アストラゼネカのタグリッソ、EGFR変異陽性患者さんの術後補助療法において無病生存期間の中央値を5.5年に延長

本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年9月11日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

4年経過時点においてタグリッソによる術後補助療法を受けた患者さんの約3/4が再発なく生存中

探索的解析では、タグリッソがステージII-IIIAの患者さんの脳または脊髄の
再発リスクを76%減少させることが示された

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、第Ⅲ相ADAURA試験の最新結果において、アストラゼネカのタグリッソ®(一般名:オシメルチニブ、以下、タグリッソ)が、プラセボとの比較で、根治目的に腫瘍を完全切除した早期(ステージIB、IIおよびIIIA)上皮成長因子受容体変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんの術後補助療法として、臨床的に意義のある無病生存期間(DFS)の延長を示したことを発表しました。

本試験の最新結果は、2022年9月11日、パリで開催された2022年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)にて発表されました(抄録 #LBA47)。

2020年の解析/報告から追跡期間が2年追加されたことにより、すべての患者さんが3年間の術後補助療法を完了したデータとなっています。タグリッソは疾患再発または死亡のリスクを主要評価項目の対象となる患者群(ステージII-IIIA)においては77%(ハザード比0.23:95%信頼区間:0.18-0.30)、副次評価項目である全患者群(ステージIB-IIIA)においては73%(ハザード比 0.27:95% 信頼区間:0.21-0.34)減少させました。タグリッソ投与群では主要評価項目(ステージII-IIIA)と副次評価項目(ステージIB-IIIA)のいずれにおいてもDFSの中央値が約5.5年(65.8カ月)であったのに対し、プラセボ投与群では主要評価項目となる患者群で21.9カ月、全患者群で28.1カ月でした。

NSCLC患者さん全体のおおよそ30%が、根治が期待される切除可能な早期NSCLCと診断されますが、依然として術後に再発することが課題であり1,2、これまでに、ステージI-IIと診断された患者さんの半数近く、およびステージIIIと診断された患者さんの75%が、5年以内に再発を経験していると報告されています3,4

事前に規定した探索的解析では、タグリッソがステージII-IIIAの患者さんの中枢神経系(CNS:脳および脊髄)における再発のリスクを76%減少したことが示されました(ハザード比:0.24、95%信頼区間:0.14-0.42)。また、4年経過した時点で、CNSにおいて再発しなかった患者さんの割合は、タグリッソ群では90%(95%信頼区間:85-94%)であったのに対し、プラセボ群では75%(95%信頼区間:67-81%)でした。CNSにおける再発とは、腫瘍の脳または脊髄への転移を指し、特にEGFRm NSCLCにおいて高頻度に認められ、予後不良と関連しています。

国立がん研究センター東病院の呼吸器外科長でADAURA試験の主任研究者である坪井 正博医師は次のように述べています。「ADAURA試験の最新結果から、タグリッソによる術後補助療法が、早期EGFR遺伝子変異陽性肺がん患者さんの術後の無病生存期間を引き続き延長するだけでなく、中枢神経系で腫瘍が再発するリスクも変わらず減少させることが示されました。今回の結果は、術後の標的治療の選択肢がなく、高い再発率に直面してきた早期肺がん患者さんにとって、タグリッソによる術後補助療法が標準治療となり得ると期待しています」。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&Dの責任者であるSusan Galbraithは次のように述べています。「わずか2年前には、早期EGFR遺伝子変異陽性肺がん患者さんの術後における標的治療の選択肢がなかったことを考えると、今、世界中の患者さんがタグリッソによる術後補助療法が受けられ、さらに脳および脊髄への再発を回避できるというベネフィットを享受するのは大変素晴らしいことです。ADAURA試験におけるOSデータが揃い、いずれ試験完了を迎えられることを心待ちにしているとともに、アストラゼネカの早期肺がんに対する研究と患者さんへのコミットメントは、術後治療期間の延長と、より早期におけるタグリッソの術後補助療法としての潜在的な可能性を探索する本剤の幅広い研究プログラムを通じて続いていきます」。

有効性解析の結果概要i:

有効性解析の結果概要

i. データカットオフ日:2022年4月11日
ii. NC:算出不能
iii. CNS再発イベントを認めた割合と定義する。競合するリスクイベント(非CNS再発および全死亡)を経験していない場合とする。

本試験におけるタグリッソの安全性および忍容性はこれまでに確認されたプロファイルと一貫しており、治療期間の延長による新たな安全性の懸念は報告されませんでした。なお、グレード3以上の有害事象が発生した患者さんの割合は、タグリッソ群では23%であったのに対し、プラセボ群では14%でした。

以上

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肺がんについて
肺がんは、男女共にがんによる死因の第1位であり、すべてのがんによる死亡の約5分の1を占めています5。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大きく分けられ、肺がん患者さんの80~85%がNSCLCと診断されます6。NSCLCの患者さんの大多数は進行がんで診断され、切除可能と診断されるのは全体の約25~30%です1,2

さらに、切除可能ながん(ステージIB~IIIA)患者さんでは、手術(腫瘍の完全切除)および術後補助療法としての化学療法を受けても、その多くは再発します3。早期肺がんは、体系的な検診が行われていない場合、偶発的に撮像された画像で発見され、診断されることがほとんどです7,8

欧米ではおよそ10~15%、アジアでは30~40%のNSCLC患者さんがEGFR遺伝子変異を有しています9-11。これらの患者さんは、がん細胞の増殖を促す細胞シグナル伝達経路を阻害するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)治療への感受性が高くなります12

ADAURA試験について
ADAURA試験は、腫瘍の完全切除術後(補助化学療法実施の有無は医師と患者さんの判断)のEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者さん(ステージIB~IIIA)682例を対象に、タグリッソの術後補助療法に対する有効性、安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第Ⅲ相試験です。患者さんはプラセボあるいはタグリッソ80mg錠1日1回経口投与にて3年間または再発するまで治療を受けました。

なお、本試験は米国、欧州、南米、アジア、中東の20カ国以上、200を超える施設で実施されました。主要評価項目は病理病期II期およびIIIA期の患者さんにおけるDFSであり、重要な副次評価項目は病理病期IB期、II期およびIIIA期の患者さんにおけるDFSです。

データ解析は当初2022年に予定されていましたが、タグリッソが顕著な有効性を示したとして、独立データモニタリング委員会からの勧告に従って早期(2020年)に最初の試験結果が報告されました。2022年にはDFSの最終的な解析がなされました。なお、本試験では全生存期間の評価を引き続き行います。

タグリッソについて
タグリッソ(一般名:オシメルチニブ)は第3世代不可逆的EGFR阻害剤であり、中枢神経系転移に対するものを含め、NSCLCにおける臨床活性が実証されています。タグリッソ(40mg錠および80mg錠の1日1回経口投与)は、これまでに全世界で様々な適応にわたり600,000人以上の肺がん患者さんの治療に用いられています。当社は引き続き、様々な病期の、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者さんの治療薬として、タグリッソを研究していきます。

第Ⅲ相試験としてタグリッソは、切除可能な患者さんを対象とした術前補助療法の試験(NeoADAURA試験)、切除可能なステージIA2~IA3の患者さんを対象とした術後補助療法の試験(ADUARA2試験)、ステージIIIの切除不能な局所進行の患者さんを対象とした試験(LAURA試験)および進行/再発の患者さんを対象とした化学療法との併用療法の試験(FLAURA2試験)でも検討が進んでいます。その他の現在進行中の試験として当社は、タグリッソとMet受容体チロシンキナーゼの強力かつ高選択性経口阻害剤であるサボリチニブとの併用療法を評価する第Ⅱ相SAVANNAH試験、第Ⅱ相ORCHARD試験、および第Ⅲ相SAFFRON試験を通じて、腫瘍の耐性メカニズムを解き明かそうとしています。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを評価することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。

当社の包括的なポートフォリオには、革新的な肺がん治療薬であるタグリッソ(オシメルチニブ)、イレッサ®(ゲフィチニブ)、免疫チェックポイント阻害剤であるイミフィンジ®(デュルバルマブ)およびトレメリムマブや第一三共と共同開発を進めているエンハーツおよびdatopotamab deruxtecan、HUTCHMEDと共同開発を進めているsavolitinibなど、新薬候補となる開発品および多様な作用機序を組み合わせた開発パイプラインが含まれます。

アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、肺がん患者さんの治療を含め、治療を超えた人々に意味のある改善を提供するために取り組んでいます。

※トレメリムマブおよびsavolitinibは本邦未承認です。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Le Chevalier T. Adjuvant Chemotherapy for Resectable Non-Small-Cell Lung Cancer: Where is it Going? Ann Oncol. 2010;21:196-8.
2. Cagle P, et al. Lung Cancer Biomarkers: Present Status and Future Developments. ArchivesPathology Lab Med. 2013;137:1191-1198.
3. Pignon JP, et al. Lung Adjuvant Cisplatin Evaluation: A Pooled Analysis by the LACE Collaborative Group. J Clin Oncol. 2008;26:3552-3559.
4. Peters, S. Lungscape: resected non-small-cell lung cancer outcome by clinical and pathological parameters. Thorac Oncol. 2014;9(11):1675-84.
5. World Health Organisation. International Agency for Research on Cancer. All Cancers Fact Sheet. Available at
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/39-All-cancers-fact-sheet.pdf. Accessed August 2022.
6. American Cancer Society. What Is Lung Cancer? Available at:
https://www.cancer.org/cancer/lung-cancer/about/what-is.html. Accessed August 2022.
7. Sethi S, et al. Incidental Nodule Management – Should There Be a Formal Process? Journal of Thorac Onc. 2016:8;S494-S497.
8. LUNGevity Foundation. Screening and Early Detection. Available at
https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/screening-early-detection. Accessed August 2022.
9. Szumera-Ciećkiewicz A, et al. EGFR Mutation Testing on Cytological and Histological Samples in Non-Small Cell Lung Cancer: a Polish, Single Institution Study and Systematic Review of European Incidence. Int J Clin Exp Pathol. 2013:6;2800-12.
10. Keedy VL, et al. American Society of Clinical Oncology Provisional Clinical Opinion: Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Mutation Testing for Patients with Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer Considering First-Line EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy. J Clin Oncol. 2011:29;2121-27.
11. Ellison G, et al. EGFR Mutation Testing in Lung Cancer: a Review of Available Methods and Their Use for Analysis of Tumour Tissue and Cytology Samples. J Clin Pathol. 2013:66;79-89.
12. Cross DA, et al. AZD9291, an Irreversible EGFR TKI, Overcomes T790M-Mediated Resistance to EGFR Inhibitors in Lung Cancer. Cancer Discov. 2014;4(9):1046-1061.

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