アストラゼネカのカピバセルチブとフェソロデックスの併用療法、HR陽性の進行乳がんにおいて、フェソデロックスと比較して疾患増悪または死亡のリスクを40%低下

本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年12月8日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

SABCS 2022で発表された第Ⅲ相臨床試験(CAPItello-291試験)において
AKT阻害薬カピバセルチブが画期的新薬となる可能性を示す

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬併用の有無を問わず、内分泌療法中もしくは治療後に再発または増悪したホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)低発現または陰性の局所進行性または転移性乳がん患者さんを対象とした、第Ⅲ相臨床試験(CAPItello-291)の詳細な結果により、アストラゼネカのカピバセルチブ+フェソロデックスの併用療法が、プラゼボ+フェソロデックスと比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間(PFS)の延長が示された、と発表しました1。本試験の結果は、2022年サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)において発表されました。

本試験の結果によって、カピバセルチブ+フェソロデックスの併用療法は、プラセボ+フェソロデックス投与と比較して、全試験集団における疾患増悪または死亡のリスクを40%低下させることが示されました(ハザード比:0.60、95%信頼区間:0.51 – 0.71、p=<0.001、中央値7.2ヵ月 vs 3.6ヵ月に基づく)1。AKT経路のバイオマーカーに変異が認められる集団では、カピバセルチブ+フェソロデックスの併用療法は、プラセボ+フェソロデックスと比較して、疾患増悪または死亡のリスクを50%低下させました(ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.38 – 0.65、p=<0.001、中央値7.3ヵ月 vs 3.1ヵ月)1。AKT経路(PI3K/AKT/PTEN)の遺伝子変異は乳がんにおいて高頻度に発生し、HR陽性の進行乳がん患者さんの最大50%が変異を有しています2-4

ロンドンがん研究所およびRoyal Marsden NHS Foundation Trust(英国、ロンドン)の分子腫瘍学教授で、第Ⅲ相臨床試験(CAPItello-291)の治験責任医師であるNicholas Turner氏は次のように述べています。「今回発表されたデータは、カピバセルチブがHR陽性の進行乳がん患者さんに対する新たな選択肢として、治療を変える可能性があることを示しています。重要なことは、ファーストインクラスの可能性を持つこの治療法が、内分泌療法やCDK4/6阻害薬による耐性または治療後にがんが進行した患者さんの増悪を遅延させることが示された点にあります」。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジテント兼オンコロジーR&Dの責任者であるSusan Galbraithは次のように述べています。「カピバセルチブは、HR陽性、HER2低値または陰性の進行乳がん患者さんを対象とした第Ⅲ相試験において有効性が示されたAKT阻害薬としては初の治療薬として、治療選択肢が限られている領域に重要な進展をもたらすでしょう。我々は、全患者集団とバイオマーカー陽性集団においてベネフィットを示した今回の結果が、HR陽性乳がんの治療を変えるとともに、カピバセルチブがこれらの患者さんにとって新たな選択肢となり得ると信じています」。

結果概要:CAPItello-291試験1

結果概要:CAPItello-291試験

HR=ハザード比、CI=信頼区間、PFS=無増悪生存期間、ORR=客観的奏効率

確定した客観的奏効率(ORR)は、全体集団でカピバセルチブ+フェソロデックス群22.9% vs プラセボ+フェソロデックス群12.2%、バイオマーカー変異のある集団で28.8% vs 9.7%でした1。解析時点での全生存期間(OS)データは追跡がまだ不十分でしたが、早期データとして有望なものでした1。引き続き重要な副次評価項目としてOSを評価していきます。

カピパセルチブとフェソロデックスの併用療法の安全性プロファイルは、この併用療法を評価したこれまでの試験と同様でした1。カピバセルチブとフェソロデックスの併用療法により、全試験集団で重症度を問わず20%を超える最も高い頻度で認められた有害事象(AE)は、下痢(72.4%)、悪心(34.6%)、発疹(発疹、斑状皮疹、斑状丘疹皮疹、そう痒性皮疹を含むグループ用語、38%)、疲労(20.8%)、嘔吐(20.6%)でした1。5%を超える患者さんで発生した最も高頻度のグレード3以上のAEは下痢(9.3%)と発疹(12.1%)でした1

※フェソロデックスのHR陽性進行乳がんに対するカピバセルチブとの併用療法およびカピバセルチブは本邦未承認です。

以上

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ホルモン受容体(HR)陽性乳がんについて
乳がんは世界中で最も多く診断されているがんであり、がん関連死の主要な原因のひとつです5。2020年には、世界中で200万人以上が乳がんの診断を受け、68万5千人近くが死亡しました5

HR陽性乳がん(エストロゲン受容体またはプロゲステロン受容体を発現、またはその両方を発現)は、最も一般的な乳がんのサブタイプであり、乳がんの腫瘍の約70%がHR陽性かつHER2低発現または陰性とされています6

HR陽性乳がん細胞の増殖は、多くの場合、エストロゲン受容体(ER)によって促進され7、ホルモン療法に感受性を有する乳がん(ER-driven disease)を標的とする内分泌療法は、進行性乳がんに対する一次治療として広く実施されており、しばしばCDK4/6阻害薬と併用されます8,9。しかし、CDK4/6阻害薬や既存の内分泌療法に対する耐性が多くの進行乳がん患者さんで生じます9。一旦これが生じると、治療選択肢が制限されます9。化学療法が現在の標準治療であり10、生存率は低く、診断後5年以上生存するのは患者さんの30%であると推定されています6

全ての治療段階において、ホルモン療法に感受性を有する乳がん患者さんに対しての内分泌療法の最適化と耐性の克服ならびにホルモン療法に抵抗性となった乳がん患者さんに対する新たな治療の特定は、乳がんでは盛んに研究が行われている領域です。

CAPItello-291試験について
CAPItello-291試験は、二重盲検、無作為化第Ⅲ相試験で、治験中のAKT(セリン/スレオニンキナーゼ)阻害薬であるカピバセルチブに焦点を当てた大規模な臨床プログラムの一環です。CAPItello-291試験は、局所進行性(手術不能)または転移性HR陽性、HER2低値または陰性の乳がんを対象に、カピバセルチブとフェソロデックスの併用療法の有効性をプラセボとフェソロデックスの併用療法との比較で評価しています。

本試験には、組織学的に確認されたHR陽性、HER2低値または陰性の乳がん患者さんのうち、CDK4/6阻害薬併用の有無にかかわらずアロマターゼ阻害薬による治療中または治療後に再発または進行した患者さん、進行がんに関しては化学療法1ラインまでの患者さん計708人が登録されました。試験には、全患者集団におけるPFS、およびPIK3CAAKT1またはPTEN遺伝子変異が認められる腫瘍を有する患者集団におけるPFSの2つの主要評価項目が設定されています。本試験では、腫瘍の約40%にこれらの遺伝子変異が認められました。

カピバセルチブについて
カピバセルチブは、現在第Ⅲ相試験段階にある乳がんの複数のサブタイプおよび前立腺がん、第Ⅱ相試験段階にある血液悪性腫瘍を対象とした治療薬です。カピバセルチブは、3つのAKTアイソフォーム(AKT1/2/3)の強力な選択的アデノシン三リン酸(ATP)競合阻害薬であり、AKT経路(PI3K/AKT/PTEN)に変異を有する腫瘍、および生存をこのシグナル伝達系に依存している腫瘍において、既存の治療法との単剤および併用療法で評価されています。カピバセルチブは、400mgを1日2回、4日間の投与と3日間の休薬からなる間欠投与スケジュールに従って投与されます。この投与スケジュールは、忍容性および標的阻害の程度に基づいて、初期の試験段階で採用されました。

臨床プログラムでは、確立された治療レジメンに基づいて、単剤および併用療法でのカピバセルチブの安全性および有効性を検討しています。

カピバセルチブは、Astex Therapeutics社との共同研究(およびInstitute of Cancer Research and Cancer Research Technology Limited社との共同研究)を経て、アストラゼネカにより創製されました。

アストラゼネカにおける乳がん領域について
アストラゼネカは、乳がんの生物学的な理解を深めることにより、より効果的な治療を患者さんに提供するべく、乳がんの分類や治療に対する現在の臨床的パラダイムへの挑戦、再定義を始めており、乳がんによる死亡をなくすことを目標に掲げています。

アストラゼネカは、生物学的に多様な乳がんの腫瘍環境に対応するべく、異なる作用機序の承認済みおよび開発中の有望な化合物からなる包括的なポートフォリオを有しています。

アストラゼネカは、ファーストインクラスのAKTキナーゼ阻害剤、カピバセルチブのみならず、フェソロデックス(フルベストラント)およびゾラデックス(ゴセレリン)、ならびに次世代の経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)および新薬候補のcamizestrantによって、HR陽性乳がんの転帰を継続的に変革することを目指しています。また、第一三共と共同で抗TROP2抗体薬物複合体であるdatopotamab deruxtecanの可能性を探索しています。

PARP阻害剤リムパーザ(一般名:オラパリブ)は、BRCA遺伝子変異を有する早期および転移性乳がん患者さんに対する標的治療薬です。アストラゼネカとMSD(北米およびカナダではMerck & Co., Inc.)は、これらの乳がんにおけるリムパーザの研究と早期乳がんにおける可能性の探索を継続しています。

悪性度の高い乳がんであるトリプルネガティブ乳がん患者さんに必要な治療選択肢を提供するために、アストラゼネカはdatopotamab deruxtecan単独または免疫治療薬のイミフィンジ(デュルバルマブ[遺伝子組換え])との併用療法、カピバセルチブと化学療法の併用療法、イミフィンジとリムパーザやエンハーツを含む他のがん治療薬との併用試験を行います。

※camizestrant、datopotamab deruxtecanおよび乳がんに対するイミフィンジおよびリムパーザを含む他のがん治療薬との併用は本邦未承認です。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Turner, et al. Capivasertib and fulvestrant for patients with aromatase inhibitor-resistant hormone receptor-positive/human epidermal growth factor receptor 2-negative advanced breast cancer: results from the Phase III CAPItello-291 trial. Presented at: San Antonio Breast Cancer Symposium, 6-10 December 2022, San Antonio, Texas, USA.
2. Howell S J, et al. Fulvestrant plus capivasertib versus placebo after relapse or progression on an aromatase inhibitor in metastatic, oestrogen receptor-positive, HER2-negative breast cancer (FAKTION). J Clin Oncol. 2022; 23:851-64.
3. Hortobagyi G N, et al. Correlative Analysis of Genetic Alterations and Everolimus Benefit in Hormone Receptor-Positive, Human Epidermal Growth Factor Receptor 2-Negative Advanced Breast Cancer: Results From BOLERO-2. J Clin Oncol. 2016; 34:419-26.
4. Millis S Z, et al. Landscape of phosphatidylinositol-3-kinase pathway alterations across 19784 diverse solid tumors. JAMA Oncol. 2016;2(12):1565-73.
5. Sung H, et al. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN Estimates of Incidence and Mortality Worldwide for 36 Cancers in 185 Countries. CA Cancer J Clin. 2021; 10.3322/caac.21660.
6. National Cancer Institute. Surveillance, Epidemiology and End Results Program.
https://seer.cancer.gov/statfacts/html/breast-subtypes.html. Accessed December 2022.
7. Scabia V, et al. Estrogen receptor positive breast cancers have patient specific hormone sensitivities and rely on progesterone receptor. Nat Commun. 2022; 10.1038/s41467-022-30898-0.
8. Lin M, et al. Comparative Overall Survival of CDK4/6 Inhibitors Plus Endocrine Therapy vs. Endocrine Therapy Alone for Hormone receptor-positive, HER2-negative metastatic breast cancer. J Cancer. 2020; 10.7150/jca.48944.
9. Lloyd M R, et al. Mechanisms of Resistance to CDK4/6 Blockade in Advanced Hormone Receptor-positive, HER2-negative Breast Cancer and Emerging Therapeutic Opportunities. Clin Cancer Res. 2022;28(5):821-30.
10. National Comprehensive Cancer Network. Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines). Available at: https://www.nccn.org/guidelines/guidelines-detail?category=1&id=1419. Accessed December 2022.

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