アストラゼネカの長時間作用型抗体の併用療法「エバシェルド」、SARS-CoV-2による感染症の発症抑制および治療を適応として承認を取得

~治療薬としての承認取得は世界初~

~第Ⅲ相PROVENT予防試験において、症候性COVID-19の発症リスクを低減~

~第Ⅲ相TACKLE治療試験において、重症化リスクの高い患者さんのCOVID-19重症化または全死亡リスクを低減~

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井貴史、以下、アストラゼネカ)は、長時間作用型抗体の併用療法「エバシェルド®筋注セット」(一般名:チキサゲビマブ(遺伝子組換え)/シルガビマブ(遺伝子組換え)、治験成分記号:AZD7442、以下「エバシェルド」)が、SARS-CoV-2による感染症の発症抑制および治療の両方を適応として、厚生労働省より特例承認を取得したことをお知らせします。
なお、この度の承認は、エバシェルドに対するCOVID-19治療薬としての世界初の製造販売承認の取得となります*
(本件に関するグローバルの発表は、こちらをご覧ください。https://www.astrazeneca.com/media-centre/press-releases/2022/evusheld-approved-for-covid-19-in-japan.html

SARS-CoV-2による感染症の発症抑制を適応としたエバシェルドの投与対象となるのは、成人および12歳以上かつ40kg以上の小児で、SARS-CoV-2による感染症に対するワクチン接種が推奨されない方、または免疫機能の低下等によりSARS-CoV-2による感染症に対するワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある方となります。また、SARS-CoV-2による感染症患者との濃厚接触者でない方のみ投与が受けられます。

治療薬としてのエバシェルドの投与対象となるのは、成人および12歳以上かつ40kg以上の小児で、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者さんです。

東邦大学医学部 微生物・感染症学講座教授の舘田 一博先生は次のように述べています。「COVID-19は私たちの日常生活に重大な影響を与え続けています。高齢者や併存疾患を有する患者さん、免疫不全の患者さんなど、多くの人々が依然として重症COVID-19の転帰が不良となるリスクにさらされています。エバシェルドは日本において、ワクチン接種後に十分な免疫反応が得られない方々に対する長期的な保護を提供すると同時に、感染した方々の重症化や死亡を防ぐのに役立つ新たな選択肢となるでしょう」。

近畿大学医学部医学研究科 血液・膠原病内科主任教授の松村 到先生は次のように述べています。「日本では、予防接種の推進や徹底した対策にもかかわらず、毎日非常に多くの新規感染者が報告されております。エバシェルドの承認は、血液悪性腫瘍患者のように、COVID-19ワクチン接種による免疫応答を十分に期待できない患者さんに対して、ワクチン以外の予防措置の選択肢を提供することが期待されます」。

アストラゼネカ代表取締役社長の堀井貴史は以下のようにコメントしています。「日本でエバシェルドがCOVID-19の発症抑制と治療のために承認されたことを大変嬉しく思います。エバシェルドは現時点では、感染リスクにさらされる前に投与を受けることができる発症抑制の適応を有する唯一の薬剤として、ワクチンを接種しても十分に免疫応答が得られない方々が日常生活を取り戻すための一助となることが期待されます。また、治療の面では、COVID-19を取り巻く環境が日々変化する中において、新たな選択肢となることを願っています」。

アストラゼネカはエバシェルドの日本市場への供給契約を政府と締結しており、30万箱を供給する予定です。このたびの承認を受け、日本政府や関係各所と連携しながら速やかに供給を開始してまいります。なお、1箱はチキサゲビマブとシルガビマブ2つのモノクローナル抗体をそれぞれ150mgずつ、計300mgを含有します。

今回の承認は、症候性COVID-19の曝露前予防(SARS-CoV-2に感染しておらず、かつ感染者との濃厚接触のない集団)の有効性を評価した第Ⅲ相PROVENT予防試験、外来患者を対象とした第Ⅲ相TACKLE治療試験、および日本で実施された第Ⅰ相臨床試験を含む、エバシェルドの臨床開発プログラムから得られた有効性と安全性のデータに基づいています。

PROVENT試験では、エバシェルド300mg単回筋肉内投与により、主要解析において、プラセボと比較して症候性COVID-19の発症リスクを77%減少しました(95% 信頼区間 [CI]: 46, 90; p<0.001)1。また、中央値約6カ月の追跡期間での追加解析では、エバシェルドはプラセボと比較して発症リスクを83%減少させ(95% CI: 66, 91)、1回の投与後6カ月間はウイルスからの保護が持続することが示されました1

TACKLE試験では、病状発現から7日以内のCOVID-19外来患者において、エバシェルドの600mg単回筋肉内投与により、本試験の主要評価項目である29日目までのCOVID-19の重症化または全死亡(原因を問わない)の相対リスクが、プラセボと比較して50%有意に低減しました(95%信頼区間[CI]15, 71; p=0.010)2。事前に規定された症状発現から3日以内にエバシェルドによる治療を受けた被験者の分析では、プラセボと比較してCOVID-19の重症化または全死亡(原因を問わない)のリスクが88%低減しました(95% CI 9, 98)。症状発現から5日以内にエバシェルドの投与を受けた被験者では、重症化または全死亡(原因を問わない)のリスクが67%低減しました(95% CI 31, 84)2

エバシェルドは、これらの臨床試験において良好な忍容性が確認されました1,2

発症抑制を適応としたエバシェルドの用法及び用量は、通常、成人および12歳以上かつ40kg以上の小児を対象として、チキサゲビマブ150mgとシルガビマブ150mgの計300mgを筋肉内注射します。なお、SARS-CoV-2変異株の流行状況等に応じて、チキサゲビマブ300mgとシルガビマブ300mgの計600mgを筋肉内注射することもできます。
治療を適応としたエバシェルドの用法及び用量は、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児を対象として、チキサゲビマブ300mgとシルガビマブ300mgの計600mgを筋肉内注射します。
エバシェルドは、COVID-19の曝露前予防を適応として、米国(緊急使用許可)、欧州連合(European Union:EU)、および多くの国々で使用が許可されています。世界各国で予防と治療の両面での承認申請が進められています。

 

エバシェルド製品概要

● 製品名:エバシェルド®筋注セット
● 一般名:チキサゲビマブ(遺伝子組換え)製剤/シルガビマブ(遺伝子組換え)製剤
● 効能又は効果:SARS-CoV-2による感染症及びその発症抑制
● 効能又は効果に関連する注意:

〈SARS-CoV-2による感染症〉

・臨床試験における主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者に投与すること。

・他の抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体が投与された高流量酸素又は人工呼吸器管理を要する患者において症状が悪化したとの報告がある。

〈SARS-CoV-2による感染症の発症抑制〉

・SARS-CoV-2による感染症に対するワクチン接種が推奨されない者又は免疫機能低下等によりSARS-CoV-2による感染症に対するワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある者に投与すること。

・SARS-CoV-2による感染症患者の同居家族又は共同生活者等の濃厚接触者ではない者に投与すること。SARS-CoV-2 による感染症患者の同居家族又は共同生活者等の濃厚接触者における有効性は示されていない。

・本剤の投与対象については最新のガイドラインも参考にすること。

〈効能共通〉

・本剤の中和活性が低いSARS-CoV-2変異株に対しては本剤の有効性が期待できない可能性があるため、SARS-CoV-2の最新の流行株の情報を踏まえ、本剤投与の適切性を検討すること。

● 用法及び用量:

〈SARS-CoV-2による感染症〉

通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、チキサゲビマブ(遺伝子組換え)及びシルガビマブ(遺伝子組換え)としてそれぞれ300mgを併用により筋肉内注射する。

〈SARS-CoV-2による感染症の発症抑制〉

通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、チキサゲビマブ(遺伝子組換え)及びシルガビマブ(遺伝子組換え)としてそれぞれ150mgを併用により筋肉内注射する。なお、SARS-CoV-2変異株の流行状況等に応じて、チキサゲビマブ(遺伝子組換え)及びシルガビマブ(遺伝子組換え)としてそれぞれ300mgを併用により筋肉内注射することもできる。

● 製造販売承認日:2022年8月30日
● 製造販売元:アストラゼネカ株式会社

*エバシェルドはCOVID-19の治療の適応として、2022年8月にイタリアで早期アクセス承認を取得していますが、製造販売承認を取得したのは日本が世界初となります。

以上

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Evusheldについて
エバシェルド(治験成分記号:AZD7442)は、SARS-CoV-2に感染し回復した患者により提供されたB細胞に由来する2種類の長時間作用型抗体であるチキサゲビマブ(AZD8895)とシルガビマブ(AZD1061)の併用療法です。米ヴァンダービルト大学メディカルセンターにより発見され、2020年6月にアストラゼネカにライセンス供与されました。この2つのヒトモノクローナル抗体は、SARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質3の異なる部位に同時に結合します。アストラゼネカは、この2つの抗体を半減期が延長するように、かつFc受容体および補体C1qとの結合が減弱するように最適化しました4。この半減期の延長により、本剤の作用の持続性が従来型の抗体に比べ3倍以上になるとされ5-7、PROVENT第Ⅲ相試験のデータでは、6カ月間効果が持続することが示されています1。また、Fc受容体の結合減弱は、ウイルス特異的抗体が、ウイルスの感染や疾患の重症化を予防するのではなく、むしろ促進してしまう現象である抗体依存性感染増強(ADE)のリスクを最小限に抑えることを目的としています8

エバシェルドのSARS-CoV-2による感染症の発症抑制の承認を裏付ける主要データは、進行中の第Ⅲ相曝露前予防試験PROVENTによるもので、The New England Journal of Medicineに掲載されました。この試験では、プラセボと比較して症候性COVID-19の発症リスクが統計的に有意に減少(主要解析で77%、中央値6カ月の追加解析で83%)し、ウイルスからの保護が6カ月間持続することが示されています1。ベースライン時のPROVENT参加者の75%以上が、免疫不全やCOVID-19ワクチン接種に対する免疫応答が不十分な可能性がある人など、感染した場合にCOVID-19の重症化リスクが高い合併症を持っていました。

The Lancet Respiratory Medicineに掲載されたTACKLE第Ⅲ相外来患者治療試験の詳細な結果は、アストラゼネカのエバシェルドがプラセボと比較して、COVID-19の重症化または全死亡(原因を問わない)に対して統計的に有意なリスク低下をもたらすことを示すとともに、症状発現後の早い段階でエバシェルドを投与するとより良好な転帰となることを示しました2。TACKLE試験は、症状発現から7日以内の軽症から中等症のCOVID-19の外来成人患者を対象に実施されました。参加者の90%は、合併症や年齢によりCOVID-19重症化リスクが高い状態でした。

エバシェルドは、米国政府の資金提供を受けて開発中です。この資金には、保健福祉省、事前準備・対応担当次官補局、国防総省と連携する生物医学先端研究開発局、契約番号W911QY-21-9-0001の契約による化学・生物・放射性物質・核防衛統合計画事務局が拠出するフェデラルファンド(連邦政府の補助金)が含まれています。

またアストラゼネカは、日本での臨床試験実施にあたり、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症治療薬の実用化のための支援事業(二次公募)」の支援を受けました。

ヴァンダービルト大学とのライセンス契約に基づき、アストラゼネカは将来の純売上高の1桁台のパーセンテージのロイヤリティを支払います。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、および呼吸器・免疫を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。フェイスブックAstraZeneca.JapanとインスタグラムAstraZeneca / アストラゼネカもフォローしてご覧ください。

References
1. Levin MJ, et al. Intramuscular AZD7442 (Tixagevimab–Cilgavimab) for Prevention of Covid-19. N Engl J Med. 2022;386(23):2188-2200
2. Montgomery H, et al. Efficacy and Safety of Intramuscular Administration of AZD7442 (Tixagevimab/Cilgavimab) for Early Outpatient Treatment of COVID-19: The TACKLE Phase 3 Randomised Controlled Trial. Lancet Respir Med. Published online June 7, 2022. doi.org/10.1016/S2213-2600(22)00180-1
3. Dong J, et al. Genetic and Structural Basis for SARS-CoV-2 Variant Neutralization by a Two-Antibody Cocktail. Nat Microbiol. 2021;6(10):1233-1244
4. Loo YM, et al. AZD7442 Demonstrates Prophylactic and Therapeutic Efficacy in Non-Human Primates and Extended Half-Life in Humans. Sci Transl Med. 2022;14(635):eabl8124
5. Robbie GJ, et al. A Novel Investigational Fc-Modified Humanized Monoclonal Antibody, Motavizumab-YTE, Has an Extended Half-Life in Healthy Adults. Antimicrobial Agents and Chemotherapy. 2013;57(12):6147-6153
6. Griffin MP, et al. Safety, Tolerability, and Pharmacokinetics of MEDI8897, the Respiratory Syncytial Virus Prefusion F-Targeting Monoclonal Antibody with an Extended Half-Life, in Healthy Adults. Antimicrob Agents Chemother. 2017;61(3)
7. Domachowske JB, et al. Safety, Tolerability and Pharmacokinetics of MEDI8897, an Extended Half-Life Single-Dose Respiratory Syncytial Virus Prefusion F-Targeting Monoclonal Antibody Administered as a Single Dose to Healthy Preterm Infants. Pediatr Infect Dis J. 2018;37(9):886-892
8. van Erp, EA et al. Fc-Mediated Antibody Effector Functions During Respiratory Syncytial Virus Infection and Disease. Front Immunol. 2019;10(MAR)

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