Beyfortus(ニルセビマブ)、乳児のRSウイルスによる下気道疾患の予防薬としてEUで承認を取得

広範な新生児および乳児に対して承認された
初めてにして唯一の単回投与RSウイルス感染症予防薬

欧州委員会は世界で初めてBeyfortusを承認
9月の欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)からの肯定的見解に基づく決定

アストラゼネカとサノフィにより開発中のBeyfortus(一般名:ニルセビマブ)が、欧州連合(EU)内において、初回のRSウイルス感染症流行シーズン中の、RSウイルスによる下気道疾患の新生児および乳児の予防薬として承認されました1。Beyfortusは、健康な正期産児や早産児、特定の疾患を有する広範な乳児に対する初めての単回投与のRSウイルス受動免疫療法です。

RSウイルスは、ほとんど全ての乳幼児が2歳までに感染し、季節的流行の原因となる感染力の高い一般的な伝染性病原体です2,3

欧州委員会は、規制当局として最初にBeyfortusを承認しました1。今回の承認は、第Ⅲ相MELODY試験、第Ⅱ/Ⅲ相MEDLEY試験および第Ⅱb相試験など1,4-11、Beyfortusの臨床開発プログラムで得られた結果に基づくものであり、欧州医薬品庁の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が2022年9月に発出した勧告に従ったものです12

有効性を評価した主要試験であるMELODY試験は主要評価項目を達成し、Beyfortusは、単回投与後151日間(通常のRSウイルス感染症流行シーズン)、受診を要したRSウイルスによる下気道感染症(LRTI)の発現率をプラセボと比較して、74.5%低減しました(95% CI:49.6, 87.1;p<0.001)1,4-9。Beyfortusはまた、第Ⅱ/Ⅲ相MEDLEY試験においてシナジス(一般名:パリビズマブ)と同等の安全性および忍容性プロファイルを示し、試験治療下で発現した有害事象(TEAE)または試験治療下で発現した重篤な有害事象(TESAE)の発現率は、両剤の投与群で同程度でした1,10-13

European Foundation for the Care of Newborn Infants(EFCNI)の理事長および共同創設者であるSilke Mader氏は、次のように述べています。「RSウイルスは乳幼児の健康を脅かすものであり、毎年、我々はこのウイルスが家族、医療従事者および医療制度に及ぼす可能性のある影響を確認しています。EFCNIでは、RSウイルスがもたらす現在の感情的、身体的、および経済的負担を軽減するうえで、Beyfortusが有効であると考えられるため、予防の取り組みをすべての乳児に拡大できる機会が得られたことに興奮しています」。

アストラゼネカのワクチンおよび免疫療法担当エグゼクティブバイスプレジデントであるIskra Reicは次のように述べています。「Beyfortusは、欧州で承認を取得したRSウイルス感染症に対する初めての単回投与の予防薬であり、また広範な乳児を対象に承認された初めてにして唯一の予防薬でもあります。今回のBeyfortusの販売承認は、科学界にとって重要な成果であり、世界で根強く存在し続けている、RSウイルス感染症予防におけるアンメットニーズに対応するものです」。

サノフィのワクチン担当エグゼクティブバイスプレジデントであるThomas Triompheは次のように述べています。「今日という日は、数十年に及ぶ研究開発の努力が結実し、広範な乳児を対象としたRSウイルス感染症の予防薬に対する世界初の承認という形になったことで、RSウイルス感染症予防の歴史的な1日となりました。販売が開始されれば、Beyfortusによって、親たちはRSウイルス流行シーズンを初めて経験する赤ちゃんをRSウイルスから守ることができます」。

RSウイルスは、乳幼児に細気管支炎および肺炎を含むLRTIを引き起こす、もっとも一般的な原因となる病原体です14。乳幼児が入院する主な原因にもなっています15-18。世界的にみると、2019年には約3,300万例が急性下気道感染症を発症し、300万例以上が入院に至りました。また、5歳未満の小児の院内死亡は26,300例と推定されます19。2017年、RSウイルス関連の直接医療費(入院費、外来診察費およびフォローアップケアなど)は世界で48億2,000万ユーロであったと推定されています21

※Beyfortusは本邦未承認です。

以上

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ニルセビマブについて
アストラゼネカ独自の半減期延長(YTE)技術を利用し、出生後RSウイルス感染症流行シーズンを初めて迎えるすべての乳幼児に対し、ウイルス感染の予防を目的としてアストラゼネカとサノフィにて開発中の長時間作用型抗体です。

Beyfortusは、全ての乳幼児に抗体を直接投与し、RSウイルスによるLRTIを予防する目的で開発された予防薬です。モノクローナル抗体が作用するために免疫系を活性化する必要がないために、疾患に対して迅速で直接的な予防効果が期待されています20

Beyfortusは、RSウイルス感染症流行シーズンを初めて迎えた新生児および乳児を対象としたRSウイルスによるLRTIの予防薬として、欧州連合で販売承認を取得しています。Beyfortusの推奨用量は、体重5kg未満の乳幼児では50mg、体重5kg以上の乳幼児では100mgの単回の筋肉内注射製剤です12

Beyfortusは、世界中のいくつかの主要な規制当局により、迅速に開発を行うための指定を受けています。これには、中国国家薬品監督管理局(NMPA)の医薬品審査センター(CDE)の画期的治療薬指定(BTD)、米国食品医薬品局のBTD、欧州医薬品庁(EMA)のPRIority MEdicines(PRIME)指定が含まれます。日本においては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が「小児領域における新薬開発促進のための医薬品選定等に関する研究」において、Beyfortusを「優先的に開発すべき医薬品」としています。Beyfortusの安全性および有効性は、EMAによる優先審査の手順で評価されました。

主要な臨床試験
第Ⅱb相試験は、投与後150日間の診療を要したLRTIに対するBeyfortusの有効性を評価するためにデザインされた無作為化プラセボ対照試験です。在胎期間29~35週の健康な早産児を、Beyfortusの筋肉内注射による50mg単回与投与群またはプラセボ投与群に2:1の割合で無作為に割り付けました1,4,5

推奨投与レジメンは、第Ⅱb相試験データを検討した結果に基づいて決定されました。その後の第Ⅲ相MELODY試験では、この推奨投与レジメンが適用されました1,3,6

第Ⅲ相MELODY試験は、RSウイルス感染症流行シーズンを初めて迎えた健康な後期早産児および正期産児(在胎35週以上)を対象とし、投与後150日間、プラセボとの比較で、PCR検査により確認された、受診を要したRSウイルスによるLRTIに対するBeyfortusの有効性を評価するためにデザインされ、21カ国で実施された無作為化プラセボ対照試験です1-3

第Ⅱ/Ⅲ相MEDLEY試験は、無作為化二重盲検シナジス対照試験で、シナジスの投与対象となる早産児、先天性心疾患または慢性肺疾患を有する乳幼児を対象に、Beyfortusの安全性、忍容性を評価することを主な目的としています1,8,9。2019年7月から2021年5月までの間、初めてRSウイルス感染症流行シーズンを経験する918例の乳児を、Beyfortusの筋肉内注射による50mg単回投与群(体重5kg未満の乳児)もしくは100mg単回投与群(体重5kg以上の乳児)、またはシナジス投与群に無作為に割り付けました。安全性は、投与後360日まで有害事象(TEAE)および重篤な有害事象(TESAE)の発生をモニタリングすることによって評価しました1,8,9。この試験における投与後(151日目)のBeyfortusの血中濃度は、第Ⅲ相MELODY試験で観察された値と同様であり、この集団における予防効果が健康な正期産児および後期早産児と同様である可能性が高いことを示しています。データは、2022年3月、The New England Journal of Medicine(NEJM)誌に掲載されました。

MELODY試験、第Ⅱ/Ⅲ相MEDLEY試験および第IIb相試験の結果から、Beyfortusの単回投与は、初めてRSウイルス感染症流行シーズンを経験する乳児のRSウイルス感染症予防に有効であることが示されています1-9。この広範な乳幼児集団には、早産児、健康な後期早産児および正期産児のほか、特定の疾患を有する乳児が含まれます。

これらの試験の結果をもとに、EMAへの申請を2022年に開始しました。

第Ⅱb相試験の結果
第Ⅱb相試験では主要評価項目を達成し、受診を要したRSウイルスによるLRTIの発現率が、プラセボと比較して70.1%低下しました(95% CI:52.3, 81.2)。2016年11月から2017年12月までの期間に、1,453例の乳児がRSウイルス感染症流行シーズンの当初にBeyfortus群またはプラセボ群に無作為に割り付けられました(Beyfortus群:n=969、プラセボ群: n=484)。試験は、北半球と南半球の23ヵ国における164の医療機関でアストラゼネカが実施しました1,4,5。データは、2020年7月、NEJM誌に掲載されました。

投与150日後までの受診を要したLRTI、およびRSウイルスによるLRTIでの入院(ITT集団)

投与150日後までの受診を要したLRTI、およびRSウイルスによるLRTIでの入院(ITT集団)

*イベントが認められず、投与後150日間追跡されなかった被験者については、データを補完した。解析はロバスト分散によるポアソン回帰分析を用いて実施した。CI:信頼区間、ITT:intent-to-treat、LRTI:下気道感染、RRR:相対リスク減少

第Ⅲ相MELODY試験の結果
第Ⅲ相MELODY試験では主要評価項目を達成し、受診を要したRSウイルスによる細気管支炎や肺炎などのLRTIの発現率が、プラセボと比較して74.5%低下しました(95% CI:49.6, 87.1;p<0.001)。乳児を、Beyfortusの筋肉内注射による50mg単回与投与群(体重5kg未満の乳児)もしくは100mg単回投与群(体重5kg以上の乳児)、またはプラセボ投与群に2:1の割合で無作為に割り付けました。2019年7月から2020年3月までの期間に、1,490例の乳児がRSウイルス感染症流行シーズンの当初にBeyfortus群またはプラセボ群に無作為に割り付けられました1-3。データは、2022年3月、NEJM誌に掲載されました。

投与150日後までの受診を要したLRTI、およびRSウイルスによるLRTIでの入院(ITT集団)

投与150日後までの受診を要したLRTI、およびRSウイルスによるLRTIでの入院(ITT集団)

*イベントが認められず、投与後150日間追跡されなかった参加者について、データを補完した。解析はロバスト分散によるポアソン回帰分析を用いて実施した。CI:信頼区間、ITT:intent-to-treat、LRTI:下気道感染、RRR:相対リスク減少、RSV:RSウイルス

第Ⅱb相およびMELODY試験の事前に規定された併合解析の結果
第Ⅲ相MELODY試験の事前に規定された併合解析および第IIb相試験の推奨用量では、RSウイルス感染症流行シーズンを初めて経験する早産児および正期産児において、RSウイルスに起因する、細気管支炎や肺炎などの診療を要したLRTIの発現率で、79.5%(95% CI:65.9, 87.7;p<0.0001)の有効性(プラセボと比較した相対リスク減少)が認められました1,8。体重に基づいてBeyfortusの推奨用量の投与を受けた健康な早産児および正期産児について、プラセボと比較して検討した併合解析では、投与後151日間までのRSウイルスによるLRTIでの入院で、77.3%(95% CI:50.3, 89.7;P<0.001)の有効性を示しました1,4,8

投与150日後までの受診を要したLRTI、およびRSウイルスによるLRTIでの入院(ITT集団)

投与150日後までの受診を要したLRTI、およびRSウイルスによるLRTIでの入院(ITT集団)

*イベントが認められず、投与後150日間追跡されなかった参加者について、データを補完した。解析はロバスト分散によるポアソン回帰分析を用いて実施した。CI:信頼区間、ITT:intent-to-treat、LRTI:下気道感染、RRR:相対リスク減少、RSV:RSウイルス

サノフィとの提携
2017年3月、アストラゼネカとサノフィはニルセビマブの開発および商業化に関する契約を発表しました。本契約に基づき、アストラゼネカは初回の薬事承認までのすべての開発活動を主導するとともに製造を保持し、サノフィは商業化活動を主導し、収益を計上します。この全世界を対象とする契約に基づき、サノフィは1億2,000万ユーロの契約一時金および3,000万ユーロの開発マイルストーンを支払いましたが、さらに、最大4億6,500万ドルを一定の開発および売上関連のマイルストーン達成時に支払うことになります。両社はすべてのコストと利益を折半します。本契約による収益は当社の財務諸表において提携収入として計上されます。

Sobiとの合意
関連事項として、2018年11月、アストラゼネカは、アストラゼネカが受領する可能性のあるニルセビマブの米国における損益をスウェーデンのオーファン・バイオビトラムAB(上場企業)(略称:Sobi)が共有する権利に加え、シナジスの米国における商業化権利をSobiに売却することに合意しました。本契約に基づき、アストラゼネカは、契約一時金を受領し、2019年から2021年までの期間にニルセビマブに関する無条件の支払いも受領しました。また、アストラゼネカは、ニルセビマブのFDAへの生物製剤承認申請(BLA)後の1億7,500万ドルのマイルストーン、および米国でのFDAによるBLA承認後の900万ドルのマイルストーン支払いも受け取る権利を有しています。アストラゼネカは引き続き世界中でニルセビマブの製造および供給を行う一方、米国におけるニルセビマブの利益が事前に規定された水準を超えた場合、Sobiから追加のロイヤリティを受け取る権利を有しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
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