目である全生存期間(OS)においても、カルケンスと化学免疫療法の併用群では良好な傾向が認められました。OSデータは本解析時点では不十分であり、本試験ではOSの評価を継続する予定です。
MCLは、希少かつ典型例では悪性度の高い形態を示す非ホジキンリンパ腫(NHL)の一種であり、多くの場合、進行期で診断され、暗殻と呼ばれるリンパ節の領域内でBリンパ球が悪性細胞に変異することによって生じます1,2。世界中でMCLと診断された患者は2万7500人以上いると推定されています3,4。
米国ヒューストンのMDアンダーソンがんセンターのPuddin Clarke寄附講座の教授で、マントル細胞リンパ腫プログラムオブエクセレンスのディレクター、および臨床試験共同ディレクターであり、本試験の治験責任医師であるMichael Wang医学博士は、次のように述べています。「第Ⅲ相ECHO試験で得られた肯定的な無増悪生存期間のデータは、マントル細胞リンパ腫の患者さんに新たな標準治療を提供できる可能性を示しています。マントル細胞リンパ腫の一次治療でカルケンスを使用することで、より多くの患者さんが、この薬剤で確認された頑健な有効性と強力な安全性プロファイルの恩恵を受ける機会を得ることになります」。
アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブ・バイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「マントル細胞リンパ腫におけるこれらのインパクトのある結果は、カルケンスを一次治療に使用することで、疾患の進行を有意に遅延させ、生存期間を延長させる可能性を初めて示すものです。無増悪生存期間の改善とカルケンス独自の安全性プロファイルは、私たちが疾患治療のより早い段階で予後を変える努力をする上で、どちらも重要です」。
カルケンスの安全性と忍容性は既知のプロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。
これらのデータは、今後の医学会で発表され、世界の規制当局と共有される予定です。
広範な臨床開発プログラムの一環として、アストラゼネカは現在、カルケンスについて、慢性リンパ性白血病(CLL)、MCL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含む複数のB細胞性の血液がんに対する治療薬として、カルケンス単独および併用療法を評価しています。
カルケンスは、世界中で8万人以上の患者の治療に使用されており、米国と日本ではCLLおよび小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療薬として、EUをはじめとする世界各国ではCLLの治療薬として、中国では再発または難治性のCLLおよびSLLの治療薬として承認されています。また、カルケンスは米国、中国、その他数カ国において、少なくとも1回の前治療歴を有する成人MCL患者の治療薬として承認されました。なおカルケンスは現在、日本およびEUではMCLの治療薬としては承認されていません。
注釈
マントル細胞リンパ腫について
MCLはB細胞性非ホジキンリンパ腫の稀なサブタイプです5。MCLは非ホジキンリンパ腫の約3~6%を占め、欧米諸国での人口10万人当たりの年間発生率は0.5例です。米国では、毎年約4,000例のMCLが新たに診断されると推定されています5,6。MCL患者は初期には治療反応性がありますが、再発する傾向があります5。
ECHO試験について
ECHO試験は、前治療歴のない65歳以上の成人MCL患者さん(n=598)を対象に、カルケンスとベンダムスチンおよびリツキシマブの併用療法の有効性および安全性を、標準治療の化学免疫療法(ベンダムスチンおよびリツキシマブ)と比較評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同第Ⅲ相試験です7。実験群では、患者さんを1対1に無作為に割り付け、カルケンスまたはプラセボを1日2回、28日サイクルで経口投与し、さらにべンダムスチンを1日目と2日目に、リツキシマブを1日目に投与しました。カルケンスまたはプラセボと、ベンダムスチンおよびリツキシマブの併用療法を6サイクル行った後、カルケンスまたはプラセボとリツキシマブの維持療法を2年間行い、その後病勢が進行するまでカルケンスまたはプラセボのみを投薬します7。
主要評価項目はPFSで、主な副次評価項目はOS、全奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、奏効までの期間(TTR)です7。この試験には、北米、南米、欧州、アジア、オセアニアの27カ国が参加しています7。
ECHO試験は2017年から2023年まで、COVID-19の流行期を通じて継続的に実施されました。血液がん患者さんは、COVID-19による入院や死亡などの重篤な転帰となるリスクが、一般集団に比べると依然として不釣り合いに高いままです8。
カルケンスについて
カルケンス(一般名:アカラブルチニブ)は、次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤です。カルケンスはBTKに共有結合することでその阻害作用を発揮します9。B細胞内においてBTKシグナル伝達は、B細胞の増殖、輸送、走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られています。
アストラゼネカにおける血液腫瘍領域について
アストラゼネカは、血液腫瘍領域における治療を再定義するため、サイエンスの限界に挑戦しています。当社は、アレクシオン社との統合に伴い、オンコロジーだけでなく希少疾患においても、血液疾患の患者さんへの取り組みを拡大し、より多くの患者さんの高いアンメットニーズに応えることができるようになりました。当社の血液腫瘍への深い理解と固形がんにおける強みと、アレクシオン社の補体科学における先駆的な実績を活かし、希少疾患に革新的な医薬品を提供することで、疾患の根本的な原因を標的として全面的な治療法の開発を推進しています。
アストラゼネカは最近のGracell Biotechnologies Inc.の買収に続き、差別化された製造プロセスによって革新的な細胞治療のパイプラインを拡大し、血液悪性腫瘍へのさらなる対応を目指しています。
当社は、アンメットメディカルニーズの高い血液腫瘍への取り組みにより、革新的な医薬品の提供と患者さんの予後改善を目指しています。また、悪性、希少を含む血液疾患患者さんの生活に変革をもたらし、患者さんや介護者の方々に有意義な影響を与えることを目指しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
References
- Lymphoma Research Foundation. Mantle Cell Lymphoma. Available at: https://lymphoma.org/aboutlymphoma/nhl/mcl/. Accessed April 2024.
- National Organization for Rare Disorders. Mantle Cell Lymphoma. Available at: https://rarediseases.org/rare-diseases/mantle-cell-lymphoma/. Accessed April 2024.
- GLOBOCAN. Non-Hodgkin Lymphoma. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/34-non-hodgkin-lymphoma-fact-sheet.pdf. Accessed April 2024.
- Lynch DT, Koya S, Acharya U, et al. Mantle Cell Lymphoma. Available at: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK536985/. Accessed April 2024.
- Cheah C, Seymour J, Wang ML. Mantle cell lymphoma. J Clin Oncol. 2016;34(11):1256-1269. doi: 10.1200/JCO.2015.63.5904.
- MD Anderson Cancer Center. What to know about mantle cell lymphoma. Available at: https://www.mdanderson.org/cancerwise/what-to-know-about-mantle-cell-lymphoma-symptoms-diagnosis-and-treatment.h00-159385101.html. Accessed April 2024.
- ClinicalTrials.gov. A Study of BR Alone Versus in Combination With Acalabrutinib in Subjects With Previously Untreated MCL. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT02972840. Accessed April 2024.
- Dube S, et al. Continued Increased Risk of COVID-19 Hospitalisation and Death in Immunocompromised Individuals Despite Receipt of ≥4 Vaccine Doses: Updated 2023 Results from INFORM, a Retrospective Health Database Study in England. Poster P0409 at ECCMID 2024
- Wu J, Zhang M, Liu D. Acalabrutinib (ACP-196): a selective second-generation BTK inhibitor. J Hematol Oncol. 2016;9(21).