広範な重症喘息患者さんに対し一貫して増悪を抑制した生物学的製剤
アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)はテゼスパイア®皮下注210mgシリンジ(一般名:テゼペルマブ(遺伝子組換え)、以下「テゼスパイア」)が、既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の喘息患者さんの治療薬として日本で承認を取得しましたことをお知らせいたします1。
厚生労働省による本承認は、PATHFINDER臨床試験プログラムの有効性および安全性に関する結果に基づいています。承認申請には、テゼスパイアが標準治療への追加療法として、プラセボに対し、全ての主要および副次的評価項目にわたり優位性を示した主要な第Ⅲ相NAVIGATOR試験の結果が含まれました2。
テゼスパイアは、上皮サイトカインである胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)を標的とすることで喘息の炎症カスケードの起点に対して作用する最初で唯一の生物学的製剤です2-5。
テゼスパイアは、血中好酸球数、アレルギーの状態および呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)を含む主なバイオマーカーによらない、広範な重症喘息患者集団を対象とした第Ⅱ相PATHWAY試験および第Ⅲ相NAVIGATOR試験全体において喘息の増悪を一貫して抑制しました2,3。
昭和大学 医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー内科学部門 主任教授の相良博典先生は次のように述べています。「重症喘息は、近年の治療の進歩にもかかわらず、多くの患者さんが頻繁に増悪し、生活の質を著しく低下させる疾患です。テゼスパイアは、臨床試験において、幅広い層の重症喘息患者さんに対して効果を示しました。今回の承認により、日本の医師はこのような患者さんに症状管理のための重要な新しい選択肢を提供できるようになります」。
アストラゼネカのバイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは、次のように述べています。「テゼスパイアは、最初で唯一、広範な重症喘息患者さんに対しバイオマーカーの値によらず一貫して増悪を抑制することを示し、日本の厚生労働省により承認された生物学的製剤の喘息治療薬です。テゼスパイアは広範な重症喘息患者集団の転帰を改善する可能性を有しており、当社は本剤を日本の患者さんに可及的速やかにお届けできるよう尽力してまいります」。
臨床試験において、テゼスパイア投与群の患者さんに最もよく見られた副作用は咽頭炎、関節痛、発疹および注射部位反応でした1。テゼスパイアの日本の患者さんを対象とした第Ⅲ相長期安全性NOZOMI試験の結果は、2022年6月にThe Journal of Asthmaに掲載されました。
第Ⅲ相NAVIGATOR試験の結果は2021年5月にThe New England Journal of Medicineに掲載されました。
テゼスパイアは重症喘息治療薬として、2021年12月に米国において、2022年9月にEUにおいて承認を取得しています。その他、複数国で承認取得済みです。
以上
*****
重症喘息について
喘息は世界で推定3億3,900万人の人々に影響を与えている多様性を有する疾患です6。喘息患者さんの約10%は重症喘息に罹患しています7,8。吸入の喘息長期管理薬、現在使用可能な生物学的製剤および経口ステロイド薬(OCS)を使用しているにもかかわらず、多くの患者さんはコントロール不良の状態に留まっています7-9。重症喘息はその複雑性により、多くの患者さんは不明確あるいは複数の炎症機序を有しており、既存の生物学的製剤に適さない場合や、良好に反応しない可能性があります8-11。
コントロール不良の重症喘息は消耗性疾患で、患者さんは頻回な増悪を経験し、著しい呼吸機能の低下、生活の質の低下を余儀なくされます7,8,12。コントロール不良の重症喘息患者さんの死亡リスクは高く、これらの患者さんでは喘息関連の入院頻度が2倍高いとされています13-15。さらに、重症喘息による社会経済的な負担も大きく、その経済的負担は喘息関連費用の約50%を占めるとも言われています16。
臨床試験について
PATHFINDERプログラムには第Ⅱb相PATHWAY試験に加え、NAVIGATOR試験2,17およびSOURCE試験18,19の2つの第Ⅲ相試験が含まれました。本プログラムにはさらなるメカニズム試験や長期安全性試験20,21が含まれます。
NAVIGATOR試験は、標準治療(SoC)を受けていた成人(18歳から80歳)および青年期(12歳から17歳)のコントロール不良の重症喘息患者さんを対象とする第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ対照試験です。SoCはOCS併用の有無を問わず、中用量もしくは高用量の吸入ステロイド(ICS)に、1剤以上の喘息長期管理薬を加えた治療とされました。本試験では、血中好酸球数が高い被験者(300 cells/µL 以上)と低い被験者(300 cells/µL 未満)がほぼ均等に割り付け登録されました。本試験は、5週から6週のスクリーニング期間、52週の治療期間および12週の治療後の追跡期間により構成されました。試験期間中、全被験者の処方されていた喘息長期管理薬の変更はありませんでした2。
主要有効性評価項目は52週の治療期間での年間喘息増悪率(AAER)でした。主な副次的評価項目には呼吸機能、喘息コントロールおよび健康に関連する生活の質に対するテゼスパイアの効果が含まれていました2。
事前に規定された解析の一環として、52週間にわたるAAERは、ベースラインの血中好酸球数、FeNOのレベル、血清特異的免疫グロブリンE(IgE)のレベル(通年性アレルゲン感受性の有無)によって層別化された患者でも評価されました2。これらは、医師が治療選択をするために使用する炎症性バイオマーカーです。
NAGIVATOR試験においてテゼスパイア投与群とプラセボ投与群の安全性結果に関し有害事象の発現率は、テゼスパイア群では77.1%(407/528例)、プラセボ群では79.5%(422/531例)でした2。テゼスパイアに関連する最も高い頻度で報告された有害事象は上咽頭炎、上気道感染症、および頭痛でした2。
NAVIGATOR試験は、TSLPを標的とすることで、血中好酸球数を問わず、重症喘息に対する効果を示した最初の第Ⅲ相試験です2。これらの結果はテゼスパイアに対し好酸球性フェノタイプを持たない重症喘息患者さんの治療薬として2018年9月に、米国食品医薬品局(FDA)により付与された画期的治療薬指定を裏付けるものです。また、テゼスパイアは2021年7月にFDAにより喘息治療薬としての米国での優先審査が付与された最初で唯一の生物学的製剤です22。
テゼスパイア皮下注210mgシリンジについて
テゼスパイア皮下注210mgシリンジ(一般名:テゼペルマブ)は複数の炎症カスケードの上流で主要な上皮サイトカインであり重症喘息に伴うアレルギー性、好酸球性または他のタイプの気道炎症の発現および持続に不可欠なTSLPの作用を阻害するファースト・イン・クラスのヒト型モノクローナル抗体薬の候補として、アムジェンと提携しアストラゼネカにより開発を進めてきました3,4。
TSLPは、アレルゲン、ウイルスおよび他の浮遊微小粒子を含む複数の喘息増悪を誘発する物質に反応して放出されます3,4。TSLPの発現は喘息患者さんの気道中で増加し、喘息の重症度と相関しています3,5。TSLP阻害により免疫細胞からの炎症性サイトカインの放出が抑制される可能性があり、その結果、喘息増悪が予防され喘息コントロールが改善されると考えられています2,3,5。テゼスパイアは炎症カスケードの上流に対して作用することで、バイオマーカーのレベルに関わらず、広範な重症喘息患者さんを治療できる可能性を有しています2,3。
テゼスパイアは既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の喘息患者さんの治療薬として、成人及び12歳以上の小児を対象に日本で承認されました。また、テゼスパイアは慢性閉塞性肺疾患、鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎、慢性特発性蕁麻疹、および好酸球性食道炎(EoE)を含む他の潜在的適応症に対しても開発中です。2021年10月、テゼペルマブはFDAによりEoEの治療薬として希少疾病用医薬品指定を付与されました。
アストラゼネカとアムジェンの提携について
2020年に入り、アストラゼネカとアムジェンはテゼスパイアに関する2012年の提携契約を更新しました。これを受け、アストラゼネカによるアムジェンに対する1桁台半ばのロイヤリティの支払い後、両社は引き続き費用と利益を折半します。アストラゼネカは引き続き開発を主導し、アムジェンは引き続き製造を主導します。本提携のすべての側面は合同管理機関の監視下にあります。更新された契約のもと、北米においてアムジェンとアストラゼネカは共同でテゼスパイアの商業化を実施します。アムジェンは米国での製品売上を計上し、アストラゼネカは米国における利益のアストラゼネカの持ち分を提携収入として認識します。米国以外の全ての国においては、アストラゼネカが全売上を製品売上として計上し、アムジェンの利益の持ち分をその他・提携収入として計上します。
アストラゼネカにおける呼吸器および免疫疾患領域について
バイオ医薬品領域の一環である呼吸器・免疫疾患はアストラゼネカが注力する疾患領域のひとつで、当社にとって重要な今後の成長の原動力です。
50年の歴史を基盤として、アストラゼネカは呼吸器疾患治療の確固たるリーダーの地位を築きました。アストラゼネカは、すべての重症度における予防可能な喘息発作をなくし、生物学的製剤を中心とした早期治療により、喘息およびCOPD治療を革新的に向上させ、COPDを死因の3位から除くことを目指しています。また、当社の呼吸器領域における初期研究では、疾患や神経機能不全における免疫機構、肺損傷および異常細胞修復プロセス等の新たなサイエンスに焦点を当てています。
アストラゼネカは、呼吸器疾患と免疫疾患に共通する経路と基礎疾患ドライバーを足掛かりに、慢性肺疾患から自己免疫疾患領域まで網羅する研究に注力していきます。また、リウマチ性疾患(全身性エリテマトーデスを含む)、皮膚疾患、消化器疾患、全身性好酸球性疾患をはじめ、複数疾患につながる可能性がある5つの中期~後期フランチャイズに焦点を当て、自己免疫疾患領域におけるプレゼンスを高めています。アストラゼネカは、自己免疫疾患領域において、標的とする自己免疫に起因する疾患の疾患コントロールおよび究極的には臨床的な寛解を達成することを目指しています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。フェイスブックAstraZeneca.JapanとインスタグラムAstraZeneca / アストラゼネカもフォローしてご覧ください。
References
1. Tezspire (tezepelumab) Japan prescribing information; 2022.
2. Menzies-Gow A, et al. Tezepelumab in Adults and Adolescents with Severe, Uncontrolled Asthma. N Engl J Med. 2021;384: 1800-1809. DOI: 10.1056/NEJMoa2034975.
3. Corren J, et al. Tezepelumab in adults with uncontrolled asthma [supplementary appendix; updated April 18, 2019]. N Engl J Med. 2017;377: 936-946.
4. Varricchi G, et al. Thymic Stromal Lymphopoietin Isoforms, Inflammatory Disorders, and Cancer. Front Immunol. 2018; 9: 1595.
5. Li Y, et al. Elevated Expression of IL-33 and TSLP in the Airways of Human Asthmatics In Vivo: A Potential Biomarker of Severe Refractory Disease. J Immunol. 2018;200: 2253–2262.
6. The Global Asthma Network. The Global Asthma Report 2018. [Online]. Available at:
http://globalasthmareport.org/resources/Global_Asthma_Report_2018.pdf. [Last accessed: December 2021].
7. Chung KF, et al. International ERS/ATS guidelines on definition, evaluation and treatment of severe asthma. Eur Respir J. 2014; 43 (2): 343-373.
8. Wenzel S. Severe asthma in adults. Am J Respir Crit Care Med. 2005; 172: 149-160.
9. Peters SP, et al. Uncontrolled asthma: a review of the prevalence, disease burden and options for treatment. Respir Med 2006: 100 (7): 1139-51.
10. Hyland ME, et al. A Possible Explanation for Non-responders, Responders and Super-responders to Biologics in Severe Asthma. Explor Res Hypothesis Med. 2019; 4: 35–38.
11. Tran TN, et al. Overlap of atopic, eosinophilic, and TH2-high asthma phenotypes in a general population with current asthma. Ann Allergy Asthma Immunol. 2016; 116: 37–42.
12. Fernandes AG, et al. Risk factors for death in patients with severe asthma. J Bras Pneumol. 2014; 40: 364-372.
13. Chastek B, et al. Economic Burden of Illness Among Patients with Severe Asthma in a Managed Care Setting. J Manag Care Spec Pharm. 2016;22: 848–861.
14. Hartert TV, et al. Risk factors for recurrent asthma hospital visits and death among a population of indigent older adults with asthma. Ann Allergy Asthma Immunol. 2002;89: 467–73.
15. Price D, et al. Asthma control and management in 8,000 European patients: the REcognise Asthma and LInk to Symptoms and Experience (REALISE) survey. NPJ Prim Care Respir Med. 2014; 24: 14009.
16. World Allergy Organization (WAO). The management of severe asthma: economic analysis of the cost of treatments for severe asthma. Available at:
https://www.worldallergy.org/educational_programs/world_allergy_forum/anaheim2005/blaiss.php [Last accessed: December 2021].
17. Menzies-Gow A, et al. NAVIGATOR: a phase 3 multicentre, randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group trial to evaluate the efficacy and safety of tezepelumab in adults and adolescents with severe, uncontrolled asthma. Respir Res. 2020;21: 266.
18. Wechsler ME, et al. Oral corticosteroid-sparing effect of tezepelumab in adults with severe asthma. Am J Respir Crit Care Med. 2021;203: A1197.
19. Weschler ME, et al. SOURCE: A Phase 3, multicentre, randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel group trial to evaluate the efficacy and safety of Tezepelumab in reducing oral corticosteroid use in adults with oral corticosteroid dependent asthma. Respir Res. 2020; 21: 264.
20. Clinicaltrials.gov. Extension Study to Evaluate the Safety and Tolerability of Tezepelumab in Adults and Adolescents With Severe, Uncontrolled Asthma (DESTINATION) [Online]. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03706079. [Last accessed: December 2021].
21. Diver S et al. Effect of tezepelumab on airway inflammatory cells, remodelling, and hyperresponsiveness in patients with moderate-to-severe uncontrolled asthma (CASCADE): a double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 2 trial. Lancet Respir Med.2021. Available at: https://doi.org/10.1016/S2213-2600(21)00226-5. [Last accessed December 2021].
22. Tezspire (tezepelumab) US prescribing information; 2021.