本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が2023年6月3日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
AstraZeneca PLC(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、第Ⅲ相DUO-O試験における中間解析の良好な結果を発表しました。腫瘍組織におけるBRCA遺伝子(tBRCA)変異のない進行性高異型度上皮性卵巣がんと新たに診断された患者さんを対象とした本試験において、事前に予定されていた中間解析で、リムパーザ®(一般名:オラパリブ)、イミフィンジ®(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])、化学療法およびベバシズマブの併用療法群は、化学療法とベバシズマブの併用療法群(対照群)と比較して、無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました。患者さんは、イミフィンジと化学療法およびベバシズマブとの併用療法後に、維持療法としてイミフィンジ、リムパーザおよびベバシズマブを投与されました。
これらの結果は6月3日に、シカゴで開催される2023年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会(抄録番号#LBA5506)で口頭発表されました。
リムパーザ、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法は、化学療法およびベバシズマブの併用療法と比較して、病勢進行または死亡の相対リスクを37%低下させました(ハザード比(HR)0.63; 95% CI 0.52-0.76; p<0.0001)。PFS中央値は対照群の19.3カ月に対し、試験治療群では24.2カ月でした。患者さんのうち相同組換え欠損(HRD)陽性のサブグループにおいて、リムパーザ、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法は、化学療法とベバシズマブの併用療法と比較して、病勢進行または死亡の相対リスクを51%低下させました(HR 0.49; 95% CI 0.34-0.69; p<0.0001)。PFS中央値は対照群の23.0カ月に対し、試験治療群では37.3カ月でした。
ドイツのEvangelische Kliniken Essen-Mitteの婦人科および婦人科腫瘍科長で、本試験の国際治験調整医師であるPhilipp Harter氏は次のように述べています。「進行卵巣がん患者さんに対する一次治療の主な目的は、長期にわたる疾患の管理ですが、依然として多くの患者さんが急速に進行し、転帰不良の状態です。DUO-O試験におけるPFSの中間解析データから、tBRCA遺伝子変異のない患者さんにおいて、化学療法とベバシズマブのみの併用療法と比較して、リムパーザとイミフィンジをさらに追加した併用療法によってさらなる改善を示すエビデンスが得られました」。
アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「今回の結果は、卵巣がんのアンメットニーズに取り組む我われのコミットメントにおいて重要なマイルストーンとなります。DUO-O試験は、PARP阻害と免疫療法の併用療法の可能性を示しており、私たちは、より完全なデータと主要な副次評価項目の結果に期待しています」。
HRD陰性患者さんのサブグループに対する事前に予定された探索的解析では、リムパーザ、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法は、化学療法とベバシズマブの併用療法と比較して、病勢進行または死亡の相対リスクを32%低下させました(HR 0.68; 95% CI 0.54-0.86)。PFS中央値は対照群の17.4カ月に対し、併用療法では20.9カ月でした。
中間解析の時点で、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法を評価する別の治療群においては、PFSの数値的な延長を示したものの統計的な有意差はありませんでした(HR 0.87; 95% CI 0.73~1.04; p=0.13)。
事前に予定された中間解析時点では、全生存期間(OS)およびその他の副次評価項目についてはデータが未成熟でした。OSは今後の解析で正式に評価されます。
DUO-O試験結果概要

*層別モデルに基づく結果
**HR0.51(95% CI 0.36-0.72)[非層別モデルに基づく結果]
これらの併用療法の安全性および忍容性は、これまでの臨床試験および個々の医薬品の既知のプロファイルで観察されたものと概ね一貫していました。
リムパーザ、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法で最も多くみられた有害事象(AE)(患者さんの20%以上)は、悪心(57%)、貧血(55%)、好中球減少症(51%)、疲労/無力症(49%)、関節痛(34%)、便秘(30%)、下痢(30%)、血小板減少症(28%)、高血圧(26%)、嘔吐(26%)、白血球減少症(24%)、頭痛(22%)、腹痛(21%)および甲状腺機能低下症(20%)でした。グレード3以上の有害事象は、好中球減少症(31%)、貧血(24%)、白血球減少症(8%)、高血圧(7%)および血小板減少症(6%)でした。
化学療法中および維持療法期間中に有害事象を経験したリムパーザ、イミフィンジ、化学療法およびベバシズマブの併用療法群の患者さんの約65%がデータカットオフ時点で治療を継続していたのに対し、対照群(化学療法+ベバシズマブ)群の患者さんでは80%でした。
※進行性高異型度上皮性卵巣がんに対するリムパーザ、イミフィンジおよびベバシズマブの併用療法、またイミフィンジおよびベバシズマブの併用療法は本邦未承認です。
以上
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卵巣がんについて
卵巣がんは、最も一般的な婦人科系のがんの1つです。世界中の女性のがんの中で8番目に多いがんであり、2020年には31万4000人超が新たに診断され、20万7000人超が死亡しています。これらの数値は、2040年までにほぼ42%増加し、一年に44万5000人超が新たに診断され、31万4000人超が死亡することになると予測されています1-3。
また、2/3以上の患者さんが進行がんと診断されます。その進行は速く、2年で進行することもよくあり、治療を行ってもQOLが低下します。さらに、進行がん患者さんの50~70%は5年以内に死亡します4-7。相同組換え欠損(HRD)陰性の患者さんは一般的に転帰が悪く、5年生存率は約30%です5,8。
DUO-O試験について
DUO-O試験は、tBRCA変異のない初発の進行卵巣がん患者さんを対象に行われた、無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第Ⅲ相試験です。本試験では、イミフィンジと白金製剤ベースの化学療法およびベバシズマブとの併用療法後に、イミフィンジ、ベバシズマブおよびリムパーザによる維持療法もしくはイミフィンジとベバシズマブによる維持療法を行った際の有効性および安全性を比較検討しました。
患者さんは、第1群(対照群:白金製剤ベースの化学療法とベバシズマブおよびプラセボの併用による導入療法後に、ベバシズマブおよびプラセボによる維持療法を行う)、第2群(白金製剤ベースの化学療法とベバシズマブおよびイミフィンジの併用による導入療法後に、イミフィンジおよびベバシズマブにプラセボを追加した維持療法を行う)、第3群(白金製剤ベースの化学療法とベバシズマブおよびイミフィンジの併用による導入療法後にイミフィンジおよびベバシズマブにリムパーザを追加した維持療法を行う)のいずれかに1:1:1の比で無作為に割り付けられました。すべての群で、白金製剤ベースの化学療法を3週間ごとに最大6サイクル、ベバシズマブを3週間ごとに最大15カ月間、イミフィンジまたはプラセボを3週間ごとに最大24カ月間、リムパーザまたはプラセボを1日2回最大24カ月間投与されました。
主要評価項目は、tBRCA変異のない患者さんを含む全試験集団およびHRD陽性患者集団のサブセットに対する、第3群と第1群(対照群)との比較における治験責任(分担)医師の評価に基づくPFSです。主要な副次評価項目には、第2群と対照群との比較における治験責任(分担)医師の評価に基づくPFS、ならびにOSの比較が含まれます。DUO-O試験では、179の医療機関において、全群通して1200人以上の患者さんが登録されました。試験の詳細については、ClinicalTrials.govを参照してください。
イミフィンジについて
イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、化学放射線療法後に進行が認められていない患者さんを対象として、切除不能なIII期の局所進行非小細胞肺癌(NSCLC)における根治目的の治療薬として唯一承認されたがん免疫治療薬であり、世界的な標準治療となっています。また、本剤は、第Ⅲ相CASPIAN試験に基づき、進展型小細胞肺癌(SCLC)の治療薬として、米国、EU、日本、中国をはじめ多く国々でも承認されています。さらに、第Ⅲ相POSEIDON試験に基づき、イミフィンジと化学療法の併用療法にイジュド®(トレメリムマブ)を定められた回数のみ追加投与する治療法が、米国、EUおよび日本で転移性NSCLCの治療薬として承認されています。
肺がんにおける適応に加えて、イミフィンジは米国、欧州、日本およびその他数カ国では局所進行または転移性胆道がんにおける化学療法との併用療法で、米国、EUおよび日本では切除不能な肝細胞がんにおけるイジュドとの併用療法で、および数カ国では進行膀胱がんの治療歴のある患者さんの治療薬として承認されています。
2017年5月に初めて承認されて以来、20万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、SCLC、NSCLC、膀胱がん、数種類の消化器がん、その他の固形がんの治療薬として、単独療法ならびに他の抗がん剤との併用療法においても検討されています。
なお、本リリースに記載の効能又は効果(適応症)については本邦で承認されている記載と異なる場合があります。本邦における承認状況については、最新の電子化された添付文書をご確認ください。
※膀胱がんに対するイミフィンジの適応は、本邦未承認です。
リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異などの相同組換え修復(HRR)の欠損を有する、あるいは他の薬剤(NHAなど)によりHRRの欠損が誘導される細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。
リムパーザによるPARP阻害により、DNAの一本鎖切断部位上にPARPがトラップされ、複製フォークの失速と崩壊が起こり、DNAの二本鎖切断が形成されてがん細胞死をもたらします。
リムパーザは現在、様々ながん種を対象に多くの国で承認されており、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法を含め、BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)および相同組換え修復欠損(HRD)を有する進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として、単独療法およびベバシズマブとの併用療法がそれぞれ用いられています。さらに、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性転移性乳がん(EUおよび日本では局所進行乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がん(日本ではすべてのBRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm転移性膵がんに対しても承認されています。加えて、化学療法が臨床的に適応とならない転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の治療薬としてアビラテロンとの併用療法(EUのみ)が、また、NHAによる前治療で進行したHRR関連遺伝子変異陽性mCRPC(EUおよび日本ではBRCAmのみ)患者さんの治療薬として単剤療法が用いられています。中国においては、リムパーザはBRCA遺伝子変異陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬、ならびにBRCAm進行卵巣がんにおける初回治療後の維持療法として承認されています。
アストラゼネカとMSDにより共同で開発、商業化が行われているリムパーザは、全世界で75,000人を超える患者さんの治療に使用されています。なお、リムパーザと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。リムパーザは、がん細胞におけるDDRメカニズムを標的としたアストラゼネカの業界トップクラスの新薬候補ポートフォリオの基盤となる薬剤です。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体、エピジェネティクスおよび細胞療法の6つの科学的基盤を強化し、個別化併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
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https://www.wcrf.org/cancer-trends/ovarian-cancer-statistics/#:~:text=Latest%20ovarian%20cancer%20data,of%20ovarian%20cancer%20in%202020. Accessed May 2023.
3. WOCC. Global Ovarian Cancer Charter Data Briefing. Available at
https://worldovariancancercoalition.org/wp-content/uploads/2022/02/Global-Priority_Final.pdf. Accessed May 2023.
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https://seer.cancer.gov/statfacts/html/ovary.html. Accessed May 2023.
5. Ray-Coquard, et al. Final Overall Survival (OS) Results From the Phase III PAOLA-1/ENGOT-ov25 Trial Evaluating Maintenance Olaparib (ola) Plus Bevacizumab (bev) in Patients (pts) with Newly Diagnosed Advanced Ovarian Cancer (AOC). Presented at the European Society of Medical Oncology Congress. Paris, France. 09 September 2022.
6. Ray-Coquard I, et al. Olaparib Plus Bevacizumab as First-Line Maintenance in Ovarian Cancer. N Engl J Med. 2019; 381:2416-2428
7. González-Martín A, et al. Niraparib in Patients with Newly Diagnosed Advanced Ovarian Cancer. N Engl J Med. 2019; 381:2391-2402
8. Medical News Today. What To Know About HRD Testing For Ovarian Cancer. Available at
https://www.medicalnewstoday.com/articles/hrd-positive-ovarian-cancer. Accessed May 2023.