アストラゼネカ、CinCor Pharma社の買収に関する最終契約を締結、心腎疾患領域のパイプライン強化へ

本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が2023年1月9日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

買収により、降圧薬として開発中の新規アルドステロン合成酵素阻害薬baxdrostatのグローバル規模のアクセス権を獲得

AstraZeneca PLC(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、CinCor Pharma社(以下、CinCor社)の買収に関する最終契約を締結しました。CinCor社は、治療抵抗性およびコントロール不良の高血圧と、慢性腎臓病の新規治療薬の開発に注力している米国に拠点を置く臨床バイオ・医薬品企業です。

買収により、CinCor社が治療抵抗性高血圧に対する降圧剤候補として開発中のアルドステロン合成酵素阻害薬であるbaxdrostat(CIN-107)が追加され、アストラゼネカの心腎パイプラインが強化されます。

Baxdrostatは、アルドステロン合成酵素に選択性が高く、ヒトにおいてコルチゾール経路を阻害しないため、次世代の主要なアルドステロン合成酵素阻害薬となる可能性があります1。Baxdrostatがアストラゼネカのパイプラインに加わることで、フォシーガとの併用療法の可能性がもたらされ、アンメットメディカルニーズの高い様々な心腎疾患において新たなベネフィットを提供するというアストラゼネカの戦略も補完されます。

アストラゼネカのバイオファーマ研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは、次のように述べています。「CinCor社の買収は、心腎疾患に対する当社のコミットメントに基づいており、baxdrostatが追加されることで当社のパイプラインはさらに強化されます。過剰なレベルのアルドステロンは高血圧および慢性腎臓病や冠動脈疾患など、いくつかの心腎疾患と関連しており、アルドステロンのレベルを効果的に減少させられる治療薬は、これらの疾患に苦しむ患者さんに切望されている治療選択肢となります」。

CinCor社のCEOであるMarc de Garidelは、次のように述べています。「我々は、アストラゼネカ社によるCirCor社の買収提案に期待しています。買収が承認されれば、baxdrostatの開発スケジュールが加速され、baxdrostatが承認された場合に心腎疾患の患者さんにもたらされるベネフィットの幅が広がると考えています。CinCor社は、買収手続きの完了後、開発責任がアストラゼネカ社へ円滑に移行するよう尽力します。Baxdrostatの開発および心腎疾患の新規治療薬としての評価にこれまでに関わってくださった、そして今後も関わり続けてくださるすべての人々に感謝申し上げます」。

財務上の留意事項
本契約の条件に基づき、アストラゼネカはCinCor社の全発行済み株式を取引終了時に1株あたり現金26ドルの価格で取得する公開買付けを開始し、さらに、特定の規制当局にbaxdrostatを申請した場合に、1株当たり現金10ドルが支払われる取引不可能な不確定価額受領権を伴います。本契約の対価の現金前払い部分は約13億ドルの取引価値となり、CinCor社の2023年1月6日の終値に対する121%のプレミアムとなります。前払い及び不確定価額の支払が達成された場合を合わせると、取引価額は最大で約18億ドルとなり、CinCor社の2023年1月6日の終値に対する206%のプレミアムとなります。本買収取引の一環として、アストラゼネカはCinCor社の貸借対照表に記載されている現金および市場性のある有価証券を取得する予定であり、これは2022年9月30日時点で合計約5億2,200万ドルとなります。

以上

*****

Baxdrostat(CIN-107)について
Baxdrostatは、治療抵抗性高血圧や原発アルドステロン症、慢性腎疾患などのアンメットメディカルニーズの非常に高い患者さんを対象とした、副腎でアルドステロンの合成を行うアルドステロン合成酵素に対する選択性の高い、開発中の低分子経口阻害薬です。Baxdrostatは、CYP11B2遺伝子によってコードされるアルドステロン合成酵素を選択的に標的とする一方、コルチゾール合成に関わる、CYP11B1遺伝子によってコードされる11ß-ヒドロキシラーゼの阻害活性に対しては低い親和性を示します。臨床試験では、baxdrostatは、様々な用量において、コルチゾール値に影響を及ぼすことなく、アルドステロン値を統計学的有意差をもって低下させました1
Baxdrostatは、重点領域である治療抵抗性高血圧の患者さんを対象とした第Ⅱ相BrigHTN試験で、12週間の投与期間後に統計学的に有意な収縮期血圧(SBP)の低下を示し、主要評価項目を達成しました1,2。一方、コントロール不良高血圧患者さんを対象とした第Ⅱ相HALO試験では、主要評価項目である8週間の投与後の統計学的に有意なSBPの低下は達成されませんでした3,4。両試験で、baxdrostatは良好な忍容性を示しました。このほかに、原発性アルドステロン症(Spark-PA)5および慢性腎臓病(CKD)6をともなう高血圧患者さんを対象として、2つの第Ⅱ相試験を実施中です。Baxdrostatの第Ⅲ相試験は、治療抵抗性高血圧の患者さんを対象として2023年前半に開始する予定です。
CinCor社は、baxdrostatの世界的な独占ライセンスを有しており、アストラゼネカによる買収後も本ライセンスは維持されます。

フォシーガについて
フォシーガ(ダパグリフロジン)は、1日1回経口投与によって使用するファーストインクラスのSGLT2阻害剤です。心臓、腎臓および膵臓の基本的な関連性を背景として、フォシーガでは、研究により、心腎疾患に対する予防と抑制効果、臓器保護効果が示されています。7-9。これらの臓器の一つでも損傷を受けると、他の臓器が機能しなくなり、2型糖尿病、心不全、慢性腎臓病(CKD)といった、全世界の主要な死因となる病気を引き起こす可能性があります10-13。

株式公開買付けの詳細
株式公開買付けの完了には、買付けを行った株式がCinCor社の全発行済株式の過半数以上であること、慣習的な規制当局の認可を受けることなど、特定の条件が付される予定です。株式公開買付けの完了後、アストラゼネカの買収した子会社はCinCor社に合併され、CinCor社の普通株式の残りの株式は消却し、株式公開買付けで1株あたりに支払われる額と同様の合併対価(不確定価額受領権を含む)を受ける権利に転換されます。本合併契約の条件を満たす必要があり、買収は2023年第1四半期に完了すると予想されます。

株式公開買付けに関する重要な情報
本発表に記載されている株式公開買付けはまだ開始されていません。本発表は情報の提供のみを目的としており、CinCor社の普通株式やその他の有価証券の買付提案や売却の勧誘ではなく、ここに記載される株式公開買付けの代用資料でもありません。予定されている株式公開買付けが開始された時点で、AstraZeneca PLC(アストラゼネカ)、AstraZeneca Finance and Holdings Inc.およびアストラゼネカの完全孫会社であるCinnamon Acquisition, Inc.が、米国証券取引委員会(SEC)にSchedule TOにおける公開買付説明書(買付提案[offer to purchase]、送付状[letter of transmittal]および関連文書を含む)を提出し、CinCor社がSchedule 14D-9における勧誘/推奨説明書をSECに提出します。

投資家および証券所有者には、本公開買付けに関する資料(買付提案、関連する送付状およびその他の所定の株式公開買付文書など)および公開買付けに関するSchedule 14D-9における勧誘/推奨説明書の両方の文書を精読することが求められます。これらの文書は、投資家や証券保有者が株式公開買付けへの対応に関する決定を行う前に考慮すべき重要な情報が含まれており、公開後に随時修正される可能性があるためです。

投資家および証券所有者は、SECが維持管理するウェブサイト(www.sec.gov)または公開買付説明書にて指定される本公開買付の情報エージェントに直接要請することで、買付提案(Offer to Purchase)、関連する送付状(Letter of Transmittal)、その他の所定の株式公開買付文書および勧誘/推奨説明書(入手可能な場合)ならびにSECに提出したその他の文書の写しを無料で入手することができます。さらに、CinCor社は、年次報告書、四半期報告書、最新報告書およびその他の情報をSECに提出し、アストラゼネカは年次報告書およびその他の情報をSECに提出しますが、これの文書はSECのウェブサイト(www.sec.gov)の商業書類―検索サービスから一般に公開されています。アストラゼネカがSECに提出した文書の写しは、アストラゼネカのインターネット・ウェブサイトの投資家向け情報(investor relations)(www.astrazeneca.com/investors)にて無料で取得することができます。CinCor社がSECに提出した文書の写しは、CinCor社のインターネット・ウェブサイト(www.cincor.com)の「投資家向け情報(Investors)」にて無料で取得することができます。

将来に関する記述
本発表は過去の事実に関する記述ではなく、アストラゼネカのCinCor社に対する買収提案に関する記載のように「将来に関する記述」が含まれている可能性があります。このような将来に関する記述には、本合併契約において意図する取引を成就させ、規定されているその他の条件を満たし、取引の完了について想定されるスケジュールについての記載に関する条件を満たすアストラゼネカおよびCinCor社の能力などを含む、両社の買収契約において意図される取引を完了させる能力や、アストラゼネカによるCinCor社の買収提案において達成しようとする利益に関するアストラゼネカおよびCinCor社の考え、期待およびステートメント、アストラゼネカおよびCinCor社の両社が買収により何らかの影響を受ける可能性、買収契約の終了の可能性、およびbaxdrostatや併用して使用される薬剤で予想されるベネフィットや成功などが挙げられますが、これに限定されません。これらの記述はアストラゼネカおよびCinCor社の経営陣の現在の考えおよび予想に基づくものであり、大きなリスクと不確定要素が存在します。提案された買収取引の完了に関する条件が想定されるスケジュールを満たしたり、またはbaxdostatやその他の併用薬が規制当局からの必要な承認が得られたり、承認後、商業的に成功を収める保証はありません。基本的な前提が不正確であることが証明された、またはリスクや不確定要素が具現化した場合、実際の結果は将来に関する記述で規定された内容と大きく異なる可能性があります。

リスクや不確定要素には、公開買付けおよびその後の合併のタイミングに関する不確実性、CinCor社の株主のうち、どれだけの株主が買付提案に応じるかに関する不確実性、競合するオファーや買収提案が行われるリスク、買収契約で意図される提案や合併の完了に関する様々な条件が満たされない、または放棄される可能性、規制当局から必要な承認を取得する、または許容可能な条件または想定された期間内に承認を取得する能力、買収契約で意図される取引の中断の影響および取引の発表及び中断がCinCor社の事業に及ぼす影響、買収提案または合併に関する株主代表訴訟により弁護、賠償および法的責任に関して莫大な費用が必要となるリスク、不確定価額受領権に関連するマイルストーンが達成されない可能性、業界の一般的な条件および競争、金利や通貨為替レートの変動などの一般的な経済的要因、COVID-19の影響、米国および国際的な製薬業界の規制および医療に関する法律の影響、その他の製品との競争、および規制当局による承認取得などの新薬開発に固有の困難さなど挙げられますが、これに限定されません。

アストラゼネカおよびCinCor社のいずれも、法律で義務付けられている場合を除き、新規情報の結果、将来のイベントやその他にかかわらず、将来に関する記述の更新を公表する義務を負いません。実際の結果が将来に関する記述で記載された内容と大きく異なる可能性があるその他の要因は、2021年12月期のアストラゼネカのForm 20-Fによる年次決算報告書、2021年12月期のCinCor社のForm 10-Kによる年次決算報告書およびCinCor社の2022年3月期、2022年6月期、および2022年9月期のそれぞれの3ヵ月のForm 10-Qによる四半期決算報告書で確認することができます。それぞれについて、SECへのその後の提出書類で修正が行われました。アストラゼネカおよびCinCor社がSECに提出したこれらの文書及びその他の文書は、SECのウェブサイトで閲覧可能です(www.sec.gov)。

アストラゼネカの循環器・腎・代謝(CVRM)領域について
バイオファーマの一部である循環器・腎・代謝(CVRM)は、アストラゼネカの主要治療領域の一つであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、世界の何百万人もの患者さんの心血管系の健康と、治療を改善する革新的なサイエンスを継続的に提供し、CVRM疾患の自然経過の緩和もしくは抑制、将来的には臓器の再生と機能の維持の実現を目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Freeman MW, et al. (2022) Phase 2 Trial of Baxdrostat for Treatment-Resistant Hypertension. NEJM, DOI: 10.1056/NEJMoa2213169.
2. A Study of CIN-107 in Adults With Treatment-Resistant Hypertension (rHTN) (BrigHTN). Available from:
https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04519658?term=cin-107&draw=2&rank=2 [Last accessed 28 Dec 2022]
3. CinCor Pharma Announces Topline Data for Phase 2 HALO Trial Evaluating Selective Aldosterone Synthase Inhibitor Baxdrostat in Uncontrolled Hypertension. Available from:
https://www.cincor.com/news-releases/news-release-details/cincor-pharma-announces-topline-data-phase-2-halo-trial [Last accessed 30 Dec 2022].
4. A Study of CIN-107 in Patients With Uncontrolled Hypertension Receiving 1 Antihypertensive Agent (HALO). Available from:
https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05137002?term=cin-107&draw=2&rank=1 [Last accessed 28 Dec 2022]
5. A Study of CIN-107 in Adults With Primary Aldosteronism (spark-PA). Available from:
https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04605549?term=cin-107&draw=2&rank=3 [Last accessed 28 Dec 2021]
6. A Study to Evaluate CIN-107 for the Treatment of Patients With Uncontrolled Hypertension and Chronic Kidney Disease. Available from:
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05432167?term=CIN-107&draw=2&rank=4 [Last accessed 28 Dec 2022].
7. McMurray JJV, et al. (2019) Dapagliflozin in patients with heart failure and reduced ejection fraction. NEJM, 381(21):1995–2008.
8. Heerspink HJL, et al. (2020) Dapagliflozin in patients with chronic kidney disease. NEJM, 383(15):1436–46.
9. Wiviott SD, et al. (2019) Dapagliflozin and cardiovascular outcomes in type-2 diabetes [article and supplementary appendix]. NEJM, 380(4):347–57.
10. Mayo Clinic [Internet]. Heart failure [cited 2022 Nov 23]. Available from:
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/heart-failure/symptoms-causes/syc-20373142.
11. Vos T, et al. (2017) Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 328 diseases and injuries for 195 countries, 1990–2016: A systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. Lancet, 390(10100):1211–59.
12. Centers for Disease Control and Prevention (CDC) [Internet]. A snapshot: Diabetes in the United States. Available from: https://www.cdc.gov/diabetes/library/socialmedia/infographics/diabetes.html [Last accessed 28 Dec 2022].
13. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases (NIDDK) [Internet]. Heart disease & kidney disease. Available from:
https://www.niddk.nih.gov/health-information/kidney-disease/heart-disease [Last accessed 28 Dec 2022].

tags

  • 循環器・腎・代謝