FDA抗がん剤諮問委員会による、転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬としてのリムパーザとアビラテロンの併用療法に対する評価の最新情報

本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が2023年4月28日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

AstraZeneca PLC(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の治療薬としての、リムパーザ®(一般名:オラパリブ、以下、リムパーザ)とアビラテロンおよびprednisone(またはプレドニゾロン)との併用療法に対する、米国食品医薬品局(FDA)抗がん剤諮問委員会(Oncologic Drugs Advisory Committee、以下、ODAC)による評価についてお知らせいたします。ODACは、第Ⅲ相PROpel試験の結果に基づく、BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)のmCRPCに対する治療薬としての良好なベネフィット・リスクプロファイルは認めつつ、11対1(棄権1)で、本併用療法の適応症をBRCAmの患者さんに限定すべきと評価しました。

2022年8月、FDAは、NEJM Evidence誌に掲載された第Ⅲ相PROpel試験の良好な結果に基づき、優先審査によるリムパーザの追加承認申請(sNDA)を受理しました。ODACは、がん治療に使用される市販薬および治験薬に関して、専門的助言および勧告をFDAに行う独立した委員会です。FDAはODACによるガイダンスに必ずしも従わなければならないというわけではありませんが、そのガイダンスを考慮に入れて承認等の判断を行います。アストラゼネカとMSDは、引き続き申請審査の完了に向けてFDAと協力してまいります。

Genesis Care(米国)の泌尿器科および腫瘍外科学のチーフメディカルオフィサーであり、PROpel試験の治験責任医師であるNeal Shore氏は次のように述べています。「今回のODACによる勧告は、前立腺がん患者さんおよび臨床医にとって残念なニュースであると感じています。画像診断に基づく進行の予防または遅延は、がん治療を評価する上で重要な臨床的評価項目であり、患者さん、その介護者およびご家族にとっても非常に関心ある事項です。がん治療の成果を最適化することを目標に、医師と患者さんが治療選択する機会を持つことは不可欠です」。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&Dの責任者であるSusan Galbraithは次のように述べています。「mCRPC患者さんには、新たな治療選択肢が早急に必要です。リムパーザとアビラテロンの併用療法のBRCA遺伝子変異陽性の患者さんに対する有効性について評価されたことは喜ばしいことですが、今回のODACの結論は残念に思います。バイオマーカーの状態に関わらないmCRPCの幅広い患者集団に対する本併用療法の臨床的に意義のあるベネフィットが示されたPROpel試験結果を我々は強く信じています」。

MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント兼グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのEliav Barrは次のように述べています。「前立腺がんの発現率と死亡率は、今後数十年で倍増すると見込まれています。前立腺がんにおいては、患者の疾患進行や死亡のリスクを軽減し得る新たな治療オプションを出来るだけ早期の段階で投与することが重要です。ODACによってBRCA遺伝子変異を有するmCRPC患者さんにリムパーザが推奨されたことは喜ばしいことではありますが、PROpel試験の結果から、幅広いmCRPCの幅広い患者さんに対するリムパーザとアビラテロンの併用療法の可能性を信じています。今後のFDAによる申請審査の結果に期待しています」。

PROpel試験の結果から、mCRPC患者さんにおいては、アビラテロン単独との比較で、リムパーザとアビラテロンおよびprednisone(またはプレドニゾロン)との併用療法が、画像診断による病勢進行または死亡のリスクを34%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました(ハザード比[HR]0.66、95%信頼区間[CI]0.54-0.81、p<0.001)。画像診断による無増悪生存期間(rPFS)の中央値は、単剤療法の16.6カ月に対し、併用療法では24.8カ月でした1

2023年の米国臨床腫瘍学会泌尿生殖器がんシンポジウムで発表された、事前に規定された全生存期間(OS)の最終解析の最新結果では、アビラテロンとプラセボの併用のOS中央値が34.7カ月であったのに対し、リムパーザとアビラテロンおよびprednisone(またはプレドニゾロン)との併用療法では42.1カ月であったことが示されました。この結果は、OS中央値を標準治療に対して7.4カ月の延長したことを裏付けています(イベント発現割合47.9%時点での解析、HR 0.81、95%CI 0.67-1.00、p=0.0544)。OS中央値の延長において、統計学的有意差には至りませんでしたが、この臨床効果は、当該疾患において現在の標準治療であるアビラテロン単剤で治療を受けた患者さんと比較した上で、達成された意義のある生存期間の延長に基づいています。

BRCAmサブグループにおける探索的解析では、リムパーザとアビラテロンの併用療法群により、rPFS(HR 0.23、95%CI 0.12-0.43)とOS(HR 0.29、95%CI0.14-0.56)の両方で延長が示されました。 なお、BRCAm陰性サブグループにおいても、リムパーザとアビラテロン併用療法群でrPFSの延長(HR 0.76、95%CI 0.61-0.94)とOSの緩やかな延長傾向(HR 0.91、95%CI 0.73-1.13)が示されました。

リムパーザとアビラテロンの併用療法における安全性および忍容性は、過去の臨床試験で観察されたものであり、また、個々の薬剤の既知のプロファイルと一貫していました。

リムパーザとアビラテロンおよびprednisone(またはプレドニゾロン)との併用療法は、PROpel試験の結果に基づき、mCRPCの成人患者さんの治療薬として、EUおよび他の数カ国で承認されています。

※本邦における、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)のアビラテロンとの併用療法におけるリムパーザの適応およびprednisoneは未承認です。

以上

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前立腺がんについて
前立腺がんは、男性では2番目に多く診断されるがんであり、男性のがんによる5番目の死因です。2020年には、約140万人が新たに診断され、約37万5000人が死亡しました2-4。米国においては、2023年には推定28万8300人の患者さんが診断され、3万4700人が死亡すると予測されています5。mCRPC患者さんの全生存期間は、臨床試験では約3年で、実臨床ではさらに短くなることが報告されています6。mCRPC患者さんの約半数は、積極的治療として一次治療しか受けられず、後治療の効果は低下します7-12

転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
転移性前立腺がんは高い死亡率を伴います13。前立腺がんの発症は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます14

男性ホルモンの作用を阻害するアンドロゲン除去療法を行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した場合、mCRPCと診断されます15。進行前立腺がん患者さんの約10~20%は5年以内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行し、そのうち84%以上の患者さんはCRPC診断時に転移を有しています16。また、CRPC診断時に転移のない患者さんであっても、そのうちの33%は2年以内に転移が確認されます16

タキサン系抗がん剤と新規ホルモン製剤(NHA)による治療により、この10年間でmCRPC治療は進歩していますが、この集団におけるアンメットニーズは高いと考えられます15-18

PROpel試験について
PROpel試験は、mCRPCと診断された後に化学療法およびNHAによる治療歴のない患者さんを対象に、アビラテロンおよびprednisone(またはプレドニゾロン)に加えてリムパーザを投与した場合の有効性、安全性、忍容性をプラセボ、アビラテロンおよびprednisone(またはプレドニゾロン)との併用と比較検討する無作為化二重盲検多施設共同第Ⅲ相試験です。

主要評価項目はrPFSであり、副次評価項目にはOS、二次進行または死亡までの期間、および初回の後治療までの期間が含まれます。

第Ⅲ相PROpel試験では、リムパーザはアンドロゲン受容体(AR)経路を標的とするNHAであるアビラテロンと併用されました。ARシグナル伝達は、前立腺がんにおける腫瘍細胞の増殖と生き残りに重要な転写プログラムに関与しています18,19。さらに、ARは前立腺がん細胞におけるDNA損傷の修復にも関与しており、通常は相同組換え修復(HRR)によって修復されない損傷を含みます。前臨床試験では、HRR欠損を有する前立腺がんでもHRR欠損のない前立腺がんでも、併用療法の有効性に寄与する可能性がある数多くの潜在的機序が示唆されています1,19-25。最近のデータは、DNA損傷がある場合にPARPがAR-DNA結合を促進すること(AZ内部データ)、およびリムパーザによるPARP阻害とNHAによるARシグナル伝達遮断が、HRR関連遺伝子変異のない前立腺がんにおいて、DNA損傷修復を促進および抗腫瘍効果を増加させることを示すエビデンスとなっています1,21,24,26,27

さらなる情報については、ClinicalTrials.gov.をご覧ください。

リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異など、あるいは他の薬剤(NHAなど)により誘発される相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。

リムパーザによるPARPの抑制は、DNA一本鎖切断、複製フォーク停止に結合したPARPの捕捉、それらの崩壊およびDNA二本鎖切断の生成およびがん細胞死をもたらします。

リムパーザは現在、様々ながん種を対象に多くの国で承認されており、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法を含め、BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)および相同組換え修復欠損(HRD)を有する進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として、単独療法およびベバシズマブとの併用療法がそれぞれ用いられています。さらに、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性転移性乳がん(EUおよび日本では局所進行乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がん(日本ではすべてのBRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm転移性膵がん、およびHRR関連遺伝子変異陽性mCRPC(EUおよび日本ではBRCAmのみ)に対しても承認されています。中国においては、リムパーザはBRCA遺伝子変異陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬、ならびにBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんにおける初回治療後の維持療法として承認されています。

アストラゼネカとMSDにより共同で開発、商業化が行われているリムパーザは、全世界で75,000人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザはPARP阻害剤として最も広範な臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは、さまざまながん種にわたり、リムパーザが単剤療法および他の薬剤との併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するために協業しています。リムパーザは、がん細胞におけるDDRメカニズムを標的としたアストラゼネカの業界トップクラスの新薬候補ポートフォリオの基盤となる薬剤です。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害薬であるKoselugo(セルメチニブ)について、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。

両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
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