アストラゼネカのリムパーザ、進行卵巣がんの初回化学療法後の維持療法を対象とした2つの第Ⅲ相試験において、単剤療法およびベバシズマブとの併用療法が臨床的に意義のある生存期間の延長を示した

本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年9月9日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

第Ⅲ相PAOLA-1試験で指標となる5年追跡データにより、生存期間の延長が示された5年生存した患者さんの割合は、
ベバシズマブとプラセボの併用療法群の48.4%に対しリムパーザとベバシズマブの併用療法群では65.5%

第Ⅲ相SOLO-1試験において、7年生存したBRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がん患者さんの割合は、
プラセボ群47%に対し、リムパーザ群では67%

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、第Ⅲ相PAOLA-1試験および第Ⅲ相SOLO-1試験の長期追跡の結果において、リムパーザ®(一般名:オラパリブ、以下、リムパーザ)がベバシズマブとの併用療法または単剤療法として臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示したことを発表しました。加えて、相同組換え修復欠損(HRD)陽性の患者さんに対するベバシズマブとの併用療法として実薬対照であるベバシズマブ単剤療法と比較して(PAOLA-1試験)、また、BRCA変異陽性の患者さんに対する単剤療法としてプラセボと比較して(SOLO-1試験)、類薬のクラスをリードする無増悪生存期間(PFS)が示されました。

初回維持療法において、バイオマーカーで選択された進行卵巣がんと新たに診断された患者さんを対象に実施された両試験では、一貫した安全性プロファイルも示されました1,2

9月9日、PAOLA-1試験(抄録 #LBA29)およびSOLO-1試験(抄録 #517O)の結果が2022年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表され、SOLO-1の結果がJournal of Clinical Oncology誌に掲載されました。

卵巣がんは一般的な婦人科がんのひとつであり、予後不良と高い死亡率を伴います3。患者さんの2/3以上が進行性と診断され、これらの患者さんの約50~70%が5年以内に亡くなってしまいます4,5。進行卵巣がんの患者さんのうち、最大で1/5の患者さんがBRCA変異陽性であり、また約半数がHRD陽性(BRCA変異陽性の患者さんも含む)です6-8

GINECOグループ(フランス・パリ)の会長であり、PAOLA-1試験の治験責任医師であるIsabelle Ray-Coquard氏は次のように述べています。「HRD陽性の進行卵巣がんと診断された女性にとって、生存期間の延長を目的とした初回維持療法となる標的治療は重要です。指標となる5年追跡に基づくこれらの最新結果から、ベバシズマブ単剤療法と比較してリムパーザとベバシズマブとの併用療法によりHRD陽性の患者さんの死亡リスクが38%減少することが示されており、この併用療法の臨床的に意義のある長期生存のベネフィットをさらに強調しています。今回確認された追加データは、この併用療法によって患者さんが家族をはじめとする大切な人たちとより長い時間を過ごすことができる可能性を示しており、医師および患者さん双方にとって有望なニュースと言えます。また、卵巣がん患者さんの治療方針決定における個別化医療という治療アプローチの一環として、バイオマーカー検査が重要であることも強調しています」。

Women and Infants Hospital(ロードアイランド州プロビデンス)のProgram in Women’s Oncologyのディレクターであり、SOLO-1試験の治験責任医師であるPaul DiSilvestro氏は次のように述べています。「今回発表されたSOLO-1試験の長期結果から、リムパーザが初回維持療法として全生存期間の臨床的に意義のある延長を7年以上維持し続けることが示されました。初回維持療法の設定が、患者さんの生存に大きな影響を与える可能性があるため、進行卵巣がんと新たに診断された患者さんの長期生存を達成することはきわめて重要です」。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「進行卵巣がんと新たに診断された患者さんの5年生存率は30~50%となっていました。その中で、今回発表されたPAOLA-1試験およびSOLO-1試験の最新結果において、患者さんの3分の2が生存されているということは驚くべきことです。アストラゼネカでは、今後もリムパーザがバイオマーカーで選択された進行卵巣がん患者さんの予後の改善に貢献できることを確信しています」。

MSD研究開発本部のシニアバイスプレジデント、グローバルクリニカルディベロップメント責任者兼チーフメディカルオフィサーであるEliav Barr氏は次のように述べています。「PAOLA-1試験およびSOLO-1試験のこれらの最新データは、進行卵巣がんと新たに診断された患者さんに対して、診断時点でBRCA1/2変異を含むHRD検査を行う重要性をさらに強調しています。リムパーザによる維持療法は、BRCA変異陽性の有無を問わず、HRD陽性の進行卵巣がん患者さんのより長い生存に寄与できる可能性があります」。

第Ⅲ相PAOLA-1試験の最新結果
第Ⅲ相PAOLA-1試験の最新結果において、HRDステータスを問わず進行卵巣がんと新たに診断された患者さんの全生存期間の中央値は、ベバシズマブ単剤療法では51.6カ月であったのに対し、リムパーザとベバシズマブの併用療法では56.5カ月でした。この結果は統計学的に有意とは認められませんでした。

PAOLA-1試験ではステージIVの患者さんが30%含まれていましたが、リムパーザとベバシズマブの併用療法は、HRD陽性の患者さんに臨床的に意義のある全生存期間の延長を示しており、ベバシズマブ単剤療法と比較して死亡リスクを38%(ハザード比 0.62:95% 信頼区間:0.45-0.85)減少させました。5年時点で生存していた患者さんの割合は、ベバシズマブ単剤療法群は48.4%であったのに対し、リムパーザとベバシズマブの併用療法群は65.5%でした。また、PFSの中央値は、ベバシズマブ単剤療法群の17.6カ月に対し、リムパーザとベバシズマブとの併用療法群では約4年(46.8カ月)に延長されており、5年時点で無増悪を維持した患者さんの割合は、ベバシズマブ単剤療法群の19.2%に対して、リムパーザとベバシズマブとの併用療法群では46.1%でした。なお、本試験におけるリムパーザの安全性および忍容性プロファイルは、過去の臨床試験で観察されたものと一貫しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。

第Ⅲ相SOLO-1試験の最新結果
第Ⅲ相SOLO-1試験の最新結果では、進行卵巣がんと新たに診断されたBRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)の患者さんにおいて、リムパーザがプラセボと比較して臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示し、死亡のリスクを45%減少させました(ハザード比0.55:95% 信頼区間:0.40-0.76、名目上のp値0.0004[統計的な有意差なし])。OSの中央値はプラセボ群では75.2カ月であったのに対し、リムパーザ群では未到達でした。7年時点のOSの記述解析で、生存していた患者さんの割合はプラセボ群の47%(うち44%がPARP阻害薬による後治療を実施)に対して、リムパーザ群では67%で、また7年時点の最初の後治療を受けなかった患者さんにおいて生存していた患者さんの割合はリムパーザ群で45%、プラセボ群では21%でした。

さらに、最初の後治療開始または死亡に至るまでの期間の中央値は、プラセボ群の15.1カ月に対し、リムパーザ群では64カ月であったことを示しました。本試験におけるリムパーザの安全性および忍容性プロファイルは、以前の臨床試験で観察されたものと一貫しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。

結果概要

結果概要

i. OS解析はイベント発現割合56%(患者さん797名でイベント448件)と有意水準0.0001で実施。統計的有意性には未到達。
ii. HRDステータス別探索的サブグループ解析。Myriad myChoice HRD plusを使用した無作為化後の腫瘍サンプルの検査からPAOLA-1試験の患者さんのHRDステータスを決定した。
iii. 治験責任医師が評価したPFS(RECIST 1.1)
iv. OS解析はイベント発現割合38.1%(患者さん391名でイベント149件)と有意水準0.01で実施された。統計的有意性には未到達。生存期間の追跡は継続中であり、さらなる解析を計画中。
v. 統計学的有意性を示すにはP<0.0001が求められる。

リムパーザは白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法として、またBRCA変異陽性(BRCAm)およびHRD陽性進行卵巣がんに対する初回維持療法のための単剤療法およびベバシズマブとの併用療法の両方として承認されています。

以上

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卵巣がんについて
卵巣がんは、世界中の女性のがんの中で8番目に多いがんです9。2020年には31万3000人超が新たに診断され、20万7000人超が死亡しています。進行卵巣がんと新たに診断された患者さんの5年生存率は、通常30~50%です4,5。進行卵巣がんの女性の大体半数が、BRCA変異陽性を含む相同組換え修復欠損(HRD)陽性腫瘍を有し、最大で5分の1がBRCA変異陽性です6-8。初回治療の主な目的は、長期寛解を達成して病勢進行をできるだけ遅らせることです10-12

PAOLA-1試験について
PAOLA-1試験は、新たにFIGO進行期分類III - IV期の高異型度漿液性または類内膜卵巣がん、卵管がんまたは腹膜がんと診断され、白金製剤ベースの化学療法とベバシズマブとの併用療法による初回治療により完全または部分奏効を示した患者さんを対象とし、初回治療後の維持療法としてリムパーザを標準治療であるベバシズマブに追加した併用療法と、ベバシズマブ単剤療法の有効性および安全性を比較検討した無作為化二重盲検第Ⅲ相試験です。アストラゼネカとMSDは、本試験において全試験集団が主要評価項目であるPFSを延長したことを2019年8月に発表しています。

PAOLA-1は、GINECO(Groupe d’Investigateurs National des Etudes des Cancers Ovariens et du sein)を代表してARCAGY Research(Association de Recherche sur les CAncers dont GYnécologiques)により実施されたENGOT(European Network of Gynaecological Oncological Trial groups)の試験です。ACARGY-GINECOは患者さんのがんの臨床研究およびトランスレーショナルリサーチに特化した学究的な団体であり、GCIG (Gynecologic Cancer InterGroup:婦人科がんグループ)の会員です。

SOLO-1試験について
SOLO-1試験は、新たに診断されたBRCAmの進行卵巣がんにおいて、白金製剤を含む化学療法後の単剤維持療法として、リムパーザ錠(300 mg 1日2回 )をプラセボと比較した無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第Ⅲ相試験です。本試験は白金製剤ベースの化学療法後に、完全奏効または部分奏効を示した病的変異あるいは病的変異疑いに分類されるBRCA1またはBRCA2遺伝子変異が確認された391例の患者さんを無作為に割り付けました。患者さんはリムパーザ投与群あるいはプラセボ投与群に無作為に割り付けられ(2:1)、最長2年もしくは病勢進行がみられるまで投与を継続しました。(治験責任医師等の判断による)本試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、主な副次的評価項目は2次進行もしくは死亡までの期間(PFS2)および全生存期間(OS)を含みます。2018年6月、アストラゼネカとMSDは、本試験が全試験集団においてその主要評価項目であるPFSを達成したことを発表しました。

BRCA遺伝子変異について
BRCA1およびBRCA2(乳がん感受性遺伝子1/2)は、損傷したDNAの修復を担うタンパクを生成する遺伝子であり、細胞の安定性維持に重要な役割を果たします13。これら遺伝子のいずれかに変異があるとBRCAタンパクが生成されない、または正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されず細胞が不安定になる可能性があります。その結果、細胞はがん化につながるさらなる遺伝子異常を起こす可能性が高くなるとともに、リムパーザを含むPARP阻害剤への感受性を高めます13-16

相同組換え修復欠損(HRD)について
卵巣がんのサブグループであるHRDは、BRCA遺伝子変異をはじめ、その他多くの遺伝的異常を含みます。BRCA遺伝子変異と同様に、HRDは正常細胞のDNA修復機構を妨げ、リムパーザを含むPARP阻害剤に対する感受性をもたらします2

リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異など、あるいは他の薬剤(新規ホルモン製剤(NHA)など)により誘発される相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。

リムパーザによるPARP阻害は、DNA一本鎖切断に結合するPARPと結合し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。

リムパーザは現在、複数の腫瘍タイプの治療薬として、多くの国で承認されており、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法を含め、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)および相同組換え修復欠損(HRD)を有する進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として、単独療法およびベバシズマブとの併用療法がそれぞれ用いられています。さらに、生殖細胞系列BRCAmかつHER2陰性転移性乳がん(EUおよび日本では局所進行乳がんを含む)、生殖細胞系列BRCAmかつHER2陰性高リスク早期乳がん(日本では、これにすべてのBRCAm HER2陰性の高リスクの早期乳がんが含まれます)生殖細胞系列BRCAm転移性膵がん、およびHRR関連遺伝子変異陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(EUおよび日本ではBRCAmのみ)に対しても承認されています。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、がん細胞のDDRを標的治療とした薬剤であり、アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。

なお、本リリースに記載の効能又は効果(適応症)については本邦で承認されている記載と異なる場合があります。本邦における承認状況については、最新の電子化された添付文書をご確認ください。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害薬であるKoselugo(セルメチニブ)について、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

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