本資料は、アストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が2023年2月24日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
AstraZeneca PLC(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、2月24日、CinCor Pharma社(以下、CinCor社)の買収が成功裏に完了したことを発表しました。CinCor社は、治療抵抗性およびコントロール不良の高血圧と、慢性腎臓病の新規治療薬の開発に注力する米国に拠点を置く臨床バイオ・医薬品企業です。
買収により、CinCor社が治療抵抗性高血圧に対する降圧剤候補として開発中のアルドステロン合成酵素阻害薬であるbaxdrostat(CIN-107)がアストラゼネカのポートフォリオに追加され、アストラゼネカの心腎パイプラインが強化されます。
Baxdrostatは、アルドステロン合成酵素に選択性が高く、ヒトにおいてコルチゾール経路を阻害しないため、次世代の主要なアルドステロン合成酵素阻害薬となる可能性があります1。Baxdrostatがアストラゼネカのパイプラインに加わることで、フォシーガとの併用療法の可能性がもたらされ、アンメットメディカルニーズの高い様々な心腎疾患において新たなベネフィットを提供するというアストラゼネカの戦略が補完されます。
本買収は、前払い金約13億ドルでCinCor社の全発行済株式を購入する株式公開買付けにより完了しました。本買収取引の一環として、アストラゼネカはCinCor社の貸借対照表に記載されている現金および市場性のある有価証券を取得し、これは取引完了時点で買収関連費用を除き合計約5億ドルとなりました。本契約の条件に基づき、CinCor社の株主は取引不可能な不確定価額受領権(CVR)を取得し、特定の規制当局にbaxdrostatを申請した場合に支払いを受け取ることができます。その場合の契約一時金とCVRを合わせた取引価額は最大で約18億ドルとなります。公開買付期間最終時点で、CinCor社の株式39,580,275株の有効な応募があり、公開買付けの有効な応募撤回は行われておらず、これはCinCor社の発行済全普通株式の約86.3%を占めており、応募された当該株式については、公開買付けの条件に従って支払いが受諾されます。CinCor社の株式は、米ナスダック株式市場から上場廃止となり、CinCor社は買収完了後可能な限り速やかに1934年米証券取引所法の規定に基づく登録を抹消します。
将来に関する記述
本発表は過去の事実に関する記述ではなく、アストラゼネカのCinCor社に対する買収に関する記載のように「将来に関する記述」が含まれている可能性があります。このような将来に関する記述には、アストラゼネカによるCinCor社の買収提案において達成しようとする利益に関するアストラゼネカおよびCinCor社の考え、期待およびステートメント、アストラゼネカおよびCinCor社の両社が買収により何らかの影響を受ける可能性、およびbaxdrostatや併用して使用される薬剤で予想されるベネフィットや成功などが挙げられますが、これに限定されません。これらの記述はアストラゼネカおよびCinCor社の経営陣の現在の考えおよび予想に基づくものであり、大きなリスクと不確定要素が存在します。Baxdostatやその他の併用薬が規制当局からの必要な承認が得られたり、承認後、商業的に成功を収める保証はありません。基本的な前提が不正確であることが証明された、またはリスクや不確定要素が具現化した場合、実際の結果は将来に関する記述で規定された内容と大きく異なる可能性があります。
リスクや不確定要素には、不確定価額受領権に関連するマイルストーンが達成されない可能性、業界の一般的な条件および競争、金利や通貨為替レートの変動などの一般的な経済的要因、COVID-19の影響、米国および国際的な製薬業界の規制および医療に関する法律の影響、その他の製品との競争、および規制当局による承認取得など新薬開発に固有の困難などが挙げられますが、これに限定されません。
アストラゼネカおよびCinCor社のいずれも、法律で義務付けられている場合を除き、新規情報の結果、将来のイベントやその他にかかわらず、将来に関する記述の更新を公表する義務を負いません。実際の結果が将来に関する記述で記載された内容と大きく異なる可能性があるその他の要因は、2022年12月期のアストラゼネカのForm 20-Fによる年次決算報告書、2021年12月期のCinCor社のForm 10-Kによる年次決算報告書およびCinCor社の2022年3月期、2022年6月期、および2022年9月期のそれぞれの3ヵ月のForm 10-Qによる四半期決算報告書で確認することができます。それぞれについて、米国証券取引委員会(SEC)のその後の提出書類で修正が行われました。アストラゼネカおよびCinCor社がSECに提出したこれらの文書およびその他の文書は、SECのウェブサイトで閲覧可能です(www.sec.gov)。
以上
*****
Baxdrostat(CIN-107)について
Baxdrostatは、治療抵抗性高血圧や原発アルドステロン症、慢性腎疾患などのアンメットメディカルニーズの非常に高い患者さんを対象とした、副腎でアルドステロンの合成を行うアルドステロン合成酵素に対する選択性の高い、開発中の低分子経口阻害薬です。Baxdrostatは、CYP11B2遺伝子によってコードされるアルドステロン合成酵素を選択的に標的とする一方、コルチゾール合成に関わる、CYP11B1遺伝子によってコードされる11ß-ヒドロキシラーゼの阻害活性に対しては低い親和性を示します。臨床試験では、baxdrostatは、様々な用量において、コルチゾール値に影響を及ぼすことなく、アルドステロン値を統計学的有意差をもって低下させました1。
Baxdrostatは、重点領域である治療抵抗性高血圧の患者さんを対象とした第Ⅱ相BrigHTN試験で、12週間の投与期間後に統計学的に有意な収縮期血圧(SBP)の低下を示し、主要評価項目を達成しました1,2。一方、コントロール不良高血圧患者さんを対象とした第Ⅱ相HALO試験では、主要評価項目である8週間の投与後の統計学的に有意なSBPの低下は達成されませんでした3,4。両試験で、baxdrostatは良好な忍容性を示しました。このほかに、原発性アルドステロン症(Spark-PA)5および慢性腎臓病(CKD)6をともなう高血圧患者さんを対象として、2つの第Ⅱ相試験を実施中です。Baxdrostatの第Ⅲ相試験は、治療抵抗性高血圧の患者さんを対象として2023年前半に開始する予定です。
フォシーガについて
フォシーガ(ダパグリフロジン)は、1日1回経口投与によって使用するファースト・イン・クラスのSGLT2阻害剤です。心臓、腎臓および膵臓の基本的な関連性を背景として、フォシーガでは、研究により、心腎疾患に対する予防と抑制効果、臓器保護効果が示されています7-9*。これらの臓器の一つでも損傷を受けると、他の臓器が機能しなくなり、2型糖尿病、心不全、慢性腎臓病(CKD)といった、全世界の主要な死因となる病気を引き起こす可能性があります10-13。
(*本邦におきましては、慢性心不全、慢性腎臓病の治療薬として承認されています。)
アストラゼネカの循環器・腎・代謝(CVRM)領域について
バイオファーマの一部である循環器・腎・代謝(CVRM)は、アストラゼネカの主要治療領域の一つであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、世界の何百万人もの患者さんの心血管系の健康と、治療を改善する革新的なサイエンスを継続的に提供し、CVRM疾患の自然経過の緩和もしくは抑制、将来的には臓器の再生と機能の維持の実現を目指しています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
1. Freeman MW, et al. (2022) Phase 2 Trial of Baxdrostat for Treatment-Resistant Hypertension. NEJM, DOI: 10.1056/NEJMoa2213169.
2. A Study of CIN-107 in Adults With Treatment-Resistant Hypertension (rHTN) (BrigHTN). Available from: https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04519658?term=cin-107&draw=2&rank=2 [Last accessed 28 Dec 2022]
3. CinCor Pharma Announces Topline Data for Phase 2 HALO Trial Evaluating Selective Aldosterone Synthase Inhibitor Baxdrostat in Uncontrolled Hypertension. Available from: https://www.cincor.com/news-releases/news-release-details/cincor-pharma-announces-topline-data-phase-2-halo-trial [Last accessed 30 Dec 2022].
4. A Study of CIN-107 in Patients With Uncontrolled Hypertension Receiving 1 Antihypertensive Agent (HALO). Available from: https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05137002?term=cin-107&draw=2&rank=1 [Last accessed 28 Dec 2022]
5. A Study of CIN-107 in Adults With Primary Aldosteronism (spark-PA). Available from: https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04605549?term=cin-107&draw=2&rank=3 [Last accessed 28 Dec 2021]
6. A Study to Evaluate CIN-107 for the Treatment of Patients With Uncontrolled Hypertension and Chronic Kidney Disease. Available from:
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05432167?term=CIN-107&draw=2&rank=4 [Last accessed 28 Dec 2022].
7. McMurray JJV, et al. (2019) Dapagliflozin in patients with heart failure and reduced ejection fraction. NEJM, 381(21):1995–2008.
8. Heerspink HJL, et al. (2020) Dapagliflozin in patients with chronic kidney disease. NEJM, 383(15):1436–46.
9. Wiviott SD, et al. (2019) Dapagliflozin and cardiovascular outcomes in type-2 diabetes [article and supplementary appendix]. NEJM, 380(4):347–57.
10. Mayo Clinic [Internet]. Heart failure [cited 2022 Nov 23]. Available from:
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/heart-failure/symptoms-causes/syc-20373142.
11. Vos T, et al. (2017) Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 328 diseases and injuries for 195 countries, 1990–2016: A systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. Lancet, 390(10100):1211–59.
12. Centers for Disease Control and Prevention (CDC) [Internet]. A snapshot: Diabetes in the United States. Available
from: https://www.cdc.gov/diabetes/library/socialmedia/infographics/diabetes.html [Last accessed 28 Dec 2022].
13. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases (NIDDK) [Internet]. Heart disease & kidney disease. Available from: https://www.niddk.nih.gov/health-information/kidney-disease/heart-disease [Last accessed 28 Dec 2022].