アストラゼネカのカピバセルチブとフェソロデックスの併用療法、HR陽性進行乳がんの治療薬として米国で優先審査指定を取得

本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が2023年6月12日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

第Ⅲ相CAPItello-291試験において、フェソロデックス単独との比較で
病勢進行または死亡のリスクを40%低減

ファーストインクラスのAKT阻害剤の候補として「Project Orbis」で審査へ

AstraZeneca PLC(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、米国において、カピバセルチブとフェソロデックス®(一般名:フルベストラント、以下、フェソロデックス)の併用療法についての新薬承認申請(NDA)が受理され、優先審査指定を取得したと発表しました。対象は内分泌療法中もしくは治療後に再発または病勢進行したホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の局所進行性または転移性乳がんの成人患者さんです。

米国食品医薬品局(FDA)は、現在利用可能な選択肢よりも大幅な安全性または有効性の向上、重篤な状態の予防、または患者さんにおけるコンプライアンスの向上に繋がる医薬品の承認申請に対し、優先審査対象として指定しています1。処方箋医薬品ユーザーフィー法(PDUFA)に基づくFDAが目標とする審査の判断期日は、2023年第4四半期中です。

また、今回のNDAの審査は、FDA主導による「Project Orbis」の下で行われます。「Project Orbis」は参加する国際パートナー国間で抗がん剤の承認申請を共同で審査する枠組みであり、世界中の患者さんのために迅速な承認を促す取り組みです。

乳がんは世界で最も一般的ながんであり、毎年推定230万人の患者さんが新たに診断されています2。米国では、2023年には29万人以上の患者さんが診断され、4万3000人以上が死亡すると推計されています3。乳がんの65%以上はHR陽性かつHER2低発現または陰性と考えられています4。HR陽性乳がんの治療には内分泌療法が広く用いられていますが、進行性の乳癌患者さんの多くは一次治療のCDK4/6阻害薬と内分泌療法に対する耐性を獲得しているため、さらなる治療選択肢が必要です5,6

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「今回の優先審査指定の取得は、現在広く使用されている治療法に対して病勢進行または耐性となったHR陽性乳がん患者さんに対しても、カピバセルチブが内分泌治療の有効性を拡大する可能性を裏付けています。FDAと協力して、このファーストインクラスとなり得るAKT阻害薬をできるだけ早く患者さんにお届けできること期待しています」。

今回のNDAは、2022年サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表された第Ⅲ相CAPItello-291試験のデータと、最近The New England Journal of Medicine誌電子版に掲載されたデータに基づいています7

本試験では、カピバセルチブとフェソロデックスの併用療法が、全試験集団においてフェソロデックス単独と比較して病勢進行または死亡のリスクを40%低減させたことを示しました(ハザード比[HR]0.60、95%信頼区間[CI]0.51-0.71;p=<0.001;無増悪生存期間(PFS)中央値7.2カ月対3.6カ月)7。全生存期間(OS)データは解析時点ではイベント数が不十分でしたが、初期のデータは有望です。本試験では主要な副次評価項目としてOSを引き続き評価します。

カピバセルチブとフェソロデックスの併用療法の安全性プロファイルは、この併用療法を評価した過去の試験で観察されたものと類似していました。

カピバセルチブは2023年1月、この疾患の患者さんを対象に、FDAから迅速承認対象に指定されました。

※フェソロデックスのHR陽性進行乳がんに対するカピバセルチブとの併用療法およびカピバセルチブは本邦未承認です。

以上

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ホルモン受容体(HR)陽性乳がんについて
乳がんは世界中で最も多く診断されているがんであり、がん関連死の主要な原因の1つです2。2020年には世界中で200万人以上が乳がんと診断され、68万5000人近くが死亡しました2

HR陽性乳がん(エストロゲン受容体またはプロゲステロン受容体を発現、またはその両方を発現)は、最も一般的な乳がんのサブタイプであり、乳がん腫瘍の65%以上がHR陽性かつHER2低発現または陰性と考えられます4

HR陽性乳がん細胞の増殖は、多くの場合、エストロゲン受容体(ER)によって促進され、ホルモン療法に感受性を有する乳がん(ER-driven disease)を標的とする内分泌療法は、進行性乳がんに対する一次治療として広く実施されており、しばしばCDK4/6阻害薬と併用されます5,6,8。しかし、CDK4/6阻害薬や既存の内分泌療法に対する耐性が多くの進行乳がん患者さんで生じます6。一旦これが生じると、治療選択肢が制限されます6。化学療法が現在の標準治療ですが、生存率は低く、診断後5年以上生存するのは患者さんの30%であると推定されています4,6,9

全ての治療段階において、ホルモン療法に感受性を有する乳がん患者さんに対しての内分泌療法の最適化と耐性の克服ならびにホルモン療法に抵抗性となった乳がん患者さんに対しての新たな治療の特定は、乳がんでは盛んに研究が行われている領域です。

CAPItello-291試験について
CAPItello-291試験は、二重盲検、無作為化第Ⅲ相試験で、治験中のAKT(セリン/スレニオンキナーゼ)阻害薬であるカピバセルチブに焦点を当てた大規模な臨床プログラムの一環です。CAPItello-291試験は、局所進行性(手術不能)または転移性HR陽性、HER2低発現または陰性(免疫組織化学検査(IHC)0または1+、またはIHC2+in situハイブリダイゼーション(ISH)陰性)の乳がんを対象に、カピバセルチブとフェソロデックスの併用療法の有効性をプラセボとフェソロデックスの併用療法との比較で評価しています。

本試験には、組織学的に確認されたHR陽性、HER2低発現または陰性の乳がん患者さんのうち、CDK4/6阻害薬併用の有無にかかわらずアロマターゼ阻害薬による治療中または治療後に再発または進行した成人患者さん、進行がんに関しては化学療法1ラインまでの患者さん計708人が登録されました。試験には、全患者集団におけるPFS、およびAKT経路(PIK3CAAKT1またはPTEN遺伝子)に変異が認められる腫瘍を有する患者集団におけるPFSの2つの主要評価項目が設定されています。本試験では、腫瘍の約40%にPI3K/AKT/PTEN遺伝子変異が認められました。

カピバセルチブについて
カピバセルチブは、現在第Ⅲ相試験段階にある乳がんの複数のサブタイプおよび前立腺がん、第Ⅱ相試験段階にある血液悪性腫瘍を対象とした経口治療薬です。カピバセルチブは、3つのAKTアイソフォーム(AKT1/2/3)の強力なアデノシン三リン酸(ATP)競合阻害薬であり、AKT経路(PI3K/AKT/PTEN)に変異を有する腫瘍、および生存をこのシグナル伝達系に依存している腫瘍において、既存の治療法との併用療法で評価されています。カピバセルチブは、400mgを1日2回、4日間の投与と3日間の休薬からなる間欠投与スケジュールに従って投与されます。この投与スケジュールは、忍容性および標的阻害の程度に基づいて、初期の試験段階で採用されました。

臨床プログラムでは、確立された治療レジメンに基づいて、単剤および併用療法でのカピバセルチブの安全性および有効性を検討しています。

カピバセルチブは、Astex Therapeutics社との共同研究(およびInstitute of Cancer Research ならびにCancer Research Technology Limited社との共同研究)を経て、アストラゼネカにより創製されました。

フェソロデックスについて
フェソロデックスは、内分泌療法による治療歴がない、または術後抗エストロゲン補助療法中もしくは術後補助療法後に再発した、または抗エストロゲン療法中に病勢進行した、エストロゲン受容体陽性の局所進行性または転移性乳がんの閉経後女性患者さんに対する治療に適応される内分泌療法です。

米国、欧州および日本では、フェソロデックスはCDK4/6阻害剤との併用療法で、内分泌療法後にがんが進行したHR陽性かつHER2陰性の進行性または転移性乳がん患者さんの治療薬としても承認されています。フェソロデックスは、病勢進行のキードライバーであるエストロゲン受容体を遮断し、分解することにより、腫瘍の増殖を遅らせるのに役立つホルモン療法です。

フェソロデックスは、HR陽性の進行性乳がんの治療薬として単剤療法、またはCDK4/6およびPI3K阻害剤を含む様々な薬剤クラスとの併用療法で承認されており、その他薬剤クラスの医薬品との併用療法で検討されています。

※フェソロデックスのPI3K阻害剤との併用療法は本邦未承認です。

アストラゼネカにおける乳がん領域について
アストラゼネカは、乳がんの生物学的な理解が深まってきていることから、より効果的な治療を患者さんに提供するべく、乳がんの分類や治療に対する現在の臨床的パラダイムへの挑戦、再定義を始めており、乳がんによる死亡をなくすことを目標に掲げています。

アストラゼネカは、生物学的に多様な乳がんの腫瘍環境に対応するべく、異なる作用機序の既承認および開発中の有望な化合物からなる包括的なポートフォリオを有しています。

アストラゼネカは、フェソロデックス(フルベストラント)およびゾラデックス(ゴセレリン)による治療成績を継続的に改善し、ファーストインクラスのAKTキナーゼ阻害剤であるカピバセルチブのみならず、次世代の経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であり新薬候補であるcamizestrantによって、HR陽性乳がん領域の変革を目指しています。

PARP阻害剤リムパーザ(一般名:オラパリブ)は、BRCA遺伝子変異を有する早期および転移性乳がん患者さんに対する標的治療薬です。アストラゼネカとMSD(北米およびカナダではMerck & Co., Inc.)は、これらの状況におけるリムパーザの研究と早期がんにおけるその可能性の探索を継続しています。

悪性度の高い乳がんであるトリプルネガティブ乳がん患者さんに必要な治療選択肢を提供するために、アストラゼネカはdatopotamab deruxtecan単独または免疫治療薬のイミフィンジ(デュルバルマブ[遺伝子組換え])との併用療法、カピバセルチブと化学療法の併用療法、イミフィンジとリムパーザやエンハーツを含む他のがん治療薬との併用試験を行います。

※カピバセルチブ、datopotamab deruxtecan、camizestrant、乳がんに対するイミフィンジおよびリムパーザを含む他のがん治療薬との併用は本邦未承認です

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. FDA. Priority Review. Available at:
https://www.fda.gov/patients/fast-track-breakthrough-therapy-accelerated-approval-priority-review/priority-review. Accessed June 2023
2. Sung H, et al. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN Estimates of Incidence and Mortality Worldwide for 36 Cancers in 185 Countries. CA Cancer J Clin. 2021; 10.3322/caac.21660.
3. American Cancer Society. Key Statistics for Breast Cancer. Available at:
https://www.cancer.org/cancer/breast-cancer/about/how-common-is-breast-cancer.html. Accessed June 2023.
4. National Cancer Institute. Surveillance, Epidemiology and End Results Program. Available at:
https://seer.cancer.gov/statfacts/html/breast-subtypes.html. Accessed June 2023.
5. Lin M, et al. Comparative Overall Survival of CDK4/6 Inhibitors Plus Endocrine Therapy vs. Endocrine Therapy Alone for Hormone receptor-positive, HER2-negative metastatic breast cancer. J Cancer. 2020; 10.7150/jca.48944.
6. Lloyd M R, et al. Mechanisms of Resistance to CDK4/6 Blockade in Advanced Hormone Receptor–positive, HER2-negative Breast Cancer and Emerging Therapeutic Opportunities. Clin Cancer Res. 2022; 28(5):821-30.
7. Turner N, et al. Capivasertib in Hormone Receptor–Positive Advanced Breast Cancer. NEJM. 2023; 388:2058–70.
8. Scabia V, et al. Estrogen receptor positive breast cancers have patient specific hormone sensitivities and rely on progesterone receptor. Nat Commun. 2022; 10.1038/s41467-022-30898-0.
9. National Comprehensive Cancer Network. Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines). Available at:
https://www.nccn.org/guidelines/guidelines-detail?category=1&id=1419. Accessed June 2023.

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