本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が2023年6月1日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
リムパーザの併用療法は、アビラテロン単独との比較において
病勢進行または死亡リスクを76%低減
新たな治療法の臨床的に意義あるベネフィットを裏付け
新規ホルモン製剤との併用療法として承認された最初のPARP阻害薬
AstraZeneca PLC(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)およびMerck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA(北米およびカナダ以外ではMSD)は、BRCA遺伝子の病的変異または病的変異疑いのある(BRCAm)転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の成人患者さんに対する治療薬として、リムパーザ®(一般名:オラパリブ、以下、リムパーザ)とアビラテロンおよびprednisone/プレドニゾロンとの併用療法が米国で承認されたことを発表しました。
この承認は、BRCAmを有する患者さんにおいて、リムパーザとアビラテロンの併用療法が、アビラテロン単独療法と比較して、画像診断による無増悪生存期間(rPFS)(ハザード比[HR]0.24、95%信頼区間[CI]0.12-0.45)および全生存期間(OS)(HR 0.30、95%CI 0.15-0.59)のいずれにおいても臨床的に意義のある延長を示した第Ⅲ相PROpel試験のサブグループ解析に基づくものです1。アビラテロン単独で治療された患者さんでは、rPFS中央値およびOS中央値が8ヵ月および23ヵ月であったのに対し、リムパーザとアビラテロンの併用療法で治療された患者さんではそれぞれ未到達でした。
前立腺がんは男性では2番目に多いがんであり、mCRPC患者さんに対する治療法が増えているにもかかわらず、5年生存率は依然として低いままです2,3。mCRPC患者さんの約10%にBRCAmが認められ、これが予後不良および転帰不良と関連しています4,5。
米国ノースカロライナ州ダーラムにあるデュークがん研究所の医師であり、第Ⅲ相PROpel試験の治験担当医師であるAndrew Armstrong氏は次のように述べています。「画像診断による病勢進行や死亡の予防またはその期間を延長させることは、がん治療を評価する上での重要な臨床評価項目であり、患者さんとその介護者やご家族にとって非常に重要です。PROpel試験の結果は、BRCA遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がんの標準治療としてリムパーザの併用療法を迅速に検討すべきであるという、臨床的に意義のあるベネフィットを示しました」。
アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニットの責任者であるDave Fredricksonは次のように述べています。「BRCAmの転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんには、新たな一次治療選択肢に対する極めて高いアンメットニーズがあります。今回の承認はmCRPC診断時におけるBRCA遺伝子検査の重要性を裏付けています。治療のより早期の段階で患者さんにリムパーザ併用療法のベネフィットをお届けできることを期待しています」。
Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA研究開発本部のシニアバイスプレジデント、グローバルクリニカルディベロップメント責任者兼チーフメディカルオフィサーであるEliav Barr氏は次のように述べています。「現在の標準治療を基盤にしながら、進行がんを治療し患者さんの予後改善につながる新たな選択肢を作り出すことは必須です。PROpel試験では、BRCAmの転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんのサブグループにおいて、リムパーザの併用療法によりrPFSおよびOSが延長しました。今回の承認により、転移診断時における遺伝子変異検査は、治療方針決定の指針となり重要であることが裏付けられました」。
PROpel試験におけるリムパーザとアビラテロン併用療法の安全性および忍容性は、過去の臨床試験で観察されたものおよび個々の医薬品の既知のプロファイルと一貫していました。
リムパーザとアビラテロンおよびprednisoneまたはプレドニゾロンによる併用療法のリムパーザは、PROpel試験の結果に基づき、欧州連合(EU)および他の数カ国においてmCRPC患者さんに対する治療として承認されています。
なお、リムパーザは第Ⅲ相PROfound試験の結果に基づいて、エンザルタミドまたはアビラテロンによる前治療後に進行した相同組換え修復(HRR)変異を有するmCRPC(BRCAmおよび他のHRR変異陽性)患者さんに対する単剤療法として米国で承認されており、欧州、日本および中国では、新規ホルモン製剤治療を含む前治療後に進行したBRCAm mCRPC患者さんに対する治療として承認されています。
※転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)のアビラテロンとの併用療法におけるリムパーザの適応およびprednisoneは本邦未承認です。
以上
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財務上の考慮事項
今回のリムパーザの米国での承認をうけて、アストラゼネカはMSDからマイルストーンの支払いを受領し、2023年の第2四半期に共同収益として計上します。
前立腺がんについて
前立腺がんは、男性では2番目に多く診断されるがんであり、男性のがんによる5番目の死因です。2020年には、約140万人が新たに診断され、約37万5000人が死亡しました2,3。米国においては、2023年には推定28万8300人の患者さんが診断され、3万4700人が死亡すると予測されています6。mCRPC患者さんの全生存期間は、臨床試験では約3年で、実臨床ではさらに短くなることが報告されています7。mCRPC患者さんの約半数は、積極的治療として一次治療しか受けられず、後治療の効果は低下します8-13。
転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
転移性前立腺がんは死亡率の高いがんです14。前立腺がんの進展は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます15。
男性ホルモンの作用を阻害するアンドロゲン除去療法を行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した場合、mCRPCと診断されます16。進行性前立腺がんの患者さんの約10~20%は5年以内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行し、そのうち84%以上の患者さんはCRPC診断時に転移を有しています17。また、CRPC診断時に転移のない患者さんであっても、そのうちの33%は2年以内に転移が確認されます17。
タキサン系抗がん剤と新規ホルモン製剤(NHA)による治療により、この10年間でmCRPC治療は進歩していますが、この集団におけるアンメットニーズは高いと考えられます16-19。
PROpel試験について
PROpel試験は、mCRPCと診断された後に化学療法およびNHAによる治療歴のない患者さんを対象に、アビラテロンおよびprednisone(またはプレドニゾロン)に加えてリムパーザを投与した場合の有効性、安全性、忍容性をプラセボ、アビラテロンおよびprednisone(またはプレドニゾロン)との併用と比較検討する無作為化二重盲検多施設共同第Ⅲ相試験です。
主要評価項目はrPFSであり、副次評価項目にはOS、二次進行または死亡までの期間、および初回の後治療までの期間が含まれます。2021年9月、事前に規定した中間解析において、独立データモニタリング委員会は、PROpel試験がrPFSの主要評価項目を満たしたと結論付けました。
さらなる情報については、ClinicalTrials.gov.をご覧ください。
リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異などの相同組換え修復(HRR)の欠損を有する、あるいは他の薬剤(NHAなど)によりHRRの欠損が誘導される細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。
リムパーザによるPARP阻害により、DNAの一本鎖切断部位上にPARPがトラップされ、複製フォークの失速と崩壊が起こり、DNAの二本鎖切断が形成されてがん細胞死をもたらします。
リムパーザは現在、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法、BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)および相同組換え修復欠損(HRD)を有する進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としての単独療法およびベバシズマブとの併用療法を含め、様々ながん種を対象に多くの国で承認されています。さらに、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性転移性乳がん(EUおよび日本では局所進行乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がん(日本ではすべてのBRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm転移性膵がん、および化学療法が臨床的に適応とならない転移性去勢抵抗性前立腺がんのアビラテロンとの併用療法(EUのみ)、およびNHA治療による前治療のあと進行したHRR関連遺伝子変異陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)(EUおよび日本ではBRCAmのみ)に対して単剤療法が承認されています。中国においては、リムパーザはBRCAm mCRPCの治療薬、ならびにBRCAm進行卵巣がんにおける初回治療後の維持療法、およびHRDを有する進行卵巣がんにおけるベバシズマブとの併用療法としての初回治療後の維持療法として承認されています。
アストラゼネカとMSDにより共同で開発、商業化が行われているリムパーザは、全世界で75,000人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザには幅広い臨床試験開発プログラムがあり、アストラゼネカとMSDは共同で、本剤が様々ながん種にわたる複数のPARP依存性腫瘍に対し、単剤療法および併用療法としてどのように影響するのか理解を進めています。リムパーザは、がん細胞におけるDDRメカニズムを標的としたアストラゼネカの業界トップクラスの新薬候補ポートフォリオの基盤となる薬剤です。
アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害薬であるKoselugo(セルメチニブ)について、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。
両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
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