アストラゼネカ、日本のCOPD患者さんを対象とした観察研究で、吸入薬治療を受けているにも関わらず症状が残存し、治療強化がされていない実態を日本呼吸器学会で発表

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)は、第64回日本呼吸器学会学術講演会で、日本の多施設共同前向き観察研究COPDコホートで取得したデータを二次利用した後ろ向き観察研究REMIND studyにおいて、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者さんにおける吸入薬治療別のCOPD assessment test (CAT)を用いた患者報告アウトカムと治療変更の実態が日本で初めて示されたことを発表しました。

今回の発表では、コホート組み入れ時に長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、LAMA+長時間作用性β2刺激薬(LABA)、吸入ステロイド(ICS)+LABAのいずれかで治療中の患者さんにおいて、COPDが健康と日常生活にどのような影響を与えているかを評価するCATのスコアが10ポイント以上(CAT≧10)の症状が残存している割合は、それぞれ32.9%、55.0%、50.0%であることが示されました。また、コホート組み入れ時にLAMA、LAMA+LABA、ICS+LABA で治療中のCAT≧10の患者さんにおいて、1年後に治療をステップアップした患者さんの割合は、それぞれ12.0%、10.5%、5.3%であり、治療を変更していない患者さんの割合は、76.0%、81.8%、84.2%であったことがわかりました。さらに、組み入れ時に症状の残存がCAT≧10であった患者さんのうち、1年後時点でも変わらずCAT≧10であった患者さんの割合はそれぞれ84.2% 、73.6%、66.7%であることが明らかとなりました。

本研究のScientific Advisory Committeeメンバーである日本大学医学部 内科学系・呼吸器内科学分野 主任教授の權 寧博先生は、試験結果について次のようにコメントしています。「呼吸器専門医であってもCAT≧10の症状が残存しているCOPD患者さんにおいて、一年経過しても治療変更がなされていなかったという実態が初めて明らかとなりました。その背景の一つに、日本のCOPD治療における医療従事者側のクリニカルイナーシャ**が考えられます。COPD診断時の適切な初期治療の選択だけでなく、定期的な症状の評価と治療の見直しを積極的に行うことが必要です。この研究結果が、COPD診療をより改善していく機会となることを期待しています」。

アストラゼネカの執行役員でありメディカル本部長の田中倫夫は、次のように述べています。「症状を有するCOPD患者さんは、症状のない患者さんと比較して増悪頻度が高く死亡につながる可能性がある1,2ことから、日本の実臨床における吸入薬治療別のCATスコアの推移と治療変更の実態が示されたことはCOPD診療を改善するうえで、大変意義があります。適切な治療が選択されることにより、COPD管理目標である現状の改善と将来リスクの低減***に貢献するサイエンスの追及を目指してまいります」。

アストラゼネカはCOPD患者さんが早期受診、早期診断、および適切な治療が受けられるよう貢献します。そして、COPDによる死亡率の減少を目指し、今後も患者さん中心の医療の実現へ尽力してまいります。

*CATとは、COPDが健康と日常生活にどのような影響を与えているか、COPD患者と主治医が知り、共有する質問票であり、CATスコアが10点以上は症状が強く、治療介入あるいは治療強化が必要とされています3,4

**クリニカルイナーシャとは、「治療目標が達成されていないにも関わらず、治療が適切に強化されていない状態」 と定義されています5

***現状の改善とは、症状およびQOLの改善、そして、運動耐容能と身体活動性の向上および維持を意味し4、将来リスクの低減とは、増悪の予防、そして、疾患進行の抑制および健康寿命の延長を意味します4

*****

REMIND study(NCT05903989)について
REMIND studyは、全国27施設共同前向き観察研究COPDコホート(NCT03577795)で取得したデータのうち、二次利用の許諾に同意した25施設のデータを利用した、後ろ向き観察研究です。コホート組み入れ時にLAMA、LAMA+LABA、ICS+LABAのいずれかの吸入薬で治療中のCOPD患者さんを対象として、組み入れ時の吸入薬治療別CATスコア≧10および<10の患者割合を主要評価項目とし、組み入れ時の吸入薬治療別・CATスコア別の1年後の治療変更状況、CATスコアの推移を副次評価項目としています。

COPDについて
COPDは、肺の気流閉塞により息切れが起き、体力が消耗する進行性の疾患です5。COPDは世界中で推定3億9,190万人に影響を与え6、世界の死因第3位です7。日本においては推定有病患者数が約530万人とされる中8、治療を受けているCOPD総患者数は約36.2万人9と報告されており、未受診率・未診断率の高さが課題となっています。肺機能の改善、増悪の減少、また、息切れなどの日常的な症状を管理することが、COPDの重要な治療目標です5。COPDが悪化することにより、著しい肺機能の低下10、生活の質の大幅な低下10、平均余命の大幅な短縮、死亡リスク増加につながる可能性があります12,13

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。フェイスブックAstraZeneca.JapanとインスタグラムAstraZeneca / アストラゼネカもフォローしてご覧ください。

References

  1. Burgel PR, et al. Chest 2009;135:975-982.
  2. Putcha N, et al. COPD 2014;11:451-458.
  3. GOLD. Global Strategy for the Diagnosis, Management and Prevention of COPD, Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) 2020. [Online]. Available at: http://goldcopd.org. [Last accessed: June 2020].
  4. 一般社団法人日本呼吸器学会:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第6版
  5. Khunti K, et al. Prim Care Diabetes. 2017; 11(2):105-106.
  6. Adeloye D, Song P, Zhu Y, et al. Global, regional, and national prevalence of, and risk factors for, chronic obstructive pulmonary disease (COPD) in 2019: a systematic review and modelling analysis. Lancet Respir Med. (2022) Vol 10(5); 447-458
  7. World Health Organization. The Top 10 Causes of Death. Accessible at: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/the-top-10-causes-of-death [last accessed May 2023]
  8. Fukuchi Y et al. COPD in Japan: the Nippon COPD Epidemiology study: Respirology.2004; 9(4):458-465
  9. 厚生労働省:「令和2年(2020)患者調査」
  10. Halpin DMG, Decramer M, Celli BR, et al. Effect of a single exacerbation on decline in lung function in COPD. Respiratory Medicine 2017; 128: 85-91.
  11. Roche N, Wedzicha JA, Patalano F, et al. COPD exacerbations significantly impact quality of life as measured by SGRQ-C total score: results from the FLAME study. Eur Resp J. 2017; 50 (Suppl 61): OA1487
  12. Ho TW, Tsai YJ, Ruan SY, et al. In-Hospital and One-Year Mortality and Their Predictors in Patients Hospitalized for First-Ever Chronic Obstructive Pulmonary Disease Exacerbations: A Nationwide Population-Based Study. PLOS ONE. 2014; 9 (12): e114866.
  13. Suissa S, Dell’Aniello S, Ernst P. Long-term natural history of chronic obstructive pulmonary disease: severe exacerbations and mortality. Thorax. 2012; 67 (11): 957-63.

tags

  • 呼吸器・免疫