| 本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年9月11日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。 |
第Ⅲ相POSEIDON試験の探索的解析において
イミフィンジと化学療法にトレメリムマブを定められた回数のみ投与する併用療法は
アンメットニーズの高いサブグループにおいて、全生存期間の延長傾向を示した
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、第Ⅲ相POSEIDON試験の最新結果を発表しました。本試験の約4年間の追跡結果において、アストラゼネカのイミフィンジ®(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え]、以下、イミフィンジ)と4サイクルの化学療法にトレメリムマブを定められた回数のみ追加投与した併用療法は、化学療法単独との比較でステージIVの転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんの一次治療として、全生存期間(OS)の持続的な延長を示しました。さらに、探索的事後解析では、PD-L1陰性(腫瘍細胞におけるPD-L1発現が1%未満)の患者さんと同様に、STK11、KEAP1およびKRAS変異を有するNSCLC患者さんにおいても、引き続きこの併用療法による全生存期間の延長傾向が示されました。
本試験の最新結果は、2022年9月に開催された、2022年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)(抄録 #LBA59)で発表されました。
KRAS変異はNSCLCで最もよく見られる腫瘍増殖促進因子であり、患者さんの約25%に発現します。また、STK11およびKEAP1変異を有するNSCLCは予後不良となることが多く、免疫原性の低い腫瘍(cold tumor)に分類されます。KRAS変異を有するNSCLCは免疫治療薬が奏効する場合がありますが、一方、特にSTK11またはKEAP1変異を同時に併せ持つ場合には、予後不良となることもあります1-6。
第Ⅲ相POSEIDON試験の治験責任医師で、テネシー州ナッシュビルにあるSarah Cannon Research Instituteの肺がん研究プログラムディレクターであり、Tennessee Oncology, PLLCの腫瘍内科医のMelissa Johnson氏は次のように述べています。「特に化学療法や免疫治療などの標準治療が効きにくいがん患者さんにとって、転移性非小細胞肺がんと診断されることは、非常に深刻です。今回発表された結果は、治療困難なこのような患者さんにとって、イミフィンジと化学療法の併用療法にトレメリムマブを定められた回数のみ追加投与する治療法が新たな選択肢となる可能性を支持するものです」。
アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&Dの責任者であるSusan Galbraithは次のように述べています。「約4年間の追跡結果となる今回のPOSEIDON試験の最新結果から、定められた回数のみトレメリムマブの投与をイミフィンジと化学療法の併用療法に追加する治療法が、効果的で忍容性の良好な治療法を必要としている特定の遺伝子変異を有する患者さんを含め、転移性非小細胞肺がん患者さんの転帰を改善する可能性を示唆するさらなるエビデンスが示されました。アストラゼネカは、この新たな治療選択肢を一日も早く患者さんにお届けできることを期待しております」。
本試験の最新結果では、イミフィンジと白金製剤ベースの化学療法にトレメリムマブを5サイクル追加投与した場合、化学療法単独と比較して死亡のリスクが25%減少しました(ハザード比0.75、95% 信頼区間0.63-0.88)。また、全生存期間中央値は、化学療法単独群では11.7カ月であったのに対し、併用療法群で14カ月でした。なお、3年経過時点で生存していた患者さんの推定割合は、化学療法単独群では13.6%に対し、併用療法群では25%でした。
OSの延長は、STK11、KEAP1、およびKRAS変異を有する転移性NSCLC患者さんに対し併用療法で治療した場合においてもその傾向が観察され、死亡リスクはそれぞれ38%(ハザード比0.62、95%信頼区間0.34-1.12)、57%(ハザード比0.43、95%信頼区間0.16-1.25)、および45%(ハザード比0.55、95%信頼区間0.36-0.85)低減しました。また、PD-L1発現率が1%未満の患者さんにおいても、同様に持続的な全生存期間の延長傾向が見られました。なお、これらのサブグループの探索的事後解析は、患者数が少ないため、慎重な解釈が必要となります。
これまでの第Ⅲ相POSEIDON試験結果と同様に、最新結果で示されたトレメリムマブをイミフィンジと化学療法に追加する併用治療におけるOSの延長は非扁平上皮NSCLCの組織型を有する患者さんにおいてより顕著でした。非扁平上皮NSCLCの組織型を有する患者さんでは、化学療法単独と比較して死亡リスクの32%低減(ハザード比0.68、95%信頼区間0.55-0.85)が報告され、OS中央値は化学療法単独群では13.1カ月であったのに対し、併用療法群で17.2カ月でした。なお、3年経過時点で生存していた患者さんの推定割合は、化学療法単独群では17.3%に対し、併用療法群では31.4%でした。
有効性概要i, ii

i. STK11およびKRAS変異を有するサブグループ解析は、非扁平上皮NSCLCの組織型を有する患者さんに対して行われたが、KEAP1変異を有するサブグループ解析は、患者数が少ないため、腫瘍の組織型に関係なく、変異の評価が可能な患者さんすべてに対して行われた
ii. データカットオフ日(DCO):2022年3月11日。DCO時に打ち切りとなった患者さんにおける追跡期間中央値:46.5カ月(0.0~56.5カ月)
iii. PD-L1発現(TC≧50%vs<50%)、病期(IVA vs IVB)および組織型による層別解析
iv. 非層別解析
トレメリムマブをイミフィンジと化学療法に追加した併用療法の忍容性は良好であり、約4年の追跡期間で収集した重篤な有害事象の結果において新たな安全性シグナルは確認されませんでした。治験担当医師による評価では、治療薬と関連すると判断された重篤な有害事象(グレードは問わない)の発現割合は、化学療法単独群で17.7%であったのに対し、併用療法群では27.6%でした。治療薬と関連すると判断された死亡に至った有害事象の発現割合は、化学療法単独群で2.4%であったのに対し、併用療法群では3.3%でした。
今回の最新の試験結果は、2021年9月に開催された2021年世界肺がん会議(WCLC)で発表された無増悪生存期間(PFS)およびOSの主要解析、ならびに今年8月のWCLCで発表されたSTK11、KEAP1またはKRAS変異を有する転移性NSCLC患者さんにおける探索的事後解析の結果を更新するものです。
トレメリムマブは、転移性NSCLCの一次治療においてイミフィンジと化学療法との併用療法を対象に、POSEIDON試験の結果に基づいて各国の規制当局によって審査中です。
※トレメリムマブは本邦未承認であり、イミフィンジのIV期NSCLCに対する適応は未承認です。
以上
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ステージIVの非小細胞肺がんについて
肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大別され、80-85%がNSCLCと診断されます7-9。NSCLC患者さんのうち、扁平上皮がんの患者さんが25-30%、非扁平上皮がんの患者さんがおおよそ70-75%を占めます7。ステージIVは肺がんの病状が最も進行した状態で、転移性肺がんとも呼ばれます10。また、転移性NSCLC患者の5年生存率は約5%です11。
POSEIDON試験について
POSEIDON試験は、ステージIVの(転移性)NSCLCの一次治療として1,013名の患者さんを対象に、イミフィンジとプラチナ製剤を含む化学療法との併用療法、またはイミフィンジ、トレメリムマブ、プラチナ製剤を含む化学療法の併用療法と化学療法の単独療法を比較する、無作為化、非盲検、多施設共同国際第Ⅲ相試験です。本試験には、全てのPD-L1発現レベルの非扁平上皮がんまたは扁平上皮がんの患者さんが組み入れられました。なお、EGFR遺伝子変異陽性またはALK遺伝子変異陽性の患者さんは除外されていました。
試験治療群の患者さんには、固定用量でイミフィンジ1500mgまたはイミフィンジ1500mgおよびトレメリムマブ75mgを3週間ごとに最大4サイクルの化学療法に加えて投与した後、4週間ごとのイミフィンジによる維持療法、または4週間ごとのイミフィンジに5回目のトレメリムマブ75mgを16週目に投与する維持療法を行いました。比較対照群では、6サイクルを上限に化学療法を実施しました。また、すべての治療群において、非扁平上皮がんの患者さんに対しては、化学療法としてペメトレキセドが投与されている場合は必要に応じてペメトレキセド維持療法の併用を許容していました。非扁平上皮がんの患者さんのほぼ全員(95.5%)がペメトレキセドと白金製剤の投与を受けていたのに対し、扁平上皮がんの患者さんの大半(88.3%)がゲムシタビンと白金製剤の投与を受けていました。
本試験の主要評価項目は、化学療法単独群と比較したイミフィンジと化学療法併用のPFSとOSであり、加えて重要な副次評価項目はイミフィンジ、トレメリムマブ、および化学療法との併用療法におけるPFSとOSとしています。なお、イミフィンジと化学療法の併用療法およびイミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法の併用療法の両治療群ともにPFSのエンドポイントを満たしたことから、事前に規定された統計解析計画により、イミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法の併用療法群のOSに対する有効性の検証を行いました。本試験は、米国、ヨーロッパ、南米、アジアおよび南アフリカを含む18カ国150以上の施設で実施されました。
イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ [遺伝子組換え] )はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、化学放射線療法後に進行が認められていない患者さんを対象として、切除不能な局所進行(ステージIII)の非小細胞肺がん(NSCLC)における根治目的の治療薬として唯一承認されたがん免疫治療薬であり、世界的な標準治療となっています。
イミフィンジは現在、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の治療薬として、また局所進行または転移性BTCに対する化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン)との併用療法としてなど、複数のがん種において多くの国々で承認されています。(イミフィンジの局所進行または転移性BTCにおける化学療法との併用療法に対する適応は本邦未承認)
2017年5月に初めて承認されて以来、10万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。
イミフィンジ(を軸とした)併用療法の臨床ベネフィットはその他の様々ながんでも認められており、切除不能な進行肝細胞がん(HIMALAYA試験)、転移性NSCLC(POSEIDON試験)および切除可能なNSCLC(AEGEAN試験)を対象とした第Ⅲ相試験で良好な結果が得られています。HIMALAYA試験およびPOSEIDON試験のデータは、世界中の規制当局による審査が進行中です。(イミフィンジの切除不能な進行肝細胞がん、転移性NSCLCおよび切除可能なNSCLCに対する適応は本邦未承認)
広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、SCLC、NSCLC、数種類の消化器がん、卵巣がん、子宮内膜がん、その他の固形がんの治療として、単独療法ならびに併用療法においても検討されています。
トレメリムマブについて
トレメリムマブ(遺伝子組換え)は開発中の新薬で、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強します。
POSEIDON試験以外にも、トレメリムマブは膀胱がん(VOLGAおよびNILE)、局所進行性肝細胞がん(EMERALD-3試験)およびSCLC(ADRIATIC試験)を含む複数のがん種でイミフィンジとの併用試験が実施されています。
また、トレメリムマブは、第Ⅲ相HIMALAYA試験の結果に基づき、切除不能な進行性肝がんに対するイミフィンジとの併用療法について、世界中の規制当局で審査中です。
肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。
当社の包括的なポートフォリオには、革新的な肺がん治療薬であるタグリッソ(オシメルチニブ)、イレッサ®(ゲフィチニブ)、免疫チェックポイント阻害剤であるイミフィンジ®(デュルバルマブ)およびトレメリムマブや第一三共と共同開発を進めているエンハーツおよびdatopotamab deruxtecan、HUTCHMEDと共同開発を進めているサボリニチブなど、新薬候補となる開発品および多様な作用機序を組み合わせた開発パイプラインが含まれます。
アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、肺がん患者さんの治療を含め、治療を超えた人々に意味のある改善を提供するために取り組んでいます。
アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
免疫腫瘍学(IO)はヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫応答からの回避を克服するよう設計された免疫治療薬によって支えられています。当社は、がん種を問わず、より多くのがん患者さんの長期的な生存に貢献するべく、IOに基づく治療アプローチに投資をしています。
また、イミフィンジの単剤療法およびトレメリムマブやその他新規抗体薬との併用療法に対しては、様々ながん種、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。
さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
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3. Peters S, et al. Association Between KRAS/STK11/KEAP1 Mutations and Outcomes in POSEIDON: Durvalumab ± Tremelimumab + Chemotherapy in mNSCLC. Presented at IASLC 2022 World Conference on Lung Cancer, 9-13 September 2022.
4. Frank R, et al. Clinical and Pathological Characteristics of KEAP1- and NFE2L2-Mutated Non-Small Cell Lung Carcinoma (NSCLC). Clin Cancer Res. 2018;24(13):3087-3096.
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11. Cancer Research UK. Survival. Available at:
https://www.cancerresearchuk.org/about-cancer/lung-cancer/survival. Accessed September 2022.