本資料はアストラゼネカ英国本社が2023年2月16日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
リムパーザとアビラテロンの併用療法はアビラテロン単剤療法と比較して
生存期間中央値7.4カ月の延長を示した
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者さんを対象とした第Ⅲ相PROpel試験において、事前に規定された全生存期間(OS)の最終解析の結果、OS中央値はプラセボおよびアビラテロンとの併用群で34.7カ月であったのに対し、アストラゼネカとMSDが共同開発したリムパーザ®(一般名:オラパリブ、以下、リムパーザ)とアビラテロンおよびprednisone/プレドニゾロンとの併用療法で42.1カ月を達成したことを発表しました。本結果において、OS中央値の差は標準治療に対して7.4カ月でした(イベント発現割合47.9%時点での解析、ハザード比[HR]0.81、95%信頼区間[CI]0.67-1.00、p = 0.0544)。
OS中央値の延長において、統計学的に有意な差は認められませんでしたが、この臨床効果は、当該疾患において現在の標準治療であるアビラテロン単剤で治療を受けた患者さんで達成された意義のある生存期間の延長に基づいています。本試験の結果は、2023年の米国臨床腫瘍学会泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO GU)で発表されました(抄録番号 #LBA16)。
2022年ASCO GUで発表され、New England Journal of Medicine (NEJM) Evidence誌に掲載されたPROpel試験の主要解析において、リムパーザとアビラテロンの併用療法は、アビラテロン単剤と比較して病勢進行または死亡のリスクを34%有意に低下させ(HR 0.66、95% CI 0.54-0.81、p<0.0001)、主要評価項目である画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)を達成しました。
英国マンチェスターにあるChristie/Salford Royal Hospitalsおよびマンチェスター大学の泌尿器外科医および泌尿器腫瘍学教授であり、PROpel試験の上級治験担当医師であるNoel Clarke医師は次のように述べています。「昨年ASCO GUで発表された画像診断に基づく無増悪生存期間の主要解析の結果から、本日発表された全生存期間の最新データまで、データは試験の試験対象集団全体およびすべてのサブグループで、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんに対してリムパーザとアビラテロンおよびprednisoneの併用療法の治療ポテンシャルを裏付けるものです。PROpel試験の結果は、転移性去勢抵抗性前立腺がんにおいて有望かつ臨床的ニーズのある新たな治療選択肢としてこの併用療法を支持するものであり、患者さんと同様にがん領域に携わる方々にとっても重要なものです」。
アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&Dの責任者であるSusan Galbraithは次のように述べています。「前立腺がんにおけるDNA修復には、リムパーザの標的であるPARPとアンドロゲン受容体の両方が重要です。PROpel試験の全体集団から得られた結果は、リムパーザおよびアビラテロンの併用療法が、PARPによるDNA修復でアンドロゲン受容体の役割に対する依存性を利用することで、アビラテロン単剤よりも優れた抗がん活性を達成することを示しています。データ全体に基づき、この併用療法が転移性去勢抵抗性前立腺がんでお困りの幅広い患者さんに意義のあるベネフィットをもたらしたことは注目に値すべきことであり、このことは欧州連合(EU)において最近転移性去勢抵抗性前立腺がんでの承認が得られたことでも明確に示されています」。
MSD研究開発本部のシニアバイスプレジデント、グローバルクリニカルディベロップメント責任者兼チーフメディカルオフィサーであるEliav Barr氏は次のように述べています。「前立腺がんは、出生時の性別が男性であった患者さんにおいて2番目に多いがんであり、死亡率は今後20年でほぼ倍増すると推定されています。これらの患者さんは治療選択肢が限られており、病勢進行を遅らせることのできる治療薬の重要なニーズがあることを私たちはよく認識しています。アストラゼネカとの協力により、規制当局での審査を前進させ、前立腺がんの患者さんに新たな治療選択肢を提供できることを誇りに思っています」。
主要な副次評価項目である全生存期間の全サブグループの結果の要約

*HRRmの有無が不明の18名の患者さんはサブグループ解析から除外しました。NR:未到達
リムパーザとアビラテロンの併用療法における安全性および忍容性は、過去の臨床試験で観察されたものおよび個々の薬剤の既知のプロファイルと一貫していました。本最新解析の時点で、長期安全性についての新たな問題は確認されませんでした。
リムパーザとアビラテロンの併用療法群で高頻度(患者さんの20%以上)に認められた有害事象(AE)は、貧血(49.7%)、疲労(38.7%)、悪心(30.7%)、背部痛(21.6%)および下痢(20.6%)でした。リムパーザとアビラテロンの併用療法を受け、有害事象を発現した患者さんの約83%が、データカットオフ時点で投与を継続していました。
リムパーザとアビラテロンの併用療法は、化学療法が臨床上適応とならない転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の成人患者さんに対する治療薬として、2022年12月に欧州委員会より承認されており、現在、他の国々でも審査中です。
※転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)のアビラテロンとの併用療法におけるリムパーザの適応およびprednisoneは本邦未承認です。
以上
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前立腺がんについて
全世界で前立腺がんは男性では2番目に多いがんであり、2020年には140万人が前立腺がんと診断されました。また、男性で5番目にがん死亡率が高く、同じく2020年には約37万5,000人が死亡しています1-3。米国では、2022年には推定26万8,490人の患者さんが新たに前立腺がんと診断され、3万4,500人が死亡しています4,5。転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者さんの全生存期間は、臨床試験では約3年で、実臨床ではさらに短くなることが報告されています6。mCRPC患者さんの約半数は、積極的治療として一次治療しか受けられず、後治療の効果は低下します7-12。
転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
転移性前立腺がんは死亡率の高いがんです13。前立腺がんの進展は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます14。
男性ホルモンの作用を阻害するアンドロゲン除去療法を行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した場合、mCRPCと診断されます15。進行性前立腺がんの患者さんの約10~20%は5年以内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行し、そのうち84%以上の患者さんはCRPC診断時に転移を有しています15。また、CRPC診断時に転移のない患者さんであっても、そのうちの33%は2年以内に転移が確認されます15。
タキサン系抗がん剤と新規ホルモン製剤(NHA)による治療により、この10年間でmCRPC治療は進歩していますが、この集団におけるアンメットニーズは高いと考えられます15-18。
PROpel試験について
PROpel試験は、化学療法またはNHAによる治療歴のないmCRPC患者さんを対象に、アビラテロンおよびPrednisone/プレドニゾロンに加えてリムパーザを投与した場合の有効性、安全性、忍容性をプラセボおよびアビラテロンとの併用と比較検討する無作為化二重盲検多施設共同第Ⅲ相試験です。
主要評価項目はrPFSであり、副次評価項目には全生存期間(OS)、2回目の病勢進行または死亡までの期間(PFS2)および初回の後治療までの期間(TFST)が含まれます。
第Ⅲ相PROpel試験では、リムパーザはアンドロゲン受容体(AR)経路を標的とするNHAであるアビラテロンと併用されました。ARシグナル伝達は、前立腺がんにおける腫瘍細胞の増殖と生き残りに重要な転写プログラムに関与しています19,20。さらに、ARは、HRRによって正常に修復されない損傷を含め、前立腺がん細胞におけるDNA損傷の修復にも役割を果たしています。非臨床モデルから、HRR欠損を有する前立腺がんおよびHRR欠損のない前立腺がんの両方に対する併用投与による有効性の増大の原因として考えられる多くの潜在的機序が示唆されています21-25。最近のデータから、DNA損傷の存在下でPARPはAR-DNA結合を促進し(AZ社内データ)、HRRm陰性の前立腺がんモデルにおいて、オラパリブによるPARP阻害と新規ホルモン製剤(NHA)によるAR活性抑制の組合わせで、DNA損傷および抗腫瘍活性が増強するエビデンスが示されています21, 23。
さらなる情報については、ClinicalTrials.gov.をご覧ください。
リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異など、あるいは他の薬剤(NHAなど)により誘発される相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。
リムパーザによるPARPの抑制は、DNA一本鎖切断、複製フォーク停止に結合したPARPの捕捉、それらの崩壊およびDNA二本鎖切断の生成およびがん細胞死をもたらします。
リムパーザは現在、様々ながん種を対象に多くの国で承認されており、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法を含め、BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)および相同組換え修復欠損(HRD)を有する進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として、単独療法およびベバシズマブとの併用療法がそれぞれ用いられています。さらに、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性転移性乳がん(EUおよび日本では局所進行乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がん(日本ではすべてのBRCAm、HER2陰性高リスク早期乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAm転移性膵がん、およびHRR関連遺伝子変異陽性mCRPC(EUおよび日本ではBRCAmのみ)に対しても承認されています。中国においては、リムパーザはBRCA遺伝子変異陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬、ならびにBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんにおける初回治療後の維持療法として承認されています。
アストラゼネカとMSDにより共同で開発、商業化が行われているリムパーザは、全世界で75,000人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザはPARP阻害剤として最も広範な臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは、さまざまながん種にわたり、リムパーザが単剤療法および他の薬剤との併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するために協業しています。リムパーザは、がん細胞におけるDDRメカニズムを標的としたアストラゼネカの業界トップクラスの新薬候補ポートフォリオの基盤となる薬剤です。
アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社と米国メルク・アンド・カンパニー社(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害薬であるコセルゴ(セルメチニブ)について、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。
両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
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