切除不能なステージIII非小細胞肺がんにおける、白金製剤ベースの化学放射線療法と同時併用したイミフィンジの第Ⅲ相PACIFIC-2試験について

本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が2023年11月14日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

AstraZeneca PLC(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、第Ⅲ相PACIFIC-2試験の最新結果を発表しました。切除不能なステージIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんに対し、イミフィンジ®(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え]、以下、イミフィンジ)を化学放射線療法(CRT)と同時に投与する治療法を評価する本試験において、CRT単独との比較で主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)について統計学的に有意な差異は認められませんでした。

第Ⅲ相PACIFIC試験の結果に基づき、切除不能なステージIIIのNSCLC患者さんに、白金製剤ベースのCRT後にイミフィンジを投与する治療法は、世界的に確立された標準治療です。PACIFIC-2試験は、CRT中に増悪または治療を中止した、PACIFICレジメンの対象とならない患者さんに治療を届けることが目的で、イミフィンジをCRTと同時に投与する治療法を評価するために開始されました。

初回解析において、本患者集団でのイミフィンジおよびCRT併用療法の安全性および忍容性は、これらの治療の既知のプロファイルと概ね一貫していましたが、併用療法群では併用治療の期間中に感染症の発現割合の増加が認められました。

米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのPenn Medicine Proton Therapy&Technology Development副センター長であり、本試験の治験責任医師であるJeffrey D.Bradley氏は次のように述べています。「PACIFIC-2試験では、私たちが期待した結果は得られませんでしたが、PACIFICレジメンが切除不能なステージIIIのNSCLC患者さんに対する標準治療であることには変わりありません。私たちはこれらの結果から知見を得て、今後の研究を進めてまいります」。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「PACIFIC-2試験では、イミフィンジをCRTと同時に投与することでより早期に免疫療法を導入し、切除不能なステージIIIのNSCLC患者さんのさらなるアンメットニーズに対処することを目指しました。今回の結果は統計学的に有意な結果は得られませんでしたが、私たちはこの試験から学び、免疫療法のベネフィットを様々な肺がんの治療に拡大することで、肺がん患者さんの転帰改善に引き続き取り組んでまいります」。

アストラゼネカは、切除可能なNSCLC(ADJUVANT BR.31)、医学的に手術不能または切除不能なステージI~IIのNSCLC(PACIFIC-4)、切除不能なステージIIIのNSCLC(PACIFIC-5、8、9)、限局型小細胞肺がん(SCLC)(ADRIATIC)、肺がんの早期ステージにおいてイミフィンジを検討する試験を実施しています。

※切除不能なステージIIIのNSCLC患者さんに対するイミフィンジとCRTの同時投与は、本邦未承認です。

以上

*****

ステージIIIのNSCLCについて
世界で肺がんと診断される患者さんは年間220万人と推定されています1。肺がんは男女共にがん死亡の主な原因であり、がん死亡の約5分の1を占めています1。肺がんはNSCLCと小細胞肺がん(SCLC)に大別され、肺がん患者さんの80~85%がNSCLCに分類されます2-3。非小細胞肺がん患者さんの約3人に1人は、ステージIII(局所進行)と診断され、腫瘍の大半は切除不能(外科的切除不能)です4-5

ステージIIIのNSCLCは、局所的にどの程度がんが拡がっているかによって定義される3つのサブカテゴリー(III A、III BおよびIII C)に分類されます6。がんが体の他の部位に拡がっている(転移している)ステージIVとは異なり、ステージIIIの患者さんの大半は根治を目的とした治療が行われます3,6

PACIFIC-2試験について
PACIFIC-2試験は、切除不能なステージIIIのNSCLC患者さんを対象に、白金製剤ベースの化学放射線療法と同時にイミフィンジを投与する、無作為化二重盲検プラセボ対照多施設国際共同試験です。本試験は、患者さんを2:1の割合で無作為割付し、根治的CRTの開始時から4週間ごとにイミフィンジ1500mgの固定用量またはプラセボを投与しました。患者さんには、病勢進行まで、CRT後の地固め療法としてイミフィンジまたはプラセボを継続投与しました。

本試験は、328名の患者さんを対象に、20カ国以上の88施設で実施されました。主要評価項目は無増悪生存期間、重要な副次評価項目には全生存期間、客観的奏効率および奏効期間が含まれました。

イミフィンジについて
イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。

イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、化学放射線療法後に進行が認められていない患者さんを対象として、切除不能なIII期NSCLCにおける根治目的の治療薬として唯一承認されたがん免疫治療薬であり、世界的な標準治療となっています。なお、第Ⅲ相PACIFIC試験の結果は、PACIFIC-R試験によって実臨床でも確認されています。

また、本剤は第Ⅲ相CASPIAN試験に基づき、進展型SCLCの治療薬として、米国、EU、日本、中国をはじめ多く国々でも承認されています。さらに、第Ⅲ相POSEIDON試験に基づき、イミフィンジと化学療法の併用療法にイジュド®(トレメリムマブ)を定められた回数のみ追加投与する治療法が、米国、EUおよび日本で転移性NSCLCの治療に対して承認されています。

肺がんにおける適応に加えて、イミフィンジは米国、欧州、日本およびその他数カ国では局所進行または転移性胆道がんにおける化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン)との併用療法(第Ⅲ相TOPAZ-1試験)や、切除不能な肝細胞がんにおけるイジュドとの併用療法(第Ⅲ相HIMALAYA試験)で、および数カ国では進行膀胱がんの治療歴のある患者さんの治療薬としても承認されています。

2017年5月に初めて国際承認されて以来、20万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。

広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、SCLC、NSCLC、膀胱がん、数種類の消化器がん、その他の固形がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても検討されています。

2023年、アストラゼネカは様々な併用療法におけるイミフィンジを評価する複数の第Ⅲ相試験の良好な結果を発表しました。これには卵巣がん(DUO-O)および子宮内膜がん(DUO-E)におけるリムパーザ(オラパリブ)との併用療法、さらには胃がん/食道胃接合部がん(MATTERHORN)および切除可能なNSCLC(AEGEAN)における併用療法が含まれます。

なお、本リリースに記載の効能又は効果(適応症)については本邦で承認されている記載と異なる場合があります。本邦における承認状況については、最新の電子化された添付文書をご確認ください。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。

当社の包括的なポートフォリオには、革新的な肺がん治療薬であるタグリッソ(オシメルチニブ)、イレッサ®(ゲフィチニブ)、免疫チェックポイント阻害剤であるイミフィンジ®(デュルバルマブ)およびイジュド®(トレメリムマブ)や第一三共と共同開発を進めているエンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)およびダトポタマブ デルクステカン、HUTCHMEDと共同開発を進めているOrpathys(savolitinib)、多様な作用機序にまたがる新薬候補と併用療法の新薬候補となる開発品および多様な作用機序を組み合わせた開発パイプラインが含まれ、次々とイノベーションを展開しています。

アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、肺がん患者さんの治療を含め、治療を超えた人々に意味のある改善を提供するために取り組んでいます。

※ダトポタマブ デルクステカンおよびsavolitinibは本邦未承認です。

アストラゼネカの腫瘍免疫学(IO)への取り組み
アストラゼネカは、アンメットメディカルニーズの高い特定の臨床領域に免疫療法の概念を積極的に導入しています。当社は、包括的で多様なIOのポートフォリオ、および抗腫瘍免疫応答からの回避を克服し、体内の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するように設計された免疫療法を中心としたパイプラインを有しています。

また、アストラゼネカは、がん治療を再構築し、イミフィンジの単剤療法や、トレメリムマブやその他の新規の免疫療法薬や治療法との組み合わせで、患者さんの転帰に大きな変化をもたらすことを目指しています。さらに、バイスペシフィック抗体や標的のがんに対する様々な免疫反応を活かす治療薬など、次世代免疫療法の探索も行っています。

アストラゼネカは、広範ながん種において長期生存を達成することのできる免疫療法ベースの治療を届けるため、革新的な臨床戦略を大胆に追求しています。また、広範な臨床開発プログラムにより、治癒の可能性が非常に高いより早期の疾患におけるIO治療薬の使用も支持しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。

References

  1. World Health Organisation. International Agency for Research on Cancer. Lung Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdf. Accessed October 2023.
  2. LUNGevity Foundation. Types of Lung Cancer. Available at: https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer. Accessed October 2023.
  3. Cheema PK, et al. Perspectives on treatment advances for stage III locally advanced unresectable non-small cell lung cancer. Curr Oncol. 2019;26(1):37-42.
  4. Hansen RN, et al. Long-term survival trends in patients with unresectable stage III non-small cell lung cancer receiving chemotherapy and radiation therapy: a SEER cancer registry analysis. BMC Cancer. 2020;20(1):276.
  5. Provencio M, et al. Inoperable stage III non-small cell lung cancer: Current treatment and role of vinorelbine. J Thorac Dis. 2011;3(3):197-204.
  6. ASCO. Cancer.net. Lung Cancer – Non-Small Cell. Available at: https://www.cancer.net/cancer-types/lung-cancer/view-all. Accessed October 2023.

tags

  • オンコロジー